ドーモ=ミナサン。
冠位戴冠戦でひたすら周回をしまくった結果、セイバー・アルトリア/アルトリア・オルタ、蘭陵王、宮本伊織の絆レベル10到達を達成し、グランドとなった村正は絆レベル13となったseven774です。
いやぁ、ポッド無料期間中にVIを300回ほど周回しましたが、まさか絆レベルが5だったオルタじゃないアルトリアが10になるとは思いませんでした。蘭陵王もスター&NP配りが優秀過ぎて使い倒した結果、10を超えて11になりました。お陰で気付けば石が750個を超えていましたので、今後のガチャにも安心して挑めます……ッ!
次回冠位戴冠戦はバーサーカーですので、少しずつですがサポーターの育成を行っています。とりあえずサポーターの一騎は水着伊吹で確定です。その後はランサー冠位戴冠戦ですが、我がカルデアではスカサハを選抜する予定なので、現在コイン獲得&(もしもの時の)アペンド解放の為に絆上げ中でございます。もちろんサポーターもバーサーカーと同時進行で育成中です。武蔵ちゃん、たくさんのQPをありがとう……。
そして遂に、遂にテュフォン・エフェメロスが実装されましたねッ! 私は初見時から凄く好みなデザインや設定だったので、実装されて本当に嬉しかったですッ! 反願望器なので爆死を覚悟していたのですが、「良い機会だし、暇があれば二年前書いてたテュフォン番外編完成させようかな……」と思いながら回したところ、すぐに召喚できましたッ! これはつまりそういう事なのでは、と思いましたので、時間を見つけながらコツコツ書ければと思いますッ! ……尤も、仮に投稿できても恐らく今回のイベントのエピローグまで見てからになるかと思いますが……。
今回も申し訳ない事に分割となってしまいましたが、ラストへの布石はしっかり打つ事が出来ました……ッ!
それでは本編、どうぞッ!
「醜い國、だと……? テメェ……ッ!」
話をしよう―――急に攻撃の手を止めてそう言ってきたオベロンだが、バーヴァン・シーがそれに従うはずもなく。
真横へ駆け出しながらフェイルノートで連射。迫り来る不可視の斬撃はしかし鎌で切り裂かれてしまうが、バーヴァン・シーがオベロンに手を翳した瞬間、どこからともなく伸びてきた赤黒い糸が彼の体に絡みつく。
一本一本が極細かつ頑強な糸によって拘束されたオベロンに、バーヴァン・シーは絆石の力で強化したフェイルノートで首元目掛け強力な一射を放つ。
並の英霊であれば容易く首と胴体を泣き別れするどころか、その余波で頭部と上半身を消し飛ばす事も出来るであろう一撃。しかし、オベロンは一切の焦燥も抱かずに高密度の魔力を放出。内側から溢れ出した魔力の嵐に糸の拘束が微かに緩んだ瞬間を狙い勢いよく両腕を振るう事で拘束を引き千切ると、鎌を振るって首元へ迫ってきていた一射を叩き落した。
攻撃が失敗しながらも、バーヴァン・シーは即座に次の行動へ移ろうとして―――
「聞かせてくれよ、妖精のお姫サマ。こんな醜い世界、
「……ッッッッ!!!!」
瞬間、バーヴァン・シーの動きが止まった。
フェイルノートを構える両手を下ろし俯いた彼女。その変化に気付いたメリュジーヌは「マズイ……ッ!」と真っ先に彼女へ叫んだ。
「奴の話を聞いては駄目、バーヴァン・シーッ!」
「その言葉は挑発ですわッ! まずは落ち着い―――」
「うるせェッッ!!!」
動きを止めたバーヴァン・シーにかけられたメリュジーヌとバーゲストの忠告は、しかし彼女の怒号によって遮られてしまう。
「醜い……今、醜いって言ったか……ッ!? 言ったよな、アァッ!!?」
バーヴァン・シーとて理解している。彼女達の言う通り、オベロンの言葉は挑発だ。こちらの心を、連携を乱し、自身のペースに引き込もうとしている。
しかし、だからといってその言葉を呑み込めるわけではなかった。
「テメェ……、お母様が、あの方がどれだけこの國を統治してきたか知ってるか……? 私をキャメロットに招く前から、ずっとお母様はこの國を支えてきた……ッ! きっと、私じゃ想像も出来ないぐらい苦しい思いをしたはずだ……。それでも、お母様はこの國を……ブリテンを存続させてきたんだッ!」
