自称カルデア最強マスターとぐだ子の人理修復録   作:なまゆっけ

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第53話 薤露行の騎士、無毀なる湖光

 ランスロットとベイリンの激突より時間を遡って。

 山脈を本拠地とした勢力を壊滅させた今、聖都の敵はカルデアの来訪者たちのみ。彼らを排除しさえすれば、もはや獅子王を止める者はいなくなるだろう。

 彼らの行き先は分かっている。ラモラックがカルデアに塩を送ったこともそうだが、人間が空を飛んでいく奇怪な光景を多数の兵士が目撃したことが大きかった。

 砂の聖地と聖都、すなわち太陽王と獅子王の間には不戦不可侵の約定がある。

 しかし、それは書面で交わされたものでもなければ、魔術的な拘束力を有するものでもない。いつでも互いが手を出せる微妙なバランスの上での均衡は、カルデアの来訪によって崩れ去った。

 拘束力を持たない条約の締結はある事実を指し示している。二人の王は理解していたのだ。いずれ自分たちが刃を交わすであろうことを。

 先手を打つ絶好の機会を逃すアグラヴェインではない。予期し得ぬ外敵の襲来に晒され続けたブリテンの騎士たちは、常に後手の戦いを強いられてきた。だからこそ、その不利は彼らが押し付ける番だった。

 砂の大地を征くは聖都の軍勢。その先頭に並ぶ五人の騎士は、獅子王が誇る無双の刃たちであった。一騎当千という表現すら生温い彼ら円卓の騎士が揃い、場の空気がぎちりと張り詰める。

 その緊張感は味方同士のそれではなく、息が詰まるほどに殺気立っていた。

 なぜなら、円卓の人員の大半は生前に殺し殺されたという関係性を持つ。ランスロットは言わずもがな、アグラヴェインとガウェインもまたラモラックをその手にかけた人間だ。

 彼らの間には決して拭い切れぬ過去が堆積している。たとえ死を経験しようと色褪せることはなく蟠る記憶が、彼らを遮るように横たわっていた。

 馬上で揺られるラモラックは首元のタイを緩めながら、小さく鼻を鳴らす。

 

「この暑さとは裏腹に我らの間柄は冷え込むばかり、か。まったく、困り果てたものだ。稚児の喧嘩でもあるまいし……誰でも手っ取り早く仲直りする方法を知っているか?」

 

 そう言って他の四人に問い掛けるが、返ってくるのは沈黙ばかり。ラモラックの暇潰しに付き合おうという者はいなかった。が、横っ面を性懲りもなく突き刺すラモラックの視線に耐えかねたトリスタンは、呆れて答える。

 

「……貴方の言うことだ、殴り合いでしょう。それこそ稚児の喧嘩でもあるまいし、諍いの種を増やしてどうするのです」

「その種を腹の底に隠しているよりは大分マシであろう。どうせなら四対一でも良いぞ、それもまた面白そうだ」

「呆れて物も言えないとはまさにこのこと……」

 

 トリスタンはため息をついた。

 ラモラックは手当り次第に喧嘩を吹っ掛ける狂犬だ。かつて彼はちょっとしたすれ違いから、トリスタンの恋人であるイゾルデに不貞を働いている者が触れると必ず飲み物が溢れる魔法の角杯を送りつけた。その行為に怒りを覚えたトリスタンはラモラックと血で血を洗う決闘を行い、しかしその末に互いを認め合って友誼を結ぶのだ。

 さらには、同様の諍いをランスロットとギネヴィア相手に引き起こす始末。ラモラックの言動を本気にすることほど無意義なことはないだろう。

 その一方で、彼はランスロットとトリスタンに続く円卓三強の騎士に数えられているのも事実だ。ガウェイン含む四人の円卓の騎士と三時間に及ぶ死闘を演じたことからも、その実力は疑う余地がない。

 ラモラックはガウェインに視線を送る。

 

「聖都の護りの要である貴様が王の御許を離れるとはな。戦いの匂いに釣られでもしたか?」

「いいえ、この身は王の刀剣。斬れと命じられたならば斬るのが役割です。余計な迷いは切れ味を鈍らせるのみ。貴方も同じはずだ、ラモラック卿」

「それは頼もしいことだ。しかし聞いたか、トリスタン。この男の糞真面目さを。おれは息が詰まりそうだ」

「それで貴方の血気が収まるのなら、むしろ歓迎するところ。もっとも、天邪鬼な貴方には詮無い期待でしょうが」

 

 ラモラックは愉快げに喉を鳴らした。

 

「王の祝福を受けた今のお前ほどではないさ」

 

 その声音はいつにも増して柔らかく、密やかな愉悦を伴っていた。トリスタンに与えられた『反転』の祝福、生前とは変わり果てた親友の姿に。

 トリスタンは笑う。くつくつと小さく喉を跳ねさせて。視力を失ったはずの双眸を開かせて、色を失った瞳の視線がラモラックの肌に刺さる。

 

「ええ、そうかもしれません。けれど、こうなってようやく理解できました。世界が、人間が、こんなにも美しいのだと」

 

 空気がひたりとした静謐を帯びる。茹だるような熱気が漂う砂漠の中心にあって、彼らの周りだけは鋭く研がれた氷の刃の如き雰囲気を伴っていた。

 さくりさくりと、馬の蹄が砂を掻く音だけが響く。言葉が交わされることは一度もなく、容赦なく降る太陽光の熱も無実に帰す。

 そうして望むは太陽王オジマンディアスの居城、光輝の複合神殿。灼熱の大地を支配する王の根城であった。

 五人の騎士は行軍の足を緩めた。攻撃地点を目の前にして急ぐ理由は今はない。各々が簡素な合図を下すと、指揮下の部隊は整然と陣形を構築する。

 アグラヴェインは他の四人、特にランスロットに視線を送りつつ喋り出した。

 

「今回の作戦目標はカルデアの追討、そして可能な限り太陽王の戦力を削ることだ。いずれ奴らは聖都を攻めるだろう。我らは守っているだけでも勝てるが、ここでできる限り勝算を上げておく。私が退けと言えば必ず退け」

 

 獅子王にはあるひとつの計画がある。聖都の勝利とは敵対勢力を滅ぼすことではなく、王の目的を叶えることだった。その障害となるであろう太陽王の機先を制する。それが此度の戦いの目標だ。

 ランスロットはアグラヴェインの咎めるような視線に睨み返す。

 異論はない。反論もない。ガウェインの言った通り、騎士とは王が振るう刀剣であり、そうあるべく湖の乙女に育てられたのだから。

 生前の過ちを二度と繰り返さない───それでもランスロットの胸中には濁り、固まった違和感が積み重なっていた。

 

「最後にカルデアの戦力を確認しておく。ラモラック」

「彼らは六人ひとつの部隊だ。ジャンヌという黒衣の少女は炎を操る。まともに喰らえば誰であろうと消し炭だ。おれ以外はな」

「……ペレアス卿もいると聞きましたが」

 

 ラモラックはガウェインの一言に頷く。

 ペレアスとガウェインにはある種の因縁がある。アーサー王の部下ならば誰もが知るような話であり、二人の関係の微妙さもまた同じだった。

 ラモラックは微笑を深める。

 

