転生赤ずきんは死にたくない   作:ありな

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 この作品に出てくる登場人物は二十歳以上です。


2話 罪は赤い葡萄の味

 私は何かを間違えたのだろうか。

 

 私は失敗をしたのだろうか。

 

 私は――

 

 

 クチャリ、クチャリ。

 

 目の前で食らわれている音だ。

 遊んで、弄って、狼が満足をしてから、下半身からゆっくりと食べている音。

 赤黒い血は止まらない。無くなった、足の先から、手首の先から溢れ出て止めれない。

 

 この体にどれだけの量を貯め込んでいたのだろか、目の前の狼はどれだけの量を食べてきたのか。

 

 諦めて顔を狼から逸らす。狼から楽しまれていることから。

 

 現実から。

 

 死から。

 

 そんな私を見て誰かが笑っていた。狼じゃない、私でもない。あれは月だ。三日月形の塊が黒いカーテンの隙間から光が漏れ姿を現していた。

 

 薄れゆく意識の中で。

 

 ――どうか、これが悪夢であってくれ。

 

 願って私は目を閉じた。

 

――

 

「……」

 

 目を開けて見えた景色はベージュ色に統一されている部屋。空間に充満している木製の家具の匂いは懐かしさを覚えさせられる。

 寝ていた横の窓から入る光が心地良い暖かさがあった。

 

 体を上げて腰にチクリとした髪の毛をすくい、擦るように摘まむ。前日に見た夢の金色が私の手に握られていた。

 まだ、夢の中なのだろう。

 

 コン、コン、コン。

 

 綺麗な三回のノック音が部屋に響く。

 

「入るわよ、赤ずきん」

 

 彼女の声だ。赤ずきんの母と名乗っている彼女の声。

 

 ゆっくりとドアノブが回ると、その隙間から彼女が入ってきた。

 

「あら、顔色が悪いみたいだけど大丈夫?」

 

 私が寝ているベッドまで近づき、私の顎を上げ、突然おでことおでこをくっつける。

 ピクリと一瞬、震えた私を気がついたのか優しく頭を撫でられた。

 

 顔が近い。

 鼻がつきそうなほど近く、吐息がまだ熱を保ったままお互いの顔に届く。頬に血が熱を無駄に送られて、自分でも分かるくらいに心臓が早く鼓動している。

 

 感情に不快感はない。心地よさがある。

 

「熱はないみたいだけど……」

 

 私の顔を覗きながら。まぶたを閉じた。まつげが微かに顔に触れられる。

 

「私は大丈夫だから」

 

 鼓動を無視をして、言葉をすり出す。

 

「そう?」目を開け直して、短く返してきた彼女に首を縦に振りながら「着替えてから下に行くよ」と答えると微笑んでから、「ゆっくりで良いからね」と言ってから部屋を出て行った。

 

 頬の熱が冷めてから立ち上がり、ゆっくりとクローゼットの方に歩く。

 クローゼットを開けると、サイズがバラバラな赤頭巾を見ると、

 

 取り出し、身につけていた服をベッドの上にたたむ。

 裸になった自分の体。十代後半の白い肌に傷らしい傷はなかった。

 

 ベッドに腰掛けて体を触る。本当に傷がないのか。手を頬から首に。胸から太股、手は探るように上から下にかけて触っているが、傷らしいものはない。

 胸も太股にも傷がないことに首をかしげる。

 

 ふくらはぎまで下がっていた手が上に伸びていく。自分の意思とは関係なしに、太股からさらに上に、その手は足の付け根に手が伸びてた。気づいたときには遅い、手は下着の中に吸いこまれるように入っていった。

 

「……っぅ」

 

 頬にさっきとは違った熱がこみ上がる。誰にも聞かれたくない声を殺しながらぼそりと呟く。

 恥ずかしさが少しあったが、その場所に傷がないことに私は安堵の息を吐いた。

 

