【更新停止中】緋雷ノ玉座   作:seven74

97 / 152
 
 ドーモ=ミナサン。
 ぐだぐだイベントで武田晴信と上杉謙信の関係性に脳を焼かれたseven774です。

 もちろん、他のキャラクターももれなく好きになりましたッ!
 特に一番好きなのは雑賀孫一―――いや、蛍ちゃんですね。
 正式加入で終身雇用を求めてきたり、絆ボイスで男主人公だと後継者作り求めてきたり、女主人公だと心から尽くしてくれる忠臣兼相棒みたいでとても好きです。
 銀髪キャラ&マントも個人的にはベリーグッドです。銀髪要素はニャル子さんから、マントは仮面ライダーナイトから好きになったので、それに加えて美少女ッ! とても嬉しかったですッ!
 ここだけの話、この小説の主人公であるアンナが銀髪なのもこれが起因です。
 イベントクリア後に先代についてのボイスを聞いてみると、先代のイメージが冴羽獠で固定されました。

 また、男キャラも滅茶苦茶かっこよかったですねぇ。特に自分は武田晴信が一番好きです。
 マイルーム性能が高すぎますし、イメージ通りのビジュアル。声がとても深みがあって一瞬で好きになりましたッ!
 シュレイド異聞帯でも出して、カルデアに協力させたいですねぇ。ぶつけるとしたら……バルカンですかね。個人的にも紅VS赤をやってみたいですし。

 ストーリーに関しては……色々語りたい事が多すぎて前書きが長くなってしまうので割愛しますが、最高の一言に尽きましたッ!

 総評として、今回のぐだぐだイベントは歴代のものと比べてもキャラとストーリー両方とも一番でしたッ!

 では前書きがここまで。
 今回は次回と二本に分けたので短いです。
 それでは本編、どうぞッ!



憤る者

 

 淡い青色の光が、閉ざされた視界を埋め尽くしている。

 側頭部に当てられている掌から伝わる魔力が自身の魔術回路に干渉し、元々自分には流れていなかった二人の女性の魔力を馴染ませていく。

 

 

「―――うん、終わったよ」

 

 

 頭上から声を掛けられ、閉じていた瞼を開ける。

 目の前に飾られた鏡には、爬虫類に近いものになった、色の違う両目を持つ自分と、そんな自分の側頭部から手を離したルーツが映っている。

 

 

「今日の調整はこれで終わり。これ以上やると逆に毒になっちゃうからね」

「ありがとう、アンナ」

「一応聞いておくけど、目の調子は?」

 

 

 何気なく目元に指を這わせ、答える。

 

 

「最初と比べれば大分良くなったけれど……まだ少し慣れないわね」

「それでいいんだよ。なにせ、君の中には冠位のサーヴァントがいて、体には私の血が流れてるんだもん。まだ慣れていないのが正常な証拠だよ」

 

 

 未来を見通す魔眼と、遷延の魔眼。どちらも未来に関するものであるのは変わらないが、その保有者の格が違いすぎるが故に、むしろ一瞬で慣れてしまう方がおかしいレベルなのだ。

 だから焦る必要はないよ―――と語ったルーツに、オフェリアは「そうね」と返した。

 

 

「今はシグルドにもやり方を教えているから、もう少ししたら私がいない時でも出来るようになるからね。私がいない時になにか不調を感じたら、すぐに彼に伝えて」

「えぇ、わかったわ」

「喉、乾いてない? 調整にそれなりに時間をかけてたけど……」

「え? ……あ、本当ね。それじゃあ、お願いするわ」

 

 

 壁に掛けられている時計に視線を向ければ、調整を始める前に見た時間から針が一周を回っていた。

 そしてそれに気付いた瞬間、喉が水分を求めてきた。

 労力をかけたのはルーツであり、オフェリア自身は彼女に身を委ねるだけだったのだが、自分の体である事もあり、無意識に集中していたのだろう。

 

 ルーツが冷蔵庫から水を取りに離れ、オフェリアは背もたれにもたれかかり、掌で目元を覆う。

 

 

(アンナの千里眼に、ルーツの血……。もし汎人類史に帰ったとしても、これは封印指定ものね)

 

 

 片やグランドキャスターが持つ、未来を見通す千里眼。片やこの惑星(ほし)の頂点に君臨する“祖龍”の血液。

 どちらか一つだけでも常人には不釣り合いな代物だというのに、その両方が今、自分に宿っている。

 これではもし仮に汎人類史に帰還したとしても、封印指定は確実だろう。

 