「ああ、いたとも。奴の剣術はおれたちが知る以上に練り上げられている。手の内を把握しているからと侮れば痛い目を見るぞ」

「ペレアスは我々の中でもかなり若い騎士でした。国が滅びた後も腕を磨き続けたのでしょうね」

「そういうことだ、ランスロット。おれの前で宝具は見せなかったが、何かしらの切り札はあると心得ておけ」

 

 一般的に、サーヴァントは全盛期の状態で召喚される。多くの場合は肉体と技の完成度の釣り合いが取れた状態で現界するが、ペレアスはラモラックたちが知るより未来の姿で喚び出されたのだろう。

 そうとなれば、彼らの記憶より強くなっていたとしてもおかしくはない。

 ガウェインは手綱を握る手に力を加えた。それを流し見つつ、ラモラックは口を開く。

 

「後衛は白髪の男と赤毛の少女……この二人はマスターだ。その後ろにいる赤い外套の詩人は呪詛と祝福を使い分ける。全員が厄介な働きをする曲者だ。油断はするなよ」

「しかし、マスターさえ屠ったのならばこちらの勝ちでしょう。話を聞く限り、私の弓が有効なように思いますが」

「ああ、だが彼らには大盾を携えた少女がいる。彼女の守りはそう易々と突破できまい。それに……」

 

 言いかけて、ラモラックは口を閉ざした。盾の少女と、彼女に力を貸す英霊の正体は円卓の騎士に名を連ねた者ならば一目で理解できるだろう。

 その英霊と切っても切り離せぬ関係の男がここにいる。他者が違和感を覚える前の一瞬、ラモラックは思考を巡らせた。

 果たして、その結論は他の誰にも知られることはなく。

 彼は何食わぬ顔で言ってみせる。

 

「……いや、おれが分かるのはここまでだ。戦いを始めるが良い、アグラヴェイン」

「…………行くぞ。配置は予定通りだ」

 

 軍勢の進撃が始まる。太陽王と獅子王、互いに交渉の余地は存在せず、あるのはただ己の生存圏を賭けた殺し合いのみだ。

 馬を駆り、それぞれが定められた目標へと歩を進める。ラモラックはトリスタンを追い抜く一瞬、囁くような声で告げる。

 

「───きっと、面白いものが見られるぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 太陽王の膝元に位置する城下街。

 オジマンディアスから迎撃を言い渡されたニトクリスは即座に兵を集め、城の外に打って出た。平時は賑わいを見せる街中も、突然の襲撃によって悲鳴と怒号入り混じる喧騒が轟いていた。

 騎士たちが市民に手を出している様子はなかった。統率された聖都の軍勢は機械的なまでに指揮官の意に沿い、陣形を築いたまま沈黙を貫いている。

 騎士道とは決して綺麗事だけで構成される概念ではない。必要とあらば敵に対しては無慈悲に殺し略奪を行う、戦士たちの決まり事と言い換えても良い。

 単に街に被害を出すことが目的なら、聖都の騎士たちは迷いなくそれを実行しただろう。不気味なまでに静寂を保つ彼らの佇まいは、その目的が略奪ではないことを端的に示していた。

 漆黒の鎧を身に纏った騎士。異様な殺気を放つ騎士たちの只中にあって、隔絶した存在感を示す彼こそが指揮官であるとニトクリスは見抜く。

 

「貴方が名にし負う円卓の騎士のひとりですね! 我らが砂の聖地を土足で踏み荒らしたその罪、如何なる懺悔をしようとも決して許されぬものと知りなさい!」

「貴様の王の許しなど誰が乞うものか。この地に王はひとりで良い。なけなしの忠誠心を胸に死んでいけ」

「どこまでも侮辱を────!!」

 

 ニトクリスが杖を振るうと、彼女の周囲に使い魔たる死霊が出現する。

 杖の一振りで複数の使い魔を召喚する洗練された魔術は古き神秘を扱うファラオならではの御業であった。

 死霊の群れは冥界の瘴気を帯びた牙と爪を剥き出しに、アグラヴェインへと迫る。肌を掠めるだけでも人体に致命的な害をもたらす爪牙を目前にしてもなお、騎士は微動だにすることはない。

 寸前、上空より二人の騎士が堕ちた。疾風の打撃と灼熱の斬撃の応酬。間隙なき攻撃の嵐に晒され、死霊たちは成す術なく霧散する。

 ガウェイン、そしてラモラック。オジマンディアスの領地にあって、燦然たる太陽の騎士は短くアグラヴェインに言った。

 

「私とラモラックはこのまま太陽王の居城を目指します。この場は貴方に任せました」

「負けるようなら退け。それを軍の退却の合図とする」

「……だそうだが、止めなくて良いのか? 麗しき魔術の姫君よ」

 

 頬に小さな笑みを浮かべ、ラモラックは問いかける。

 太陽王の首を狙うという不遜余りある宣言がもたらす情動の火は、ニトクリスの脳天に達する前に弱々しく見る影を失くしていった。

 彼女はあくまでファラオらしく、厳然とした余裕を以って言い返す。

 

「止める? どこにそんな理由がありましょう。オジマンディアス様の手に掛かれば貴方たちなどけちょんけちょんのぎったんぎったん! 私の手間が省けて助かります!」

「なんと、それは楽しみだ。ますます血が沸き立つというもの」

「……行きますよラモラック。これ以上は時間の無駄です」

 

 ガウェインとラモラックはニトクリスを抜き去り、一直線に王の城を目指す。

 彼らが強敵であることに違いはない。特にガウェインの力は円卓の騎士全員の中でも頭抜けている。だとしても、オジマンディアスの圧倒的な優位は揺るがないだろう。

 カルデア一行とのいざこざのような戯れならともかく、こと本気の殺し合いにおいてかの王を超える者など、ニトクリスの辞書にはひとりもいなかった。

 ならば、むしろ心配すべきは我が身。アグラヴェインは剣を抜き、照る刃の切っ先をニトクリスへと差し向ける。

 

「───殺せ」

 

 瞬間、咆哮が地を揺らす。

 雪崩を打って殺到剣槍の群れ。足並み乱れぬその突撃はおよそ人の意思が介在せず、息遣いのある絡繰のような異質さだけがあった。

 ニトクリスは術式を紡ぎながら、オジマンディアスに借り受けた兵士たちに命令を伝える。

 

「盾を構えて防御しなさい! 私の魔術で吹き飛ばします!」

 

 その直後、彼女は自分の目を疑った。

 生温かな血飛沫が中空に舞い散る。それらの一切が自陣から巻き起こったものであり、一度の衝突で前列は壊滅させられていた。

 彼女は思わず声をこぼす。

 

「なっ……!?」

 

 ニトクリスを守る兵はオジマンディアスに選び抜かれた精鋭だ。一線級のサーヴァントには及ばないものの、決して一方的に斃されるような雑兵ではない。

 だが、アグラヴェインの配下たちは容易く防陣を食い破ってみせた。その膂力は下級ながらもサーヴァントに匹敵するだろう。

 魔術を打ち出すまでの僅かな時間。薄く引き伸ばされた感覚の中で、次々と突破される戦列を目に焼き付ける。

 ぎしりと歯の根を揺らしたその時、背後から駆け抜けた旋風がニトクリスの濃紺の髪を大きくなびかせた。

 風の正体は清らかな袈裟を纏った僧侶、玄奘三蔵だった。彼女はなぜか弟子の得物であるはずの如意金箍棒を両手に、敵勢へ向けてそれを薙ぎ払う。

 持ち主の意に従い、自在に伸縮する特性を活かした一撃。強大な遠心力を得た打撃は、蜘蛛の子を散らすように敵の進撃を払い除けた。

 彼女は片合掌を構えて、

 

