今回はオフェリアサイドです。
今回のイベントいい……。ミニサーヴァント達かわいい……ミニ牛若かわいい……。見た目水着邪ンヌなのに中身はサンタ・リリィなのはやめて下さい。ダイナマイトボディで抱き着かれると理性が溶けていく音が聞こえていくので離れてくださいお願いします(もっとくっついて)。エリちゃんズは……うん。はろうぃん。
独自設定が(読者達に)牙を剥くッ!
シュレイド異聞帯。人類が霊長の王となれず、最高位の幻想種である竜が支配者の座に収まった歴史。故に人理は成立せず、竜達の時代が続いてきた魔境。
その中心に位置する廃墟と化した古城に、私―――オフェリア・ファムルソローネはいた。
「あの“モンスターハンター”の世界に、私がいるなんてね……」
古くから語り継がれる伝説の時代。自然との調和を生業とする狩人達が繰り広げる、命の物語。魔術を知らない一般人は当然として、魔術も使わずに腕っぷし一つで強大な竜種に挑むハンター達に憧れを抱く魔術師は少なくない。キリシュタリア様だってその一人だったのだから。こう言う私も“モンスターハンター”の世界観は好みの部類に入る。臨場感溢れるハンターの物語も好きだが、私が気に入ったのは彼らの使命だった。
彼らは狩人ではあるが、密猟者ではない。必要以上にモンスターの命は奪わず、奪った命に責任を持って自然の恵みを賜る。
彼の時代の人類は、自分達がこの星の頂点に君臨する種族だとは思っていなかった。自分達はあくまで自然界の一部であり、弱肉強食の枠組みを外れない存在であると捉え、脅威であるはずのモンスター達を絶滅に追いやらなかったのだから。
(でも……)
この歴史には、ハンターがいないのだろう。まだ見ぬこの世界の人々は、いつ来るかわからない脅威に対し怯えているのだろう。だからこそ、この世界は剪定されてしまった。
私がいるこのシュレイド王国に生きた民のように、竜達に蹂躙される他ない世界になってしまったのだ。
所々崩れてはいるが、行動する分には問題ない廊下を歩く。付近には私しかいないのか、コツ、コツ、と私の靴音だけが響き渡り、立てかけられた蝋燭の明かりが私の巨大な影を壁に映し出している。
「これは……凄いわね」
階段を上り、テラスから外を眺める。
シュレイド城や廃墟と化した城下町の所々から巨大な結晶が突き出しており、一目見ただけでそれが高純度の魔力を纏っているのがわかる。その影響だろうか。どこからともなく力が湧いてくるような感覚に襲われる。
試しに簡単な身体強化の術式をかけて体を動かしてみると、カルデアでの戦闘訓練でやってたのが馬鹿みたいに思えてくるほどのものだった。この状態でカルデアの戦闘訓練を受けたら、間違いなくハイスコアを取れるだろう。
だが、そんな事はどうでもいいと思えるくらい、この景色は素晴らしく、同時にどこか危うさを感じさせるものだった。
「でも、あの結晶はいったい……」
「―――あれか? “龍結晶”って言うんだぜ」
「ッ!?」
独り言に返事が返ってきた事に驚いて振り向くと、腕を組んだ壮年の男性が立っていた。
赤いウェスタンハットを被り、白髭を生やし、肩に白い鳥を乗せたその男は、私の隣に来て龍結晶と呼ばれた結晶に満たされた城下町を見下ろす。
「古龍の生体エネルギーが集まって、結晶化して地上に出てきたのが龍結晶さ。大抵は小石程度の大きさなんだが、ここまで大きいのはこのシュレイド王国にしかない。莫大なエネルギーを秘めてる分、この場所にはそれを求めて強力なモンスター達がやって来るのさ。嬢ちゃんも命が惜しかったらこの城から出ないようにしろよ。さもなきゃ一瞬でお陀仏さ」
「あの、貴方は……」
「おっと、自己紹介が遅れたな。俺はジェリス。キャラバン“我らの団”の団長さ。こいつはフニン。お前さんは?」
「……オフェリア・ファムルソローネです。……え? ジェリス? それって、確か……」
「お? お前さん、俺の名前を知ってるのか?」
「は、はい。小耳に挟んだ程度ですが……」
「……ッ! そうか。そいつは嬉しいッ!」
嬉しそうに笑うジェリスさんの姿を改めて見て、私は一人のキャラクターを思い出す。