「だからなんだい? お前の母親がやったのは、死に体の島を無理矢理延命させただけに過ぎないじゃないか。あいつが行動を起こさなければ、ここまでの惨劇は起こらなかった。この歴史に起きた悲劇の大半が起こらなかった。どれだけ言い繕っても、結局は自分の都合のいいように島を作り替えただけ。言わば、現実を舞台にしたお人形遊びさ」
ギリッ、と食い縛られた歯が軋む。
額に青筋を立てるバーヴァン・シーの瞳は憤怒の炎に燃え上がっており、それに呼応するように絆石もまた
「思い返してみれば悲しい話じゃないか。ケルヌンノスの呪いから島を護れば護る程妖精達に疎まれ、國を興してみれば
「やめろ……」
「何百、何千と統治を続けても、溜まるのは妖精達からの不平不満ばかり。口じゃ讃えても、心じゃ『早く死んでしまえ』とばかり言われ続ける。恐怖政治を敷いて権威を表しても、円卓軍なんていう反乱軍が生まれる始末。キャメロット攻防戦じゃバーゲストにも反旗を翻されたじゃないか」
「やめろッ!!」
俯いていた顔を上げたバーヴァン・シーは、鬼神もかくやという程の形相でオベロンを睨みつける。
「お母様は、私を救ってくれた。私に居場所をくれた。カリアに、会わせてくれたッ! こんな私を『娘』と呼んで、愛してくれたッ!!」
なぜモルガンが自分をキャメロットに招き、娘にしてくれたのか。その理由を、バーヴァン・シーは知らない。
それでも、彼女が自分を見つけ出し、愛してくれたのは事実だ。ぼろ雑巾にも等しいぐらい汚らしく、使い捨てられた果てに周りから鼻つまみ者として扱われてきた、こんな自分を。
それだけでも、救われたのだ。一切の下心なく愛された事が、嬉しかったのだ。
「確かにこの國の妖精共はクズだ……。目先の事しか見ようとしない、自分勝手な連中だ。でもな、中にはそうじゃない連中もいる。バーゲストやメリュジーヌ、ウッドワスがその例だ。ただ『醜い』なんて言葉だけで片付けるなッ!!」
オベロンの言葉は、悔しいが事実だ。モルガンに仕えていた貴族妖精達は、誰もが『自分さえ幸福であればいい』と考え、主君に対する忠誠などハリボテ同然だ。それは貴族だけでなく、この國で暮らす妖精の大半もそこに該当する。
しかし、全ての妖精がそうであるわけではないのだ。先程口にしたように、バーヴァン・シーやバーゲスト、ウッドワスがその例外に当たる。彼彼女らは自分の信じるものの為に戦い、ウッドワスは最期まで主君を護り抜いたのだ。
騎士として、いや、一人の妖精として、バーヴァン・シーはウッドワスに尊敬の念を抱いている。女王モルガンへ絶対の忠誠を捧げる、勇猛果敢な戦士だった。
だからこそ、オベロンの言葉は許せなかった。ただ『醜い』の一言で終わらせてほしくはなかった。
故にこそ、フェイルノートを握る手に力が籠る。
「お前がどんだけこの國を貶めようが、私は何度だって言ってやる。この國は、美しい國だッ! お母様が命を捧げて、私が……私達が護り続けてきた、私達の國だッ!!」
燃え盛る怒りの炎は、やがて業炎となり。絆石の青は、血よりも濃い赤色に。
「私達の國を、お母様をッ!! これ以上侮辱するなァッッッ!!!」
「キシャァアアアアアッ!!!」
怒りを超えた憤怒……いや、そのさらに上を行く激情。視界まで真っ赤に染まる程の感情の昂ぶりに流されるままバーヴァン・シーが叫んだ直後、その背後でゴア・マガラが咆哮と共に拘束を打ち破り、そのままの勢いでオベロンへと襲い掛かった。
強引に茨の拘束から脱出した影響か。茨の棘によって切り裂かれ、脱出する際に引き裂かれた鱗の奥からは絶え間なく血が流れ出ているが、お構いなしにとオベロンに右翼脚を振り下ろす。
地面に捻じ伏せようと頭上から落ちてくるそれを後方へ飛び退いて回避したオベロンだが、そこへ開かれたアギトから放たれたブレスが着弾。僅かに態勢が崩れた瞬間、ゴア・マガラの両翼脚がオベロンを捕らえ、一気に臨界まで溜めたブレスを発射。
態勢を崩す為に放ったものとは威力が段違いのそれを逃げられない状態で受けたオベロンの体が大きく吹き飛ばされていき、その間にバーヴァン・シーがゴア・マガラの背に飛び乗った。
「潰せ……ッ! 殺せ、カリアッッ!!」
翼を広げて飛翔したゴア・マガラにバーヴァン・シーが突撃指示を出すが。
「ギ、シャァアアアッ!!」
「な、カリアッ!?」
突然苦しみ始めたゴア・マガラに、思わず態勢を崩してしまう。
(ここだ……ッ!)
