ドーモ=ミナサン。
明けましておめでとうございますッ! seven774ですッ!
新年早々、セール中だったのでswitch版の『fate/extella』と『fate/extella link』、そして『FINAL FANTSY X/X-2 HD Remaster』を買いました。
fateシリーズはvita版を持っているのですが、そのvitaが壊れてしまったのでswitch版として買い直し、FFは泣ける神作と言われていたので購入しました。
FFはプレイするのが今回が初めてなので、どんなストーリーか楽しみですッ!
もし読者様の中でFF通の方がいらっしゃったら、他にどのような作品がおすすめか教えていただければ幸いですッ!
今回は長すぎたため二話に分けました。
それでは新年一発目、どうぞッ!
アシュヴァッターマンの活躍によりベリルの卑劣な罠から逃れる事に成功した立香達は、ペペロンチーノに見送られてニュー・ダーリントンを去った後、馬車を最新型に換えたレッドラ・ビットに乗った。流石最新型、そして“風”の氏族というべきか、別行動となっていたパーシヴァルやオベロン達のいるオックスフォード近くの陣まで半日で到着する事が出来た。
到着早々、パーシヴァルは別行動中の自分達の事を話し始める。
立香達がオークニーに向かっている間に、パーシヴァル達はウッドワスが領主を務めるオックスフォードへと侵攻し、開門を求めたのである。
もちろん、ウッドワスが頷くわけもなく、今すぐにでも戦争が始まりそうだった。
しかし無駄な血を流したくないパーシヴァルは何度も彼との話し合いの席を設け、なんとか戦を避けようとした。ウッドワスは当然その申し出を蹴るも、パーシヴァルは諦めずに会話による解決を図り続けた。
そして、遂にウッドワスが話し合いを拒絶していよいよ戦闘に移ってしまうかと思った直後、状況は大きく変わった。
オークニーの『巡礼の鐘』が鳴らされ、オックスフォードの住人達の不満が爆発したのである。
オックスフォードにはウッドワスが率いる“牙”の氏族だけでなく、それ以外の氏族も存在する。彼らがいつまで経ってもうだつの上がらない“牙”の氏族への憤慨を爆発させた影響により、最早戦争や話し合いなどの余裕などなくなってしまったのだ。
結果として、オックスフォードは降伏。住人達による暴動に対処していては、それに乗じて乗り込んでくるであろう円卓軍に対処しきれないと判断したウッドワスは、即座に武力行使に出なかった自分に怒りを抱きながら開門、円卓軍を受け入れたのだった。
その後、パーシヴァルとの話し合いにより、オックスフォードの兵士達は武器を取り上げられ、また円卓軍への武力行使も禁止された。ウッドワスも彼らを入れてしまった以上、従う他なかった。
残る住人達の暴動も円卓軍の協力によって収まり、円卓軍は住人達の中から『我こそは』と思う、“牙”の氏族以外の妖精や人間達を取り込んだ。
そして、残された“牙”の氏族はグロスター領主ムリアンの『“牙”の氏族の安全を保障するのなら、グロスターは反乱軍側につく』というありがたい提案によってグロスターへ連行される事が決定した。この提案は、キャメロットを除くオックスフォード以外の地にも点在する“牙”の氏族達も例外なく、だ。
「兵士達の手前、投降した“牙”の氏族達には手枷をつけさせていただきましたが、グロスターに到着次第、手枷は外し、捕虜から自由の身になります。ムリアン殿は彼らを傭兵として雇用し、軍を持たないグロスターの警備隊にする、との事です」
「ちょっと不安だけど、反女王勢力が増えた……でいいのかな」
パーシヴァルの言葉に、立香はもやもやとした不安感に顔を曇らせるも、そんな彼女の不安を和らげるようにダ・ヴィンチが声をかけた。
「大丈夫だよ。たとえ今日まで女王側の兵士でも、こうなってしまえば下手に反抗できないはずだ。それに、こういうのはあれだけど……あそこにはアンナ達がいる。彼らが暴れたら彼女達が抑えにかかるはずだ。少なくとも、ムリアンに危害が及ぶ事はないと思うよ」
「……だといいんだけど」
「そうだよ、立香。不安に心を囚われてはいけないよ。一挙両得だと思えばいい。僕らは厄介払いが出来て、ムリアンを仲間に出来た。そもそも鐘を鳴らしている以上、グロスターは半分こっち側だったからね。これで立ち位置が決まって、スッキリしただろ?」