外伝も含めればそれなりのシリーズがある“モンスターハンター”の四章には、先程彼が口にした旅団の名が登場する。さらに、そこの団長が彼と同じ名を名乗っていたのだ。もしや、彼もサーヴァントとして座に登録されていたのか思ったが、彼からはサーヴァント特有の濃厚な魔力を感じない。彼は生粋の人間だ。となると、彼は汎人類史と異なり、現代に生を受けたのだろう。異聞帯と汎人類史の相違点はこういうものもあるのか。
「それにしても、お前さんがアンナ嬢の言ってたオフェリアか」
「アンナの……親友の事を知ってるんですか?」
「おうとも。俺達がこの城に来れたのもあいつのお陰さ。前人未到のシュレイド城に連れてきてくれた礼をさせてくれって言ったら、アンナ嬢に『近々友達を連れてくるから、会ったら城の外には出ないよう言っといて』って頼まれてな。それだけでいいのか、って思ったんだが、あいつはお前さんの安全を第一に考えてるようだったからな。それで? お前さん、どこの出身だ?」
「出身、ですか? えっと……」
どうしよう。ここは私が産まれた汎人類史とは全く異なる歴史だ。ドイツ出身と答えても「ドイツってどこだ?」と返されそうだ。とりあえず、ここは無難に―――
「と、遠いところから、です。この異ぶ―――世界についても、あまり知らなくて……」
「ほぉん、そいつは……。ナリからしてどっかのご令嬢みたいだとは思ってたんだが、ひょっとして箱入り娘って奴か?」
「えっと、はい。そんな感じです」
酷く曖昧な答えになってしまったが、不審に思われなかっただろうか。恐る恐るジェリスさんの様子を窺うが、私の考えとは裏腹に、彼はニカッと笑った。
「そうかッ! それならたくさんの事を見聞きすればいいッ! お前さんみたいなのがうちにもいてな。これがとんでもなく卑屈な奴なんだが、やるときゃやるいい坊主なんだ。紹介してやるからついてこいッ!」
「えッ!? あ、ちょっ―――」
言うが早いか、ジェリスさんはあっという間に階段を下りていってしまった。いきなりすぎて反応に遅れながらも、私は彼の姿を見失わないよう気を付けながら彼の後を追う。
「旅ってのはいいぞ、オフェリア嬢。色んな奴と出会えて、色んな文化に触れる事が出来る。……まぁ、旅をするなんて、周りから見りゃ“異端者”なんだけどな。俺のキャラバンはそういった異常者共の集まりなんだよ」
異常者……。そうか。この世界じゃ、彼らのような者達はそういう扱いを受けているのか。外の世界に踏み出さなかった者達は、ずっとモンスターの脅威に怯えながら生きているのだろうか。かつては日曜日を嫌っていた私は、その気持ちがわかってしまった。そこから踏み出さないまま、ただ終わりを待ち続ける道を選んでしまったその人達を、私は否定できなかった。
「でもな、その度に、この世界は広いって感じさせてくれる。少し前からはよくわからん壁が出来て、そこから先の連中とは会えなくなったが、俺はいつかそいつらと会える日が必ず来ると思ってるッ! それがいつになるかはわからんけどな」
ガッハッハと笑うジェリスさんに、私の心は少し締め付けられるような痛みを覚える。
彼の言う“壁”とは、異聞帯と外界を隔てる嵐の壁の事だろう。それが消えるという事は、この異聞帯が消滅する時かもしれないのだ。それを知った時、彼はなにを思うのだろうか。
一瞬、それについて訊きそうになって口を開きかけたが、この世界が剪定されるなんて事を、そこに生きる人間である彼に話す気にはなれなかった。
「おい、お前らッ! アンナ嬢の友達が来たぞッ!」
勢い良く開け放たれた扉の向こう。広場と見紛う大ホールにいた者達の視線が一斉に動いて私を見た。
「お前が……アンナの言っていた友人か……」
「わぁ~、とっても綺麗な人ッ!」
「ほぅほぅッ! あんたさんがオフェリアかい。こりゃ大層な別嬪さんだわい。ワッハッハッ!」
「わぁ……これまた凄い美人さん……ッ!」
「紹介しよう。まずはあそこのでっかい奴は俺の親友のクツロナ。隣にいるのはその自称弟子のリル。そこにいる爺さんはヴェニス。んで、そっちの眼鏡っ子はソフィアだ。個性の強い連中だが、みんな頼りにな―――ん?」
そこでジェリスさんが首を傾げ、顎に手を当てた。
「なぁ、シャンマと新入り達はどこに行ったんだ?」
「魚を……釣りに行った……。晩飯は……魚料理だと……」
「て事はあそこか。よし、オフェリア、悪いがもうちょっと付き合ってもらうぞ」
「はい。どんな人達なのか、楽しみです」