そしてこの時を、オベロンは待っていた。
ゴア・マガラが突然苦しみ出した原因。それは、彼女の相棒であるバーヴァン・シーにあった。
バーヴァン・シーは相棒と共にモルガンを、この國を護るという決意で絆石の力を解放させた。では、今の彼女にその決意はあるか?
答えは、否だ。今の彼女の頭には、愛する母の作った国を貶したオベロンに対する激情しか存在していない。
決意を以て繋がっていた両者のリンクは、片方が激情に呑まれた事によって崩壊。結果、リンクが切れたゴア・マガラの精神は絆石から流れ込むバーヴァン・シーの激情に侵され正常な判断がつかなくなったのだ。
地面を蹴り砕きながら、一気に彼女達の前まで移動。虚無の力を宿した鎌を振り下ろす。
苦しみながらも攻撃が迫っている事に気付いたのだろう。ゴア・マガラが咄嗟に右翼脚で防御態勢を取るが、リンクが切れた影響か、オベロンの引き起こすパラドックスに対抗する事が出来ない。結果として、ゴア・マガラの防御を無視した虚無の刃はその右翼脚を容易く切断した。
「ギィイイッ!!」
バランスを崩したゴア・マガラが錐揉み状に落ちていく。重力に引かれ、着地態勢を取れないまま墜落したゴア・マガラの体からバーヴァン・シーが離れ、何度も地面に叩き付けられては転がっていく。
「ぐ、ぁ……っ。クソ―――」
「終わりだ、妖精の姫君」
受け身を取れずに落下の衝撃をもろに受けてしまったバーヴァン・シーが全身に走る激痛に悶えながら立ち上がった瞬間、頭上から聞こえてくる冷たい声。
落下の際に頭を打ってしまったのか、ぐらぐらと歪む視界に映り込むのは、レイピアを構えたオベロンの姿。
フェイルノートは墜落の衝撃で手元から離れてしまい、手足もそれによって満足に動かないでいる。
―――絶体絶命。
バーヴァン・シーの心にまんまと挑発に惑わされてしまった自分への怒りが込み上げてくる間にも、オベロンのレイピアは彼女の顔面目掛けて突き進んでくる。
(顔面を貫かれて、まるごと抉られて終わり、か……。ハハッ、未熟な私にはお似合いの、呆気ない最期だな……)
空気の動き、自分とオベロンの立ち位置。そこから導き出される未来にバーヴァン・シーはただ自嘲し、瞼を閉じる。
……だが、いつまで経っても自分の意識は途切れない。
満身創痍の自分を前に、オベロンが手を止めるはずがないのに、どうして。疑問と共に閉じていた瞼を開いた彼女の視界に映り込んだのは―――
「…………ぇ……?」
胸に大きな風穴を開けられた、モルガンの背中だった―――。
「が、ふ……っ。無事、ですね……バーヴァン・シー……」
咄嗟にバーヴァン・シーとオベロンの間に割り込んできたのだろう。両腕は背後の愛娘を護るように広げられており、向けられた眼差しは彼女の無事を知って安堵しているかのよう。
しかし、次の瞬間にはモルガンの瞳は敵意と殺意の光を宿し、眼前のオベロンを睨みつける。
「娘に、これ以上近付くなッ!!」
「ぐ……ッ!!?」
女王としてではない、ただ愛する娘を護る母親としての怒号と共に放たれた魔力嵐。前方の敵のみに向けて放出された高密度の魔力の渦はオベロンを吹き飛ばし、そこへ遅れて拘束から逃れたルーツ達が攻撃を仕掛けていく。