「それはそうだけど……。じゃあ、“牙”の氏族はグロスターに連行されたの?」
「いや、連行は今日だ。ウッドワスが激しく抵抗してね。部下達はこっち側だったんだが、彼だけが拒み続けていたんだ」
ウッドワスは女王モルガンへの忠誠心が凄まじい。
先代であるライネックの時代から彼女に仕えていた事や、ロンディニウム戦での失態も合わさり、ここで連行されては最早彼女へ見せる顔がないと思ったのだろう。
だがここまで来ると、最早憐れにも見えてしまう。
「ホント、諦めが悪いよ。大人しくとグロスターに連行されてくれれば―――」
「パーシヴァル様ッ! 大変ですッ!」
うんざりといった表情を浮かべたオベロンの言葉が、何者か遮られる。
一体何事かと思った立香達の前に、円卓軍の兵士が血相を変えて飛び込んできた。
「どうした、なにがあったッ!」
彼の並々ならぬ様子に、すぐに表情を引き締めたパーシヴァルが問いかける。
ここまで全速力で走ってきたのだろうか。息も絶え絶えの彼は肩を激しく上下させながら報告を上げ、パーシヴァル達を驚愕させた。
それは、ウッドワスが逃亡したという報告だった―――。
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ウッドワスがオックスフォードから逃亡してから数十分後、ロンディニウム上空にて。
地上にいる者からは誰一人発見できない程の高度で滞空していたメリュジーヌは、自分の今後について考えていた。
彼女がロンディニウムにいる理由。それはただ、自分の事を見つめ直す為ではない。
これは、オーロラからの命令。自分が抱える騎士や兵士達にさもそうであるかのように時間をかけて話していたものであるが、簡潔にまとめると、『ロンディニウムに潜む者達に妖精國を滅ぼす悪意があるので、滅ぼしてほしい』というものだった。
ロンディニウム―――いや、円卓軍を率いるパーシヴァルや、彼が協力する『予言の子』や藤丸立香らカルデアの者達の最終目標は、恐らくモルガンの討伐。確かに現女王のモルガンが死亡した場合、この國は変わるだろうが、彼らにこの國を滅ぼす気がないのは、短い付き合いながらもメリュジーヌはなんとなくだが理解できていた。
彼彼女らにそんな事は出来ないし、するつもりもない―――そう思っていたからこそ、そしてオーロラという妖精がどんな存在なのかを知っていたからこそ、メリュジーヌは今、あと少しで戦場へと変わるロンディニウムの真上で自分について考えていた。
(私は、オーロラの命令に従うべきなのかな……。それとも……)
自分には、二つの顔がある。
一つは、この妖精國において唯一の、この世界においてたった一人の
もう一つは、偉大なる“祖龍”ミラルーツより創られし
後者は厳密にはその末裔。大元のアルビオンが死の間際に切り離した細胞の一片が変質したのが、自分だ。
だから、自分は本物のアルビオンではない。本体の死から運よく逃れ、そしてオーロラという一人の妖精によって肉体を得た存在でしかない。
メリュジーヌとして活動する以上、自分はオーロラに従うべきなのだろう。それが、命を救われ、そして彼女の美しさに魅了された自分が出来る恩返しなのだから。
けれど―――
『私達はね、確かにあの骨を護った。でも、それ以上に護りたいものがあった。それは貴女よ、アルビオン』
『……っ。でも、僕は……』
『わかってる。でも、貴女はあの子よ。たとえ、それが細胞程度の規模であったとしても、貴女は貴女。欠片であろうとも、貴女はこの歴史の“私”の娘だから』
『……アンナ……』
『ルーツでもいいって……いや、うん、そうだよね。私は“私”じゃない。この歴史の
『―――でもね、アルビオン』
『それでも私は、貴女を護りたい。この世界の“私”が護り抜いた命である、貴女を』
『……ッ!!』
『だから、自分は違うって卑下しないで。貴女はアルビオン。“私”の遺した、大切な愛おしい子どもの
『あァ、俺も同じ事思ってンぜ。アルビオン、
汎人類史からやって来た“祖龍”と、彼女が召喚した“紅龍”。
二人は自分達の世界の自分でなくとも、自分が大元から切り離された細胞であるとわかっていても、自分を『家族』と言ってくれた。
そして“紅龍”は、細胞だからなんだとも言ってくれた。
(私は、私。……カリア)
