【更新停止中】緋雷ノ玉座   作:seven74

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 ハッピーハロウィン=ミナサンッ!
 現在、群馬の山奥にいるseven774です。

 新たなイベントが始まりましたね。聖杯戦線は初めてやった時から好きだったので楽しくプレイさせてもらっています。
 皆さんはプトレマイオス、どちらを使って戦線に臨みましたか? 私は老人のプトレマイオスを選びましたッ! 設定的にも好きで、以前イスカンダルについて調べた時も他の英雄達以上に引きつけられた人だったのでッ!
 登場した新サーヴァントの中でもこの作品に使えそうなのが何人もいたので、いつか本編に出したいなと考えています。出すとしたら、そうですね……シュレイドでの禁忌戦に出そうかと思っておりますが、オーディールコール開始後の本編・イベントに登場したサーヴァントの参戦の有無は後々アンケートを取ろうかと思っておりますので、もうしばらくお待ちください。
 ネタバレ防止の為に名前は伏せますが、他と比べてアンナとの関わりをより強く書きたいと思ったサーヴァントもいたので、彼女もいつかは番外編、上手く行けば本編で出したいと思います。

 ……“堰界竜”ヴリトラ、“災害竜”ヤマタノオロチ、“境界竜”アルビオン、“■■竜”■■■■■。こうしてfgoに登場した彼女達を羅列してみると、型月世界のミラルーツがとんでもない化け物になりましたね……。

 今回はハロウィンという事で、番外編としてオフェリアとアンナの話を書きましたッ!

 それではどうぞッ!


番外編:この時間を、共に

 

 ―――時計塔。

 イギリスはロンドンに建てられた、数ある魔術師の中でも天才中の天才達が集まる魔術世界の総本山。

 その中にある一つの教室では、今まさに講義の時間が終わろうとしていた。

 

 

「―――という事を意味している。……む、もう終業の時間か」

 

 

 黒板を背景に身振り手振りを交えて生徒達に講義を行っていた男性、ロード・エルメロイⅡ世……改め、ウェイバー・ベルベットが奥に見える時計の針が指している時刻を見て、自分の講義の終了の時間になったと気付く。

 

 

「最後に改めて言うのであれば、ここイギリスを含めた数多くの国々において、ハロウィンとは『子どもが大人にお菓子を貰いに行く』行事として知られている。が、これは本来の風習が時を経た影響で、この時代に則したものへと変わったものだ。神秘の衰退により……本物の魔獣や幻想種は、それこそ人里離れた山奥か内海に戻っているからな。だからといって、今のハロウィンを楽しむな、というわけではない。いつか在り方が変わるであろうこの行事、楽しめる時に楽しんで―――」

「ロンドンスター先生〜ッ! お菓子を貰いに来ました〜ッ!」

 

 

 勢いよく扉を開けた音で言葉を遮ったフラット・エスカルドスに、ウェイバーは額に青筋を立てて怒鳴った。

 

 

「フラットッ! 貴様は既に二十歳を超えているだろうッ! いったいいつまで子ども気分でいるつもりだッ! ……お前達、これで今日の講義は終了だ。レポートの提出は来週のこの日まで受け付ける。各自忘れないように」

「やぁやぁ義兄上。良ければこの私にもお菓子を恵んでくれないかな?」

「……ファック」

 

 

 まさか、かつての弟子だけでなく現エルメロイ家のロードまで来てるとは思わなかったのか、ウェイバーが片手で目を覆って小さく呟いた。

 やいのやいのと騒ぐ二人の男女に文句を垂れ流しながら教師がいなくなると、先程まで集中で張り詰めていた空気が一気に霧散する。

 

 今回の講義の復習をする者。教師に訊ね損ねた質問を友人に聞いてみる者。早速レポート課題に取り組む者。そして、他の教室にいる友人の元へと向かう者。

 

 

「ハロウィン……か。ずっと前から思ってたけど、サウィン*1も変わったんだなぁ」

 

 

 まとめた教材をバッグへ入れて立ち上がった彼女―――アンナ・ディストローツはその最後の部類に当てはまっていた。

 

 この時計塔にやって来て早々に霊墓アルビオンへと単身で乗り込み、五体満足で生還した彼女は今も有名人であり、廊下を歩く彼女を遠目に見る者達は誰もが畏怖と尊敬、そして羨望の眼差しを向ける。

 しかし、そんな視線など知らぬとばかりに歩を進めていたアンナが足を止めたのは、降霊科(ユリフィス)の教室の扉の前。

 