 ――ああ、あれは夢だったのか。夢の中で見た悪夢。

 

 服としての機能を失った目の前にある白いシャツも白と赤の二色のドロドロとした体液が混じったベッドもあれは全て悪夢だったのだろう。

 

 反射する窓に私の裸がうつる。ぱっちりと開いた目、長いまつげ。全身にほどよくついた肉付きに第三者目線から見ると自然と頬が熱くなる。恥ずかしくなり、すぐに窓から目を逸らしてから赤ずきんの服に着替えた。

 

 

 白い階段を下る。音はしない。迷わずにキッチンの方に歩くと、女性の後ろ姿が見えた。

 

「座って赤ずきん」

 

 気がついたのか、微笑みながら振り返って私を見つめる。

 コーンスープ、ウインナーとクロワッサン。紅茶が湯気を立ててテーブルの上に置いてある。

 作りたて。

 そう思うと自然と心臓の方からぽかぽかとなった。急に不自然になった胸に手を置いても、何時もと変わらない心臓があるだけで違和感はない。だけど胸は

 不思議に思いつつ椅子を引いて座る。

 

 準備が終わった女性が向かい側に座ってから手をあわせた。

 

「いただきます」

 

 声を出すと女性が少し驚いた顔をしてから、女性も続けて「いただきます」と手をあわせた。

 

「さっきに比べて顔色は大分良くなってるわね」

 

 女性が食べ終わったのか紅茶を綺麗に飲みながら話しかけてくる。

 

 私はまだ、残っている。少しの食器の音をたてながら「うん」と短く答えた。

 まだ、食べるのは難しい。ナイフとフォークが金属音を鳴らしながら食べている私を微笑ましそうに見ていた。

 

「……頼みたい事があるのだけど、大丈夫?」

 

 私が食べ終わったのは結局、紅茶から熱がなくなった後だ。冷めた紅茶を飲んでいる私に女性は話しかけた。

 

「体調が。体調が悪いなら今度でも良いのよ」

 

「大丈夫。行ってくるよ」

 

「……そう」

 

 紅茶をズズッと音をたてて飲んでいる私に彼女は眉をひそめて短く言った。

 

「森を真っ直ぐ歩けばおばあさんの家があるからね。部屋は二階の奥の部屋にいるから。このバスケットを届けて」

 

「分かった」

 

 キッチンに行き。置いてあったバスケットを持つ。薬にワインが二本とかなり重いが腕に通してから玄関に行く。サイズの合う一つのブーツに足を入れた。

 

「狼が出るかもしれないから気をつけてね」

 

 声を聞き終わってから、ゆっくりと扉を閉めた。

 扉を開けた先の光が心地良い。服をぽかぽかと、皮膚をジリジリと焼く光に感謝しつつ、森に進む。

 

 

 雑草をぐしゃりと踏みつつ真っ直ぐに森に近づくと森の目の前で風が吹いた。何となく、風が吹くのだろうと思っていたから今度はバランスは崩れずに辺りを眺めた。

 

 揺れる葉についていた、雨のしずくがはねる。一つの木からそうなると伝染したみたいに、他の木も雨のしずくを震えてはねさせていた。

 それから、一羽の黒いカラスが飛んでいく。追い出された、自由になった。表現は色々とできるけど私はそんなカラスが羨ましいと思う。

 

 カラスの後ろ姿を見届けてから森の中に入る。まだ、葉はザワザワと弱く揺れているが、それを無視して歩く。

 

 

「ねえ、お嬢さん」

 

 彼の声だ。声の聞こえた方向に視線を向ける。

 

「……何ですか」

 

「何か用事があって行くんだろう?」

 

 漏れた光でキラキラと光る茶色の髪の毛はふんわりと空気を含んでいて気持ちよさそうに見える。ニコリと微笑む明るい彼に私は目を逸らしたくなるが、真っ直ぐ見つめた。

 

「……おばあさんの所へ。お見舞いに」

 

