ドーモ=ミナサン。
正式にワイルズの発売日が決まり、早くプレイしたくて堪らないseven774です。
絶滅種の登場もあり、いよいよ本格的にこれまでの家庭用モンハンシリーズと比べて異質な雰囲気だなと感じると同時、早く戦いたくてウズウズしていますッ! 飛竜種や牙獣種のような限定された種族名ではなく絶滅種という名前からして、色んな種族に所属する『既に絶滅したと思われていた』モンスター達が登場していくと思われますので、他にどんなモンスターが出てくるのか楽しみですッ!
皆さんはアータキタイプ・インセプション、もうクリアしましたか? 私はクリアすると同時、遂にザビ子を迎える事が出来ましたッ! フレポガチャを回しまくりアンリとハベにゃん、アルトリア・リリィを重ねながらも宝具レベル5にし、聖杯を捧げに捧げて現在は102レベルですッ! これからも修練場巡りしながら種火を集め、120を目指していこうと思いますッ! もちろんスキルとフォウ君もマックスにし、アペンドスキルも全解放目指していきたいとも考えていますッ!
今回はカルデア視点と妖精騎士視点ですッ!
それではどうぞッ!
星々が煌めく偽りの空を、二条の流星が駆ける。
朱い軌跡を描いて飛ぶ■■■■■が振り向き、自身に追随する翡翠の流星―――アキレウスの戦車目掛けて組み合わせた双剣からエネルギー砲を発射する。
竜種の膨大な魔力によって威力を増したそれに、アキレウスは左手で握った手綱を引っ張れば、彼の乗る戦車を引く三頭の馬が即座に進行方向を変更。正面から迫るエネルギー砲を回避するが、■■■■■は双剣を動かして彼らを追う。
■■■■■を包囲するように旋回するアキレウスと、彼を馬ごと撃ち落とそうとする■■■■■。だが、そんな両者の間に割って入るものがある。
地上から放たれる、十本の矢。それはアキレウスのように空を飛ぶ術を持たぬが、空への攻撃手段を有するサーヴァントの一騎、ケイローンの放った矢。
数多の英雄を教え導き、自身もまた死後に射手座に昇華された伝説を持つ男の矢は、彼の類稀なる観察眼によって、たった十本であろうとも充分な効力を発揮する。
矢から射てからの彼我の距離、風向き、標的に届くまでの間に変化するであろう戦況と相手の位置―――あらゆる要素を脳内で纏め上げ、精査した結果放たれた十本の矢は断続的に■■■■■を狙う。
地上から迫る矢に気付いた■■■■■はエネルギー砲を中断し、分離させた双剣の内の一本であるジョフロワを振るう。ブレードから飛ばされた朱い斬撃は三本の矢を欠片も残さずに蒸発させ、続いて迫る五本も余波のみで打ち砕く。
瞬間、エネルギー砲によって攻めあぐねていたアキレウスが動く。エネルギー砲という問題がケイローンの妨害によって消えた事で戦車の速度を上げた彼は■■■■■を撥ね飛ばそうとするが、彼女は紙一重で回避。神速の勢いで戦車が通り過ぎていった影響で発生する突風に乗り、ジョフロワの片割れであるフロモンでカウンターを繰り出そうとするが、突然の衝撃によってフロモンが弾かれた。
「―――ッ!?」
これにはさしもの■■■■■も驚愕する。
フロモンを弾いたのは、遅れて飛来した二本の矢。自分がアキレウスの突進を回避し、この場所で彼へ攻撃を仕掛ける事を予測して行われた狙撃に■■■■■が地上にいるケイローンへの警戒心を強めた直後、凄まじい衝撃が彼女の全身を襲った。
予想もしなかったフロモンを弾かれるという展開に■■■■■の動きが一瞬鈍ってしまった隙を突いたアキレウスが、旋回すると同時にさらに速度を上げて彼女を撥ね飛ばしたのである。
―――『
海神ポセイドンより授けられた不死の神馬であるクサントスとバリオス。そしてアキレウスがエーエティオーンの都市を襲撃した際に奪った名馬ペーダソスからなる戦車による神速の一撃。ただ疾駆するだけで戦場を穿ち、削岩機が如き勢いで敵陣を粉砕していく対軍宝具が、たった
飛行、速度に応じたダメージボーナスを得る蹂躙走破を受けて錐揉み状に動き続ける視界。しかし、■■■■■はそんな状況下でも次の行動に移り始める。
残滓であろうとも、彼女は感じ取ったのだ。遥か彼方に広がる偽りの空―――そこから落ちてくる、一条の光に。
―――『
その宝具に狙いを定める必要はなく、また真名を発動する必要すらない。ただ、狙うべき相手が星の煌めく空の下にいればいい。