次に脳裏に浮かべるは、バーヴァン・シーのお目付け役の顔。
彼女ならばこういう時にどうするのだろうか。サーヴァントである彼女は、生前も含め、きっと自分よりも多くの事を見聞きしてきたのだろう。少なくとも、境界を司る能力故、あまり地上に出られなかったアルビオンの竜であった頃の自分よりは豊富な経験を持っているだろう。
そんな彼女ならばどうするか、そこまで考えた直後、以前の会話が思い起こされる。
『だが、君が努力するというのなら、それでいいだろう。努力に悪い事など一つもないのだからね』
『気にならないの? 僕をその気にさせた出来事とか』
『気になるとも。君をその気にさせる程のものなのだから。だが、聞かないでおこう。君は君の思うがまま行動すればいい。……悔いの残らぬように』
悔いの残らぬように―――その言葉が、頭の中で何度も反芻する。
提示された選択肢。自分の未来を変える分かれ道。
きっとどれを選んでも、悔いは残る。悔いの残らない選択肢など存在しないのだから。けど、もし……もし本当の意味で『悔いの残らない選択肢』を選べた時は、きっと自分は大きく変われるはずだ。
けれど、
悔いの残らない選択肢など、彼女にはわからなかった。
―――昔、同じようなものを考えた事があった。
命の分かれ道。
片方を行けば己の命が保証される確率は大きく、もう片方を行けば命の保証は出来ずとも、護りたい命を護れたかもしれなかった。
しかし、彼女は選べなかった。選び取るべきだった選択肢を、取れなかった。
そして、流されるままに時は進んで、提示された選択肢の中で、最も安全なものを選んで―――
―――愛した
それからというもの、自分は怖くなった。
自らの前に提示された道。自分の
それは奇跡にも等しい偶然で与えられたこの
―――怖い。恐ろしい。考えたくない。
彼女に反抗するのが恐ろしい。反抗したが最後、自分はこの姿を失う。下手をすれば、命さえ消えてしまうかもしれない。
(僕は……私、は……)
答えがわからない。無明の闇で、ありもしない光を探しているような気分。
そして―――気付けば地上では、火の手が上り始めていた。
「殺せ殺せッ! 尊き御方の慈悲を無駄にした奴らだッ!」
「女子供も殺せッ! パーシヴァルがいない間に殺し尽くせッ!」
「馬鹿な奴らだ。同じ人間だからと仲間に入れるからこうなるんだ。まっ、お陰でこんな簡単に殺せるけどなッ!」
ハハハハハハ―――と、狂った笑い声を上げる騎士達。彼らが殺しているのは、かつて共に戦っていたはずの円卓軍の者達。
妖精も、男も、女も、子どもも……一つの例外もなく、彼らは殺し続けている。
彼らに悪気などない。だが、だからこそ恐ろしく悍ましい。
彼らが心酔するのはオーロラ。彼女の為ならば、彼らは喜んであらゆる邪道に手を染める。それで彼女が喜んでくれるのだから。
だが、それは実現しない。彼らにこのロンディニウムを滅ぼせと告げたオーロラは、もういない。
彼女は自分が彼らになにを願ったのかを記憶していない。たとえ今聞いたとしても『そんな事を頼んだ覚えはない』とでも返されるだろう。
しかし、彼らはそれを知らない。知らないならこそ心酔する。自分達が仕える相手がどんなに害悪なものかも知らずに……。
(でも、仮に知ったとしても、彼女からは逃れられない……。彼らも、私も……)
それが、オーロラの恐ろしいところだ。
己が愛される事を使命としているからこそ、他人から愛されてしまう。そして、その他人もまた、オーロラを操る『使命』という糸に翻弄される。
彼女の言葉に頷き、この場に来てしまった自分がその最たる証拠だ。
結局、自分もまた彼女に従って、これから彼らと共に―――
「あぁ……あぁああああああああッッッ!!!」
その時、地上から悲しみと怒りが混ざった雄叫びが聞こえた。
(……あれは)
「許さない……許さないッ! 臆病者共めッ! パーシヴァル達がいない間に殺す? ふざけるなッ! お前達なんか、騎士じゃないッ!」
これまで多くの傷を受けて、その度に相手を倒してきたのだろう。煤にまみれた甲冑に、傷を負った体。欠けた槍の穂先を敵に向けた少女が、自分を殺そうとかかってくる者達に果敢に立ち向かっていた。
ロンディニウムに残っていた彼女の反撃に気づいたのだろう。騎士や兵士達が排除しにかかるが、その少女は数十人もの相手に決して物怖じせずに敢然と挑みかかっている。
