ドーモ=ミナサン。
セイバーの冠位戴冠戦をクリアし、レベル120村正のグランドサーヴァント化&グランドサインコンプリートを果たしたseven774です。
獲得経験値二倍&大成功・極大成功確率上昇は素晴らしいですね。元々レベル100だった村正でしたが、あっという間に120まで育てる事が出来ました。特にそういったものがない状態でザビ子を120にしていたので、どれだけ今が楽なのかがよくわかりました。
皆さんはレベル120のサーヴァントは何騎いますか? 私はまだ先述した村正とザビ子です。現在は水着エリセとモルガンの120到達を目指しております。
特にモルガンは次回冠位戴冠戦がバーサーカーなのもあって、可能であればそれまでの間に120にしたいと思っていますッ! 条件にレベル120はありませんが、やはりグランドサーヴァント化するなら育てたいと思うのは私だけではないはずです。
それでは本編、どうぞッ!
それは、とある少女が王になる前に見た風景だった。
もうすぐ日が沈むという頃……黄昏時。地平線の彼方へ沈んでいく夕日によって照らされて輝く、一面を覆う黄金色の草原。
その中心にある台座に突き立てられた、一本の剣。
その剣はかつて、数多の勇士達が「我こそは」と名乗りを上げ挑み、そして阻まれてきた王の証。滅びゆく王国を救う者を見出す、選定の剣。
私の生きた
「……引き抜けって事、なのかな……」
十数歩進めば届く距離にあるそれを目に独り言ちり、周囲を見渡す。
もしかしたら私以外に誰かいるのかなぁ……なんてバカみたいな考えの下の行動だったが、当然の結果として、私以外の誰かの姿はどこにもない。
―――それもそうだ。
ここはきっと、私のみが踏み入れる場所。あの時私が還るはずだった、『星の内海』そのもの。
全ての鐘を鳴らして使命を果たした自分は、これから妖精ではなくなる。聖剣の騎士という概念と一体化し、文字通り世界を護る守護者となるのだ。
私の前にあるあの剣は、その守護者になる為の最後の一手だろう。あの剣を手に取れば、私は真の守護者として完成する。
「…………行こうか」
守護者になる。
言葉にすれば酷く簡単なものだが、その事実は果てしなく重いもの。『世界を護る』と言えばカッコイイが、その実態は『災害が起きた後に駆り出される掃除屋』だ。一切の汚れがない環境に掃除屋は呼ばれない。仮に指名がかかれば、命がゴミのように打ち捨てられる場所に向かわされる事が確定している。
それでもここまで来た手前、「やっぱりやめた」なんて言えるはずもない。それに、元から覚悟を決めていたのもあって、私は止めていた足をゆっくりと動かした。
足を一歩進める毎に、靴底越しに草原を踏みしめる柔らかい感触が伝わってくる。だが同時に、足元から少しずつ感覚が鈍くなっているのも感じられる。
今あるアルトリア・キャスターという存在が、新たな存在へと昇華していく感覚に少し眉を吊り上げて歩みを進めていくと、あっという間に剣の前に辿り着いてしまった。
随分と呆気ないものだな、なんて思いながら、私は台座に突き立てられた剣の柄に手をかけて―――
『初めまして、“私”』
「うわぁッ!?」
酷く聞き覚えのある声に大声を上げてしまった。
いつの間に現れたのか。無意識に飛び退いた私から剣を隔てた先には、一人の女性が立っていた。
足元の草原とはまた別種の、宝石のように煌めく黄金色の長髪。白を基調としたゆったりとしたローブに身を包み、頭部に小さな王冠を被った女性。
見覚えのない女性だが、それが誰なのかなど、先の言葉もあって理解できていた。
「私、かぁ……」
『はい。厳密には、これから貴女が成る聖剣の守護者としての貴女ですね』
「どうしていきなり? ここにいる以上、私は貴女になるんでしょ? なんで姿を見せたの?」
『改めて、確認をしようと思いまして』
「確認……?」