 窓から覗き込み、講義が終了している事を確認し、次に目当ての人物がいるかを探る。

 そして、アンナが見つけたと同時、机から立ち上がった女性もまた彼女を見つけた。

 

 鞄を肩にかけて扉を開けた彼女に、アンナはにこやかに笑う。

 

 

「お疲れ様、オフェリアちゃん」

「そっちもお疲れ様、アンナ」

 

 

 女性―――オフェリア・ファムルソローネは自分を待っていたアンナに小さく微笑みを返し、歩き始める。

 

 

「一応聞いておくけど、この後なにも用事はないよね?」

「えぇ。貴女との約束があるのに、それを破るような事はしないわ」

「ふふっ、ありがと。今日はなにを学んだの?」

「そうね……、今日は―――」

 

 

 お互いに、今日学んだ講義の内容について話し合う。その光景はアンナがオフェリアの友人となってから変わらないものであり、お互いに自分の考えを交換し合う事でより講義の内容を理解を深める事が出来るため、二人はこの時間が楽しかった。

 

 時計塔を出て、魔術世界と関わり合いのない人々が行き来する街道に差し掛かると、二人は話題を魔術から一般的なものへと変える。

 気に入ったコスメ、ショッピングで買った新しい服、穴場のカフェなどなど―――そんな他愛もない会話をする彼女達が魔術世界においてそれなりに知名度のある者達だとは、周りを歩く者達は思いもしないだろう。

 

 ―――いや、オフェリアはともかくとして、アンナは表の世界(・ ・ ・ ・)でも、とある業界においては著名人であった。

 

 

「ごめん、ちょっとお手洗い行ってくるね」

「わかった。ここで待ってるわね」

 

 

 用を足しに一旦分かれる事となったアンナを見送ったオフェリアが、何気なしに視線を上に向け―――目を見開く。

 

 

「アンナ……」

 

 

 オフェリアが視界に入れたのは、大型ビジョンに映し出された友人の映像。

 大勢の記者や研究者達の前で、彼女は伸ばし棒を用いてなにかを説明している。

 

 

『過去、この地層で“海竜”ラギアクルスの化石が見つかり、そこから遠くない場所から“タンジアの港”と思しき場所が見つかっている事から、ここは超古代の時代、“煉黒龍”との死闘が行われた場所なのではないかと思われます。現在、研究チームを派遣しており、より正確な調査結果を報告できるように―――』

「お待たせ、オフェリアちゃん」

 

 

 映写された化石と地図を交互に指して説明しているアンナを見ていると、本物の彼女に背後から声をかけられた。

 オフェリアがなにを見ているのかと思ったアンナが彼女と同じ方角へ視線を向け、「あぁ」と呟く。

 

 

「丁度一ヶ月前のやつだね。アメリカでやった時の映像だよ」

「そういえば言ってたわね。近々アメリカに行くって」

 

 

 その時にアメリカに行く目的は聞いていたので、これはその時の映像かと大型ビジョンに映されている彼女を見て、次に目の前にいるアンナを見る。

 

 

「……? どうしたの?」

「……なんだか、実感が湧かないなと」

「え、酷くない? 私とあそこに映ってる私、どっちも同じだからね?」

「いや、なんというか……。あっ」

 

 

 どうにも胸に引っかかる違和感に頭を悩ませていると、ふとピンと思いつくものがあった。

 

 

「服装、それと態度かしら。今の貴女とあそこの貴女、大分違うもの」

 

 

 目の前のアンナの服装は、いつも彼女が着用している純白のドレス。態度は友人を前にしているからか、自分としてはいつもの優しく明るいもの。

 対して映像のアンナの服装は、バッチリ決めたスーツ姿で、歩く時に見える下半身はタイトスカート。髪型も今のように流しておらず、途中で縛ってポニーテールになっており、極めつけは彼女の特徴的な緋色の瞳を隠す眼鏡だ。

 普段の彼女からはあまり想像できない、如何にも研究者然としたその姿に、私は目の前の彼女と映像の彼女との違いを感じ取っていた。

 

 

「そりゃそうだよ。だって、友達の前だよ? 仕事モードで接する必要はないと思うけど……」

「そうね。でも……」

 

 

 持ち上げた右手で、彼女の頬に触れる。

 ひゅっ、と息を呑んだアンナになにも言わず、人差し指と中指で彼女の目を開かせる。

 

 

「こんなに綺麗な瞳を隠すなんて、勿体ないなぁって」

「……もしかして口説いてる?」

「くど……ッ! べ、別にそんなつもりじゃ……」

「あはは、冗談だよ」

 