だが、悲しいかな。一人でも多くの命を救おうとしても、守り手は一人しかおらず、彼女が戦っている間にも逃げ惑う人々や妖精が殺されていく。
それに涙を流し、怒りの炎を燃やし、只管に戦う彼女はあまりにも憐れで―――しかし、メリュジーヌはそんな彼女の姿に小さな光を見た。
「……私は、馬鹿だ」
小さく零れた言葉は、本人にも聞こえていない。無意識に口に出ていた言葉の意味を理解する事もなく、メリュジーヌは戦場へと落ちていった。
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「ヤァアアァッ!!!」
「ぐぁッ!? く、そ……」
吹き飛ばされた騎士が悪態を吐いて崩れ落ちる。
続いて襲い来る兵士の剣を盾で受け止め、シールドバッシュで奥にいる他の兵士や騎士ごと吹き飛ばす。
直後、背後から衝撃。
鎧から伝わる痛みが、背後から斬りつけられた事によるものだと気付くや否や、槍を水平に薙ぎ払って背後に立っていた騎士を弾き飛ばした。
「はぁ……はぁ……はぁ……ッ!」
これまでの疲労とダメージで体が休息を求め、無意識に槍を杖代わりにして肺に酸素を送り込んでいく。
自分の血と汗、そして涙で滲む視界。その奥には燃え盛るロンディニウムと、殺気を滾らせて自分に向かってくる、仲間だったはずの者達。
「まだ、だ……。まだ、やれる……ッ! 私は……ガレスッ! このロンディニウムを護る、騎士だァッ!!」
疲労は最高潮、受けた傷も多く、少し体を動かすだけでも血が流れ出る。
最早自分の命は長くない。それでもと魂を鼓舞するように叫び、槍を構え直した―――その時だった。
「―――良い叫びだ」
頭上から、流星が落ちてきた。
咄嗟の事で反応できなかったガレスはなにも出来ずに吹き飛ばされ、背中から地面に叩きつけられてしまう。
起き上がるのを拒否する体に鞭を打ってなんとか立ち上がったガレスは、土煙が晴れた先にいる存在に目を見開いた。
「……あな、た、は……」
「…………」
素顔を青い仮面で隠した妖精に、ガレスは絶望した。
彼女は、モルガンに仕える妖精騎士の中でも最強と呼ばれる妖精。この國にたった一人しかいない、竜の妖精。
その名は―――
「おぉ……メリュジーヌ様ッ!」
「メリュジーヌ様ッ! メリュジーヌ様がいらっしゃったぞッ!」
これまでガレスに気圧されていた騎士や兵士達が、助っ人の登場に士気を上げる。
対してガレスは、全身がサァッと冷たくなっていくのを感じた。
これまでなら、なんとかなっていた。騎士も兵士も、根性で叩き伏せていた。疲れもなにもかも無視し続ける事が出来た。
だが、嗚呼、メリュジーヌは無理だ。万全の状態でも絶対勝てないのに、こんな傷だらけで疲れ果てた体では、間違いなく瞬殺されてしまう。
「ぁ……」
膝が崩れ落ちる。最早、抵抗する気力すらも尽きて、立ち上がる力も湧き上がらない。
―――パキッ。
絶対的な力の差が見ているだけでもわかってしまい、彼女にはどんな手を使っても勝てないと本能で理解して、これまでなんとかこの身を支えていた芯が折れる音がした。
支えを失った建物が倒壊するように、膝から崩れ落ちたガレスに、これまで彼女に追い詰められていた兵士や騎士達が、僅かに安堵が混じった嘲笑を浮かべた。
「ハ、ハハ……ッ! あいつ、遂に心が折れたぞ……ッ! 今だ、今の内に生き残りを―――」
殺せ、と言おうとした男が、その言葉を口にする事はなかった。
ガレスから顔を逸らし、仲間達に叫ぼうと振り向いた勢いで、彼の首が飛んだのだから。
「…………は?」
いったいなにが起きたのか―――それを頭で理解しようとするより先に、別の男の首が落ちる。
そして次の瞬間、流星が奔った。
大空ではなく、地上を駆ける蒼き流れ星が次々と騎士や兵士達を切り裂いていく様に、光を失いかけていたガレスの瞳が輝きを取り戻し始める。
抵抗する手段を持たない人間や妖精達を斬り捨てようとした凶刃を、その持ち手ごと吹き飛ばす。
救われた者達も唖然とする中、メリュジーヌは騎士や兵士達を広場の中心へと吹き飛ばしてから、ガレスの前で停止した。
「ど、どうして……」
彼女が停止した際に発生した突風に顔を庇うのも忘れ、ただ震えた声で訊ねる。