 自分でも驚くくらいに、自分は会話が下手みたいだ。不機嫌に言っているように感じる。それでも、彼は微笑みを崩さずに喋り続ける。

 

「ここを真っ直ぐ行った所の?」

 

「うん」

 

 男の人が嫌いになってしまったのかもしれない。言葉はさっきよりも短く棘があるように答えてしまう。

 

「寄り道になっちゃうんだけど、あっちに花畑があるんだ、一緒に寄ってみないか」

 

「嫌」

 

「そ、そうか……」

 

 答えた言葉に罪悪感を覚える。しょぼくれている目を見ると胸がズキズキと痛み、申し訳なく思ってしまった。

 

「お見舞いが終わったら行ってみたいな」

 

「そうか!」

 

 声を出すと、心の底から喜んでいるように見えた。

 

「うん。だから、また後で」

 

 ――生きてたら。

 

 最後まで言葉を言わなかった。それが、私も彼も悲しまないはずだから。

 

――

 

 森を抜けて、扉にノックをする。

 日は傾き、夜になりかけていた。結局全開よりほんの少し早い時間に着いたかどうかになってしまった。

 

 こん、こん、こん。

 

 私の拳と扉から短く三回、無機質な音が鳴った。

 ノックをして誰も出てこない事に、初めから期待してはいない。しばらく時間が経ってから鍵のがかかっていない扉をゆっくりと開ける。

 

 暗い廊下。仕事をしたくないのか、ぶら下がっている弱い光に目を慣らしてから、中に入る。

 警戒心が高かったおかげが、ここに来るのが二回目なのか、薄暗さのせいで見えづらかったが至る所に引っかいた傷があることに気がついた。

 

 廊下から階段に続いて何カ所にもある。

 その傷は廊下だけじゃない。階段の段差にも、手すりにも、壁に。

 傷に触れる。この傷は、犬や猫が引っかいたような可愛いものじゃない。深くえぐれている。念入りに奥まで見てしまった。

 

「……ん?」

 

 薄暗さの中で傷を触ったことと、目を慣らした事で気づいてしまった。それに気づきたくなかった。

 

 この家全体に傷だけじゃなくて、その場所に赤黒い色がこびりついていた。

 絵の具ではない。全部血液だ。それも一人の血の量じゃない、何人も何人もの血液量だ。

 

 ヒュッ。

 

 息が漏れる音。誰の?

 それが誰の息かはすぐに分かった、私の息だ。ここにいる私以外あり得ない。

 

 弄ばれた後だ。誰かは分からない。分かることは被害者は私じゃないのと、おばあさんはもうとっくに死んでいることだ。

 

 一瞬、脳の中で様々な感情がちらつく。『逃げなきゃ』『殺される』『死にたくない』色んな考えがあったが無駄な時間だと思い悩むのを止めた。

 

 ――ああ、でも敵討ちはしなきゃ。その為にここに来たのだから。

 

 止まっていた足を動かして、奥の部屋の前に立つと、ゆっくりと深呼吸をする。ぼろぼろの扉にノックをするために手を伸ばす。

 

 こん、こん、こん。

 

「おばあさんいますか? 赤ずきんです」

 

 震える声を隠すように高い声を出す。

 

「おお、赤ずきんか。入っておいで」

 

 狼の声だ。低いくぐもった声。

 その声に私の中に異物が投げられ水が波紋されるように心の隅まで広がる。

 

 それは狂気だ。

 ベッドに這いつくばる狼は狂気に満ちていた。

 

 その思いは怒りだ。

 無理やりに弄ばれた、私の怒り。

 それらは悲しみだ。

 

 第三者が助けてくれなかったこと。助けられなかった私の哀しみ。

 

 感情たちが芽に栄養剤をかけるように殺意が成長をしていく。

 それらが中で黒く混ざり合い。歓喜に変わった。

 

 ――チャンスは一回しかない。

 

 