 

 でも―――とアンナは自分の目を開かせているオフェリアの手を取り、そっと頬擦りする。

 

 

「君がそういうのなら、仕事中はずっと眼鏡をかけてよっかな」

 

 

 浮かべた笑顔は花が開くように可憐で、しかしどこか氷のような冷たさを持っていた。

 それに気圧されたオフェリアが「ぇ……」と小さく声を漏らすと、アンナは彼女の手を離して踵を返した。

 

 

「なんてね。さ、行こうよ。この後買い物するんだからさ」

「……ぁ、え、えぇっ、そうね。そうしましょう」

 

 

 どこか危険な気配を感じるアンナの微笑に呑まれているも、その彼女の声で正気に戻る。

 

 少しずつ遠ざかっていく彼女を追う為に、オフェリアは軽く頬を叩いて歩き出すのだった―――。

 

 

 

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 アンナのアパートの内装は、彼女の外見のように白を基調としている。

 流石に絨毯やテーブルは他の色のものを用いているが、それ以外のものは大抵白色で、一切の汚れを許さない清潔感を感じさせる。

 

 もちろんその気はないが、「必要以上に汚したら怒られそうだ」と思いながら、最早使い慣れたキッチンの前に立つ。

 

 ドイツから来たオフェリアには、時計塔に在籍する際に借りた寮がある。だが、別に毎日そこで生活しなければならないというルールはないので、必要最低限のルールさえ守れば友人や親戚の家に寝泊まりしてもいいという話になっている。

 今回はその寝泊まりの範疇に収まるタイプのもので、キッチンの前に立つ彼女は、今日の料理当番だ。

 

 

「荷物、部屋に置いてくるね。パジャマと明日の服はこっちで選ぶけど、大丈夫だよね?」

「もちろん。ありがとう、アンナ」

 

 

 自分と友人の荷物を持って扉の奥へ消えていくアンナから視線を外し、顎に指を這わす。

 

 

(今日はハロウィンだし、なにかそれに関係する料理にしようかしら……)

 

 

 お菓子作りを趣味にしているオフェリア。そのノウハウは料理にも活かされる。

 取り出したスマホでハロウィンに関連のあるような料理を検索。これじゃないあれじゃないと考え数分、オフェリアは検索候補から上がってきたものに目を止めた。

 

 

「……うん、これにしましょう」

 

 

 念の為冷蔵庫や、ここに到着する前に買った食材を確かめ、十分に揃っている事を確認する。

 

 

「さ、始めましょうか」

 

 

 エプロンを装着し、三角巾で髪の毛が落ちないようにする。そして手を洗い、準備は完了。

 

 

(下拵えとして、鶏もも肉は一口大に……)

 

 

 まず最初に下拵え。

 鶏もも肉は余分な脂や筋を取り除いてから一口大に切る。

 次に、用意した小さめのカボチャを耐熱容器に入れてラップをかけ、少し柔らかくなるまでレンジにかける。それが終わるまで多少時間があるので、その間に玉ねぎを薄切りにし、シメジは小房(こふさ)に分ける。

 その後山芋の皮を摩り下ろしていると、背後のレンジからタイマーが止まった音が聞こえた。

 

 一口大に切った鶏もも肉、薄切りにした玉ねぎ、小房に分けたシメジ、そして皮を摩り下ろした山芋を横に退け、火傷しないよう注意しながらレンジからカボチャを取り出す。

 ヘタを水平に切り落として中身をスプーンでくり抜き、ワタと種以外の実を一口大にカットする。

 

 

(これで下拵えは完了ね。次は……) 

 

 

 用意したボウルに鶏もも肉と塩麴(しおこうじ)を入れ、揉み込んでから30分から一時間程冷蔵庫に入れておく。

 

 

「シオコウジ……確か、日本(ジャパン)の調味料よね。よくこんなの持ってるわね……」

「昔、そこに行った時に教わったの。消化しやすくて、胃腸にも優しい、万能の調味料なんだよ」

「わっ、い、いたの、アンナ……」

 

 

 突然目の前から声を掛けられて驚いていると、その張本人は悪戯っぽく笑った。

 

 

「ふふっ、集中してるみたいだね。なにを作って……いや、今は知らない方がいいよね」

「秘密よ。貴女はテレビでも観てて」

「わかった。待ってるね」

 

 

 頷き、アンナがソファに座ってテレビを観始める。

 オフェリアも作業に戻り、調理の邪魔にならない場所に置いたスマホで次の手順を確認する。

 