「玄奘三蔵ここに参上! 他人の土地で狼藉を働くような悪い子を見逃しはしないわ! 宗教的に殺生はNGだから、肉体説法を受けてもらいます!!」

「……その棒は弟子の武器なのでは?」

「弟子のものはあたしのもの、あたしのものはみんなのもの。これ即ち喜捨の精神を表す! ふふふ、完璧な理論武装ね!」

(意味が分からない)

 

 ニトクリスは理解を諦めた。そもそも三蔵本人もよく分かっていないのかもしれない。彼女としてはなんとなく使えるのだから使ったまでだろう。

 ともかく、三蔵の増援で敵の突撃は停止した。ニトクリスは一層の魔力を費やし、頭上から新たな使い魔を召喚する。

 太陽の如き光輝を放つ、金色のスカラベ。

 日本ではタマオシコガネ、フンコロガシとも呼ばれるこの甲虫。エジプトでは獣糞の球体を転がす姿を天体に見立てて、暁日を司る神ケプリとして神格化された。

 スカラベは冷たい夜という名の冥界から復活する太陽の象徴である。死霊の使役を得手とするニトクリスは暗き冥界より、輝ける太陽を呼び寄せたのだ。

 日の出の神話を短時間で再現する超常の魔術。現代では到底成し得ぬそれはファラオの威光と呼ぶに相応しき神秘の発露だった。

 故に、この使い魔が宿す光は太陽のそれと同じ。現世に零れ落ちた太陽の破片が狙うはアグラヴェインただひとり。

 後は、その力に方向を与えてやれば良い───!!

 

「ファラオの威光を思い知りなさい!」

 

 その啖呵に続き、スカラベが飛翔した。

 膨大な熱を秘めた黄金の甲虫は立ちはだかる全ての騎士を灰燼に帰し、アグラヴェインへと到達する。

 それは時間にして一秒にも満たぬ飛行だった。聖都の騎士は肉の壁にすらならず、サーヴァントひとりを焼いて余りある熱をその身とともに四散させた。

 網膜が焼き付くような光の散華。音は死に、吸い込む空気が喉と肺を炙る。

 この爆発を受けては、人の形を維持することすら難しいだろう。視界が正常さを取り戻した時、ニトクリスと三蔵が見たのは左手を突き出すアグラヴェインの姿だった。

 

 

 

「───『騎士は徒手にて砕けず(ナイト・オブ・ザ・ハードハンド)』」

 

 

 

 その騎士にはひとつの異名がある。

 曰く、『堅い手』のアグラヴェイン。文官でありながら数々の戦場を生き延びるだけでなく、優れた武勇を発揮した彼を称える呼び名だ。

 これはその逸話が昇華した宝具。自らの手を起点に相手の攻撃を減衰させ、受け止める。言ってしまえばただのそれだけだが、アグラヴェインはスカラベの特攻を防ぎ切ってみせた。

 その籠手はどろりと溶解し、指先に至っては黒く炭化している。目を覆うような重傷を負いながらも、彼の顔には苦痛の色すら見受けられない。

 ニトクリスは驚愕に染まる心を即座に漂白する。

 

「一度で駄目なら何度でもやるまで…!」

「そうそう思い通りになると思うな───!!」

 

 アグラヴェインの騎士たちが様相を一変させる。全身を黒き影に侵食され、狂騒を吐き出す。

 人か鬼か、正しくそれは魔道の所業。命を燃やし尽くすが如き強化に次ぐ狂化。およそ人たる意思を兵卒から奪い取り、殺意だけを持つ獣へと仕立て上げる。

 ニトクリスは右足を僅かに下げた。これでは先の光景の焼き直し。無為に兵を死なせるだけだ。

 

「貴方たちは後退しなさい! ここは私たちで持ち堪えます!!」

「もしかしなくても、多勢に無勢ってやつ……!?」

「否ッ! 目には目を、歯には歯を、多勢には多勢をぶつけます! 出ませい!」

 

 杖の先で地面を打つ。それと同時に影に塗れた騎士の部隊は走り出し、続いて地の底から無数の死霊が這い出る。

 再度の激突。なればまた、もたらされる結果も変わらなかった。狂乱の騎士たちが死霊の群を露と打ち払う。しかし、異なるのはその後だった。

 

「まだまだ!」

 

 ニトクリスの足元を中心に暗い霧が広がり、一斉に死者が蘇る。それらもまた騎士の手によって打ちのめされるが、彼女の召喚は止まらない。

 使い魔の連続・平行召喚。尋常な魔力では成せぬ規格外の魔術行使であった。

 質で凌駕されるというのなら、量を揃えて迎え撃つ。如何に聖都の騎士を狂化したところで、永遠に戦い続けられる訳ではない。肉体の限界を超えた強化を強いている以上、耐えてさえいれば相手は遠からず壊れるのだ。

 が、それはニトクリスも同じこと。自前の魔力と土地のバックアップを受けているとはいえ、魔力が枯渇すれば彼女は負ける。

 死霊と死兵。死したる者と死を恐れぬ者の戦いは、凄惨な消耗戦の様相を呈していた。

 三蔵はその合間を潜り抜け、アグラヴェインへと肉薄する。

 腕を引き絞り、騎士の顔面目掛けて拳を打つ。アグラヴェインはそれを左手で止めると、返しの一刀を払った。三蔵は半身で斬撃を躱し、剣の間合いから飛び退く。

 

「自分の部下をあんなにして、少しは罪悪感とか感じないの!? 来世で餓鬼道とか地獄道に落ちちゃうわよ!」

「生憎、私は貴様にとっては異教徒だ。輪廻転生とやらは他所でやっていろ」

「貴方たちの教えにも地獄はあるでしょうに! 生きながらにして地獄に落ちたダンテさんなんて不憫な人もいるのよ!?」

 

 アグラヴェインの追撃。三蔵は三日月型の刃の杖、宝杖を取り出して振るわれる刃を凌ぎ切る。

 

「ならば、地獄に落ちるのは私だけで良い。私の部下は皆望んで狂うことを選んだ。これは王へと捧げる鋼の忠誠だ!!」

「忠誠を捧げるのは良いけど、周りの被害ってものを考えてくれないかしら! 下手しなくても人類が滅びるの、何十億の命に勝る忠誠なんてどこにもないでしょう!」

「それは貴様の理屈だ。王への忠誠は何にも勝る。国よりも、王よりも、ひとりの女を優先した愚か者が滅びを招いたように、この世は誰かの愚行で脆く崩れ去る。揺ぎなき王への忠義こそが多くの人を救ける結果になるのだ」

「騎士って忠誠を理由にしておけば何やっても良いと思ってない!?」

 