それがたとえ偽りの天空であろうとも、そこに浮かぶ射手座が彼であるならば、矢は既に引き絞られ、放たれているのだから。
光年という埒外の距離から放たれた一撃に、■■■■■は左右に展開した双剣から魔力光線を発射。二本のブレードから撃ち出された魔力は空中で混ざり合い、小規模の重力場を形成し、迫りくる光の一撃を阻む。
極小のブラックホールにも等しい重力場に飛び込んだ光の矢はその進行方向を無理矢理歪められ、本来なら逃さぬはずの標的を射抜けずに地面に着弾。凄まじい大爆発を起こした地上に向け、態勢を立て直した■■■■■が急降下。
アルトリアの魔術とオデュッセウスの光線による迎撃を掻い潜り、村正とマシュを薙ぎ払った彼女が目指す先は、先程自身に宝具を放ったケイローン。
未来視にも等しい分析能力を警戒して真っ先に排除しようとしてくる彼女は、左右の双剣から魔力で構成されたエネルギー弾を発射。ミサイルが如き勢いで駆けるそれらを、ケイローンはなにかの魔術を使用しながら距離を取って矢で射落としていくが、エネルギー弾に意識を割いてしまったのが災いし、背後に現れた■■■■■が双剣を合体させて具現化させた竜の顎に噛み千切られた。
自身を構成する魔力を霧散させて消えていくケイローン。それを成した■■■■■に怒りを覚えたのか、上空から戦車と共にアキレウスが迫る。
それに対し、■■■■■は分解した双剣から再びエネルギー弾を発射。しかし、撃ち出されたエネルギー弾はケイローンに向けて放ったものとは違い、途中で爆発すると小さな重力波を発生させ、戦車のバランスを崩す。
本来ならば地面に向かうように発生する重力が周囲にも発生した影響で軌道を歪められた戦車をアキレウスが立て直そうとするが、■■■■■を相手にその時間は致命的だった。
レールガンのように組み合わせた双剣から発射したエネルギー砲が、アキレウスを包み込む。神性を持たない■■■■■の攻撃は彼には通用しないものの、全身を吞み込んだエネルギー砲は彼の弱点である踵を即座に蒸発させ、伝説に語られる彼の不死性を剝奪。次の瞬間には、不死性を失ったアキレウスは全身をエネルギー砲に焼かれて消滅してしまった。
たった数秒で二騎のサーヴァントを退去させた■■■■■が次に狙ったのは、マシュ。
現在残っている者達の中でも通常時での防御力が高く、それを活かして仲間を護り、高い防御力を攻撃に転用する彼女は厄介だ。
次は彼女を排除し、防御面から切り崩していくべきと判断した■■■■■は、ジョフロワとフロモンを彼女に向かわせた。
高速回転して迫る双剣。それに対し盾を放り投げてジャンプしたマシュは、自分を三等分しようとするそれらの間を体を捻る事で回避。
そのまま走り出す彼女を背後から再び双剣が襲い掛かるも、ケイローンとオデュッセウスの妨害によって阻止される。
丸腰となった■■■■■に、マシュは上空から落ちてきた盾の持ち手を握り、一気に加速する。
「ハァアアアッ!」
掛け声と共に突き出される盾。持ち主の加速によって威力を増したシールドバッシュを受けて大きく弾き飛ばされた■■■■■が態勢を立て直そうとするが、滞空する気力が一瞬途切れたのか僅かによろめく。
「今……ッ! 村正ッ!」
明らかな隙。それを見逃さなかった立香が叫び、村正が飛び出す。
迎撃に動いた双剣をアルトリアの防御魔術で防いでもらいながら太刀を投影した村正が飛びかかる。
上段から振り下ろされた太刀が脳天に直撃する、その瞬間。
「チィ……ッ!?」
ドンッッ、と彼女を中心に発生した魔力の嵐に吹き飛ばされてしまい、太刀によるトドメを妨害される。
その間に■■■■■は双剣を左右に戻しながら上空へ飛翔。空中で態勢を立て直すかと思いきや、彼女の前方に三つの巨大な時計盤のような魔法陣が出現し始める。
それを一つ通る度に彼女の纏う魔力と速度が増していくのを感じ取った立香が、自分を護るように待機していたサーヴァントの影に指示を飛ばす。
「オデュッセウス、宝具展開ッ!」
主の命に従い、オデュッセウスがマントを靡かせて走り出す。助走をつけて跳び上がると、彼の後方に眩い光と共に巨大な機械の馬が姿を現した。
操縦者をコックピットに乗せた馬が、オデュッセウスの操作を受けて変形。馬型から人型へと変化したそれは、遂に三つ目の魔法陣を超え、遥か上空から自分達に狙いを定める■■■■■にエネルギーを溜め始める。
[受けてみるがいい……黄昏の嘆きをッッ!!]