私から視線を外し、近くにあった手頃な大きさの岩に座り込む。
私も使用していたヤドリギの杖と似た杖を手に腰を下ろしているその姿は、自分より少しだけ歳を取った外見のはずなのに、どこか長年を生きた老人のような雰囲気を感じさせる。
『その剣を手にすれば、楽園への帰還を果たした
試すような問いかけ。
こちらを見ているはずなのにそう感じられない精巧に作られたガラス玉のような瞳と、一切の感情を感じさせない能面のような顔。
機構として必要なものしか有さない姿となった彼女からの問いかけに、私は先程まで抱いていた覚悟が揺らぐのを感じた。
守護者への新生―――それは世界を護る役目を担うと同時に、今あるアルトリア・キャスターの消滅を意味する。
孤独に涙した夜。
美味しかった食事。
友人達と交わした、楽しい会話。
仲間達と潜り抜けた、命を懸けた死闘。
その全てが、今の
(……あ、ははっ。なんでだろう、覚悟なんて、もう決めたはずなのに……)
何気なしに見下ろした右手が、震えている。
―――怖い。恐ろしい。消えたくない。
そんな感情を表すように震えている右手を、同じように震えている左手で押さえつける。だが次は視界が滲み出し、頬を生暖かい液体が滑り落ちていく感覚を覚える。
覚悟を決めた? なにを馬鹿な事を。そんなもの、精一杯の努力でアルトゥーラに会心の一撃を見舞った事で得た一時的な思い上がりだ。現に今、こうしてちっぽけな覚悟は彼女の言葉で容易く揺らいでしまっているじゃないか。
そうだ。私にそんな大きな役割は果たせない。どこまで行っても自分は臆病で、いつだって逃げ出したくて、表で笑いながら影で世界を蔑む妖精だ。
これまでの旅でさえそんなだったのに、今度は世界を護る守護者になるって? そんなの、絶対に無理だ。どこかで心が砕け、自我を喪失し、与えられた役目を自動的に熟すだけの現象―――彼女の言う『
そんな未来を前にして、私はこの剣を抜けるのか?
「ぅ……ぎ、あ、ぁ、あ゛ァ゛……ッ!」
気付けばこの体は、吹き荒ぶ嵐の只中にあった。黄金の草原も、いつかの私さえも掻き消え、ただ吹き荒ぶ嵐だけが私を責め立てる。
それは、ブリテンを終わらせる使命を帯びた私を憎む声。使命を果たした私を恨む声。これまでブリテンに誕生し、そして死んでいった者達の怨念は嵐となり、ザリザリとこの身を削り取っていく。
これは、悪意だ。
私が見続けてきた、醜い世界の真実そのものだ。
こんなものを得る為に、私は戦い続けたわけじゃない。こんなものの為に、私は守護者になりたくない。
―――でも。
「…………ぁ……?」
この嵐の中でも、小さな光が一つ。
どこからともなくやってきたそれは、懸命に両腕を広げて私を庇おうとしている。
それは、いつか私の気まぐれが奪った命。とっくに忘れていた、一人の
踏み入った者の記憶を奪うコーンウォールの森で、記憶を失えなかった私が彼女に
既に名前を失っていた彼女は、私の昏い気持ちに気付く事もなくその名を受け取った。けれど、受け取ったのは名前だけではなかった。
『大切に―――大切にするね。このお名前だけじゃなくて、貴女の心を、いつまでも、いつまでも』
彼女の名は、ホープ。最後の最後で、星の光を見つけた者。
皆に希望を振りまく役目に疲れて、嘆いて、それでも笑顔を忘れなかった、私と同じ境遇の妖精。
彼女は私のただの思い付きの行為を、今まで大事に抱え続けていたのだ。あの時の気まぐれ一つで、私をずっと護り続けてきた。
気まぐれを起こした者の為に、一人戦い続ける。
他人からすれば取るに足らない、下らない理由だ。
「……いや」
違う。それは、絶対に違う。
「大切にしてくれて、ありがとう」
―――なんだ。考えてみれば、そう難しい話でもないじゃないか。
そうだ。私だって、凄い理由なんてない。私だって、彼女となにも変わらない。
自慢できる自分とかわからないし、褒められる才能もきっと見せかけのものだ。誰もが羨む理由なんて、きっとこの先一生出会えない。