 鉄の戒めと呼ばれる黒き鉄鎖が縦横無尽に空間を駆けずり回る。三蔵ひとりに集中させるのではなく、その動きを制限すべく張り巡らされた鎖は狙い通り、彼女の足を止めた。

 その時点でアグラヴェインの手中に入ったも同然。鎖の間隔が急速に狭まり、三蔵を縛りにかかる。

 宝杖の刃を用いて迫る鎖を打ち払うも、地面から飛び出した縛鎖に足を取られ、瞬く間に全身を拘束される。総身に食い込む黒鎖は無理に引き千切ろうとすれば、その肉ごと体をむしり取るであろう。

 アグラヴェインは長剣の刃を引きずり、三蔵に接近する。サーヴァントの急所である霊核を貫き、とどめを刺すために。

 

「騎士の存在意義は王と民への奉仕。私たちはただそれを理由にして戦うだけだ……!!」

「あなたが何に固執しているかは知らないけど、残念。それだけじゃ世界は回らないのよ。私たちみたいに全ての執着を捨てる修行をしろとは言わないけど、少しは柔軟になってみたら?」

「……知った口を」

 

 剣先が白い肌に触れ、血の雫が線となって伝う。白刃が食い込む間際、アグラヴェインは何かに弾かれたように後ずさった。

 どくり、と彼の首筋に刻まれた一本の傷から鮮血が溢れ出す。濃密な殺気を込めた双眸が睨むのは、二人の暗殺者。呪腕と静謐の異名を冠する稀代の凶手だ。

 呪腕が左手に握る黒色の短剣は赤い血に濡れていた。標的の意識の狭間を突く暗殺技術の粋。アグラヴェインは忌々しげに呟く。

 

「山民の生き残りか。次から次へと!」

「あの時仕留め損なった貴様の失態だ、円卓の騎士よ。次はその手を切り落とす」

「そして、終わりです」

 

 静謐がそう告げた頃には、アグラヴェインは膝をついていた。毒の娘たる彼女の体液を傷口から送り込まれ、血流に乗って効果を発揮したのだ。

 視界が荒々しく撹拌される。今や彼の意識を繋ぎ止めるのは鋼鉄の如き戦意のみ。毒への備えは当然用意しているが、その隙を敵は見逃さないだろう。

 ひたり、と敗北の予感が背筋をなぞる。

 息が詰まる。

 手が震える。

 そんなことは、剣を手放す理由になりはしなかった。

 これは自分のための戦いではない。生前果たせなかった王への責務を果たす、主君のための戦いだ。

 この身は自らのモノではなく、王に捧げた道具。だから、どんな苦境にあろうと、かの君に命じられぬ限りは動かせぬ道理はない。

 黒色の鉄鎖がアグラヴェインの体を吊り上げた。無理やり四肢を稼動させ、剣を構える。

 

「この程度では終わらない。終われるはずがない。たとえ何が立ちはだかろうと、王に理想の国を献上すると決めたのだ!」

 

 その姿はまるで、操り人形だった。

 

「とても綺麗ですよ、アグラヴェイン」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 敵襲の知らせを聞いたべディヴィエールは剣の柄に手をかけて走っていた。

 彼はサーヴァントならぬ人間の体だ。そうでなくとも、他の円卓の騎士には実力で劣る身でしかない。べディヴィエールを走らせていたのはそんな打算ではなく、命を賭して誰かを護る騎士の誇りだ。

 だから、彼は悲鳴が聞こえる方へと足を進めた。それを引き起こしているのがかつての仲間たちであるという現実に立ち向かうために。

 その道中、建物の屋根を足場に跳ぶアーラシュが合流する。

 

「俺も加勢するぜ。一人よりは二人の方が強い、当然の理屈だろ?」

「はい、ご助力感謝致します!」

 

 そうして、彼らはひたすら音の響く方向へと進む。

 一歩また一歩と進む度に鼻腔をくすぐる血の匂いは強くなり、言い表せぬ不安が後ろ髪を引き寄せた。

 鼓膜を揺らす、幽玄なる音色。どこまでも澄み渡っていくような儚い旋律を聞き、べディヴィエールとアーラシュは音の源流に行き着く。

 人が、踊っていた。

 ゆらゆら、ゆらゆらと、音の響きに合わせてステップを踏む。

 時に優雅に、時に鮮烈に、真っ赤な華を散らして舞い踊る。

 狂宴を指揮するのは赤き髪の詩人。彼が竪琴の弦を弾き切ると、演者たちは血の大輪を芽吹かせて飛び散った。

 薄い唇が弧を描き、

 

「……待っていましたよ、べディヴィエール。いかがでしたか、この演目は」

 

 べディヴィエールは剣柄が折れんばかりに握り締め、強く大きく叫ぶ。

 

「貴方は、貴方が───何をしているのです! トリスタン卿!!」

「見ての通りですよ。せめて最期は麗しく、黄泉への花路を彩ったまで。それにほら、こうして獲物を呼び寄せることができました」

「たったそんな理由のためにこの惨状を生み出したというのですか! 民のことを想い、心を痛めていた貴方が!!」

 

 失望と義憤。深い落胆に沈んだ声が空を突く。

 

「……ふ、そうですね。私は嘘を吐きました。本当の理由をお教えしましょう」

 

 しかして、トリスタンは妖しい笑みを浮かべた。

 肌が粟立つような悪寒が全身を駆け抜ける。細く長い指が弦にかかり、

 

「───貴方のそんな声が聞きたかった」

 

 弾く。

 ほぼ同時にべディヴィエールは跳んだ。透明な大剣を薙ぎ払ったように周囲の建物がすっぱりと切断される。べディヴィエールの左肩に切創が浮かび上がり、勢い良く鮮血を散らす。

 トリスタンが放った不可視の斬撃。アーラシュは答えを聞くまでもなく、その正体を看破する。

 

「音か。厄介な武器を持ってやがる!」

「まさしく。我がフェイルノートの奏でる音は刃と化して相手を撃つ。貴方がどこの英雄であろうと、逃しはしない」

「そういうことは決着がついてから言うもんだ!」

 

 アーラシュとトリスタンは示し合わせたように矢を撃ち出す。

 一方は山をも削る威力の射撃。もう一方は巨岩すらも膾切りにする神妙の音波。アーラシュの放った矢は音を裂き、トリスタンの横を通り抜ける。

 だが、音とは空気の振動。拡散した律動の波はアーラシュが足場にしていた家屋を散々に薙ぎ倒した。

 互いの実力の程を確かめるには、その一度の攻防で事足りた。刹那、両者は平行に走り出し、無数の矢玉を撃ち交わす。

 

「感服致します。私の時代に、貴方ほどの弓使いは存在しませんでした」

「俺の時代にもお前みたいな武器を持った奴はいなかったけどな!」

 

 二人の間合いは既に死地と化していた。無数の矢玉が交錯し、太陽王の街を更地に変えていく。

 アーラシュとトリスタンの条件は同等。たったの一撃加えることができれば、戦局は取り返しがつかないほどに傾く。必殺の一矢をどちらが先に中てるか、勝負はそこに帰結した。

 べディヴィエールは簡易的に傷口を縛ると、フェイルノートの間合いの外から彼らを追走する。

 彼にとって両者の射程は致死圏内。超高速で迫る矢を躱し切る技量はなく、アーラシュのような頑健な肉体も持ち合わせていない。

 音を武器とする性質上、その威力は距離を取れば取るほどに減衰する。現にトリスタンはアーラシュの射撃に対して迎撃ではなく回避という手段を取っていた。

 だが、近間の攻撃範囲と連射速度は他の追随を許さない。フェイルノートは指一本さえあれば、全方位に絶え間ない斬撃を繰り出すことができる。

 べディヴィエールにできることは遠巻きから射撃戦を眺めることだけだった。

 

(…………この右腕は、使えない)

 

 銀腕の解放は魂を燃料とすることで成り立つ、自爆に近い技だ。既に一度、モードレッドに使ったせいで彼の命の限界は大きく縮まっている。

 

(けれど)

 

 残り少ない命だとしても。

 それを賭けることしか、彼にはできなかった。

 

(───間合いに飛び込む!)