戦闘の中で一言も話す事のなかった彼女が、初めて言葉を発する。
その姿は今までの少女のものではなく、無機質な黒い翼を有する竜種のもの。
あれこそが■■■■■の真体。本物から分かたれた妖精への憎悪と絶望、創造主と死に別れた悲哀と慟哭によって変化した黒き“境界竜”が、展開した胴体から現れる双剣の真の姿―――テュケイダイトから臨界にまで達した魔力を解き放つ。
周囲の空気を焼き焦がし、捻り、破壊しながら突き進む極大の魔力光線。それを、人型の巨大兵器―――木馬が迎え撃つ。
―――『
空中で衝突した両者の絶技がせめぎ合い、凄まじい烈風が立香達の髪を乱雑に弄んでいく。
吹き飛ばされそうになる全身を地面に這いつくばるような姿勢で固定しながら立香が空を見上げれば、両者の攻撃が混ざり合い膨れ上がった巨大なエネルギーの塊が見える。
地上から見ても凄まじい勢いで膨張していくそれは、一瞬の間を置いて破裂。せめぎ合っていた時の倍以上の衝撃が全身に伝わり、続いて襲ってきた熱風が遂に立香の体を吹き飛ばす。
だが、これまで数多くの強敵達との戦いを経験し、そして乗り越えてきた立香の体は無意識に態勢を立て直し始め、瞳は吹き飛ばされながらも、破裂で発生した黒煙を突き破り、木馬を貫いた■■■■■の姿を捉えていた。
「マシュッ!」
「はいッ!」
影の英霊として召喚したオデュッセウスとの魔力パスが途切れたと感じた瞬間、即座に仲間を次の行動に移らせる。
「絆の城よ、今こそここにッ! ―――『
聳え立つ幻想の城が、黒鉄の竜の突進を阻む。
凄まじい衝撃に堅牢な城壁が軋み亀裂が走るも、マシュの渾身の雄叫びに呼応するかのように眩く光った直後、城を砕こうとした黒鉄の竜が弾き飛ばされる。
次いで行われるのは、無数に展開された大砲と城門から放たれる、幾百もの魔力光線。
受けた衝撃を倍増させた上で魔力に変換した事で撃ち出された魔力光線は、まさしく神速とも言うべき速さで動く黒鉄の竜を追跡し始める。
竜は背後から迫り来るそれらに、己の翼から赤黒い魔力をフレアのように放出する事で迎撃。それによって幾つもの魔力光線が相殺されていくが、フレアによる迎撃を掻い潜った光線の一発が着弾したのを皮切りに、続けて他の光線も彼女に殺到していく。
虹色の光で埋め尽くされる空。しかし次の瞬間、その中から黒鉄の竜が飛び出してくる。
全身に亀裂が入り、魔力の光が漏れ出ている。あの魔力光線による連撃は、受けようものならばあのまま墜ちてもおかしくない威力だったというのに耐え切るその胆力は、彼女がどれほど強大な存在かを立香達に知らしめる。
[まだ、だ……ッ! まだ、まだァッ!!]
