【更新停止中】緋雷ノ玉座   作:seven74

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 ドーモ=ミナサン。
 投稿が遅れてしまい、申し訳ございませんでしたッ!

 遂にオーディール・コールが始まりましたね。自分は今アメリカでひたすら即死パでQP稼ぎをしております。そして日曜日には虚数羅針内界ペーパームーンが始まるので、楽しみですねッ!

 今回は主に日常回でございます。
 それではどうぞッ!


休息、そして戦い

 

 アイドルイベントから一夜明け、翌日。

 イベントの興奮は未だ冷めやらぬも、グロスターにやってきた、または住んでいる妖精や人間達は本来の生活に戻った。

 

 アイドルイベントはこれがよかった。いやいやあれがよかった―――などという話が持ち切りの中、帽子を目深に被った女性が二人。

 

 

「ふふふっ、なんだかお忍びショッピングみたいで楽しいね」

「実際、お忍びなのだけれどね」

 

 

 帽子のツバを押し上げ、腰まで伸びている長髪をツインテールに纏めたアンナと、同じく帽子を被って髪を束ねたオフェリアは、互いに小さく笑い声を漏らして歩を進めていく。

 アイドルイベントが終わった事で、アンナ達が最も力を入れて取り組んでいた仕事もまた終わった。

 プロフェッサー・Kの計らいによってアルム・カンパニーに就職した彼女達であるが、コネで入った以上その分の働きはしなければならない。かといって、数時間にも亘り、かつ膨大な体力と集中力が要求されるライブの後にいきなり仕事を与えるのはどうかと思ったプロフェッサー・Kは、彼女達に二日の休暇を与えた。

 

 その一日目である本日。

 アンナ達は周りに気付かれぬように変装し、ショッピングデートに赴いていた。

 

 

「あっ、見てよオフェリアちゃん。アイスが売ってある。一緒に食べない?」

「えぇ、もちろん」

 

 

 オフェリアの手を引いて駆け足気味になるアンナ。二人とアイスクリームの屋台の間にはそれなりの距離があるものの、駆け足ならば時間などそう掛かりはしない距離。しかし二人が屋台に辿り着く前に、屋台の前に躍り出た者がいた。

 

 

「これ、一つ貰えるかい?」

 

 

 二人よりも先に屋台で注文した彼女が、店員からアイスクリームを受け取る。代金を払って振り返った彼女は、自分を見つめているアンナ達を前に「あっ」と声を漏らした。

 

 

「ルー……アンナに、オフェリア」

「その声、もしかしてメリュジーヌ?」

 

 

 アンナからの問いかけに、妖精―――メリュジーヌはこくりと頷いた。

 彼女もまたアンナ達と同じく変装しており、大きめのメガネで目元を誤魔化し、髪の毛も一つにまとめている。好みなのか、色こそ普段着用しているものと同じだが、服装が花の刺繍が映えるワンピースとなっていた。

 

 

「どうしたの? 君、今日はオーロラと一緒にいるんじゃなかったの?」

「その彼女から、『今日は羽を伸ばしてきなさい』って言われたの。今はコーラルと話してると思うよ」

 

 

 きっと今頃は、コーラルから君の話をたっぷり聞かされてるだろうね―――とにこやかに言われたオフェリアが照れ臭そうに俯いた。

 

 

「ねぇ、メリュジーヌ。君さえ良ければ一緒にショッピングしない? 君に似合いそうな装飾品とか、ここまで来る内に色々見つけたし」

「本当? それは嬉しいな。あ、でも……」

 

 

 メリュジーヌの視線がオフェリアに向けられる。

 これまで二人で行動していたというのに、自分が加わってしまっていいのだろうか―――と思っているのだろうか、その瞳には微かに遠慮の色が見えた。

 

 

「別に大丈夫よ。それぐらいの事で拗ねたりなんかしないわ。それに、アンナも貴女と一緒にいたいだろうから」

「オフェリアちゃん……」

「……ありがとう、オフェリア」

「いいのよ、これぐらい。……それでアンナ。一度戻るのよね?」

「うん、そうしよっか。ついてきて、メリュジーヌ」

 

 