ジェリスさんのキャラバンのメンバーは、ここにいる面々だけでも皆優しい人物達だとなんとなく感じ取れた。クツロナさんとヴェニスさんは耳が尖っていたり、ヴェニスさんにいたっては指が四本しかなかったので、彼らは汎人類史の歴史にある彼らと同じく竜人なのだろう。
燭台に立てられた蝋燭が照らす階段を降りていくと、大ホールよりも広い場所に出た。
「ここは……」
「地底湖ってやつさ。ここには色んな魚がいてな。……お、あそこにいたか」
ジェリスさんの視線を追うと、そこには―――
「
「……退屈なのはわかるニャルが、これも釣りの醍醐味ニャ―――」
「
「……キャスター。頼むから静かにしてくれ……。集中が途切れ―――」
「
「―――」
扉を閉め、スタスタと上階まで戻る。
……なに? あれ……。なんか、見覚えのある人がいたんだけど。
「オフェリア嬢? どうした?」
「い、いえ……。さっき、変なものを見た気がしたんですが……すみません、もう一度見てきます」
「お、おう……」
自分からしても早口で言ってるな、と思いながらも、再び地底湖へと続く扉をそっと開け、奥の様子を窺う。
「どれだけ釣ってもサバ、サバ、サバ……。退屈する気持ちもわかるニャルが、これも生きる為ニャル。我慢するニャルよ」
「皇女たる
「そう言うならキャスターも―――ッ!? う、おぉッ!? こいつは……ッ!」
「これは……大物ニャルッ! 頑張って釣り上げるニャルッ!」
釣り糸に括りつけられた餌に食いついたであろうなにかの力が予想以上に強かったのか、一瞬釣り竿ごと一緒に水中に持っていかれそうになったところをギリギリで踏ん張り、青年は歯を食い縛りながら釣り竿を握る。
釣りについては左程詳しくない私であるが、彼の隣にいる猫っぽい生物の言うように、餌に食らいついたのは大物なのだろう。
「もう少しニャルッ! あと少しで……ッ!」
「いけるかしら? 私のかわいいカドック?」
「これは証明だ。僕にも大物が釣れるってね……ッ! オオオオオォォォッ!」
いや、なんで本気顔でそんな事言ってるの……? これ、釣りよね? 殺し合いじゃないのよね……?
絶句しながら見つめる先で、彼は遂にその大物を釣り上げた。
―――釣り上げた青年よりも少し大きい、巨大なマグロを。
……え? マグロ? 基本的に海を住処にしているマグロが、なんで地底湖なんかにいるの?
「ドス大食いマグロニャルッ! カドック、お手柄ニャルッ! 今日の晩御飯は豪華になるニャルよッ!」
「キャスター、頼めるか?」
「いいでしょう。頑張ったお礼よ、マスター」
皇女殿下に抱えられた人形から放たれた冷気が青年に抱えられているマグロを氷漬けにしていき―――ついでに青年の両腕も凍らせた。
「冷たッ!? キャスターッ!?」
「あら、ごめんなさい。わざとじゃないのよ? 本当よ?」
まさか自分の両腕も凍らされるとは思っていなかったのか、焦った様子の青年に対し、皇女殿下は「ふふふ」としてやったりといった笑い声をあげている。絶対意図してやったのだろう。確信犯だ。い、いや、気にするべき点はそこじゃなくて。
「……貴方、なんでここにいるの?」
「ファムルソローネ? なんで……あぁ、なるほどな」
「……もしかして、貴方も?」
「あぁ、アンナの奴に連れてこられた」
なるほど。なぜここに行方知れずだった彼―――カドック・ゼムルプスがいるのか謎だったけど、アンナが連れてきたのね。あの子、私以外にもクリプターを自分の異聞帯に抱えていたとは……。
「お前がここにいるという事は、北欧異聞帯は……」
「えぇ。カルデアに滅ぼされたわ。……でも、驚いたわね。貴方だけじゃなくて、皇女殿下もいらっしゃるだなんて」
「…………あぁ」
頷くカドックだが、その顔はどこか暗い。怪訝に見つめる私に、彼の隣にいた皇女殿下が代わりに応えた。
「
「記憶を?」
サーヴァントとは英霊の座に刻まれた英雄達の影法師。大元である英雄のコピー体であるサーヴァントが消滅した際、その記憶は座の本体に記録としてフィードバックされるらしいが、こことは異なる並行世界で召喚される事もあるため、その記録は膨大だ。故に“同一の英霊をベースにしたサーヴァント”が“同じクラス”で再召喚されたとしても、現界の際にはそのほとんどを忘却してしまう。一度失ったサーヴァントともう一度で会えたとしても、それは“同一人物の別人”なのだ。
だから、別人である彼女がロシア異聞帯での
「……それで、そろそろ自己紹介してもいいニャルか?」
