【更新停止中】緋雷ノ玉座   作:seven74

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 皆さんこんばんは、FGOACの方で最後の特異点「臨界繁栄都市バビロン」が実装予定という話を聞き、いよいよラスボスマザーハーロット説が濃厚になってきた現状にワクワクしているseven774です(しかしこの男、ACやってない)。

 とりあえずライズは里クエ&集会所クエをクリアしました。

 アップデートで追加されると思いますが、新古龍の情報がもっと欲しいところですね。可能であれば平安京で出したいと思っておりますので。

 そういえば先日、落し物を交番に預けましてね。道路の真ん中にパソコンバッグがあったので、踏切で車が止まった隙に拾ったんですが、恐らく仕事道具一式が入ってたので、早く所有者の手元に戻る事を祈っています。久々にいい事をしたと思いましたね。

 今回は予定を変更して導入です。シュレイド異聞帯について少し話します。



予兆

 

 惑星とは、一個の生命体である。

 

 己が身を傷つけようとする者がいるのであれば、己が有する権能を用いて排除する、一つの生物である。

 

 星が永遠不滅の存在でない事ぐらい、この星に住む誰もが把握している。彼らにとっては途方もない先の未来の話ではあるが、いつかは自分達と同じように、この星も寿命を迎えて滅ぶと、誰もが理解している。

 

 心配する事はない。自分達は星よりも先に死ぬのだから―――それは、安堵とも言えるのだろうか。まだ生きていたいのに、星と運命を共にする事態に直面する事がない生命体達は、無意識下に安堵しているのかもしれない。

 

 だが、それがもし唐突に起きたのなら?

 

 常識の通用しない外側からの侵略に対して、今の人類はあまりにも無力だった。

 

 如何に星のバックアップを受け、誰もが知らぬ間に世界を救っているこの世界でも、埒外の侵略行為にはほとほと無力に過ぎなかった。

 

 彼らでは駄目だ。彼らでは無理だ―――そう地球(マザー)が判断したのは、侵略が行われてすぐの事だったろう。

 

 故に、失われた本来の歴史を取り戻す役目を、人類最後のマスターに課せた。

 

 だが―――まだ足りない。足りるはずがない。

 

 己が有する最強の防衛装置―――“禁忌”の古龍種が裏切った。

 

 一体だけでもこの星を滅ぼす事が可能な、最強の幻想種。別次元と言っても過言ではない、絶対強者達。

 

 彼らに対抗するには力が必要だ。かつて彼奴等を打倒した狩人だけでは足りぬ。

 

 探せ、探せ。禁忌を打ち破る者を探し出せ。

 

 場所はどこだっていい。我が手が伸びる範囲、全てを探せ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――見つけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 平凡も平凡、目を見張る才能もない。しかし勇気はある。

 

 禁忌を打ち破る者は、勇敢なる者でなくてはならない。

 

 力を与えよう。禁忌に匹敵する無類の力を。

 

 壊れようが壊れまいが構わない。

 

 ただ最後に―――禁忌を殺す事が出来れば、それで充分だ。

 

 

 

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「ここですね」

 

 

 茂みに隠されるようにされていた洞穴を発見し、蘭陵王は愛馬から降りる。

 

 ここは深い森の奥地。以前主やその夫と共に訪れた場所よりかは劣るが、木漏れ日や吹き抜ける風が心地よい、平時であれば休息日に通いたいと思える場所だが、今はその時ではない。

 

 このシュレイド異聞帯を管理する役目を背負ったクリプターから受け取った地図を広げ、バツ印が刻まれた場所と今自分がいる場所を照らし合わせ、目の前にある洞穴が目的地に続く道であると確信する。

 

 

「ご苦労様、ゆっくり休んでくれ」

 

 

 ここまで連れてきてくれた愛馬を優しく撫でると、愛馬はブルルと鼻を鳴らして消滅。今度召喚する時は、思う存分に草原を駆けさせたいと考えながら、洞穴に足を踏み入れる。

 

 彼がここに来た理由は、アンナにこの先にある村で住人の生活を支えてほしいから、と頼まれたからである。

 