 封印指定―――学問としての習得が不可能であり、後にも先に現れない一代限りの才能。自分の場合は才能ではなく後天的に獲得したものであるため後者ではないが、前者の範囲には入ってしまっている。

 そして、魔術世界でそれを受けた者が辿るのは、脳と神経、そして魔術回路を抜き出されてホルマリン漬けにされるという、人の尊厳を度外視した魔術師らしい末路だ。

 

 『異星の神』の権能とでもいうべき力、そしてキリシュタリア・ヴォーダイムの尽力によって蘇り、切り捨てられた異聞帯を管理するクリプターになるという選択をした裏切り者の自分に、汎人類史に戻れる資格がない事はわかっている。

 それに帰還できたとしても、待っているのは凄惨な最期だ。

 

 

(それなら……もう)

 

 

 脳裏に浮かんだ考えが、憂鬱な現実から逃げる為の都合のいいものだという事は理解している。

 だが―――それでも。そうだとしても。

 

 

「お待たせ、オフェリアちゃん」

「あ……ルーツ。ありがとう……」

「どうしたの? なにか、悩んでたようだけど……。あ、体の事なら全力で対処するよッ!? 完全に変異なんてさせないっ、絶対に人間でいさせるから―――」

「そ、そういうわけじゃ―――あッ!?」

 

 

 慌てて否定しようとした直後、突然頭に鈍器を叩きつけられたような激痛が走る。

 

 

「オフェリアちゃんッ!?」

「ま、また来た……ッ! アンナの、未来視が……ッ!」

 

 

 固く閉じた視界に、こことは別の光景が見える。

 

 どこかの建築物の内部で、全身が黒く染め上げられた者達が跋扈している。そして、出入口と思しき扉までの道を阻む彼らに立ち向かう、褐色の肌を持つ男は―――

 

 

「っ、はぁ……ッ!」

「大丈夫ッ!?」

「えぇ……なんとか……」

「そう……よかった。……なにが視えたの?」

 

 

 問いかけるルーツに、オフェリアは未来視で見た光景を伝える。

 

 

「黒いなにかについては、よくわからない。でも、最後に見えた褐色の男はたぶん、アシュヴァッターマンよ」

「アシュヴァッターマン? という事は、まさかペペもッ!?」

「見えなかったけど、彼がいる以上、恐らくペペも……」

「わかった。ありがとう、オフェリアちゃん」

 

 

 こうしてはいられない―――とテラスへと続く扉を開けるルーツ。

 

 

「行くのね、ルーツ」

「ごめんね、オフェリアちゃん。でも、あの子達になにか起きているのなら、助けに行かなきゃ」

「いいのよ。それが貴女だもの。……いってらっしゃい」

「行ってきます」

 

 

 にこやかな笑みと共に、“祖龍”の翼を生やしたルーツはテラスから飛び立つのだった。

 

 

 

 Now Loading...

 

 

 

(もう少しで私の最期、ね。ま、妥当な最期かしら)

 

 

 自分の最期の場所にしては妥当なものだと、ペペロンチーノは内心独り言ちる。

 

 今自分達がいる場所は、ニュー・ダーリントン。

 記録によれば、かつてここは紅い光を伴って現れた巨蟲によって滅ぼされた街らしく、当時の領主もまた領民と共に滅ぼされてしまったらしい。

 

 立香達を襲ったベリルが姿を消す直前に見た魔力の糸を辿って自分達がやってきたのは、今も当時の凄惨な破壊の跡が残っている中で、唯一破壊を免れた教会の地下牢。

 その中の最深部でゴミのように置かれていた魔術アイテムをマシュに破壊してもらう事で立香達を解放し、地下牢からの脱出を目指す。しかしその前に立ち塞がるのは、ベリル・ガットと彼が他所から攫い、モースの毒を投与した憐れな被害者達。

 

 地下牢からの脱出を目指す立香達に『無抵抗な者達を殺させる』という、優しい彼女達の心を徹底的に甚振る卑劣な罠。

 それにいち早く気付いたペペロンチーノは出口に続く通路に差し掛かるや否や、それもまたベリルに仕組まれた罠だと看破し、立香達を階段に押し戻そうとして―――

 

 

「え―――」

 

 

 その背を、別の何者かに押された。

 

 

「ペペロンチーノさん、どうしてッ!?」

「え、待って? なんで私も戻されてるのッ!? 私あそこに残るつもりだったんだけどッ!?」

「はっ、馬鹿。この俺が、お前を残させるわけねぇだろ」

 

 