オベロンの対処をルーツ達に任せたモルガンが「はぁ……」と一息吐くも、同時に両足を支える力がなくなり崩れ落ち始めた。
「っ、お母様ッ!」
「「陛下ッ!!」」
悲鳴と共にバーヴァン・シーが彼女の体を抱き留め、バーゲストとメリュジーヌが叫ぶ。
降り立ち、駆け寄ってくる彼女達の足音を聞きながら、モルガンはゆっくりと口を開く。
「…………あぁ、バーヴァン・シー……」
震える腕で受け止めた体が、少しずつ冷たくなっていく。バーヴァン・シーを庇って受けた一撃は、モルガンの体を文字通り抉り取った。生命活動の核である心臓もその範囲に含まれてしまっており、そこから溢れ出る鮮血が、彼女の命を刻一刻と死へ近付けていく。
神経も筋肉も、体内にあるものを抉り取られた痛みは筆舌に尽くしがたいものだろう。しかし、それでも心の底から安堵したようなモルガンの声が、バーヴァン・シーの耳朶を震わせる。
「良かった……貴女が、無事で……」
「しゃべっ、喋らないで……血、血が……ッ!」
ぐちゃぐちゃになった思考回路を必死にまとめながら、必死に両手でモルガンに開いた風穴を塞ごうとするが、バーヴァン・シーの手ではとても塞げない。
―――このままでは死ぬ。女王が、モルガンが。この國を支え、自分を愛してくれた、彼女が。
「いいの、です……。貴女さえ、生きているのなら……」
だくだくと風穴から血を溢れ出しながらも、モルガンの口からは言葉が吐き出され続ける。
それにバーヴァン・シーが再び「話しては駄目」と言おうとするが、「聞いてください」と短く告げられ、開きかけた口を閉じた。
「私は貴女を……ずっと見てきました。ずっと、ずっと、昔から……」
そして、モルガンは語り始める。
かつて、自身が救世主トネリコと呼ばれていた事。
多くの友と出会い、数々の戦いを乗り越えた事。
その中で出会った、一人の妖精。
周りから慰み者として扱われ、そして存在の摩耗と共に消えていく、幾人もの同一の妖精。
罵倒と軽蔑、拒絶しか向けてこなかった妖精達とは違う、心からの感謝を捧げてくれた、彼女。
何度も探し、何度もこの手から取り零してきた、小さな命。
そして、女王になってからしばらくした後、再び彼女を見つけ出した。
まだ手遅れではない、適切な処置を施せば救える彼女を、自分は助けた。
「それが、貴女です。貴女こそ、私の希望そのものだった……」
かつて、汎人類史に生きたもう一人のモルガンより与えられた、魔術の知識とブリテンへの執念。
しかし、バーヴァン・シーへの愛と感謝は、彼女に齎されたそれらを容易く上回った。
そうだ、彼女なら。
彼女になら―――この國を託しても構わない。
「バーヴァン・シー、我が、愛しき娘よ……。貴女に、戦う覚悟は、ありますか……?」
「……ッ」
徐々に光を失っていく瞳に見つめられながらの問いかけに、思わず息を呑んだ。
覚悟は、ある……
だが―――
「わ、私は……」
―――未熟だ。
相手の挑発に容易く惑わされ、こうして護るべき相手に護られてしまった。しかもその相手は、今すぐにでも死んでしまいそうな状態になっている。
―――こんな自分に、これまでのような戦いが出来るのか。
―――この未熟さを抱えたまま、戦い続けていいのか……?