「え? あっ、ご、ごめんなさい。知り合いに会ったものだから、つい……」
私達の会話を邪魔したくなかったのか、今まで黙っていた猫っぽい生物が声をかけてきた。忘れてはいけない存在を忘れていた……。
「私、キャラバンの料理番をしているシャンマニャルよ。よろしくニャル」
「オフェリア・ファムルソローネよ。よろしくね、シャンマ。……ところで、貴女はアイルー、なのよね?」
「その通りニャル。よくわからない事を言うニャルね。この見た目でアイルーじゃなかったら、私は何者ニャルか」
あぁ、やっぱり。外見的特徴から何となく察していたけど、これがアイルーなのね。太古の昔に存在したモンスターの一種だが、他種族とも積極的に交流を深めようとする友好的な種族で、彼らの力を借りてモンスターを狩猟するハンターもいたのだとか。ネコ科の祖先と考えられており、化石や文献でしかその情報を確認できなかったが、こうして直接顔を合わせてみると、やはり大きい。頭が私の腰よりちょっと上ぐらいにある。それはそれとして……。
「シャンマさん、少しお願いを聞いてもらってもいいかしら」
「呼び捨てでいいニャルよ。なんニャルか?」
「その……撫でてもいいかしら? 私、一度でいいからアイルーを撫でてみたかったの」
「アイルーがいない場所とは、不思議な場所ニャルね」
そう言いながらも、シャンマは頭を差し出してくれる。では、失礼して……。
「…………おぉ」
柔らかい毛並みについ息が漏れる。
どうしよう。これ、すっごい気持ちいい。撫でてて幸せな気持ちになってくる。も、もう少し撫でてもいいわよね。
「中々いい撫で方ニャルね。でも、ここまでニャル」
「えッ!? そ、そんな……」
「そんな顔やめるニャル。これから夕飯を作るニャルから、それが終わったらいいニャルよ」
「わかったわ。必ずよ。約束だから」
「約束ニャル。カドック」
「……キャスター、そろそろこの氷を溶かしてくれないか? このままじゃ僕の腕ごと料理されかねない」
「いいんじゃないかしら? 私の中にカドックがいる……。幸せな事だと思うんだけど」
「はッ!?」
「ふふふ、冗談よ」
「俺が持って行ってやるよ」
「結構だ。これは僕が釣り上げたんだ。僕が運ぶ」
「頑固な奴だなぁ」
皇女殿下に凍った両腕を自由にしてもらい、カドックは未だ凍ったままのドス大食いマグロを抱えて上階に上がっていく。私も戻ろうと思ってその後を追おうとすると、「もし」と皇女殿下に声をかけられた。
「貴女も取り憑かれてしまったのね。あの毛並みに」
「……もしかして、貴女も?」
「えぇ。
「……ッ! はい、こちらこそ、よろしくお願いします。皇女殿下」
「アナスタシアで構いません。
差し出された手を握る。あの毛並みに魅入られた者同士、仲良くやっていけそうだと、私は感じたのだった―――
「なんか寒気がするニャル……」
この作品では高純度の魔力の塊という設定にしている龍結晶を鉱石科のロードや学生が見たら嬉しさのあまり発狂しそう(小並感)。
“我らの団”団長の名前はイギリスの海洋探検家ジェームズ・クックとイギリスの冒険家グリルス、白い鳥は北欧神話のフギンとムニン、加工担当はニュルンベルクの鍛冶師クンツ・ロクナー、竜人商人はシェイクスピア著『ヴェニスの商人』、屋台の料理長は中国語で『食事』を意味するシャンシーと『母』を意味するマーマから取りました。加工屋の娘は海外版MH4Uで「リル」という名前があったので、そのまま流用しました。ソフィアは公式で発表されてましたからそのままです。
シュレイド異聞帯の団長と受付嬢は汎人類史の彼らと違って王立学術院やギルド所属ではありません(というよりそれら自体存在しない)。異聞帯の“我らの団”は団長に惹かれてメンバーが集まってできたという感じです。
アナスタシアについてですが、彼女はロシア異聞帯でのカドックとの記憶を保持していますが、当時の彼女のままではありません。精神は汎アナと異アナが混ざり合ったような感じです。アンナがカドックをシュレイド異聞帯に連れてきた時、「残ってる」って言いましたよね。この作品ではそのほんの一欠片が再召喚されたアナスタシアと混ざり合い、こうなったと考えていただければ。
ガッデムボーリング……ガッデムホットを基にしましたけど、語感が悪いですねぇ。
カドアナしゅき……早く結婚して(カプ厨脳)