もう一度開かれる胴体から現れるのは、今にも崩れそうなテュケイダイト。そこから再び充填された魔力が、巨大なエネルギー砲となって地上の全てを焼き払うべく突き進んでいく。
オデュッセウスの宝具と対決した時とは威力も規模も弱いものの、その威力は並みのサーヴァントの宝具など軽く凌駕するであろうもの。
己の限界を超えて発射されたそれに対し、誰よりも先に行動に移った者が一騎。
「立香ァッ! 魔力回せッ!」
「うんッ! 持って行って、村正ッ!」
立香から受け取った魔力を消費し、村正は右手に一本の太刀を投影。自身はおろか、地上にいる彼女達も巻き込もうとするエネルギー砲に立ち向かう。
「喰らえ、『
一の太刀でエネルギー砲を両断。続けて第二の太刀で、その先にいる■■■■■を狙う。
己の限界ギリギリまでの魔力を費やして放った二撃目は真っ直ぐ■■■■■へと迫って―――直前に身を翻された事により、左翼を切断する結果に終わった。
仕留め損ねた。だが……ッッ!!
「行け……アルトリアァァァッッ!!!」
鼓舞する村正の隣を、青色の弾丸が通り過ぎる。
村正が宝具を発動した直後、マシュの盾を起点に跳び上がり、消滅間際にケイローンに施された魔術と立香の魔術で強化されたアルトリアが、腰に装着していた鞘から小ぶりの短剣を引き抜く。
「決めて、アルトリアッ!」
「うぉおおおおおりゃああああああああああぁぁぁッッッ!!!」
地上からの立香の声援を受けたアルトリアが渾身の雄叫びを轟かせ、一閃。
眩い黄金の光を宿した短剣は寸分違わずに竜の首を切り裂き、そこから大量の魔力が血飛沫のように飛び出した。
[あ、あぁ……]
墜落していく中、己と同じように堕ちるアルトリアを、村正が抱き留めるのが見える。
よくやったな、と褒める彼にはにかむように笑う少女の姿に、竜はかつての己の姿を幻視する。
―――よくやったね、■■■■■。
―――君は、とってもいい子だよ。
―――愛してる、愛しているよ。これからも、ずっと。
―――だって君は、私の大切な―――
(お、かぁ、さ……)
小さな地響きを立てて地上に墜落した竜は遂に真の姿を再現する魔力も尽き、元の少女の姿となる。
ガランと地面に落ちた朽ちた双剣が魔力の粒子となって消えていくのを視界の端に捉えながら顔を上げれば、自分を見つめる立香達と視線が合った。
「……試練は、果たされました。私の鼓動は
己という門番が打倒された事により、背後に楽園へと続く扉が開かれる感覚。
どこからともなく響く鐘の音が、彼女達を楽園へと導き始める。
あぁ、ようやく―――そう思いながら、かつて竜であった彼女は小さく笑う。
「おかえりなさい、
新たな時代を告げる者達が、楽園へと進んでいく。
これから彼女達は楽園で厄災を打ち払う力を手に入れ、そして勝利するだろう。これから起きる戦い。そしていずれやって来る、さらなる戦いにも。
自分は、その力となろう。力の一端となり、彼女達の旅路を護ろう。
彼女達の足音が聞こえなくなると、彼女は足元から崩れ落ちるように倒れ込む。
冷たい消滅。
感情の喪失。
意識の霧散。
それらを感じながら、彼女は瞼を閉じようとして―――
[―――アルビオン]
顔を、上げる。なにもかも消えようとしていた仮初の肉体に、僅かな活力が蘇る。
光が蘇った彼女の瞳に反射して映るのは、緋色の眼。
「……ぉ、か、ぁ」
視界が歪む。とめどなく溢れ出す涙が、その姿を見る事を許してくれない。
しかし涙を拭う事はせず、彼女はその光に手を伸ばそうとして、止まる。
この手を取れば、瞼を閉じてしまえば、きっと自分は眠りに就く事が出来る。もう二度と得るはずのなかった温もりの中に消える事が出来るだろう。
けれど―――
(まだ、その手は取れない……)
名残惜しい気持ちを押し殺し、伸ばしかけていた手を地面につけ、起き上がる。
拭わないでいた涙を拭い、瞼を開く。
そこに、彼女の姿はない。先程まで聞こえていた声も、辛うじて見えていた姿も、なにもかもが蜃気楼のように消えている。
だが、■■■■■にはわかっていた。
彼女は確かに、ここにいた。本体から切り離された
今まで声はかけられず、また姿を見せられなくとも、自分を、見守ってくれていたのだ。
死して尚自分を案じてくれていた彼女に深い感謝の念と少しの申し訳なさを抱きながら、■■■■■はその身を変化させ始める。
「試練を乗り越えた者には、心臓を与えた。ならば、この
己の体が溶け、あるべき姿へと作り替わっていく感覚。それを感じながら、かつて竜であった者はそっと瞼を閉じるのだった―――。
Now Loading...