 

 べディヴィエールは懐中の護符を握り締めた。ノアから貰い受けたルーンの護符に魔力を通し、その効力を体に宿す。

 傷口の治癒と身体の強化。左肩の痛みが引き、地を踏みしめる足に一層の力が籠もる。

 剣を片手に目指すは、トリスタンの背後。音波が得物であるために背を討つ利は少ないが、挟撃の形にはなる。べディヴィエールの気配を感じ取ったトリスタンは、背を向けたままに言った。

 

「軍略家の貴方といえど、この状況で取れる行動はそれしかない。───ええ、貴方ならそうすると分かっていましたよ」

「では、こうすることも想定済みでしたか」

 

 べディヴィエールは腕を薙ぐように振るい、剣を投擲する。

 回転しながら飛ぶ剣。妖弦が震え、虚空に現れた衝撃が剣を明後日の方向に打ち上げる。トリスタンは竪琴を爪弾きながら、ため息をついた。

 

「モードレッドやペレアスのような真似をするのですね。たかが数歩稼ぐために武器を捨てるとは、愚かとしか言いようがない」

 

 旋律が巻き起こり、放射状に斬撃が拡散する。その狙いはべディヴィエール。それもアーラシュとの攻防の片手間だ。

 並の弓使いならば剣を投げたことで一手遅れを取っただろうが、トリスタンは違う。フェイルノートの弦は六本あり、その内のひとつを差し向けただけに過ぎない。

 多少の不意を突いたとしても、トリスタンの妨害にはならなかった。

 それでも、べディヴィエールは前に進むことをやめなかった。アーラシュとトリスタンは互角。その天秤を傾けるのは自分の役割だと理解していたから。

 

「武器なら此処に。私の腕こそが貴方を貫く剣です」

「次はラモラックの真似事でもするつもりですか。その義腕、我が弓で切り落としてみせましょう」

「……やはり、見えていないのですね」

 

 言いながら、べディヴィエールはアーラシュに視線を送った。

 

「なるほど。大した勇気の持ち主だな、あんたは。……気に入ったぜ」

 

 アーラシュはその瞳が語る意思をしかと読み取り、不敵に笑う。深紅の弓に五本の矢を番え、背中を押すように告げる。

 

「───行け!」

 

 そして、矢を射る。音よりもなお速く駆け抜ける五つの矢はトリスタンの五体を貫かんと襲い掛かった。

 フェイルノートの弦が五つ勢い良く奏でられる。壮麗な音響とともに発した衝撃波が五つそれぞれの矢と激突し、その軌道を逸らす。

 音波は距離を経るごとに拡散する。それは強みでもあるが、遠距離の標的を切り裂くためには音を収束させなければならないということでもある。

 ならば、トリスタンが近距離の敵に手数を割けば、距離に伴って拡散する音波は威力を失い、アーラシュに届くことはない。

 故に活路は前にのみ存在する。べディヴィエールができる最大の援護は、身命を賭してトリスタンの注意を引くことだった。

 べディヴィエールが間合いに入る寸前、トリスタンは思う。

 

(……愚かな)

 

 アーラシュの射撃を回避するために五つの弦を用いたが、残る一本で迎撃は十分に成り立つ。フェイルノートの真髄は一度に六回の射撃が叶うことだ。彼らはまだ、一手すら奪い切れていない。

 宣言通り、べディヴィエールは義手を握り締めて殴り掛かる。

 それよりも速く、音の刃が義手を断─────

 

「貴方はいい加減、目を覚ませ!!」

 

 ────銀の拳が、トリスタンの顔面を打ち抜く。

 

「ぐ、ぅ……!?」

 

 確かに音波は義手を斬った。寸分の狂いもなく、べディヴィエールの腕は宙に舞うはずだった。

 だが、目を潰した彼には分かるはずもなかった。べディヴィエールの腕が尋常なる材質ではないことを。

 斬れるはずがない。

 斬れる訳がない。

 かつて果たせなかった願いが、今生叶えんとする使命が、べディヴィエールの銀腕なのだから。

 全身が警鐘を鳴らす。大気に穴を開け、一本の矢が飛来する。

 一撃。二人の弓手が勝敗を分けると確信した必殺の一矢が届く。

 しかし、たった一度の窮地に陥った程度で命を落とすなら、トリスタンは円卓の騎士に数えられてはいない。身を捩り、その一撃を回避する。

 脇腹近くを通り抜けた一射はその衝撃波だけで、トリスタンの肋骨を粉砕した。

 次の瞬間、彼は血を吐きながら竪琴を弾き、音の衝撃で自らを上空へと打ち上げた。アーラシュは矢を番えながら目を見張る。

 

「空まで飛ぶのかよ。何でもありか!?」

「貴方のでたらめな威力の射撃ほどではありませんよ。こんなものは小技でしかない」

「そりゃ嬉しい限りだが、見下しながら言われてもな!」

 

 アーラシュが射るとともに、トリスタンは竪琴を奏でる。ただし撃つのは敵ではなく自分自身。振動で自らを動かすことで、相手の射撃を躱す。

 トリスタンは空中での機動を成し遂げ、べディヴィエールに告げた。

 

「目が覚めましたよ、べディヴィエール。律儀に戦うのはもう止めです。貴方はそこで指を咥えて眺めているがいい」

 

 そして、血に塗れた曲目が幕を開ける。

 フェイルノートの銀弦を狂ったように掻き鳴らす。響き渡るのは燦爛優美にして、冷然たる調べ。それは斬撃の嵐を引き起こし、相対する二人を襲う。

 街が崩れ、至る場所で血の飛沫が噴き上がる。おそらくは逃げ損ねた人々。トリスタンは見境なく音を奏でていた。

 

「───クッ、ハハハハハハッ!!!」

 

 哄笑を轟かせ、彼はとめどない殺戮の演奏を披露する。

 べディヴィエールの体にはいくつもの傷が刻まれていた。トリスタンに制空権を取られた今、その間合いから脱することは不可能に等しい。

 血を振り乱しながら、べディヴィエールは哮る。

 

「何が貴方をそこまで変えたのです! 今の貴方は外道そのものだ!」

「しかし、それこそが人の原初の姿。いくら取り繕おうとも、この性だけは永遠に変わることはない」

「そんな理屈は今更通りはしない。貴方と他の人間を一緒くたにしている時点で間違いだ。人の性という言葉に逃げて、己の罪から目を逸らしているだけでしょう」

「いいえ、その逆だ。己の罪と向き合うために私はこうして存在している。それ故に受け入れたのです───獅子王の『反転』の祝福を」

 