 

(次は……これね。だけど、まだ時間があるし、おかずを作ろうかしら)

 

 

 まだ鶏もも肉と塩麴を混ぜたものが完成していない。

 ではその間に副菜を作ってしまおうと思い、オフェリアは冷蔵庫からニンジンを取り出した。

 

 ピーラーで皮を剝き、厚さ1cm程の輪切りにし、大きい部分は半月切りにする。

 

 

「アンナ。予備のフライパン、使ってもいいかしら」

「いいよ~」

 

 

 持ち主の許可を取り、予備として置かれていたフライパンにニンジンを平らに並べ、水、砂糖、バターを加え中火にかける。

 煮立ったら弱火にして煮詰め、煮汁が少なくなってきたらフライパンを揺すり煮汁を絡める。

 最後に汁気がなくなったら皿に盛り、ハーブソルトを振りかける。

 

 

「うん。副菜はこれでいいわめ」

 

 

 バターの染みた甘いニンジンで作ったグラッセは、ハーブソルトの影響もあって、これから作る料理にもピッタリな副菜だろう。

 そんな事を思いながら時計を見ると、まだ少し時間があるので、その間にもう必要のない調理器具を洗っておく。

 それが終わった頃に再度時計に視線を向ければ、調理を再開するのに丁度いい時間となっていた。

 

 

「なんか……こうして見ると、オフェリアちゃんって奥さんみたいだね」

「奥さんって……。私、恋人もいないのに」

「様になってるんだよ。それに恋人がいないのなら、私が立候補してあげるよ?」

「ふふっ、面白い冗談ね。でも……悪くないわね。今以上に貴女といられるなら、その選択肢もありかもしれないわ」

「えっ、乗り気ッ!? じゃぁ―――」

「その時が来たらね」

「むぅ……」

 

 

 不満げに頬を膨らませるアンナに口元を緩ませながらフライパンにサラダ油を引いて熱し、先程一口大に切っていた鶏もも肉を皮目から中火で焼く。

 焼き目が付いたら上下を返し、玉ねぎ、シメジを加える。玉ねぎがしんなりしたら、くり抜いたカボチャの中身を加えて炒め合わせる。

 火が入ってきたら、みりんを加えてアルコールを飛ばし、山芋の摩り下ろしと白みそ、甘酒、豆乳を加え、沸騰させない程度に温める。

 

 出来上がったそれをカボチャの器に入れ、チーズを載せてトースターで5~7分程焼き、チーズがいい感じに溶けてきたら―――

 

 

「出来たわよ、アンナ」

「本当ッ!? これは……グラタン?」

 

 

 身を乗り出したアンナに、オフェリアは頷く。

 

 

「そう。カボチャの山芋グラタン。我ながらいい出来栄えだと思うから、きっと美味しいはずよ」

「そんな。オフェリアちゃんの作るものはなんでも美味しいよ」

「言ってくれるわね。でも、ありがと」

 

 

 手伝って、と言って彼女にグラタンとグラッセを持って行ってもらい、自分は食器と飲み物を用意する。

 

 

「言っておくけど、青いのがオフェリアちゃんので、赤いのは私のだからね?」

「わかってるわ。ペアのものだからって間違ったりはしないわよ」

 

 

 同じ場所に置かれている色違いのグラスを手にテーブルに着くと、自分と向き合う形でアンナが座った。

 

 

「「―――いただきます」」

 

 

 アンナより教わった食事の前にする挨拶を行い、スプーンでグラタンを掬う。

 

 

「わ、チーズすご……」

「ん~美味しそうッ! あ、そうだッ!」

 

 

 食欲を刺激する糸を引きながらスプーンに乗ったチーズを見ていると、アンナが自分のスプーンをオフェリアに差し出してきた。

 

 

「はい、あ~ん♡」

「あ……あ~ん……」

 

 

 こんな恋人みたいな……と気恥ずかしさを覚えながらも、彼女の言葉に甘えてスプーンを口に含む。

 咀嚼すると共にカボチャの風味や濃いチーズの匂い、それ以外の具材の味が一気に口内に広がる。それに思わず笑顔になり、オフェリアもスプーンをアンナに差し出す。

 

 

「はい、アンナも」

「ありがとっ。……え、なんでッ!?」

 

 もう少しで食べられる、というところでスプーンを引っ込められたアンナが訝しげに見つめてくる。

 

 

「お返しよ。はい、あ〜ん」

「あ〜ん……んっ、美味しいッ!」

 