だが、
私にはそれだけで充分だ。今まで自分を護ってくれた、
どんなに馬鹿な理由でも、下らない理由でもいい。
そんな
「いつだって、頑張っていかないといけないんだ……ッ!!」
怨念の嵐に削り取られていた活力が漲り、声を張り上げる。
そうすれば今まで私を襲っていた嵐は瞬く間に消し飛び、私はまたあの黄金の草原へと戻ってきていた。
『理由は、見つかりましたか?』
「うん。ようやく、見つけたよ」
相も変わらず岩に腰かけたままの彼女に答え、視線を前に向ける。
台座に突き立てられた剣は、その姿を巨大な大剣へと変化させていた。
(……ホープ、ありがとう)
心中で、私を護り続けてくれた妖精にもう一度感謝を捧げる。
今こうして自分が立てているのは、彼女の存在が大きく関わっている。彼女が護ってくれたから、私はここまで辿り着けた。
もちろん、理由はこれだけじゃない。
私を友達と呼んでくれた、異世界から来た魔術師がいた。なら、私は友達として、彼女を助けたい。
これまでの短くも長く、尊い旅路。それを支えてくれた彼女の……彼女達のいる場所へ行きたい。戻りたい。
『覚悟は決まったようですね』
剣の柄に手をかけた私に、彼女はそう零す。
「うん。私は戦いたい。私を支えて、ここまで連れてきたみんなの為に」
『小さな理由でしかないのに、そこまでの価値はあるのですか?』
「もちろん。周りからすれば小さな理由だけど、私にとっては……」
そうだ。これから先に待ち受ける地獄を、こんなにも簡単に受け入れてしまえるのは、彼女との記憶のせいだから。
でも、別にいい。彼女達との思い出をこの胸に抱き続ける限り、私はきっと、砕ける事はない。
だって……ね?
「大好きな人を護りたいのは、当然の話でしょ?」
剣を引き抜く。
草原より引き抜かれた大剣が黄昏を受けて煌めくと同時、私の体が解けるように消え始める。
嗚呼、そうだ。ここで、私は終わる。私は此処で止まって、彼女が私になる。
「……後は、お願いね」
『…………』
最後にその言葉を託して、私の意識は眩い光の中に……。
『……止めです』
「……え?」
消えようとして、止まった。
「え、な、なんで? なんで……」
解けていた体が、消えかけていた感覚が瞬く間に蘇る中。茫然と問いかける私に、彼女は笑って答えた。
『その気持ちは、貴女のものです。私のものではない。その願いを果たすのは私ではなく、貴女自身です』
「それ、は……」
『ですので、この一時のみ、
「え……私、達……?」
そんな馬鹿な。ここにいるのは私と彼女だけで、それ以外の誰かなんてこの場には―――。
『いるではありませんか。今まで貴女を護っていた、
「―――ッ!」
促すように動いた彼女の左手の先。草原の奥から、誰かがこちらへ飛んでくる。
ボロボロだった翅は綺麗に治り、一回羽ばたく度に輝く光の鱗粉が舞う。黄金の草原をより一層輝かせながら飛んでくる彼女に、再び視界が歪み始める。
満面の笑みを浮かべる彼女はやがてその身を眩い光へと変え、私達を覆い始める。
『私の……
嗚呼、鐘の音が聞こえる。
それは、新たな守護者の誕生を祝う音。それは、新たな門出を祝う調べ。
世界なんて関係ない。私は―――私達は。
『―――来て、キャスターッ!!』
―――尊き絆の下に、戦うのだ。
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あらゆるものを呑み込むブラックホールが如き暗黒の洞に、光の軌跡が駆け巡る。
軌跡を描くは三本の剣の名は、カルンウェナン。汎人類史の生きた騎士王が有していた、聖槍ロンゴミニアドに並ぶ神聖な武具と同質の存在であるそれらが、標的目掛けて一斉に襲い掛かる。
雄々しく広げた翼で飛翔し、背後から追尾してくるそれらを片腕で薙ぎ払ったオベロンはカルンウェナンを放った者へと迫るが、眼前を通り過ぎた無数の青白い魔力光線によって動きを止められた。