 それを聞いて、べディヴィエールはようやく得心した。

 生前とは変わり果てた彼の凶行は、『反転』の祝福によるものなのだと。

 トリスタンは息の根を止めるまで、人の醜さを体現し続けるだろう。それこそが王への懺悔であり贖罪と、彼は理解している。

 

「ああ、貴方は、本当に────」

 

 だから、言うべきことは決まっていた。

 

「───人の心が、分からなくなってしまったのですね」

 

 消え入るような声は果たして、彼の耳に届いたのか。

 それを確かめる前に、彼らが見聞きしたのは鉄鎖にて自身を縛るアグラヴェインの姿。首元を血で濡らす彼は強く叫んだ。

 

「この程度では終わらない。終われるはずがない。たとえ何が立ちはだかろうと、王に理想の国を献上すると決めたのだ!」

 

 どこまでも実直で、愚直な願い。操り人形となってもなお意志を貫くその宣言に、トリスタンは密やかに微笑んだ。

 

「とても綺麗ですよ、アグラヴェイン」

 

 だが、べディヴィエールが抱いた想いは。

 

「誰かを殺してまで、生前の焼き直しを望むのか」

 

 そんな、冷めた激情だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 剣戟が交錯する。

 数え切れぬ斬撃が織り成す殺し合い。

 その役を演じるのは、どちらも最強を謳われた二人の騎士。

 湖の騎士、ランスロット。

 双剣の騎士、ベイリン。

 両者が繰り出す一刀は、その全てが必殺神速。その間に割って入れる者はこの場のどこにもおらず、ひたすらにその間合いから逃げるしかなかった。

 両者の戦い方はまるで正反対。

 孤剣と双剣。ベイリンが繰り出す連撃をランスロットは受け、弾き、そして躱す。十重二十重の斬撃はいずれもランスロットには届かず、しかし、彼の刃もまたベイリンに命中することはない。

 ベイリンの剣技は喩えるなら激しく燃え上がる大炎。対するランスロットは澄んだ清流の如き流麗の剣技だ。

 刃がぶつかり合う度に空間が軋みを上げる。攻勢と防勢が目まぐるしく入れ替わる果し合いの最中、ランスロットの脳裏をよぎる、息子の姿。

 円卓の騎士ギャラハッド。ただひとり聖杯探索を成し遂げた聖なる騎士。ベイリンは知る由もないだろうが、ランスロットにはギャラハッドを介した因縁があった。

 ベイリンはとある槍を武器として用いたことで天罰を受け、三つの国に呪いを振り撒き、聖杯の継承者たるペラム王に癒えない傷を与えた。漁夫王とも称されるペラム王は長く苦しみ、彼とその王国を救うためアーサー王は騎士たちを聖杯探索の旅へと送り出すのだ。

 そう。

 ベイリンが槍に触れさえしなければ、ギャラハッドは聖杯探索に行く必要はなかった。

 ギャラハッドの偉業は賞賛されて然るべきものだ。聖杯を手にし、けれど何も願わず、天へと召されたのだから。

 生きながらにして天に召されることは、およそ現世における最大級の栄誉。なぜなら、それはかの救世主と同じ最期を辿ったということだからだ。

 それでも、ランスロットにとってギャラハッドはただひとりの血を分けた子で。

 救世主と同じになることなんて、望んではいなかった。

 分かっている。これは八つ当たりだ。ベイリンとて必死に行動した末に天罰が発動したのだから、それを責める気はない。

 だけど、そうして結論付けてしまったなら、この想いはどこに行けば良いのか。

 

「───温いぞ、ランスロット」

 

 ベイリンは二つの刃が交差するように斬撃を見舞う。

 すんでのところでそれを防いだランスロットはその衝撃までをも殺し切ることはできず、大きく後退した。

 つう、と頬に走った赤い線から血の雫が線を描く。

 なんてことはない掠り傷。しかしそれは、伯仲した実力の両者にとっては何よりも重い事実だった。

 

「剣に迷いが見えるぞ。ペレアスの剣よりもなまくらな刃で、私を斬れると思うな」

「……謝罪を。私は個人的な理由で剣を鈍らせました。あなたとの戦いに、水を差した」

 

 ベイリンはランスロットに歩み寄りながら、否定する。

 

「個人的な理由? どうとでも受け取れる言葉を使うな。私は頭が良い方ではないが、貴様の剣を鈍らせている原因くらいは感じるぞ」

 

 ランスロットは耳を疑い、困惑を覚える。王の治世を見ることなく死んだベイリンが、ギャラハッドのことを知るはずがない。だというのに、自らの迷いを見抜いたと言うのだ。

 ベイリンは兜の奥から覗く眼光を細め、問いかけた。

 

「───お前は、何故戦っている?」

 

 知らず、息が詰まる。ランスロットはどこか他人事のように口を動かして、その問いに答える。

 

「無論、獅子王と聖都のために。人理焼却が行われた以上、せめて救える人間は救うのが騎士の務めだ」

「救える人間を救うのが騎士の務めならば、貴様がやるべきことはひとつだ。王を裏切り、私たちと共に戦うが良い」

 

 裏切り。その言葉がランスロットにとって何を意味するのか、当然ベイリンは知らなかった。

 ランスロットは視線に殺気を込めて、双剣の騎士を睨みつける。

 

「……私に二度も王を裏切れと言うのか」

「貴様の事情は知らん。これは単純な算数だ。獅子王が勝つことで救われる人数よりも、カルデアが勝つことで救われる人数の方が多い」

「カルデアが勝つという保障はない。相手は人類史そのものを滅ぼした存在です。獅子王の計画が成就するのは間近に迫っている……私たちが負けることはない」

「そうなのか? だが私にも確実に言えることがあるぞ」

 

 ベイリンはびしりとランスロットを指差して、

 

「お前のような強い騎士がいれば、私たちは絶対に勝てる。そして、ペレアスたちは私に勝った。だから人理焼却とやらの黒幕にも勝てる。完璧な理屈だ」

 

 苦し紛れのような理論を堂々と語るベイリンを見て、ランスロットは歯噛みした。真逆なのは剣術だけではなく、その性根もそうなのだと。

 ランスロットの剣先が僅かに下がる。

 その変化を、ベイリンは見落とさなかった。

 

「話は終わりだ」

 

 体勢を低く屈め、爆発的な踏み込みを以って突進する。

 その勢いをたった二振りの剣に乗せ、叩きつける。単純にして明快な一撃はそれ故、威力と速度を以って相手を屠る。これを真っ当に防いだ者はいなかった。

 ───しかし、対するのはランスロット。そして、不壊の聖剣アロンダイト。

 けして折れぬ刀身は最硬の盾となって、ベイリンの爪牙を止めていた。

 次の瞬間、三つの白刃が無数の流星となって交差する。

 有り余る剛力を以って放たれる剣撃の数々を、ランスロットは無心で捌く。

 迷いを挟めば殺される。湖の騎士は全神経全感覚を闘争という行為に費やしていた。如何なる状況下にあろうとも十全たる戦闘力を発揮する無窮の武練。一時代において無双の域に到達した戦士にのみ与えられるスキルだ。

 だがしかし、それを有するのは彼だけではない。ベイリンもまた、円卓結成以前から初期において、無双の腕前を誇った剣士であった。

 なればこそ、これは偽りなき頂点同士の戦い。

 王の創業を最も助けた騎士と、王の守成を最も支えた騎士。カタチは違えど、その実力には微々たる差も存在しない。

 この戦闘に奇跡や偶然が入り込む余地はなく。

 限界が訪れるのは、早かった。

 ベイリンは全身の捻りから、左の剣を薙ぎ払う。

 

(───ここだ!)