「うぁ……ッ!」
「メリュジーヌッ!」
大地を削り取りながら振るわれた右翼爪の攻撃を受け、木々を砕きながら弾き飛ばされていくメリュジーヌ。彼女の名を叫んだバーヴァン・シーだったが、足元に青黒い靄が広がってきている事に気付き、即座に跳躍。
瞬間、靄が爆発を起こし、突風が彼女の体を上空へと浮き上がらせた。
地面から吹き上がる風によって自身の体がより高く上がったバーヴァン・シーは、その高度を利用して地上にいるゴア・マガラへとフェイルノートを奏でる。
三方向より同時に直撃するよう射た不可視の斬撃をゴア・マガラは後方に飛び退いて回避するが、直後に飛来した新たな斬撃が翼膜を僅かに切り裂いた。
右手に装着した絆石の力を注いだ斬撃を受けた事により傷跡に、小さくとも絆石と同じ水色の光が宿る。
ゴア・マガラの様子に変化はないが、それでもその光こそ、彼女に自身の攻撃が届いた証拠となり、バーヴァン・シーは着地と同時に再び攻撃を行おうとして―――ガクン、と、全身から力が抜けた。
(な、こんな時に―――いや、
最初こそ、これまで何度かあった魂の腐敗による脱力だと思った。しかし、今襲ってきた感覚は、それとは少し違った。
前者は魂から力が抜ける感覚だったが、たった今感じたのは、肉体の脱力感。体力が尽きた、なんて事はあり得ない。
では、この脱力感はなにか。答えは、ゴア・マガラを見て自ずと理解できた。
(こいつ、魔力を喰ってやがるッ!)
自分から消えた魔力と同じ量の魔力が目の前のゴア・マガラに宿った事に、思わず舌打ちする。
今の感覚は、かつてバーゲストとの訓練で感じたものと同じだった。だから、今の現象が彼女の有する魔力喰いと同様のものであるとすぐにわかった。
ゴア・マガラ、否、カリアが自分達の背負っている呪いや宿命などを肩代わりしている事はモルガンから聞いていたが、肩代わりするという事は、その力を取り込んでいるという事。バーゲストの魔力喰いを己の力に加えている事を考えていなかったのがいきなり響いてきた。
そして、動きが鈍ったバーヴァン・シーをゴア・マガラが見逃すはずがない。
飛んできたブレスにバーヴァン・シーが身構えた直後、彼女とブレスの間に割って入ってきたバーゲストがそれを防いだ。
バーヴァン・シー同様魔力喰いの影響を受けているのか、僅かに後退った彼女に、間髪入れずにゴア・マガラの突進が襲う。
それを再び大剣の腹で受け止めバーヴァン・シーを逃がす時間を作ったものの、バーゲストは明らかに弱体化している自身の力に歯噛みする。
「この……ッ!」
魔力喰いをされた影響で上手く体を固定できずに弾き飛ばされたバーゲストが、大剣を振り下ろす。
噴き上がる炎によってリーチを増したブレードによる斬撃が叩きつけられるも、魔力喰いされる以前と比べて明らかにパワーが落ちているため、微かに身動ぎさせる程度の一撃にしかならない。
そして、その程度の攻撃など、ゴア・マガラにとっては動きを止める程のものではない。
「バーゲストッ!」
身を翻したゴア・マガラにバーゲストが身構えた直後、復帰してきたメリュジーヌが彼女の体を掴んで離脱。標的を逃したタックルは勢い余って奥の木々に当たり、粉々に打ち砕いた。
メリュジーヌに救われたバーゲストはすぐに彼女に離してもらい、地面を転がって起き上がると同時に左手を地面に押し付ける。
彼女の前方の地面からジャラララッ、と伸びた十数本の鎖が振り向いたゴア・マガラを拘束。拘束を振り解こうとゴア・マガラが藻掻いていると、その頭上をバーヴァン・シーの影が包み込む。
「喰らえッ!」
撃ち出される妖弦の斬撃。寸分違わず降り注いだ攻撃を受けたゴア・マガラが小さく呻き声を漏らし、着弾箇所に絆石と同じ光が灯る。それらは互いに結びつくように結合し合い、ゴア・マガラの身を覆う黒の凶気と凶光を打ち消していくが―――
