唐突に聖杯戦線が始まったので絆ヘラクレスで無双しました。ドーモ=ミナサン、seven74です。やっぱ絆ヘラクレスが最強なんだワ。
この作品でも早く「やっちゃえ、バーサーカー」やりたいんですが、やっちゃったらマジでシャレになんないんで機会を見てですね、はい。
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芥ヒナコ―――時計塔
芥ヒナコは偽名。真名を虞美人。中国では“虞姫”としても語られる存在である。さらに言えば、彼女はヒトに近しいが、決してヒトとは相容れない存在―――吸血種の上位“真祖”と呼ばれる者であり、地球の内海から発生した表層管理の端末が受肉した精霊の一種である。
ヒナコは精霊であるために寿命を持たず、世界の終末まで歩き続けなければならない哀れな女性である。しかし、そんな彼女にも、“光”となる者が存在した。
項羽―――汎人類史の伝説では秦王朝を滅ぼし、劉邦と次なる天下を争ったと語り継がれている覇王。残虐非道な虐殺の数々、無敵の武勲を誇りながらも首尾一貫しない政策で自陣営を自壊させていった様などは“匹夫の勇、婦人の仁”と揶揄されるほどの人物。虞美人として妻に迎えたヒナコがそうであったように、彼もまたヒトではなく、始皇帝が仙界探索の際に持ち帰った回収した哪吒太子の残骸を元に設計した高速演算能力を持つ人造人間である。
しかし、まさに“魔王”と呼ぶべき彼が行った様々な所業を目の当たりにした当時の武将達により、項羽は戦死。ヒナコは愛する夫を失った哀しみに塗れながら、永遠とも捉えられる時を生き続けてきた。
そして、不老不死の存在である彼女の噂を聞きつけたのか、聖堂教会から代行者を差し向けられ、“もう生きているのも疲れた”と諦めかけたその時、
「まさか、私以外にもガイア側の子がいたなんてね。君、名前は?」
それこそが、それぞれが達人クラス。場合によっては人外クラスにもなるとされている強さを誇る代行者を、たった一発の雷撃によって消滅させた彼女―――アンナ・ディストローツとの出会いだった。
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「……なるほどねぇ。彼にまつわる噂は聞いてはいたけど、君が虞美人だったなんてね」
満月が照らす森の中。パチパチと弾ける焚火から視線を外す。
「……貴女の力なら、私を殺せる? “祖龍”」
それは、懇願にも等しい言葉だった。遠い昔―――それこそ私がまだこの
「その名前で呼ばないでよ。もう、そう呼ばれるほどの力を私は行使できないんだから」
「……そう」
代行者を消滅させた雷撃は、もう撃てそうにないらしい。それほどまでに、彼女は神秘が薄れていく時の中を過ごしてきたのだろう。いや、この場合は、よくここまで残っていたものだ、と思うところだろうか。神代から人の世に移り変わって久しく、これほどまでの力を使える者などそうそういやしない。
私はこの世を去る絶好の機会を逃したという事か。彼女ならば、私を項羽様の下へ送ってくれると思ったのだが、その為の力がないのなら諦めるしかない。
「……貴女は、これからどうするの?」
「私? 私は人類を見定めるだけだよ。彼らがどこまで成長するのか、楽しみだもん。ぐっちゃんは?」
「ぐっちゃんって……。……どうしたいのかしらね、私」
「じゃあさ、しばらく私と旅してみない?」
「旅?」
「うん。一人でいると退屈な時もあってさ。君さえよければ、一緒に旅をして、色んなものを見てみようよ」
「…………悪いけど、断らせてもらうわ」
私は、もちろん即答で返した。
「え、えぇッ!? なんでよッ!?」
「項羽様を殺した時点で、人類は仇みたいなものよ。貴女についていったら、間違いなく奴らの文明に触れる事になる。そんなの御免よ」
私が不老不死だと気付いた時の人間達の反応は決まって、羨望や畏怖だった。中には代行者を派遣してきた聖堂協会のように、人類側から見れば化け物である私を狩ろうとする者までいた。死ぬならそれはそれで黄泉の国で項羽様と再会できるのでいいが、私を完全に消滅させられる相手なんて目の前にいる