「行かせないさ、オベロン」
「邪魔をするな、Kッ!」
こちらへ杖を向けているK―――キリシュタリアにオベロンの放った暗黒の濁流が迫る。
浮遊魔術を用いてひらりとそれを躱したキリシュタリアが魔力弾を撃ち込むも、オベロンはそれを物ともせずに彼へ向かっていく。
「キリシュタリアッ!」
頭部を粉砕しようと突き出された拳がキリシュタリアに当たる直前、真横から突っ込んできたカイニスがオベロンを突き飛ばした。
一直線に進んでいたところを真横からの急襲によって妨害され地面を転がったオベロンだが、起き上がると同時に暗黒の魔力弾を発射してキリシュタリアとカイニスを牽制し、続けて放った濁流でアルトリアへ攻撃を仕掛けた。
凄まじい勢いでアルトリアを吞み込もうと迫る濁流だが、その前に降り立った少女の盾によって阻まれた。
「流石ですね、マシュ。その堅牢な護りには助かっています」
「は、はいッ!」
真一文字に結んでいた口元を緩ませて微笑む彼女に、彼女の出現と同時に目覚め戦闘に復帰していたマシュは色々と聞きたい事を必死に呑み込んで答えた。
「邪魔しないでほしいなぁ、マシュ。それにアルトリア。というか、君はもう舞台から退場しただろう? だったら潔く退場したままでよかったじゃないか」
「確かに、死者が生き続ける世界は見苦しいです。それを滅ぼした貴方は正しいのでしょうが、それを周りに伝播させる事は許されません。私が生きたこの國に未来がなくとも、他の未来ある者達の
「へぇ……?」
「私は、過剰な滅びを齎す貴方を拒絶します。この白紙化された地表に、希望の星が瞬く限り」
世界の成り立ちに、破壊は必要不可欠。しかしオベロンの齎すそれは、続くものがない終わりそのもの。
故にこそ、彼女―――アルトリア・キャスターは剣を手に取り、戦場へ臨む。
「だったら止めてみろよ。世界を完全に壊すのは、お前達を殺してからだッ!」
オベロンの叫びに呼応するように、その足元から紫色の光を帯びた魔力の雷が放たれて彼女達に襲い掛かる。
「マシュッ!」
「させませんッ!」
もちろん、それを許す立香ではない。
攻撃の予兆を感じ取った瞬間にその名を叫べば、マシュが地面に盾を突き立てて純白の障壁を作り出す。
虫竜との融合により強化された雷撃は障壁に亀裂を走らせながら突破しようとするが、そこへ真横から二種類の雷が乱入し、オベロンの紫雷を打ち破った。
「「ハァッ!」」
赤黒い雷を放ったバーゲストと、緋色の雷を放ったルーツが同時にオベロンへ攻撃を仕掛ける。即座に飛び退いて距離を取った彼は、禍々しく変質した鎌を振るって接近してくる二人を牽制するも、今度は
「追撃しなさい、シグルドッ!」
「アナスタシア、シグルド達をサポートしろッ!」
動きが鈍ったチャンスを逃すまいとするオフェリアの指示を受けたシグルドがパーシヴァルとノクナレアと共に駆け出せば、アナスタシアが抱えるヴィイの魔眼が妖しく瞬いた。全身を凍らせ動きを封じようとした魔眼は、しかしオベロンの有する膨大な魔力量を前に弾かれてしまうが、それでも防ぎ切れなかった魔眼の力が彼の足元を凍り付かせる。
即座に離脱する事が出来なくなったオベロンにシグルド達の攻撃が振るわれるが―――
「舐めるなッ!!」
広げられた翼に無数の光が生まれる。オベロンと融合した虫竜を構成していた大量の昆虫達の複眼が主を狙う者達を捉えた瞬間、複眼から極細の魔力光線を放射し始めた。
圧縮させられた魔力はさながらレーザー光線が如く迫るそれらを、モルガンがシグルド達の前に魔力障壁を作って防ごうとする。しかし何万にも及ぶ光線を防ぎ切る事が叶わず、貫通してきた光線が彼らの体を貫いた。
「シグルド……ッ!」
「来るなマスターッ!」