 主であるヒナコが自分や項羽と共にこのシュレイド異聞帯にやって来る前、住居を提供する条件として、蘭陵王に自分の仕事を手伝ってもらうという話が出された。悪行でない限りは蘭陵王自身も反対する気は無かったため、彼女の申し出に頷いた。そして今、彼はアンナの指示を受けてこの洞穴を歩いている。

 

 アンナ曰く、今自分が歩いている洞穴以外にも存在する、この先にある村へと続く道には獣除けの結界を施しているらしく、それがこの異聞帯では絶滅間近である人類が安全に生活できるコロニーを守護しているそうだ。その点で言えば、かつて主から聞かされた、北欧異聞帯の王が巨人や氷の獣から現地人を護る為に取った行動と似ている。

 

 自然に出来たとは思えない、松明で照らされた通路を歩いていくと、周囲が純白の壁が如き岩で囲まれた村に出る。

 

 

「―――何者かね?」

「―――ッ!?」

 

 

 突然真横から声をかけられ、思わず右手を腰に差した剣の柄に伸ばしかける。が、声をかけた存在からは敵意といったものは感じ取れず、声が聞こえた方へと視線を向ける。

 

 

「ふむ、滅多に訪れない客人かと思ったが、よもやサーヴァントだったとは。君も抑止力に召喚された口かね?」

「貴方は……?」

「生憎と、既に名前と呼べるものは失ってしまってね。そうだな……“無銘”とでも呼んでくれ。君は?」

「蘭陵王と申します。此度はセイバーのクラスで現界しました」

「ほぅ……音に聞く“斉の軍神”か。君の逸話は聞いているよ。……ついてきたまえ」

 

 

 束ねた白い長髪に、サイバーチックな赤い外套を羽織った、顔の右半分に火傷の後を負った青年の後をついていく。

 

 

「貴方はどれくらい前からここに?」

「一、二か月程、といったところか。最初こそ、共に召喚されたサーヴァントと共に、空想樹伐採を目指し行動していた。……しかし、古龍種に深手を負わされてね。辛うじて撃破出来たが、私は戦線を離脱せざるを得なくなった」

 

 

 風に靡く右袖を見せつけるように動かした無銘は、そのまま歩きながら話を続ける。

 

 ここに召喚されてばかりの頃、彼は一緒に召喚された槍兵と共に空想樹伐採を目指したが、道中に炎を操る番いの古龍と交戦する事になり、なんとか無銘の固有結界と槍兵の因果逆転の呪槍で討伐せしめたという。しかし代償に、無銘は二体の古龍の大技を防ぐ為に張った障壁を貫通してきた業火によって右腕を失い、右半身に大火傷を負い、槍兵に至ってはトドメを刺した瞬間に、雄の古龍が最期の足掻きで繰り出した反撃が原因で退去してしまったそうだ。

 

 

「戦えない身となっては、この異聞帯に留まる理由はないと思い、自刃しようとしたんだがね。偶然通りがかった青年に助けられ、この村に案内されたというわけだ。以来、私はここで彼らの生活を支えているというわけだ」

「あ、無銘さんッ!」

 

 

 無銘が己の名を呼ぶ声がした方角へ視線を向ける。蘭陵王もそこへ視線を向けると、そこには子ども達と共にポポの世話をしていた一人の男性の姿があった。

 

 

「彼は?」

「先程話した、私を助けてくれた男だ。エリシオと言う」

「無銘さん、そちらの方は?」

「先刻、この村に入ってきた者だ」

「蘭陵王と申します。よろしくお願いします」

「らんりょうおう……不思議な名前ですね。僕はエリシオと言います。よろしくお願いしますね」

 

 

 人懐こい笑みと共に差し出された手を、蘭陵王は微笑みと共に握る。生前、将として様々な人間を見てきた蘭陵王であるが、彼の目で見てもエリシオは裏表のない人物のように思え、人に好かれやすい性質の持ち主だと直感的に感じた。

 

 

「そろそろ昼時だ。食事にするかね?」

「そうですね。この子達も、そろそろお腹を空かす頃でしょうし」

 