 

 それこそを、ランスロットは狙っていた。

 ベイリンはどういう訳か、湖の乙女から奪い取った聖剣を握っていない。つまり、左手の剣は何の変哲もない鉄剣。強度も切れ味も遥かに劣る武具だ。

 ランスロットは下段からアロンダイトを跳ね上げ、その剣を叩き折った。手数を半減させ、反撃の隙を生み出すために。

 追撃の一刀を叩き込む───視界からベイリンは消え失せていた。ランスロットが双剣の騎士の位置を知ったのは、下から響く声を聞いた瞬間だった。

 

「これは私もつい最近教えられたことだが」

 

 ベイリンは極限まで姿勢を低くし、その姿が敵の視界に映らぬように仕組んでいた。そのままベイリンは回転し、鞭のように右脚を振るう。

 

「───剣は、折れるものらしいぞ」

 

 鋭い蹴りがランスロットの胸を穿つ。

 ランスロットの五体は弾丸の如く後方へ吹き飛んだ。民家の壁をノーバウンドでいくつも突き破り、なおも抗しきれずに進む。

 ベイリンはそれを全速力で追いかけながら、独り言を呟いた。

 

「防いだか。大した男だ」

 

 右脚にじくりと鈍痛が染みる。ランスロットはインパクトの寸前、アロンダイトを合わせることで直撃を免れていた。見た目は派手だが、そこまでのダメージは負っていないだろう。

 着地したランスロットは即座に態勢を立て直し、ベイリンは疾走の勢いそのままに一刀を叩き込まんとする。

 もはや二人の意識にあるのは相手を斬ることのみ。周囲の光景など二の次だ。

 同時に剣を振りかぶったその時、両者の頭上から声が響いた。

 

「……おや。これは勢揃い、ですね」

 

 朗々たる声の裏には、敵味方の区別なく降り注ぐ殺意が秘められていた。ランスロットとベイリンはそれに釣られ、上空を仰ぎ見る。

 銀の竪琴を抱く赤き髪の騎士、トリスタン。視線を下げれば、そこには離れていた二つの戦場のサーヴァントたちが一堂に介していた。

 アグラヴェインの軍勢を相手するニトクリスは魔術を発動しながら、全身で言い表せぬ感情を体現する。

 

「も、もう何がなんだか……こんなぐちゃぐちゃな状況をどう収拾つければ良いんですか!?」

「こうなったら出すしかないようね、あたしのファイナル如来掌を!」

「俺の宝具と同じ匂いがするんだが、本当に使っていいのかそれ!?」

「一か所にまとまったおかげで分かりやすい構図にはなりましたが、暗殺者にとっては活躍しづらい状況ですな」

 

 そんな愚痴に答えるように、大気が鳴動した。

 

「『良い機会だ。こちらの二人も送り届けてやる』」

 

 不遜を隠そうともしないオジマンディアスの言葉。その直後、王の居城が光輪を輝かせ、地上へ熱線を射出する。

 赤熱化した地面から灼けた煙が立ち昇る。その煙幕の只中にはガウェインとラモラックが片膝をついていた。

 城外へ弾き出された二人は熱線を受けてさえ、人の形を保つどころか軽度の火傷を残すのみだった。太陽の加護と赤き盾の防御が成し得た結果だ。

 ラモラックは服についた煤を払い、熱でひしゃげた片眼鏡を横合いへ放り投げた。

 

「流石はオジマンディアス王、反射しきれんな。おれたちだけでは敵わぬか」

「…………ここは退くべきでしょう。太陽王の抑えが解けた以上、もはや深追いにしかならない」

 

 ガウェインは冷静に考えを述べる。

 ラモラックは肯定も否定もしなかった。誰もいない後方に怜悧な視線を飛ばす。その様はここにはいない人間を待っているかのようだ。

 何かを隠している。ラモラックの表情の微妙な変化からそれを読み取ることができたのは、ランスロットのみだった。

 その意図の手掛かりを得たのは数瞬の後。肌を撫でる郷愁、回顧の念。言いようのない感覚に導かれ、手引きされるように顔を向ける。

 

「ほら、見てください! やっぱり聖都の軍が襲ってきてたんですよ! 私たちもすぐに加勢しましょう!」

「ペレアスが真反対に走り出すからおかしいとは思ったがな。ここで円卓の騎士を皆殺しにして獅子王を丸裸にするぞ」

「『ようやく主役のお出ましか、ノロマどもめ。もう少し遅れるようなら余が手を下すところであったぞ』」

「こっちもこっちで色々あったんですがねえ。名探偵とかラスボス臭のする魔術師とか、モンテ・クリスト伯を名乗る不審者とか……」

「アンタは何もしてないですけどね」

 

 ランスロットが見たのは、肩で息をしながらどたどたと走り寄ってくるEチームの面々だった。湖の乙女の加護が発動しているペレアスはノアに首の後ろを掴まれて引きずられていた。

 忘れもしない。ランスロットの郷愁を駆り立てる、ペレアスとリースの顔。けれど、何よりも誰よりも彼の心を掻き乱したのは。

 

「ギャラハッド───!?」

 

 大盾を携える、少女だった。

 彼女は小首を傾げて、

 

「……わたしのことですか? ペレアスさん、あの人は誰なんです?」

「ランスロットだよ。オレがこんなことになってる原因だ」

「元を辿れば私の加護のせいですわね」

フォウフォウ(自分で言うな)

 

 ランスロットは思考を回す。

 眼前にいるこの少女は間違いなく、ギャラハッドそのものではない。おそらくはその力を借り受けた存在だ。息子を知る円卓の騎士なら一目で気付くだろう。

 ということは。

 ランスロットはラモラックに殺気じみた眼差しを送る。

 

「隠していたのか、ラモラック!!」

 

 ラモラックは怒号と視線を飄々と受け流して首肯した。

 

「まあな。肉親が敵にいると知れば、さしものアロンダイトも鈍るだろう。おれからの計らいだ」

「私が敵に手心を加えると言うのか!?」

「応とも。おれのような人間ならともかく、貴様は情に厚い男であろう。迷いが生じぬとどうして言い切れるのだ。無論、根拠はこれだけではないぞ」

 

 彼は服の懐に手を入れると、予備の片眼鏡を取り出して右眼にかけた。ランスロットの心を見透かす、そう宣言するように。

 

「貴様は獅子王のやり方に疑問を抱いている……そうだな? 王の目的は善なる魂の人間を選別し、滅びた世界に人類が存在した証拠を残すことだ。だが、これはその場しのぎの計画でしかない」