 自分まで階段に戻された事に驚いていた直後、閉められた扉の奥から自分のサーヴァントの声が聞こえる。

 

 

「なにを……アシュヴァッターマンッ!」

「お前がここで死のうとしてるってのは、ここに行こうと決めた時点で気付いてたぜ」

 

 

 扉の奥から聞こえた言葉に思わず目を見開き、納得する。

 最高の戦士として名高いアシュヴァッターマンからしてみれば、自分のような人間の感情の機微など簡単にわかってしまうのだろう。

 今まで行動に移さなかったのも、きっと自分がいつ立香達の身代わりになるかを見ていたからだ。

 

 だが―――

 

 

「……ごめんなさい、アシュヴァッターマン。でもね、これが今の私の役目で、最後の仕事なの。邪魔はしないでくれるかしら」

「進んでマスターを死なせる馬鹿がどこにいやがる。引っ込んでろ。ここは……俺が出る」

「お願い、アシュヴァッターマン……私の邪魔をしないで」

 

 

 アシュヴァッターマンが引けないように、ペペロンチーノも引けないのだ。

 令呪の一画が消え、『服従せよ』という命令がアシュヴァッターマンの霊基に下される。

 だが次の瞬間には、ペペロンチーノは己の命令が弾かれた感覚を覚えた。

 

 

「レジストした……? 駄目、駄目よアシュヴァッターマンッ! 私の言葉を聞きなさいッ!」

 

 

 二画目が消え、更なる強制力を己のサーヴァントにかける。

 一瞬でも気を抜けば主である彼女の言葉に従いそうなる感覚がアシュヴァッターマンを襲うも……しかし。

 

 

「ふざけんじゃ、ねェッ!」

「な……ッ!?」

 

 

 その縛りさえも捩じ伏せた拳が、ガァンッと耳障りな音を立てて教会内に響き渡った。

 

 

「死にたがるのもいい加減にしやがれッ! なぁ、俺がここに残った意味がわかってんのかッ!?」

「っ、わかってる……わかってるわよッ! でもねアシュヴァッターマン。私は知ってるの。私はここで死ぬんだってッ!」

「え、死ぬ……? ペペロンチーノさん、それはどういう……」

 

 

 背後にいる立香達が息を呑み、マシュが訊ねてくる。

 しかし、彼女に答える余裕は今のペペロンチーノにはない。

 

 

「ここで死ぬ? ハッ、あり得ないな。俺がいる限り、お前は死なねぇよ。死なせるわけがねぇ。……来やがったな」

 

 

 足音が遠退き、炎が燃え盛る音が聞こえる。

 アシュヴァッターマンがチャクラムを構えた音だ。

 

 

「なぁ、マスターッ! こういう時どうすりゃいいか、わかってるよな?」

「それは……」

 

 

 残された最後の令呪に視線を落とす。

 アシュヴァッターマンの言葉は、ペペロンチーノも理解できていた。

 残された手札の正しい使い道を、アシュヴァッターマンは主である自分に伝えているのだと。

 

 

「いい、の……?」

「なに言ってんだよ。俺は、お前のサーヴァントだぜ?」

 

 

 姿は見えなくとも、今の彼がどんな表情をしているのか、簡単にわかってしまう。

 わかってしまうからこそ、ペペロンチーノは痛い程に胸が締め付けられ……そして、決心した。

 

 

「…………わかったわ」

 

 

 唇を噛み締め、扉に掌を押し当てる。彼の背中を押すように。

 ―――自分達の命を、託すように。

 

 

「令呪を以て願う(・ ・)―――」

 

 

 これまで傍にいてくれた漢に、精一杯の感謝を伝えるように。

 

 

「―――私達の運命(みち)を、切り拓いてッッ!!」

 

 

 

 Now Loading...

 

 

 

 ―――

 

 それは、彼を象徴するものだった。

 

 死という概念は、生前も死後も、アシュヴァッターマンにとっては身近なもので、遠いものでもあった。

 

 生前ではカルナと共に戦地を駆け抜け、多くの死を見聞きしてきた。

 呪いによって森林を彷徨ってからは、如何なる因果かサーヴァントになった。それから多くの世界で召喚され、知らぬ武器の扱いを覚えながら戦い続けてきた。その時にも、多くの死を見たはずだ。

 

 これまで彼が見てきた、己の死を悟った者達は大抵凪いだ顔をしているものだった。

 もちろん、中にはプライドをかなぐり捨ててまで生き延びようとする者もいたが、生前も死後も戦い続ける己からすれば、それは一般的なものだと思えた。

 