咄嗟に体を逸らしたのだろう。離脱せざるを得なくなる致命的な一撃を与えようとする光線の命中箇所を別の部位にずらした事でダメージを抑えたシグルドは、自身の名を叫んだオフェリアに制止をかけながら数個の石を取り出した。
神代のルーン文字が刻まれたそれらを握り砕けば、砕かれた破片が美しい朱色の輝きを放ち、自分や仲間達を狙う魔力光線の軌道を逸らし始めた。
「今の内にパーシヴァル達をッ!」
「えぇッ!」
「わかったッ!」
シグルドの叫びに動いたのはペペロンチーノとグリム。凡そ人間業とは思えぬ動きで二人を抱え上げたペペロンチーノが離脱しながら、グリムが回復術式を組んで彼らの回復を行い始める。
「カイニスッ! 突っ込めッ!」
「応よッ!」
「ボレアスもお願いッ!」
「任された」
オベロンから距離を取っていくペペロンチーノ達と入れ替わるようにカイニスとボレアスが飛び出し、激流と業炎が光線の雨を触れた先から打ち破りながらオベロンへ向かっていく。既にヴィイの拘束から解き放たれていたオベロンは難なくそれを躱すものの、その頭上からは彼の移動先を予測していた項羽が虞美人と蘭陵王と共に剣を振り下ろしていた。
轟音と共に凄まじい衝撃波が周囲へ飛散する。項羽達の一撃を両手で握った大剣で受け止めたオベロンは勢いよく彼らを押し返しながら大剣を振るって薙ぎ払おうとする。
咄嗟に虞美人と蘭陵王を抱えた項羽が緑色の炎を宿す骨翼と四本足から炎を噴射して大剣を回避するも、返す形で再度振るわれた大剣が彼を捉え、大地へ叩き付けられてしまった。
「項羽様ッ!! このッ!」
「ハッ、お前一人で何が出来るッ!」
愛する男を害された怒りのままに突っ込んでくる虞美人だが、彼女の双剣はオベロンの体に掠り傷しか与えられずに蹴り飛ばされてしまった。
蹴り飛ばされながらも体勢を立て直して項羽を庇うように立った虞美人にニヤリと獰猛な笑みを浮かべたオベロンは彼女を項羽達諸共斬り捨てんと走り出すが、彼の前に降り立った影によって妨害された。
「っ、お前はッ!」
「ゥオラァアッ!!」
眼前に立ち塞がったバルカンと、オベロンの大剣が激突する。何度も交差する両者の大剣は絶え間なく火花を散らし、鍔迫り合いに移行する。
ギリギリと耳障りな音を奏でながら相手を押し切ろうとする両者の内、勝利したのは―――
「喰らいやがれェッ!」
「ぐぉッ!?」
遂に押し切ったバルカンの斬撃が、オベロンの胴体に直撃する。
炎を纏った一撃を受けたオベロンの胴体から大量の血が噴き出し、怯んだ彼にそのまま続けてバルカンが追撃を繰り出そうとするが、オベロンは咄嗟にその身を靄に変化。バルカンの追撃から逃れ、距離を取った。
しかし、痛手を負ったオベロンがそのまま放置されるはずもなく、姿を再構成した彼の周囲を無数の槍が覆った。
瞬時に翼で自身を包み込み防御態勢を取り、殺到する槍の雨から身を護る。
翼で自身を覆い半円状になった彼は、自身にとめどなく襲い掛かる槍の雨と、それを発生させている存在―――モルガンに忌々し気に舌打ちをした。
(他の連中もそうだが、モルガンが厄介だ……。どうすれば……)
槍の雨の勢いが一瞬緩んだ隙を突き、溜めていた魔力を一気に解放。次に襲い掛かろうとしていた無数の槍をまとめて吹き飛ばすも、直後に飛び込んできたルーツと拳を交えながら思考を続ける。
虫竜が目覚め、虚無の権能を手にした自分がここまで追い込まれたのは、彼女の存在が原因だ。彼女がゴア・マガラとリンクしたバーヴァン・シーを基に新たな魔術を開発した事で、彼女達以外の者達も自分に攻撃を与えられるようになってしまった。
守護者として帰還したアルトリアも注意すべき敵だが、現時点における最大の脅威はモルガンだった。これまで何度もブリテンを滅ぼそうとし、そしてその度に阻んできた相手だ。このまま野放しにすれば、またなにかしらの魔術を開発し、味方を強化する可能性が高い。
(―――それなら、彼女が有する弱点とはなんだ?)