 頷き、アンナの後に続くメリュジーヌ。

 その背を、彼女から一本下がった所からオフェリアは見つめる。

 

 メリュジーヌ―――否、アルビオンの竜は、アンナ(ミラルーツ)の娘だ。今目の前にいるアンナと、彼女の本当の母龍(アンナ)はサーヴァントと同じ『同一人物の別人』なのだが、楽しそうに話している二人を見ると、それは些細な問題なのではないかと思えてしまう。

 

 娘の最期を看取れなかった母親と、母を喪った娘―――たとえ互いが本来相容れぬ世界に住まう者同士であろうとも、この時間があってはいけないという事はないはずだ。

 

 だって、ああして語り合う二人の姿は、とても幸せそうに見えるのだから―――。

 

 

 

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「わ……凄いよメリュジーヌッ! とても似合ってるッ!」

「そ、そうかな……?」

「ア、アンナ……私は……」

「大丈夫だよ、オフェリアちゃん。私の見立て通り、君に凄く似合っているよッ!」

「そ、そう……? ……ありがとう」

 

 

 時間は少し経ち、グロスターの街道にあるブティックにて。

 

 毎日数多の妖精達が足を運び、そして気に入った商品を買っていく店内の一角では、アンナによるメリュジーヌとオフェリアの着せ替えファッションショーが開催されていた。

 

 メリュジーヌは落ち着いた色合いのドレスを纏い、オフェリアは普段の彼女があまり身につけない純白のデニムを軸に置いたコーディネートであり、二人共アンナが見つけてきた服を着ている。

 

 特にメリュジーヌは、それ以外にもこのブティックに入る前にアンナが購入したブレスレットをつけているため、それも相俟ってより美しく、可憐なイメージを与えてくれる。

 

 しかし、当然オフェリアも負けていない。目立つ装飾品こそないものの、オフェリア自身顔立ちが整っている他、普段魔眼を隠している眼帯を外し、更に髪の毛を横の逸らす事でその魔眼すらも晒している事からも、普段の彼女からは少しだけ開放的になったような印象を見受けられる。また、お世辞にもアンナのように豊満な体つきではないオフェリアだからか、全体的にスタイリッシュな服装である彼女は、胸さえ潰せば美青年にも見えない事も無いものとなっていた。

 

 結果、両者共にその美貌を欠片も曇らせないファッションとなった。アンナ・ディストローツ(ミラルーツ)はどちらか片方を贔屓したりしないのである。

 

 

「ホヒィッ、スゴッ……アノアイドルタチガコンナニウツクシクアッダメシンジャウ……」

 

 

 そして、そんなアンナの隣には、今にも卒倒しそうな勢いでその場に蹲るサーヴァントがいた。

 

 

「あっ、お鶴ちゃんもありがとね。色々アドバイスくれて。君のお陰で左程迷わずに済んだよ」

「い、いえ……これが私の仕事ですのでアッビジュアルノボウリョクトウトイ……オットヨダレガ」

 

 

 チェンジリングでこの妖精國に迷い込み、現在はアルム・カンパニーで働く傍ら、このブティックのオーナーも務めているサーヴァント―――ミス・クレーンは、我知らずに口元から垂れていた涎をハンカチで拭った。

 

 

「あはは、君は相変わらずだね。最初に会った頃から全く変わってない」

「いえいえ、あの頃と比べれば大分変わりましたよ。あの時には知らなかった技術もたくさん覚えましたし。その最たるものが、今彼女達が着ているものですよ」

「え、本当? 凄い、私ってば君の最高傑作を引き当てちゃってたんだね」

「さ、最高傑作……」

 

 

 ミス・クレーンの言葉に、思わずオフェリアの頬が引きつる。

 最高傑作、つまりは彼女が他の衣類よりも力を入れて作ったもの。そのようなものを身につけているというプレッシャーにも似た重圧がのしかかる。

 

 そんなオフェリアの隣に立つメリュジーヌは、そんな重圧などとは無縁といった風に鏡に映る自分を前にクルリとターン。風に靡いてひらりと舞い上がったスカートが膝下に戻っていく様子に「ふむ」と短く呟き、一言。

 

 