 

 ポポの子どもと戯れる少年少女達を見やり、エリシオは無銘に口を開く。

 

 

「料理は僕に任せてください。その腕では、満足に作れないでしょう?」

「申し訳ないな。頼む」

「私もお手伝いしても?」

「もちろんです。どうぞ、こちらへ」

 

 

 案内された家屋の台所に立ち、蘭陵王は無銘とエリシオと共に料理を作り始める。

 

 

「蘭陵王さんは、無銘さんと同じようにモンスターを狩るんですか?」

 

 

 包丁を手に野菜を切っていくエリシオの問いかけに、蘭陵王はどうしたものかと一瞬口ごもるが、答えないのは彼の性分に反したので、過去の記憶を基にして返事を返す。

 

 

「一度だけですが、大型のモンスターを狩った事があります。それまでは彼らの目を偲んで旅をしていましたので」

「大型モンスターを……。それは凄いですね。僕なんて、鍛えてもまだ小型しか狩れませんから……」

「落ち込む必要はない。君は、君のペースで成長していけばいい。決して無茶を働くなよ」

「わかってますって。……あ、しまった」

 

 

 なにかを思い出したのか、溜息をついたエリシオは「すみません」と蘭陵王達に頭を下げる。

 

 

「ポポのミルクを持ってくるのを忘れてました。それと、レオニダスさんに今日の稽古はお休みすると伝えてきます。少し外します」

「了解した。行ってきたまえ」

 

 

 踵を返して遠ざかっていくエリシオの背を見送る無銘に、彼の言葉にひっかかるものを感じた蘭陵王が口を開く。

 

 

「レオニダス……。もしやそれは、彼のスパルタの?」

「む? あぁ、そういえば話していなかったな。彼もこの村にいる。今はエリシオを含めた男達の指導をしてくれている」

「という事は、彼も狩りに?」

「相手は草食モンスターだがね。必要な場合には小型の肉食モンスターも狩るが、その時には私も出る。片腕だけでは弓兵(アーチャー)の名折れだが、私はどちらかというと白兵戦の方が得意でね。貴重な労働力を喪うわけにもいかないからな。さぁ、こちらへ。調理を始めるとしよう」

 

 

 そういって近くにあった家屋に入り、蘭陵王は無銘と共に料理を作り始める。

 

 

「……少し、私の想像していたものとは違いました」

「なにがかね?」

「この村の……いえ、この異聞帯に暮らす人々の在り方です。竜種が支配している世界、とは聞いていましたが、彼らもただ怯えているだけではないのですね」

「そういった場所が皆無、というわけではない。ここは私が訪れた村の中でも格段に平和と言っても過言ではない場所だ。ここは他の村からの難民を受け入れていてね。自然と、皆助け合って生活するようになっている」

 

 

 モンスターに襲撃されて村が壊滅した者、単なる自然災害で故郷を失った者―――経緯はどうあれ、この村にはそういった事が原因でこの地にやって来た者が多いそうだ。

 

 誰もが大切な家族や場所を失う哀しみを知っている。だからこそ、同じ地に集った仲間達を、共に暮らすこの地を護る為に、各々が自分に出来る事をやり通そうとしている。

 

 そういう点で、この村の近辺にレオニダスが召喚されたのは運が良かったと捉えるべきだろう。現代でも使われる『スパルタ教育』の語源となったスパルタの王を務め、力無き者達を立派な戦士に育て上げる術に長けている彼がいてくれたおかげで、肉食モンスターを狩る事になっても死傷者の数は少ない。モンスターに故郷を奪われた者達の中には、種族は違えどモンスターは憎き怨敵であると定めて無茶をする者がいたりと、まだまだ危なっかしいところもあるが、いずれは彼らだけでも小型のモンスターを狩るには充分な戦闘力を有する事になるだろう。

 

 

「その点、エリシオは上手く自分を制している。彼もモンスターに故郷と家族を奪われた者の一人でね。目の前で家族を喰われたそうだ。憎悪を抱いても不思議でないのに、彼はそれに呑まれず、ここで暮らしている」

 

 