 だが、今回己がマスターと仰いだ存在―――スカンジナビア・ペペロンチーノはどうだ。

 自らの死を悟っても、凪いだ顔はしない。泣き喚きもしない。ただ漫然と、『あぁ、そっか』と、他人事のように考えている。

 

 それが、アシュヴァッターマンにはどうしようもない程に苛立たし気に思えた。

 

 アンナ・ディストローツ。

 カドック・ゼムルプス。

 オフェリア・ファムルソローネ。

 虞美人。

 デイビッド・ゼム・ヴォイド。

 そして―――己の素顔を仮面に秘した、あの男。

 

 ベリル・ガットを除き、彼らと交流する主は心の底から楽しそうな様子だった。

 色々な事を経験しただろう。色々な事を話しただろう。

 思い出だって、きっとあったはずだ。

 

 しかし、自分の死を悟った瞬間、奴はそれら全てを簡単に捨て去った。

 

 それが、アシュヴァッターマンの炎をさらに燃え上がらせる。

 

 だからこそ強硬手段に出た。

 身代わりになろうとした奴に代わり、己がその役目を引き受けた。

 

 己を引き戻そうとするペペロンチーノの命令を真っ向から跳ねのけ、己の意思を徹底的に主張した。

 

 そして、主はそれに答えてくれた。

 

 

『―――私達の運命(みち)を、切り拓いてッッ!!』

 

 

 いい言葉だ。無駄に令呪を二画使ったにしては、最高すぎる言葉だ。

 

 あぁ、だからこそ、己はそれに応えられる。

 応えたいと、心の底から思える。

 

 

「―――応ッッッ!!!」

 

 

 チャクラムを振りかざし、己に殺到するモース人間達を睨む。

 生きながらに死んでいる。まるで、あの呪いを受けた自分のようだ。

 

 だが、彼らと自分とでは、決定的な違いがある。

 

 ―――呪いを受けるに相応しい罪を犯したか、犯していないか。

 

 自分は前者だ。禁忌を破り、夜襲を仕掛け、終いにはまだ生まれてすらいない胎児すら殺そうとした。

 奴らは後者だ。普通に生きているだけだったのに、一人の男の悪意によって、その在り方を捻じ曲げられてしまった。

 

 だからこそ、終わらせる。己の手で、終わらせなければならない。

 

 

「……は? おい、なんでお前だけいるんだよ? ペペは、藤丸は……マシュはどうしたんだよッ!? アァッ!?」

「うるせぇな、黙ってろッ! テメェの事情なんて知ったこっちゃねぇ」

 

 

 モース人間達の奥で困惑と怒りが混ざった表情でいるベリルにそう返し、向かってきたモース人間を薙ぎ払う。

 主を巻き込まぬように加減した威力でも十数人が消し飛び、余波を受けた者達は手足が捩じ切れ、苦悶の叫び声を上げる。

 

 彼らに注ぎ込まれた呪いのトリガーが発動して全身に激痛が走るが、アシュヴァッターマンはそれを鼻息一つで吹き飛ばした。

 

 

「託されて、頼まれちまったんだ。なら、やるしかねぇよなぁ―――ッ!!」

 

 

 無抵抗の相手の殺害。なるほど、確かにカルデアのマスター達であれば良い作戦だろう。善良な彼女らの心を圧し折るには打って付けだ。

 だが、自分には通用しない。元より殺し殺されの血生臭い世界で生きた身で、今もこうして、誰かの命を奪い続ける―――そんな自分にとって、たとえモースの毒を持ち、殺せば致死の呪いをかけてくる人間達など、ただのでくの坊でしかない。

 

 

「オォラァッ!!」

 

 

 雄叫びと共にチャクラムを叩きつければ、噴き出した赤黒い血液が業火によって焼き尽くされる。

 突き出された拳が頭部を粉砕し、風を切る足が首を失った胴体を弾けさせる。

 

 光に誘われるように殺到していくモース人間達を薙ぎ払っていくアシュヴァッターマンの姿にベリルは歯ぎしりし、踵を返そうとする。

 

 だが次の瞬間、彼の目の前に後方から投げ飛ばされたモース人間が落ちてきた。

 

 ぐしゃりと音を立てた後にその身を塵へと変えていくモース人間に舌打ちしたベリルが振り向けば、残り200人程度となったモース人間達の奥でギラギラと輝く、赤い双眸と視線が交わった。

 

 

「逃がさねぇぞォッ!!」

 

 

 目の前に落としたチャクラムの上部を蹴り、火炎の棘を飛ばす。

 それらは眼前のモース人間達を貫き、奥にいるベリルにも襲い掛かる。

 