「お鶴さん、これ一式買うね」

「ほぇッ!? あ、は、はいっ! そのままでよろしいでしょうかッ!?」

「うん。袋を用意してくれるかい? 着替えを入れたいのだけれど」

「もちろんですッ! ではこちらへッ!」

 

 

 頷くが否や、ビュンッと凄まじい速さでレジカウンターへと向かっていったミス・クレーンの後を、さも当然のようにメリュジーヌが追っていく。

 その姿にオフェリアが唖然となっていると、メリュジーヌは「どうしたの?」と首を傾げた。

 

 

「……凄いわね。そんなに簡単に決められるなんて」

「そう? 僕としてはこれが当たり前だよ。それにほら、僕って妖精騎士だから給料は高いし。これぐらいなら簡単に決められるよ」

 

 

 去り際にそう言い残していったメリュジーヌに、オフェリアは自分と彼女の差を思い知った。

 

 

「ふふっ、君が迷うのも間違っていないよ。確かにこのお店は少し値が張るからね。買うも買わないも君次第だよ」

 

 

 口元に手を当てて笑うアンナ。

 確かにあの衣服を選んだのは、助けを借りたとはいえアンナだ。しかし、最終的にそれを買うかどうかを決めたのはメリュジーヌ自身だ。オフェリアが値段を考えて買わないと判断するならば、それでもいいとアンナは考えていた。

 

 そんなアンナから視線を外し、オフェリアは遠くで会計をしているメリュジーヌの背を見ながらむむむ(・ ・ ・)と顎に手を当てて考え込み―――そして決めた。

 

 

「―――買うわ」

「え、大丈夫? 別に無理しなくてもいいんだからね?」

「違うわ。確かに迷いこそしたけれど、私もこれが欲しいと思ったから、そう決めたの」

「そう……? うん、わかった。それじゃあ、そこの店員さんに伝えてくるね」

「えぇ、お願い」

 

 

 近くを通りがかった店員に声をかけに行ったアンナ。その後姿を見やりながら、オフェリアはポツリと呟く。

 

 

「貴女が褒めてくれたから、っていうのもあるのよ……アンナ」

 

 

 その後、オフェリアの財布は大分軽くなったが、心は今までよりも満たされていた。

 

 そうして、他にも食べ歩きをしたり、カフェで足を休ませながら談笑したりなどして、各々は互いに親睦を深めていった。

 

 

「―――そういえば、アンナ達は今夜の舞踏会に参加する?」

 

 

 そして、ブティックから出てそれなりに時間が経過した頃、ふとメリュジーヌは二人にそんな質問を投げかけた。

 

 舞踏会。それはつい昨日アンナ達の行ったアイドルイベントとは異なる、このグロスターの領主ムリアンが主催者となっているイベントの事。彼女から招待状を受けた妖精、または人間でしか参加する事を許されておらず、それに招待される事自体が一種のステータスになる程のもの。

 

 そんなイベントに参加するのか、という問いかけに対し、アンナ達はコクリと頷いて答えた。

 

 

「もちろんだよ。私達……というよりは社長が招待されてね。私達はそれについていく形でだけど、ちゃんとムリアンから許可は貰ってるよ」

「本当? それはよかった。アンナには是非とも紹介したい妖精がいてね。もし参加するのなら、と考えていたんだ」

「君が私に会わせたいと思う妖精? 楽しみッ! いったいどんな妖精なんだろうなぁ。ねぇ、その妖精ってどんな妖精なの?」

 

 

 アンナからの質問に、メリュジーヌは一瞬だけ口ごもる。それにアンナが僅かに眉を顰め、どうしたのかと口にしようとした直後、メリュジーヌが口を開いた。

 

 

「……とても、美しい妖精だよ。それに、僕らや妖精國の事を想ってくれる、優しい妖精なんだ」

 

 

 そう告げたメリュジーヌの顔には、どこか寂し気な笑みが浮かんでいた。

 

 

 

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 時間はさらに経過し、舞踏会場にて。

 ムリアンの展開した妖精領域の効果によって作り上げられたそこでは、各々が流れる曲に合わせてダンスを踊っていた。

 

 その例に漏れず、オフェリアもアンナと手を取り合ってダンスを踊っていた。

 

 

(こ、こんな感じでいいのかしら……)