 心優しい性格故に争いは好まないが、必要とあればモンスターの命を奪う行為も許容する―――それがエリシオという人間なのだ。

 

 必要以上にモンスターを痛めつけたりもしない。彼は生きたままモンスターに貪り食われる家族の姿を見てしまったのだ。即死だったならまだしも、まだ意識がある中臓物を引きずり出されて喰われていく痛みは想像を絶するに違いない。その痛みを、種族は違えど同じ“命ある者”に与えたくないと、無意識に考えているのだろう。だからこそ、彼はレオニダスやまだ隻腕でなかった頃の無銘に、素早く相手の命を刈り取る術を学んだ。

 

 飲み込みが早いわけではなく、力も優れているわけでもない。それでも狩猟の心得はしっかり会得している。

 

 

「こんな事を言っても無駄かもしれないが、私は彼に期待している。たとえ、空想樹を伐採すれば消える定めに在ったとしても、彼の将来を見てみたいと思ってしまう」

「無銘殿……」

「ここが異聞の歴史であったのが、彼を含めたこの地に住む者達の不幸だろう。剪定事象……可能性ある世界を存続させる為とはいえ、複数の世界を切り捨てるとはね。これは彼の宝石翁であっても、確立は不可能……というわけか」

 

 

 悟った老人のような、どこかもの哀し気な表情で外で遊ぶ子ども達を見ていた無銘。しかし、途中で蘭陵王の視線に気づき、「すまない」と一言謝った。

 

 

「……いかんな。どうにも最近、センチメンタルな気分になりやすい。先程の事は忘れてくれ。どのみち、この異聞帯の未来に希望はない。歴戦の古龍種に打ち勝てる者など、我らサーヴァントを除いて他にない。私も、このまま燻っているわけにはいかないな」

 

 

 かつて使用した夫婦剣は使えず、弓も撃てない身であるが、隻腕には隻腕なりの戦い方がある―――そう言い終えた無銘に、蘭陵王はなにも言えなかった。

 

 それは遠回しに、サーヴァント(じぶんたち)の助けがなければ、この異聞帯は永遠に竜の世界で在り続ける、と言っているようなものだった。武器を手に戦い、現代を生きる者達に道を指し示す英霊達がいなければ、今のようにエリシオ達はモンスターに対抗する術を身に着けなかっただろう。無銘はそれを確信していた。そしてそれは、蘭陵王もまた同じだった。

 

 

「なにか話していましたか?」

 

 

 そこへ、ポポから搾り取ったミルクが入った桶を持ってきたエリシオが返ってくる。そんな彼に「他愛もない話だよ」とにこやかに返す無銘。その表情に先程までの哀しみは微塵も存在しない。

 

 

「さぁ、調理を再開しようじゃないか。蘭陵王、そちらの肉を持ってきてくれるかね」

「えぇ」

 

 

 無銘の指示を受け、片隅に積まれていた保存された生肉を取りに行く蘭陵王。

 

 

「……」

 

 

 そんな二人に対しなにか言おうとしていたエリシオだったが、開きかけた口はすぐに閉じられ、蘭陵王と無銘の手伝いをすべく動き始めたのだった。

 




 
 無銘ってステータスどころか所有している宝具もエミヤより強力ですよね。snじゃ投げボルクを間一髪で防ぎ切った『熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)』が無銘だと完全に無効化できるようになってますし、膨大な魔力を使うとはいえエクスカリバーも投影できますからね。

 次回もこの話が続きます。それが終わったらストレオの幕間を投稿して、インドを飛ばしてギリシャ異聞帯、という予定でいきます。

 最近戴いた感想の中で『辿異種なのに弱い』という意見を戴きました。これはやはり、以前登場させたイナガミとハルドメルグを通常個体にしておくべきですかね? 辿異種かそれに相当するクラスは、本当に強力な敵として登場させる古龍に与えるべきでしょうか。そちらの方が皆さんも楽しめると思いますし。一応、アンケートを取らせていただきます。非常に身勝手な話ですが、協力していただきたいです。見切り発車、するものじゃないですねぇ……。

 それではまた次回ッ!
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