「はい、失礼します」

 

 部屋の中は暗い。前に入ったときと変わらない暗さ。

 

「赤ずきんや、こっちにおいで」

 

「……分かりました」

 

 狼に近づく。近づくにつれて浅く、高く、軽く心臓が動く。

 恐怖ではない。

 

「おお、ありがたい」

 

 バスケットをテーブルに置き、狼の顔を見る。

 

「……? どうしたんだい赤ずきん」

 

 ああ、ここだ。ここしかチャンスはない。

 震える声を呑み込み、代わりに澄んだ声で話す。

 

「どうして、おばあさんの耳はそんなに大きいのですか?」

 

 バスケットに手を伸ばす。ボトルに手が触れる。

 

「それはね、赤ずきんの声をよく聞くためだよ」

 

 狼は笑った。前回と同じように笑った。それに反応はしてはいけない。落ち着いて、静かにタイミングを計る。

 

「おばあさんの目は大きいのですか」

 

 ワインボトルを強く握り締める。私の後ろに隠しながら、狼に近づく。

 狼と私の距離が足りない。次の質問をしなければいけない。

 

「それは、赤ずきんをよく見るためだよ」

 

 狼が見ているが私の後ろに隠しているボトルはバレていないようだ。

 質問をする。

 

「おばあさんの手はどうしてそんなに大きいのですか」

 

「赤ずきんを抱きしめるためだよ」

 

 狼に油断は見えない。私のことを愛おしそうに見ている。

 背中から汗がツゥと流れる感覚がしながら、最後の質問を言葉に出す。

 

「なら、なんでおばあさんの口は大きいのですか?」

 

 狼の口の端から、よだれが垂れてそれを拭いた。視線が私から外れる。

 

 ――今だ。

 

「赤ずきん、こっちに――」

 

 狼がこちらに振り向く瞬間に私は赤ワインのボトルを両手で振りかざした。

 

 ガンッ。

 

――

 

 

 

「赤ずきん。危ないじゃないか」

 

 ワインボトルがあっさりと狼に掴まれて不意打ちは失敗に終わった。

 

「くっ」

 

 ワインボトルはびくとも動かすことができない。なら。

 ワインを手放して、バスケットの方に振り返る。近かった、右手を伸ばしてもう一本のワインを掴――

 

「おっと、ダメに決まっているだろ」

 

「ぐぅっ」

 

 狼に近かった左腕を引っ張られてベッドにたたき付けられた。

 グラグラとする、視界を我慢しながら近くに武器がないかを探す。

 

「うーん。まだ、気づかれていないと思っていたんだけどね。誰かに教えられたのかい?」

 

 狼は悩む素振りをしながら、顔を影に落とす。

 

「まあ、良いや。考えるのは後にしようか」

 

 すぐに、顔を上げた狼の表情が下品な笑いをした。

 ――まずい、このままじゃまた弄ばれる。

 

 現実逃避をしたくなりながら無理やり体を頭を動かして、打開策を探す。

 

 扉に近い方に狼がいるせいで、扉から逃げることはできない。横にある窓を板で隠しているからこっちからも逃げられない。

 

 ふと、横に手を伸ばすと、硬い物が有った。目の縁でそれをとらえる。

 ワインだ。さっき掴まれたワインボトルがベッドの上に転がっていた。

 

 ベッドに倒れた状態じゃ、致命傷にはならないけど、隙は作れるはず。

 

 手を伸ばす。

 

 まだ、気づかれていない。

 

 体をよじり、近づく。

 あと、ちょっとだ。さらに手を伸ばす。

 

 ボトルに手が触れた。これで――

 

「そんなにワインが飲みたいか」

 

「あっ」

 

 ワインを掴もうとしたが、すかっと空気を握るだけでボトルを掴むことができなかった。

 取り上げられた。もう、私に武器はない。

 狼の顔を見る。目尻を下げ、口を大きく三日月状に唇を嗤わせている。

 この表情は見たことが昔あった。

 