 

 

 しかし、昨日のアイドルイベントの時とは全く異なる種類に当て嵌まるダンスに、オフェリアは内心不安でいっぱいだった。

 

 足運びが、自分が踊っていたダンスと全く違う。そのせいで、これまで何度も躓いてしまい、その度にアンナを慌てさせてしまった。

 

 これ以上彼女に心配をかけたくないと思い、離れた場所で、アルム・カンパニーの女性社員と踊っている、かつて自分に社交ダンスのやり方を教えてくれた自らのサーヴァントであるシグルドを見やる。

 マスターからの視線に気づいたシグルドがチラリと彼女を見やり、やがて静かに小さくコクリと頷いたのを見ると、どうやらこの足運びでいいようだ。

 

 

「こらっ。余所見しないの」

 

 

 しかし、そのせいでアンナにジトッとした視線を向けられてしまった。 

 

 

「あっ、ご、ごめんなさい。つい、心配になってしまって……」

「それでシグルドを見たの? でも、駄目よ。不安になるのはわかるけど、目の前の私から視線を外すなんて、許せないなぁ」

「ア、アン―――ひゃっ!?」

 

 

 グイッと腰を抱き寄せられ、一気に自分とアンナの距離が縮まる。

 

 

「私から目を離さないで。ここには、私達しかいないって考えて?」

「わ、わかった、わ……」

 

 

 互いの鼻が触れ合う程の距離。ほんの少し顔を近づけるだけでキス出来てしまえる程の至近距離で囁かれた言葉に、オフェリアはただそう答えるしか出来ない。

 

 

「大丈夫よ、オフェリアちゃん。安心して力を抜いて、私に合わせて?」

 

 

 腰を放され、互いの距離が開く。それからはアンナに操られるように、導かれるように、彼女とのダンスを踊り続けるのだった。

 

 

「―――ふぅ、楽しかったね」

「……えぇ」

 

 

 そうして曲が終わり、同時にダンスも終わった頃には、オフェリアは完全に疲れ切っていた。

 

 

(アンナ、凄い積極的だったわね……)

 

 

 予想外のタイミングで顔を近づけられ、囁かれ、それにオフェリアが動揺している間にペースを上げて。その度にオフェリアは心身共に少なくないダメージを受けたのだ。ただダンスを踊るよりも、かなりの疲労感がオフェリアを襲っていた。

 

 

「ふふっ、また今度やろうね」

「できればしばらくは遠慮したいわね……」

 

 

 悪戯っぽく笑ったアンナにオフェリアがそう返した直後、「あ、あのっ」と背後から誰かに声をかけられた。

 

 

「その……オフェリア・ファムルソローネさん、ですか……?」

 

 

 振り向いた先には、桃色のドレスを身に纏った妖精―――コーラルが立っていた。その傍らには、彼女が仕えているオーロラの姿もある。

 

 

「……もしかして、コーラルさん?」

「―――ッ! オ、オフェリアさんが、私の名を……ッ!」

「え、ちょっ……」

 

 

 記憶の中から探り当てた名を告げた途端、コーラルが胸元を押さえ始めたのを見てオフェリアが慌てるが、「心配しないで」とオーロラが柔かい笑顔を崩さずに告げた。

 

 

「この子、推し……って言うのかしら? そんな貴女と会えたのが嬉しいのよ」

「そ、そうなんですか?」

「は、はいっ。すぅ~……はぁ~……そ、その、ディストローツさんとの談笑中に割り込んでしまい申し訳ないのですが、その……握手してくださいッ!」

「え、えぇ……それぐらいなら……」

 

 

 なんとか気持ちを落ち着けようとしているのだろうか。深呼吸をするものの、それでも未だ気持ちが落ち着いていないコーラルが差し出した手を、オフェリアは優しく握る。

 それに「わ、ぁ」と何度も瞬きするコーラルに、自然とオフェリアの口から言葉が発せられる。

 

 

「その、昨日は特等席で応援してくれてありがとう。とても励みになったわ」

「~~~~ッ!! あ、ありがとうございます……ッ!」

「オフェリアちゃん、あそこにテラスがあるから、そこでこの子と話してきたらどう? お互いに良い話が聞けると思うよ?」

「え? でも……」

「こっちの事は気にしないで? 私は私で、オーロラと話したい事があるからね」

 