「君が、私に変わるチャンスをくれた。これは、そのお礼」
シャキンと両腕の籠手に
「……君は素晴らしい人間だ。立ち上がって、騎士ガレス。君の戦いに、私も加わらせてほしい」
「―――ッ!」
それは、まさに天啓のようだった。
空から落ちてきた絶望は、しかしこのロンディニウムを護り抜く最後の希望だった。
「行こう、ロンディニウムの騎士。君の背中は、僕が護る」
「はいッ!」
力強くその手を取って立ち上がったガレスにメリュジーヌは頷き、ガレスもまた彼女に強く頷き返し、無辜の民を脅かす脅威に立ち向かった―――。
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場所は変わり、キャメロット。
モルガンに依頼されたバーヴァン・シーの看病に必要な薬の材料の採取を終え、カリアが廊下を歩いていた時。
(―――っ、これは……)
ズキリと、己の
自身の異変に気付いてやってきた妖精達に「大丈夫だよ」と言い、呼吸を整える。
(初めてだね、この感覚は。となるとこれは……メリュジーヌか)
廊下の突き当たりまで移動し、右手の籠手を消滅させる。
自分の視線の先に映った
(自身を形作った者への反抗か。なるほど、
思い出すのは、メリュジーヌが妖精騎士に任命された時の記憶。
彼女がただの妖精ではないと感じたカリアがモルガンに申し出、そして施された魔術による繋がり。
あれ以降彼女との繋がりに変化が起こる事はなかったが、今日遂にそれが起きた。
本当ならば彼女が支払うべき代価を、自身に肩代わりさせる魔術。
バーゲストとの間にもあるこの繋がりが、彼女の仮初の肉体に影響を与え始める。
「……英霊となっても、人ではいられないか。いや、ボクは生前から人でなしではあったけどね」
誰に言うのでもなく呟き、再展開した籠手で右手を隠して歩き出す。
「でも、そんなボクだからこそ、君達の背負う荷物を、少しだけでも肩代わりしたいのさ」
―――彼女の変化を知る者は、モルガンを置いて他になく。しかし、メリュジーヌとバーゲストは、自分達が背負うものが彼女にどのような影響を与えているのかを知らない。
そして今、つい先日加わった新たな繋がりが、その牙を剥いた。
「――――――ァ?」
一瞬、自分がなにを考えていたのか、なぜここにいるのかがわからなくなった。
肉体の変異も、耐え難い飢餓感もない―――ただ今の一瞬だけ、なにもかもが頭から抜け落ちた。
幸いにも、ほんの一秒にも満たない時間のものだったが、しかし、それがなによりも恐ろしかった。
護るべき命が、託された命が、消えようとしている。
―――急がなければ。女王への報告の後、さらなる助力の申し出をしなければ。
先程までの笑みを消し、カリアは駆け足で女王の下へ向かうのだった―――。
・『ガレス』
……反乱軍の裏切りに激怒し戦うも、なにも守れずに終わるはずだったところをメリュジーヌに救われる。命尽きるその時まで、彼女はその槍を振るい続ける―――。
・『メリュジーヌ(アルビオン)』
……メリュジーヌとしてオーロラの命に従ってロンディニウムを滅ぼすか、一人の妖精として彼らを護るかの選択肢の内、異世界の家族と狩人の言葉に背を押され後者を選択。オーロラの命令に背き、ロンディニウムへの奇襲を妨害し、ガレスとの共闘を開始した。
・『ブリテン異聞帯のルーツ』
……セファール襲来の折、聖剣作成の時間を稼ぐ為に神々と共闘した。愛する子ども達をセファールの被害が及ばぬ内海へと残したが、遂に戻る事はなかった。アルビオンもディスフィロアも聖剣を作成するはずだった妖精達がその仕事をサボった事を知らず、ただ『母はセファールによって滅ぼされ、聖剣使いもまた滅びた』という事だけを知っている。もし当時彼らが妖精達の所業を知っていた場合、はじまりのろくにんは殺害され、ブリテン異聞帯は成立しなかった。
・『カリア』
……モルガンによって妖精騎士達との間に魔術でパスを作り、彼女達が背負う呪いや代償などを(完全ではないものの)肩代わりしている。バーゲストの場合は気が狂うような空腹を感じ、メリュジーヌの場合は、その身が人間のものから変異しかけている。そして、バーヴァン・シーの場合は……。
改めて、明けましておめでとうございます。
今年も我が拙作、『緋雷ノ玉座』を楽しんでいただければ幸いです。
それでは、また次回ッ!