満足な回答を出せず俯くバーヴァン・シーに、モルガンの声がかけられる。
「見つけなさい、バーヴァン・シー。この私の娘ならば、必ず見つけ出すのです」
有無を言わさぬ言葉。悩む事を許さない、まさしく頂点に相応しい声色―――けれど。
微笑みと共に与えられたそれは、失望でも怒りでもなく、優しさから来る
「……大丈夫。貴女ならば、必ず出来ます。それでももし見つからないのであれば、これまでの記憶を思い出しなさい。覚悟を決める切っ掛けは、必ずそこにあります」
「これまでの、記憶……」
言われ、思い出す。これまでの数々の記憶を。
モルガンの娘としてキャメロットに招かれ、彼女の騎士として過ごした日々。
バーゲストとメリュジーヌに劣る自分が許せなくて、カリアに師事した事で始まった、血の滲む特訓の日々。
彼女達に負けない力を手に入れても、自分の好きなものも見つけても、敬愛する母の為に努力を怠らなかった日々。
多くの苦難があった。が、同時に幸福もあった。すれ違っていた母と正面から言葉を交わし、彼女の真意を知れた。
(……そうだ。私は……)
ただ、あの尊い日々が好きだった。良い事も悪い事も、全てひっくるめて好きだった。
それを与えてくれた彼女の為に、自分は戦い続けてきた。その彼女は、もう間もなく死ぬが……彼女に与えられた大切な記憶は、今もこの身を動かす原動力となっている。
彼女から受け取り、自身で獲得した記憶は、いつしか心の灯となり、真っ暗な未来を突き進む道標となっていた。
「……お母様。私は、まだまだ未熟です。不安な事も、怖い事も、たくさんあります。この先も、きっと悩むでしょう」
でも、もう大丈夫。
「―――それでも、進みます。貴女から、仲間達から受け取った思い出を光にして、進んでみせます。たとえ、辿り着く先が嵐の吹き荒ぶ荒野であろうとも、必ず」
「……フッ」
バーヴァン・シーの提示した答えに、モルガンは小さく笑い声を漏らした。
「それで、いいのです。存分に悩みなさい。その全てが、貴女を導く光となり、進む道となるでしょう」
そう言って、モルガンは徐に自身の右手を持ち上げ、己に残された魔力をかき集める。
そうして出来上がった
「バーヴァン・シー……我が、愛しき娘よ……。貴女こそ、新たな―――」
そっと頬を撫でた手が、落ちる。
瞼を閉じ、心から安心したように微笑んだまま動かなくなった彼女。そんな彼女に、バーヴァン・シーは「ありがとう、お母様」とこれまでの感謝と共に告げながらゆっくりとその体を横にし、立ち上がる。
「……お母様。私は必ず、なってみせます。貴女に誇れる私に―――ッ!!」
彼女から受け取った
瞬間、そこから溢れ出した膨大な魔力が彼女の全身を包み込み、その外見を変化させていく。
一見すれば十代の少女と見紛う肉体は、二十代前半の大人のものへと。ゴア・マガラとリンクした事で変化していた服装は、白黒のプレートとアクセサリーはそのままに、より煌びやかドレスとなってその身を覆う。
「なに……ッ!?」
消えていく魔力の奔流の奥から現れたバーヴァン・シーに、オベロンが驚愕の視線を向ける。
そんな彼の動揺など歯牙にもかけず、バーヴァン・シーは絆石を装着している右手を暴走している相棒へと向ける。
「……仕切り直しだ。戻ってこい、カリア」
禍々しい赤き光から、清らかな青い光へと戻った絆石が一際強く輝けば、敵味方関係なく暴れ続けていたゴア・マガラが顔を主へ向け、大きく跳躍する。
空中を駆けていくその身は、混沌に歪められたものから、本来あるべき姿へと。相反する力に苦しむ竜は、純白の力を有する龍へと変化し、主の背後へと降り立った。
虹色に輝く翼膜を持つ巨大な翼と、独特な光沢を持った真白の外殻。完全な成熟を果たした事で視覚器官としての機能を獲得した眼は、心身共に大きな成長を遂げた相棒に向けられている。
「悪かったな、カリア。お前を暴走させちまって。……でも、それもこれまでだ。今度こそ戦おう。最後まで一緒に」
「キシャハハハ」