「……アンタはどっち側なんだ? そんなことを言ってるくせにどうして今の王に従ってる」

「それとこれとは別の話だ、ペレアス。騎士とは王の剣でさえあれば良い。迷いなどもっての外だ。ランスロット───貴様はなぜ戦っているのだ?」

 

 奇しくも、それはベイリンの発言と違わぬ問いであった。

 自分はなぜ戦っているのか。迷いを抱えたまま剣を振るい、王に従い続けているのか。

 それを何度自分に問い掛けても、返ってくる答えは変わらない。

 

「…………またしても、王を裏切る訳にはいかない」

 

 ランスロットを獅子王の使命に繋ぎ止めているのはそんな理由でしかなかった。

 王国を滅ぼしたのは他の誰でもなく、道ならぬ恋に落ちた自分だ。それが死後仕える機会を得て、忠誠を誓った挙句にもう一度叛くなど恥でしかない。

 国を滅ぼした罪を贖うために、王に叛くわけにはいかないのだ。

 マシュは平坦な口調で言う。

 

「いや、普通にわたしたちの味方をすればいいのでは?」

「……は?」

「だから、カルデアの手伝いをすれば良いでしょう。どうせわたしたちは勝ちますから。何ならこれまで破竹の五連勝を成し遂げている訳ですし、何を迷うことがあるのですか? 意味が分かりません」

 

 場の空気がもったりと沈み込む。周りからの視線をふてぶてしく受け止めながら、彼女は容赦なく追撃を叩き込んだ。

 

「わたしが知っている騎士は困っている人を助けて巨悪を挫くヒーローです。主君が間違っているのなら、何度でも刃を向けるのが騎士の役目です。王妃との不倫は流石にどうかと思いますが。せめてバレないようにするのが大人なんじゃないですか。過去にバーサーカーのランスロットさんと戦いましたが、ウジウジしてない分あっちの方がまだ見ていられました」

「『……あの、マシュさん。その辺にしておいてあげた方が』」

「邪魔しちゃ駄目ですよドクター! こういうのはガツンとやってあげないと! いっちゃって、マシュ!」

 

 立香の声援を受けて、マシュは頷いた。

 彼女は盾を地面に置くと、つかつかとランスロットに近付く。そうして拳を振り上げ、顔面を狙って一直線に振り下ろす。

 

「こっちは毎日毎日アホ共に付き合わされて大変なんです! いちいちカウンセリングしてる余裕なんてありませんんんんっ!!!」

「ぐっはあぁぁあああぁああ!!?」

 

 ランスロットは大の字になって地面に転がる。ピクピクと痙攣する最強の円卓の騎士を見て、立香とノアはぼそりとツッコんだ。

 

「ガツンととは言ったけど、そういう意味ではない」

「すっかり暴力なすびに育ちやがったな、あいつ」

 

 そんなマスターたちをよそに、湖の乙女はランスロットの顔を覗き込む。

 

「……義母上(ははうえ)

「ランスロット。私はあなたを責めませんわ。恋の激情が如何に抗い難いかを、知っていますから。けれど、ひとつだけ聞かせてください」

 

 リースは優しく、囁く。

 

「───あなたはどうして私の教えを受けようと思ったのですか」

 

 その時、脳内に浮かぶ、幼少の記憶。

 湖の乙女は運命の王を支える無双の騎士を求めて、フランスに行き着いた。ベンウィックのバン王の息子であるランスロットは、そうして湖の乙女に養育されるのだ。

 彼女の申し出を受けた時、自分は何と答えたのか。

 自らが抱いた原初の信念。それは、王のためでも国のためでもなく。

 

〝ならば、私は貴女に教えを乞いたい。無辜の人々を、少しでも笑顔にするために〟

 

 ───人のために。

 救われぬ無辜の人々を笑顔にするために、戦いの道に進むと決めたのだ。

 ランスロットは息を呑む。

 そうだ。

 人々を笑顔にするはずの騎士が、なぜ人類を救う戦いから逃げているのか。

 人を守るために在る剣ならば、たとえ無上の忠誠を捧げた王であろうとその間違いを糾すのが理想の騎士の在り方だ。

 ランスロットはゆらりと立ち上がる。アロンダイトの切っ先をラモラックたちに差し向け、言い切った。

 

「私は二度、王に叛く。これよりは、貴方たちの敵となります」

 

 その宣言に対する反応は。

 ラモラックとトリスタンは口角を持ち上げて深く笑み、ガウェインは驚愕に震え、アグラヴェインは溢れんばかりの憤怒を顕にした。

 アグラヴェインは傷ついた肉体を引きずり、激しく哮り立つ。

 

「貴様は、またしても王を裏切るというのか!! 死してもなおその穢れた性根は治らなかったようだな……!! 自らの意思を殺して身を捧げる騎士の職分を果たせぬのならば、今すぐその首を斬って死ぬが良い! 女に溺れ、逆上の末に仲間を殺戮した貴様には恵まれた死に様だろう!!!」

 

 剣を振り回そうとする彼の手を、ペレアスは掴んで遮る。ランスロットがカルデアに対する戦意を失った今、加護は発動していなかったからだ。

 

「一番最後の意見に関してはそうかもしれねえが、お前が護ろうとしてる王は人間で、国は人間で造られたモノだろ。自由意思を否定したら王も国も成り立たねえぞ」

「王よりも女を選んだ貴様に言われたくはない……!! ペレアス、貴様もまたランスロットと同類だ!」

「うるせえ、こっちは真っ当な恋愛だろうが! ランスロットと一緒にすんじゃねえ!!」

 

 ペレアスはアグラヴェインを押し退けるように勢い付けて、手を放す。

 

「こんなところで決着だなんてオレは望まねえぞ。お前らは聖都に帰って決戦の準備でもしてろ! 先輩だろうが情けはかけねえからな!!」

「───ククッ。ペレアスのくせに言うものだ。おれは構わんぞ」

「私も異論はありません。ええ、我が妖弦で彼らを引き裂くのが楽しみです」

 

 ガウェインはアグラヴェインを片手で制しながら、ペレアスたちに告げる。

 

「貴方たちに猶予はない。戦うつもりなら、それだけは覚えておくように」

「……ガウェイン」

 

 ペレアスは振り返ろうとするガウェインの名を呼んだ。

 ぴたりと足を止めた彼は顔を向けようとはせず、次の言葉を待っていた。

 

「オレは、お前との約束を果たしたぞ」

 

 ガウェインの表情はうかがい知れず。

 

「…………どうやら、そのようですね」

 

 太陽の騎士は小さな同意だけを残して、去っていった。

 獅子王との決戦は間近。円卓の騎士たちはそれぞれの信念を胸に、かつての同胞を迎え撃つ。




『騎士は徒手にて砕けず』
ランク︰C 種別︰対人宝具
ナイト・オブ・ザ・ハードハンド。メイヴに続く第二の捏造宝具。『堅い手』のアグラヴェインという異名が基となっている。自らの手を起点に敵の攻撃を減衰、防御する宝具。ただそれだけの宝具だが、常時発動型であり使い勝手は良い。マロリー版のアグラヴェインは悪役として書かれているが、『ガウェイン卿と緑の騎士』という話では武勇に優れた立派な騎士として描かれている。『傷知らず』、『鉄』という異名もあるそうで、どうやら守りに優れた騎士だったようである。
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