私の気持ちを察したのか、アンナは目に見えてしゅんとした。
「そっか…………。うん、わかった。それなら私はなにも言わない。ごめんね、辛い事思い出せちゃって」
「いいのよ。私も、久しぶりに動物以外と話せたし」
自然から漏れ出た精霊である私は、直感的とは言え動物達の考えている事がわかる。しかし、こうして私と同じ
そこからはお互いの話をしながら夜を明かした。アンナは弟妹がまだ生きていた頃の話を語り、私は項羽様との思い出話を語った。お互い、家族愛が強かったらしく、久しぶりに有意義な時間を過ごす事ができた。
一夜明けた後、私達は再会の約束を交わし、それぞれの旅路についた。
それから、二千年程経った頃―――
「ぐっちゃああああああああああああああああんッッッ!!!」
「いきなり飛びついてくるなッ!」
マリスビリー・アニムスフィアの推薦を受けてやって来た時計塔で、私は彼女と再会。後に彼女と共にカルデアに就職し、あの男によってAチームに選抜された。
そして何者かが仕掛けた爆弾によって私達は一度死亡。ヴォーダイムの望みを聞き入れた“異星の神”によって蘇生されたのだった。
ようやく死ねたのなら、“異星の神”による蘇生を拒む―――という手もあったが、異聞帯という存在を聞いた私は、一縷の望みに賭けたくなってしまった。
異聞帯―――汎人類史の継続の為に剪定された、あり得たかもしれない歴史。
空想樹を育てろ、と“異星の神”は、キリシュタリア・ヴォーダイムは言う。だが、知った事か。
異聞でもいい。私はもう一度、あの方と共に在れるのなら―――それだけでも、ようやく手に入れた死を手放すに足る理由になった。
他の異聞帯に呑み込まれるなら、それでも構わない。
この地が消えるのなら、それでもいい。
私は今度こそ、あの御方と最期まで在り続ける。それだけが、私の望みなのだから。
……だというのに。
「まさか、失敗しただなんてね……。ホンット最悪だわ」
『まぁまぁ。コヤンスカヤも珍しく名誉挽回の為に奮闘するらしいし、好きに使ってあげればいいじゃない』
私を宥めてくるホログラムのアンナの言葉に、珍しく本気でげんなりして私に暗殺に失敗した事を報告してきたコヤンスカヤの姿を思い浮かべると、無性に殺意が湧いた。
少し前の定例会議で私が退席した後、ベリルの依頼を受けたコヤンスカヤはカルデアのマスターの暗殺に向かったのだとか。手段は毒殺。まぁ、安易にカルデアのマスターを殺すのならこれ以上の手はないだろう。シールダーのサーヴァントであるマシュの護りを瞬時に突破するのはさしもの彼女も難しいだろうし。
しかし、結果は失敗。人一人なら問題なく殺せるであろう毒を混ぜたショートケーキを配置したところ、新たに来たカルデアの新所長とやらが半分食べてしまい、暗殺は叶わなかったのだとか。
……いや、失敗した経緯はどうでもいい。私が彼女に殺意を抱いた理由は他にある。
あろう事か、あいつはこの秦にしか存在しない扶桑樹を素材に作られる毒を使って暗殺しようとしたのだ。それが失敗に終わった今、連中が次に向かう異聞帯など猿でもわかる。この中国異聞帯だ。
しかも、名誉挽回の為だとコヤンスカヤもこちらにやって来るとの事。もう最悪の一言に尽きるが、彼女がカルデアを壊滅させてくれるのなら、こちらとしても好都合だ。最大の不安要素であるカルデアを、この地で完全に滅ぼす。そうすれば、項羽様との安寧に浸れるのだから。
「それより、貴女がこの前言ってた“提案”だけど、本当に約束を護ってくれるのよね?」
『もちろんだよ。カドック君達が対処できなさそうな事態が起きた時には、君達の力を借りる事になるかもしれないけど。そんな状況なんてまず起きないだろうけどね』
「ならいいのよ。いい? くれぐれも項羽様を戦場に出させないで。私はもう、あの御方を喪いたくないの」
『わかってる。それに、彼が相手しなきゃいけないほどのモンスターが出たのなら、それは王にとって良い餌になるだろうし』
「なにもかも利用するってわけね。それほどまでに、貴女はシュレイド異聞帯を……」
彼女の目的は一応本人から聞いている。荒唐無稽な笑える話で、それが実現する可能性は皆無に等しいだろう。仮にこの戦争で勝ち残ったとしても、世界はそれを許すだろうか。だが、あまりにも単純すぎる目的が故に、「アンナらしい」と思わざるを得ない。