「テメェって奴は、変わんねェなホント……。でも……あぁ、それでこそ私のサーヴァントだ」
誰もが動きを止める中、バーヴァン・シーは相棒の軽口に苦笑する。
しかし、その立ち姿に一切の油断はなく、その身から放たれる威圧感は周囲を圧倒し続ける。
(……ッ! そう、なんだね……)
そして、その立ち姿を見たルーツの脳裏には、かつての記憶が過っていた。
異邦より襲来した邪悪な神を相手に戦った者達のリーダー―――アンナ・ディストロート・シュレイドを始め、その後世に生まれ、時代を駆け抜けていった者達。彼らが有していた、時代を切り拓く覇気。
王者の気質。支配者の風格だ。
「みんな、バーヴァン・シー達を援護しなさいッ! 彼女達こそ、勝利に繋がる鍵よッ!!」
ルーツが叫べば、立香達は瞬時に意識を切り替え、視線をオベロンへ向ける。
多くの眼光に貫かれたオベロンは忌々し気に眉を顰め、そして、笑った。
「上等じゃないか。だったらその鍵ごと、塗り潰してやる……ッ!!」
噴き上がる暗黒の魔力。その中に混ざり込むのは、黒紫色の“凶気”と蒼色の“凶光”。同胞としてこの地に招かれた二体の龍が有する二つの異なる力がオベロンにさらなる力を与え、その身をより異形のものへと変質させていく。
人間と竜の中間に位置していた肉体は、最早人型の竜のものへと変わり、背中や肩から突き出た黒紫色の結晶が妖しく明滅する。顔面を始めとした、人間らしさの残っていた箇所は竜のそれへと変化し、開かれたアギトの隙間から鋭い牙が除く。
今までよりも強力な気配を漂わせるオベロンだが、しかしバーヴァン・シーは不敵に笑った。
「そう簡単に負けるかよ。行くぜカリア―――竜狩りの時間だッ!!」
「キシャァアアアアアアアアッッ!!!!!!」
新生したバーヴァン・シーの背後に控えるは、光への転生を果たした古龍―――“天廻龍”シャガルマガラ。
最高到達点へと至った両者は、満面の笑みと共に駆け出した―――。
・『オベロンの挑発文句』
……今作のオベロンは原作同様、モルガンの作った妖精國は悪くないものだと思っている。しかし、そうであるが故に、彼女を愛するバーヴァン・シーを挑発する為には敢えてそれを貶す必要もあるとは判断してのあの文句である。結果としてバーヴァン・シーは見事にその挑発に乗り、モルガンを殺害する事に成功した。……が、それがバーヴァン・シーの新生に繋がってしまったので台パンものである。
・『妖精妃バーヴァン・シー』
……未熟故にモルガンを喪ったバーヴァン・シー。しかし、死に際の彼女との問答の末、彼女より正式に王位を継承した。この世界における、妖精騎士バーヴァン・シーの最高到達点。心身共に成長を果たした事により、外見年齢も成人したものへと変化しており、また王位継承を果たした事で魔力・戦闘能力共に大幅に強化されている。
―――女王に愛されし騎士よ。輝かしき記憶の導きの下、暗闇の荒野を征け。
・『“天廻龍”シャガルマガラ』
……英霊となったカリアの霊核に刻まれたマガラ種の一つ。オベロンの策略により混沌に呻くゴア・マガラとなってしまったものの、バーヴァン・シーが妖精妃として新生した影響によりこちらも新生を果たした。
意識も完全にカリアのものとなっているので、人語を話せなくともバーヴァン・シーと会話が可能。
ちなみに、バーヴァン・シーが「変わんねェなホント」と返した彼女の言葉は、「それにしてもいい外見になったね。前の姿も良かったが、こちらも実にいい。この後どうかな? こんな体だが、忘れられない夜にしてあげるよ?」である。
なぜかは知らないのですが、この二週間でお気に入り登録者数がじわじわと増えています。まさかと思いランキングを確認してみたもののこの作品の名はなく、本当に謎です……。ですが、このような拙作をお気に入り登録にしてくれた方々にも満足していただけるような作品にしていきたいと思いますッ! モチベーションアップですッ!
次回こそ本当にオベロン戦終了ですッ!
それでは、また次回ッ!