「ハァッ!」
「ぅ……ッ!?」
鳩尾にルーツのハイキックが命中し、空中へ打ち上げられる。すぐさま体勢を立て直そうとするが、それより早く動いたルーツの飛び蹴りが顔面へ直撃し、続けざまに繰り出された雷撃によって地面へ撃ち落とされる。
そこへディスフィロアが炎氷のブレスを発射。起き上がろうとしたオベロンに超高温と超低温が同時に襲い掛かった。
「ぐ、ぉおおおおおおッッッ!!?」
焼かれ、凍らされる痛みに叫びながらも、苦し紛れに放った斬撃でブレスを両断し離れる。
転がるようにブレスの範囲から逃れたオベロンだったが、新たな殺気が近付いてきている事に気付き頭上を見上げると―――。
「行くぞカリアッ!」
「キシャハハハハッ!!」
(ッ!
フェイルノートの斬撃と、ゴア・マガラのブレスが迫る。
翼から放つ光線でそれらをやり過ごしながら、オベロンは暗黒のオーラを纏った両腕を振り上げ、一気に大地へ叩き付けた。
瞬間、彼の両手を起点に発生した暗黒の波動は茨となり、ルーツ達を拘束し始めた。
「なに、これ……ッ!? 力が……っ!」
「魔力を、吸い取っているのですか……ッ!」
自分達を拘束する茨の効果に気付いたアルトリアがカルンウェナンで茨を切り裂こうとするが、そのカルンウェナンにも茨は絡みついており、あらゆる抵抗を許さない。
「くっ、バーヴァン・シー……ッ!」
「グウゥ……ッ!」
「お母様ッ! ディスフィロアッ!」
アルトリア達同様に茨に囚われてしまったモルガンとディスフィロアに、
「テメェ……ッ!」
「話をしようじゃないか、
自身を強く睨むバーヴァン・シーに、オベロンは邪悪な笑みを浮かべてそう告げるのだった。
・『アルトリア・キャスター[ホープ・アヴァロン]』
……本来の歴史において、アルトリア・キャスターはこの時消滅し、アルトリア・アヴァロンに新生するはずだった。しかしこの歴史において彼女は、この決戦の間のみアルトリア・キャスターとして立香達の前に姿を現した。能力、性格はアルトリア・アヴァロンと同一のものだが、戦う理由は「大好きな
最近、夏が近づいてきたのもあって虫が増えてきましたね……。なにやら大阪万博でも虫が大量発生したようですし、虫が大の苦手な私としては行こうと思ってた矢先の出来事だったので見送ろうかと思いました……。家にも窓はしっかり閉めているはずなのにいつの間にか侵入してきてますし……。この前なんかカメムシが侵入してきたのでビビりながら退治しましたよ。これから先、蜂とかも注意しないといけないのは辛いです……洗濯物を干す/取り込む時が怖すぎる……。
夏は夏コミや色んなお祭りがあって好きなのですが、こればかりは好きになれませんねぇ……。
オベロン戦、本当は今回で終わらせたかったのですが、自分が書きたいエンディングに向かうとなるとどうしても話数を増やす必要があり、次回に続く形となりました……。
次回、バーヴァン・シー「ハァ……ハァ……敗北者……?」。
それでは、また次回ッ!