 

「チッ!」

 

 

 ほぼ本能に身を任せて取り出していたナイフに黒い靄と赤い光を纏わせ、迎撃する。

 なんとか棘は相殺できたものの、凄まじい衝撃を受けた体が吹き飛ばされ、地面に倒れる。

 

 

「ああクソッ! シャレになんねぇなホントッ!」

 

 

 すぐさま態勢を立て直すも、手元のナイフは攻撃を迎え撃った影響で破損してしまっており、再びの舌打ちと共に予備のナイフを取り出そうとしたが、懐に手を伸ばしかけたところでやめた。

 アシュヴァッターマンはモース人間達を殺し続け、恐ろしい速度で自分との距離を縮めてきている。先程の棘などほんの小細工程度の感覚で飛ばしたものだろう。あれの本領はその肉体と、強靭な腕力によって振るわれるチャクラム。それをこのちっぽけなナイフで防げるなどあり得ないし、万が一防ごうとしても体をズタズタに引き裂かれるのがオチだ。

 

 

(……やるか)

 

 

 予定していた展開とは大分異なるが、手段は選んでいられない。

 ナイフの代わりに懐から取り出したものを見て、ベリルは邪悪に笑った。

 

 

 

 Now Loading...

 

 

 

「こいつで、最後だッ!」

 

 

 残り十体となったモース人間をチャクラムで引き裂いたアシュヴァッターマン。次はベリルだ、と行動を開始しようとした直後、目の前に巨大な影が出現した。

 

 

「ッ、ぐ……ッ!?」

 

 

 チャクラムを手放し、自由になった両腕を交差して防御態勢を取った瞬間、強力な一撃が繰り出した。

 地面を削って後退したアシュヴァッターマンが防御を解いた先にいたのは、巨大な獣人となったベリルだった。

 

 人間の姿よりも頭二つ分は大きくなったベリルの容姿は、まるで獅子と狼を無理矢理融合させたようなもの。

 

 油断できる相手ではない―――戦士(クシャトリヤ)としての勘に押されて拳を構えるアシュヴァッターマンに、その性根を表すような黒い外皮を持つ獣人となったベリルが「はああぁぁぁ……」と息を吐き出す。

 

 

「本当ならマシュの前でお披露目したかったんだがなぁ……。ま、こうなっちまったもんは仕方ねぇ。テメェの手足を捥いで抵抗できなくしてから、お姫様に会うとするぜ」

「ハッ、やれるんならやってみやがれ。テメェ、今自分が相手にしてんのが誰か、わかってんのかァ?」

 

 

 一度消滅させたチャクラムを手元に再出現させ、後ろ手に構える。

 

 

「テメェの前にいんのは、バラモン最強の戦士(クシャトリヤ)―――アシュヴァッターマンだッ!!」

 

 

 ―――

 

 それは、彼を象徴する言葉。

 

 ―――

 

 それは、彼を動かす炉心。

 

 ―――

 

 それは、己さえも焼き尽くす炎。

 

 ―――

 

 それは、彼自身。

 

 

 ―――猛り、振るえ。

 

 ―――怒れ、戦え。

 

 ―――仮初の魂が燃え尽きる、その時まで。

 

 

『令呪を以て命ずるわ。運命に、怒ってッ!』

 

 

 ―――定められた運命を、捻じ伏せ続けろ。

 

 





・『ペペロンチーノ』
 ……ニュー・ダーリントンで死ぬはずだったが、アシュヴァッターマンの妨害によって失敗。令呪の二画を用いて彼を引き戻そうとしたが、最後には彼に自分達の命を託す事を決め、最後の令呪で彼の背を押した。

・『アシュヴァッターマン』
 ……マスターを死の運命から救うべく、ベリルとの勝負に臨む。

・『ルーツ』
 ……本来なら既に到着している頃合いだが、何者かの力によってニュー・ダーリントン周辺の魔力の変化を偽られ、ペペロンチーノ達がどこにいるのかがわからずにいる。現在ブリテンの空を飛行中。

・『ベリル』
 ……立香達を苦しめる為に用意したモース人間達をアシュヴァッターマンにぶち壊されたため、ボガードの霊核を取り込み変化。素の実力では原作のブラックウルフには劣るものの、凶気と赤い光の力を加算した場合、それを凌駕する。


 次回はアシュヴァッターマンVSベリルですッ! また、ルーツとペペロンチーノの関係に変化が起きますので、ご期待くださいッ!
 それではまた次回ッ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。