「キシャァアアアアアアアアッッ!!」
「クソッ、やっぱり無理かよッ!」
ゴア・マガラが咆哮を轟かせて噴き上がった黒と赤のオーラの前に消え失せてしまう様子に、バーヴァン・シーは堪らず悪態を吐き出した。
ここに至って、バーヴァン・シーは改めて痛感する。手札が足りないと。
ただでさえ魔力喰いでこちらの魔力を絶えず喰われあちらは強化されているのが、それをさらに深刻な問題にしている。
怯ませようにも充分な魔力を行使できない故に満足な攻撃を出せず、そんな半端なものではゴア・マガラに隙を作り出すなど夢のまた夢だった。
どうすれば明確なダメージを与え、絆石の力を注げるのか。あの魔力喰いには、どう対処すべきか……。そう考えながらゴア・マガラから距離を取ると、傍らにいたバーゲストがなにかを考えているような表情をしている事に気付いた。
「バーゲスト、なにか考えてんのか?」
「……一つだけ、あの魔力喰いに対抗する方法を思いつきました。ですが……」
表情を曇らせたバーゲストの様子から、それが危険な方法だと悟る。
恐らく、彼女の思いついたそれは、まさしくこの状況を打破するに足る方法なのだろう。だが、それに伴う可能性を恐れ、その方法を取る決断を下せないでいるのか。
それなら、と、バーヴァン・シーは飛んできたブレスを回避しながら訊ねる。
「仮にその方法を取ったとして、勝率はどれぐらい上がる?」
「具体的な数値は出せません。ですが、今よりは格段に、彼女を救える可能性はあるかと」
「……よし、なら頼む。私達の事は気にすんな」
「細かくは聞かないのですか?」
「お前が考えた事だ。信じるさ。それがどんなもんであれ、あいつに対抗できる手札に変わりはねぇからな」
それはすぐに実行できるものかと聞けば、返答は「少し時間がかかる」というもの。
彼女に頷いたバーヴァン・シーは、ゴア・マガラの攻撃を回避していたメリュジーヌに目配せする。
バーゲストとの会話を聞いていたのか、メリュジーヌはバーヴァン・シーに頷き、今の自分に出せる全力に近い一撃でゴア・マガラを切り裂く。
竜の妖精である彼女の膨大な魔力生成能力を活かした力任せの一撃を受けたゴア・マガラが吹き飛ばされると同時、バーヴァン・シーは己の魔力で四体の人形を作成し放り投げる。
「封じろッ!」
魔力喰いを受けても即座に消えない量の魔力を注ぎ込んだ人形がゴア・マガラの四方に落ちた瞬間、バーヴァン・シーの指示を起点に魔術が発動。それぞれが魔力の糸で結ばれ、三角錐の形となった結界がゴア・マガラを閉じ込めた。
ゴア・マガラが邪魔な結界を打ち破ろうと暴れ出し、魔力喰いによって人形と結界がすぐに綻び始めるが、そこをすぐにメリュジーヌが魔力を注ぎ込んで補強していく。
「バーゲストッ!」
しかし、それでも数十秒程度しか時間を稼げないと悟ったバーヴァン・シーが叫ぶ。
それに応えるように、バーゲストは大剣を大地に突き立て、心身を統一する。
戦場で高ぶる精神を落ち着かせ、己の心の世界へと飛び込む。
そこで待ち受けるのは、生まれながらに自身に宿っていた呪い。
かつての戦争において、“牙”の氏族に討ち取られたモースの王は、彼らに呪いをかけたのだという。
いずれ、彼らとは異なる外見を持つ“牙”の妖精が誕生する。彼女はいずれ、世界を滅ぼす存在となるのだと。
(……今ならわかる。それは紛れもなく、この私だ)
ウッドワスのような狼に近い外見も、ボガードのような獅子に近い外見でもない。獣の要素を全く感じさせない、人間と酷似した外見。
そして、他の同胞達とは明らかに異なる、捕食衝動という名のどうしようもない性質。
ただ喰らうだけならばよかった。ただこの衝動は、自身が愛した者に対してのみ発動する。どれだけ愛そうとも、どれだけ「嫌だ」と思っても、抗えぬ飢餓が最終的には全てを喰らってしまう。