 

 パクっとオフェリアのスプーンに乗ったグラタンを食べたアンナの顔に、満開の笑顔が咲いた。

 

 

「これは大成功ね。今度また作ってみようかしら」

「いいね。また作ってよ。そして、また私に食べさせてッ!」

「もちろん。……ん、このグラッセも美味しい」

「じゃあ……」

「もう、また? 仕方ないわね」

 

 

 今度はニンジンのグラッセを食べさせ合う。

 普通に食べている時とは違う、心まで温かくなるような味。自然とお互いに笑顔になる。

 

 

「はぁ、幸せ……。ずっとオフェリアちゃんのご飯食べてたい……」

「そう? 嬉しいわね。でも太るわよ?」

「それは言わないで」

 

 

 顔を両手で覆ったアンナだが、「でも」と続ける。

 

 

「それを無視してもいいぐらい、君の料理は美味しいよ。これからもずっと作ってくれたら、嬉しいな」

「そうね。これからもずっと……」

 

 

 ―――貴女と、こうして食事をしたいわね。

 

 家族と一緒にいる時とは違う、心の底から安心できるこの時間をこれからも続けていきたいと思いながら、オフェリアは再びグラタンをスプーンで掬った。

 

 

 

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「あれももう三年前か……もう、そんなに経ったのね……」

 

 

 窓際にもたれかかり、呟く。

 

 暗雲渦巻く古城。時々空からはゴロゴロと雷の音が聞こえるも、周囲に広がる龍結晶の地もあって、遠くから見ればさぞや恐ろしい場所なのだろう。

 

 それでもオフェリアは、どこか懐かしさを覚えるこのシュレイド城が好きだった。

 

 

「どうしたの? そんなところで黄昏ちゃってて」

「……アンナ」

 

 

 コツコツと耳障りのいい音を奏でて現れた親友に目を向ける。

 

 

「“我らの団”が帰ってきたよ。今回は大成功で、贈り物も貰ったんだって。こ~んなに大きなカボチャだったよッ!」

 

 

 自分の両腕を使って、彼らが貰ってきたカボチャの大きさを再現するアンナに、オフェリアは小さく微笑んでいると、脳裏に光が閃いた。

 

 

「ねぇ、アンナ。そのカボチャって、まだどうするか決めてない?」

「え? うん。私がいた時は、それなりに大きいからどうしようかって考えてるところだったよ」

「だったら、私に任せてくれないかしら。丁度作りたい料理があったの。流石にその大きさだと、貴女達にも手伝ってもらいたいのだけど」

「もちろん。先に行ってるね」

 

 

 踵を返して走り出すアンナを追おうとして足を踏み出そうとした直後、背後に濃密な気配が感じる。

 

 

「幸せそうだな、マスター」

「ふふっ、そう見えるかしら」

「肯定。その顔、我が愛を見ているような気分だ」

 

 

 霊体化を解除したシグルドに言われ、オフェリアは思わず自分の顔に触れる。

 

 

「……私、そんな顔してた?」

「気付いていなかったのか。あぁ、とても優しい、良い笑顔だった」

 

 

 唇の端を上げたシグルドに、「そう……」と返し、再び窓の外を見やる。

 

 今も変わらず、暗雲は晴れない。それでも―――

 

 

「シグルド、今日はいい天気ね」

 

 

 この城に暮らす彼女達(・ ・ ・)にとっては、満点の青空だった。

 

*1
2000年以上も昔に古代ケルト人が行っていた祭礼。「夏の終わり」を意味し、秋の収穫を祝うと共に悪霊を追い払う宗教的な行事。古代ケルトの世界では10月31日は一年の終わりであり、現世と黄泉を分ける境界が弱まり、死者が現世の家族の下へ戻ってくる。しかし、その中には悪霊もいるため、人々は彼らに攫われないように仮装をして身を守ったという。それが長い時をかけ、ハロウィンの仮装の起源となったと考えられている。




 
 ハロウィン要素……料理と冒頭ぐらいしかなかったですね……。本当なら悪戯云々でベッドに洒落込ませたかったんですが、そうなるとR-18になってしまいますので……。
 R-18話は書けませんでしたが、その前のアンナの衣装は用意しましたッ! 昨日一日かけて急ピッチで完成させたのでシンプルなものですが、見てくだされば嬉しいです。

 肌色注意ですッ!

 
【挿絵表示】


 本来なら三画ある令呪なのですが、「降臨」で一画消費していますのでこの状態となっております。
 それでは、また次回ッ!
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