まぁ、そんな事はどうでもいい。私は項羽様といられればそれでいいのだから。
「……まぁいいわ。約束を護ってくれるならそれでいい。こちらも準備を進めておくから、なるべく早く来なさいよ」
『はいは~い』
通信が切られ、アンナのホログラムが消える。それで軽く息を吐き出すと、「お疲れ様です」と傍らで立たせていた仮面の剣士から労いの言葉がかけられた。
「あの御方がアンナ・ディストローツ―――“祖龍”ミラルーツですか。話は以前から伺っておりましたが、まさしくその通りの方でしたね」
私が彼女と会話している間、私から聞いた情報とホログラムの彼女から得られる印象を照らし合わせていた男の名は、蘭陵王。中国は南北朝時代、北斉に仕えた武将の一人。その美貌と勇壮さで“貌柔心壮、音容兼美”、“斉の軍神”と讃えられ、賜ったものは果物一つといえども部下達と分け合ったという逸話を持つ。しかし、出る杭は打たれるという諺の如く、それを疎んだ者達の
彼は中国異聞帯にやって来た私が召喚したサーヴァントだ。
「高長恭。お前から見て、あいつはどのように見えたか?」
「強いて言えば、貴女のような方、ですかね。子どものようだと思えば、まるで大人のような……そのような雰囲気を感じました」
「……それはいったいどういう事か、説明してもらいたいな」
「項羽殿を前にした貴女は、まるで年若い乙女のようでした。しかし、それ以外となれば目の前にある現実を俯瞰し、自身がどう動くべきかを判断する……。そこが、アンナ殿と似通っていらっしゃったので」
「あり得ない、と言いたいが、お前の言っている事も事実だ。根本的な作りが違うと思っていたが、私とあれは案外似ているのかもしれんな」
「彼女が来た暁には、お前も共に来るか? 尤も、同行したが最後、お前は彼女にこき使われる事になるだろうがな」
「それは、私の支配権を彼女に譲り渡す、という事ですか?」
「マスターは私のままでいいのだそうだ。彼女の理想の実現の為には、
「……それは、悪行と呼べるものでしょうか?」
「どうだか。だが、誰かを悲しませるものではない、とだけは言っておこう」
そう答えると、「ほぅ」と高長恭の口から小さな言葉が漏れた。
「それは実に、興味深いですね。貴女が許可してくだされば、彼女の申し出も引き受けましょう」
「承諾するかどうかはお前に一任する。如何に
思考を切り替える。そう、まずは邪魔者の排除からだ。
カルデア。八つの異聞帯の内、二つを滅ぼした組織。空想樹育成や異聞帯の拡大なんぞに興味はないが、最大の不確定要素である彼らだけは潰さねばならない。
「ここで滅ぼし尽くす―――カルデアも、そのマスターも」
拳を握り締め、紅の月下美人は決心するように口にするのだった。
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白銀の球を無数に侍らせた一つの影が山頂に降り立ち、眼下に広がる大地を睥睨する。
時代も場所も、さらには経た歴史さえ異なるこの地に喚び出されたが―――なるほど、確かにこの異聞は剪定せねばなるまい。
その者にとって、文明というものは理解できないものだ。この命が尽きるその時まで、自由に生きたのだから。
竹林を見下ろす。そこから漂う気配から、同胞もこの地に姿を現したのだろう。奴と組み、この地を蹂躙せよ、というわけか。
「グルオオオオォォォォォッッッ!!!」
―――人智統合真国シン。
―――そこは永久の平穏を享受する、安寧と調和が続く泰平の大地。
―――其は過ぎ去りし日の幻影。古の厄災が、寧静に牙を剥く。
最後のモンスターがなにか、皆さんはもうお判りですね? はい、あいつです。ここの王の特性上、こいつを出すのもいいかと思いまして。もう一頭は場所的に良いかなと。フロンティアとかの外伝的な作品のモンスターをどうしても出したいなぁ、と色々考えた結果、こういう形で出そうと思いました。
なんでガイアが今になって腰を上げたって? 忘れてませんか? この作品が見切り発車という事を……。つまりそういう事です。