「じゃあ、飲もうか」

 

 悪い大人の顔だ。

 

「うぐっ……うぐぅっ」

 

 狼はキュッとワインボトルのコルクを音をたてて抜くと、私の口に中に入っている赤い液体を流し込む。

 

「ぐぅ……ぅ」

 

 口を開くことができない。反対に閉じることもできない。息は鼻でしかできないけどとっさに鼻から呼吸する事ができなかった。

 

 葡萄の皮の苦みとアルコールの辛さを呼吸ができないせいでより強く感じてしまう。

 

「飲んで飲んで、そうすれば楽になるから」

 

 狼はそう言いながら、私に入っていた殆どの赤ワインを飲ましてから、私のお腹の上に置いた。

 僅かにボトルに残っていた液体が傾き、私の太股を伝ってベッドの下に垂れる。液がシミを作っていき、血液のように粘度をもってゆっくりとシミが広がっていく。

 

「ひゃ……めれ」

 

 ろれつが回らない。自分が何を言いたいのかも分からなくなってきた。

 

「あはは、さっきの威勢はどうしたのさ」

 

 ぽかぽかと脳が気持ちが良くなっていく。アルコールで感情が惑わされる。

 

「ひょろす、ひょろしてりゃでゅ」

 

「良い表情だよ。顔を真っ赤にさせて、金色の髪が良く映える」 

 

「りゃ……だぁ」

 

 涙が溢れ出ると、ゲラゲラと笑いながら、バスケットからもう一つのワインを取り出して飲みはじめた。

 

「ヒック。ああ、美味い」

 

 半分くらい飲んでからテーブルにガンと乱暴に置いてから、その手が私に伸びてきた。

 

「ひゃぁっ」

 

 首から触り、蛇みたいに曲がりながら下に徐々に下に降りて行った。

 首、鎖骨、胸、へそ。ゆっくりと下って行く。

 

「ぐぅぅ」

 

 お腹を通り過ぎ、太股に移動した手が止まり、何かを確認するように念入りに触っている。

 

「濡れているじゃないか」

 

 ベロン。

 

「ひゃえ」

 

 赤ワインで濡れていたお腹の下の辺りを舐めた。

 殺したい。感情が爆発しそうになる。

 

 拳を握って、殴ろうとする。

 

 ぺちっ。

 

 手に力が入らずに、軽く狼に当たるだけだった。

 

 顔を足に近づけていた狼を蹴ろうとする。

 足はそもそも上がらずに痙攣を起こすみたいにぴくんと動くだけでこれ以上動かすことができない。

 

「あはは、愉快愉快」

 

 私が抵抗できないと思ったのか、残されていたワインを飲みはじめた。

 

「はぁ、邪魔者は殺しておいて良かった」

 

 ……邪魔者? それはおばあさんや狩り人のこと?

 

 狼は短く何回か乾いたように「ヒック」と繰り返しては私を見たり酒を飲んでいる。

 

「庭に埋めて正解だったよ」

 

 酒のせいで気が大きくなったのか、私がもう狼の物になったからなのか、気分が良くなって喋りはじめた。

 

「にして、あのババアは不味かったけど、こんな美味いのが手に入って良かった良かった」

 

「ひゃ……ぁぁぁ」

 

 狼が、爪を立てて太股を撫でるように触った。声が自然と出る。

 

「こりょす」

 

 おばあさんを殺したこと。私が今から弄ばれること。

 

「まあ、長い間可愛がってやるから」

 

 狼は妖しく笑い。服を無理やり破いていく。

 頭巾が、白かったシャツが下着が、ビリッと鳴る度に、破けていく。

 私はそれを見るしかできない。抵抗はできない。また、遊ばれる。

 

「楽しんでくれや」

 

 体を覆い被さるように私に股がると、大きく嗤った。

 

「ぁぁ……ぁっ……」

 

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