 

 そう言ってオーロラを見やるアンナ。その瞳の奥に見えた感情に、オフェリアは素直に彼女の言葉に従う事にした。

 

 

「……わかったわ。……行きましょう? コーラルさん」

「は、はいッ!」

 

 

 勢い良く頷いたコーラルを連れて、オフェリアはテラスへと向かっていく。

 

 そうして残される、アンナとオーロラ。

 先に口を開いたのは、アンナだ。

 

 

「……貴女が、ソールズベリーの領主オーロラね? メリュジーヌから色々話は聞いてるわ。聞いていた通り綺麗な妖精ね」

「うふふ、ありがとうございます。自己紹介が遅れましたので……ソールズベリーの領主、オーロラです。よろしくお願いしますね、アンナさん?」

「えぇ、よろしく。……噂で聞いたのだけれど、貴女、随分とメリュジーヌに入れ込んでいるようね?」

「えぇ、とても。彼女が私の為、そして妖精國の為に、よく働いてくれますから」

「……へぇ。モルガン陛下の名前は挙げないのね」

「あら、つい……。ですが、妖精國の中に陛下も入っていれば、別にいいわよね?」

「…………」

「……アンナさん?」

 

 

 スゥッと細められた瞳から放たれる眼光が、オーロラを貫く。

 それにどうしたのかと首を傾げたオーロラに、アンナは問いかける。

 

 

「失礼な質問なのだけれど……あの子に、なにか嫌な事とかさせてないわよね?」

「? えぇ、もちろんよ。私があの子にそのような事をさせる訳が無いでしょう?」

「そう……」

 

 

 なにを当然の事を、と言いたげに返したオーロラに、アンナの心に暗い気持ちが湧き上がる。

 

 ―――なにかが違う。こいつは信用ならない。

 

 内なる心にいる自分がそう告げてくるが、アンナにはそれを実証する証拠がない。彼女が本心からそう言っているのはわかるが、それだけではないような気がする。

 

 だからこそ、アンナは彼女に告げる。

 

 

「―――もし、万が一、彼女になにかするようであれば」

 

 

 オーロラの肩を引き寄せ、耳元で囁く。

 

 

「その時は―――容赦しないよ」

 

 

 決して表には出さない、しかし、確かな意思を以てそう告げたが―――

 

 

「……? なにが言いたいのかしら?」

 

 

 当の妖精は、なにも理解していないのであった。

 

 

 

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 場所は変わり、鐘付き堂にて。

 

 『予言の子』であるアルトリア・キャスターと、『異邦の魔術師』である藤丸立香は、その額に冷や汗を流していた。

 

 

「……ねぇ、立香」

「……なに?」

 

 

 自分の後方にいる立香に、アルトリアが問いかける。

 

 

「私、あいつに勝てると思う……?」

 

 

 そう言うアルトリアの前には、一人の妖精。

 露出の多い黒い衣装を身に纏い、その右手には妖弦フェイルノートを構える彼女に、立香は唇を固く結ぶ。

 

 

「……勝てる勝てないじゃない。勝つしかないよ」

「……そう、だよね。うん、わかった」

 

 

 立香に頷き、一歩前に踏み出す。

 

 

「へぇ? いっちょ前にこの私と()り合おうってか? 面白れぇ、だったら楽しませてもらうぜッ!」

「その減らず口、今すぐ閉じさせてあげるッ!」

 

 

 紺色の外套をたなびかせたアルトリア・キャスターと、妖弦を構えるバーヴァン・シー。

 

 それは、領主ムリアンによって仕組まれた戦い。

 仮面を着けた観客達の視線の先で、二人の妖精がぶつかり合う―――。

 




 
 次回、アルトリア・キャスターVSバーヴァン・シーですッ!
 ベリルだけの原作と違い、カリアに戦闘訓練を受けた事で強化されたバーヴァン・シー相手に、アルトリア・キャスターがどう戦うのか、楽しみにしていてくださいッ!

 そして、アンナとオフェリアの関係に変化が……ッ!?

 それでは、次回もよろしくお願いしますッ!
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