何度も後悔した。絶叫し、涙を流した。
けれど、そんな心の奥底には、愛する者を捕食する事に快楽を覚える自分がいた。
―――醜く、浅ましく、下劣。
あまりにも度し難く、許し難い、その在り方。
しかし、それに苦しむ日々から救ってくれた者達がいた。
一人目は言わずもがな、アドニス。
これまで彼女が
二人目は、モルガン。
呪われた出自の自分を妖精騎士ガウェインとして迎え入れてくれた、敬愛すべき女王。彼女の魔術のお陰で、自分は悍ましい捕食衝動に苦しめられる頻度が激減した。
そして最後に、カリア。
モルガンの魔術で弱まりながらも時折暴れる捕食衝動に突き動かされてしまう自分を抑え込み、いつまでも戦友として、友として接してくれた。
……考えたくはないが、國がこのような状況になってしまった以上、アドニスは―――。
だが、バーゲストは「それでも」と信じている。
彼はきっと生き延びていると。ならば私は、彼の生存率を少しだけでも上げる為に、この戦いを迅速に終わらせよう。
こんな自分を愛してくれた彼の為。こんな自分を信じてくれた女王の為。そして、こんな自分の友でいてくれた彼女の為に、私は。
「―――亜鈴触覚、露出ッ!」
この呪いを受け入れ、乗り越える―――ッ!!
バキンッ、と自らの手で頭部より生える角を握り砕けば、ドクン、と強く心臓が鼓動し、凄まじいパワーが溢れ出してくる。際限なく噴き上がってくる、自身を呑み込もうとする力の奔流への抵抗で食い縛った犬歯が砕け、膨張した体躯が汚れた白き鎧を内側から破壊する。
「アァアアアァアアアアアァァァ―――ッッッ!!!」
遂に体外へと飛び出した溢れ出る魔力が可視化された炎となって空へと昇り、余波で周囲の木々を焼き尽くす。
凄まじい力の奔流に反応したゴア・マガラが遂に結界を打ち破り、大地を小刻みに揺らして駆ける。
振るわれるは、自身を苦しめる赤と黒の瘴気を纏った右翼爪。それが炎柱を切り裂こうとした瞬間。
「ゴァ……ッ!!?」
炎柱の中から飛び出してきた拳が、ゴア・マガラの頭部にめり込んだ。
堪らず殴り飛ばされたゴア・マガラが大地を転がって態勢を立て直した先で、突き出された拳が横薙ぎに振るわれた事で炎柱が振り払われる。
―――黒炎の騎士。
これまで装備していた純白の鎧から一転、露出した生傷が絶えない肉体に赤黒い鎧を装備し、再生を通り越して異常発達した二本の触覚が悪魔の角のように聳え、腰からは伸びた鎧と同様の赤黒い色を持つ尻尾が大地に叩きつけられる。
「我が名は、妖精騎士バーゲストッ! 女王モルガンの名の下に、この妖精國を守護する騎士が
地面から引き抜かれた純白の大剣が、禍々しい暗黒の巨剣へと変貌する。
それを眼前の混沌の竜へと向け、名乗りを上げた騎士は叫ぶ。
「友よ、呪いを超越した我が信念、その身で受け止めるがいいッ!!」
それは最早、厄災の枷には囚われない。
世界を焼き、喰らうしかできなかったはずの獣の呪いが今、國を、友を救う祝福となる。
・『カリアの魔力喰い』
……バーゲストにかけられた呪いを肩代わりした結果、カリアは彼女の特性の一つである魔力喰いを手に入れた。それまではモルガンによって魔力喰いの効果は抑えられ過度な食欲で留まっていたものの、混沌の竜に変異した事でその食欲は遂に魔力喰いとしての効果を発揮した。
これに対抗するには、彼女の魔力喰いを以てしても戦闘を続行できる魔力量を保有(または生成)するか、魔力を奪い切られる前に彼女を討伐するしかない。
・『獣の祝福』
……今ここに、獣の厄災は反転した。色濃い絆、救い、繋がりが、彼女に宿る世界を焼く呪いを、世界を救う力へと変えた。
―――絆の炎を胸に抱き、奔れ、黒獣の女騎士よ。