自由奔放な天竜人   作:アットホーム

7 / 8
余裕が〜あんまりないよぉ!
やっと書けたので投稿だよ!
書いてたら内容少し長くなっちゃいましたよ!
そしてテンションがちょいとイカれてしまっているよ!
遅れてごめんなさい!
たぶんこれからもかなり投稿遅れますよ!
マクドのポテト食べたい!


タートル島での冒険3

「あ、あんたは…」

 

亀帽子の少年は驚いた顔でそう呟く。

まさかここにギルレットが来るとは思ってなかったようであり、目を見開きギルレットを唖然と見つめる。

 

(ど、どうやってここがわかったんだ!かなり距離を取っていた筈なのに)

 

そして少年は痛みに耐えながら内心そんな疑問を浮かべる。

今現在少年がいるこの場所はいつも通るルートとは違っていて、普通なら此処にギルレットがいるのはおかしいのである。

 

では何故ギルレットがここにいるのか?

それは5分前に遡る。

 

 

 

「ヒャッホーイ!」

 

ギルレットは楽しそうに叫びながら建物の屋根を走り飛んでいた。

そんなギルレットの突然の叫び声に下を行き交う人たちは困惑したように辺りを見渡していた。

住民迷惑にも程がある。

ちなみに何故ギルレットが屋根の上をいるかというと単純に屋根の上のほうが移動しやすいのと面白そうだというのが理由である。最初はギルレットは普通に下の路地を歩いていたのだが、人通りがかなり多く歩きにくいと感じていた。そこでギルレットは移動しにくいなら屋根を移動すればいいとふと思いつきすぐさま屋根へとワープしたのだ。

 

 

「ギルレット様、恥ずかしいので、はしゃがないで下さい!それと下を歩いて下さい、危険ですから!」

 

そんなはしゃぐ僕に対して背後に離れずついてきているセリシアはすかさず注意する。

 

「えぇやだよ、こっちのほうが移動しやすいんだからさ。何より楽しいからお断り!」

 

しかしギルレットはそれを嫌そうな表情で断る。

 

「そのキメ顔が地味に腹が立ちますね、はぁ…まったくギルレット様は…何故こうも勝手なのですか。それに盗人の拠点はわかっていますのに走って向かう必要はない筈でしょう」

 

セリシアは疑問とばかりに聞いてくる。

 

「うーんそれなんだけど、なんか僕の直感が何というか早く向かったほうがいいと言っているような気がするんだよ。それとなんか動き回りたい気分もあるね」

 

「直感ですか…へぇ」

 

セリシアはジト目で僕を見ながらそう呟く。

この様子からただの戯れ言だと思っていそうだ。

 

「わぁ全然信じてない目をしているぅ」

 

それを見て僕は内心信用ないなぁと思いながらなんだかとても悲しい気持ちになる。

……ま、いっか。

しかしすぐさまどうでもよくなった。

 

「それにしても少年の拠点まで結構遠いなぁ…今の場所的にさっき飯を食べたところっぽいけど」

 

僕は辺りを見渡しそう呟く。

屋根から下に目を向けるとそこには酔っ払っている海賊やゴミを漁る浮浪人の姿があった。

 

「ねぇ次はどっちにいけばいいの亀ちゃん?」

 

「キュキュウ」

 

僕はポケットからちょこっと顔を出す子亀に次の道順を問いかける。

すると子亀は可愛らしく鳴くと首を左に向ける。

何を喋っているかは理解できないが首を左に向けたことから左に行けと言っていることがわかる。

 

「OKOK〜左ね!んじゃワープしまーす」

 

そう言うと僕は今いる屋根から反対の屋根へとワープしてそれを繰り返す。それに続きセリシアも反対の屋根に飛び移るとギルレットを見失わないように僕の後ろをついて行く。

 

「なんとなくだけどあの少年の拠点に近づいてきている気がするな、そこのところどう思う亀ちゃんよ?」

 

「キュ、キュウ」

 

そう問いかけると子亀は戸惑いながらも頷く。

その様子からしてどうやら本当に近づいてきたらしい。

 

「キュ?…キュキュウ!」

 

屋根を飛び越え移動をしている最中、ポケットに入っている子亀が突然高い声で鳴き始めポケットの中で暴れ出す。

 

「ん?どしたよ亀ちゃん、急に鳴きだして?もしかしてトイレ?」

 

そんな子亀に僕は不思議に思いその場で立ち止まると子亀を見ながらそう問いかける。先程までずっと大人しかった子亀が急に暴れだしたのだ不思議に思うのも当然である。

 

「キュキュ!!キュッキュッキュウ!」

 

しかし子亀は違うとばかりと鳴きながら首を横に振るとすぐさま慌てて首を何度も右にぐいぐいと向ける。

あ、トイレじゃないのか…

 

「右?そこに何かあるの?…ん?…この感じは……なるほどそゆことね」

 

僕は右に目を向けてしばらくすると何かに納得したのか微かに聞き取れそうな声にそう呟く。

 

「どうしたのですかギルレット様?…何か彼方にあるのですか?」

 

不思議そうにそう聞くとセリシアもギルレットと同じように右を向くが特に気になる物は見つからなかった。

 

「特に何もないようですが…って、え!ギルレット様!?」

 

セリシアが前方に首を元に戻すとなんとそこには先程はまでいたギルレットと子亀が突如として消えていたのだ。

 

「え?え?いったい何処に!?……はっ!まさか」

 

セリシアは慌てたように辺りを見渡すがギルレットは何処にもおらず、セリシアの顔から焦りが生まれる。しかしすぐさまはっと何かに気づき、先程ギルレットが見ていた場所を再び見る。

 

「本当にギルレット様は…また後で説教をしなくてはなりませんね」

 

セリシアは静かに怒りを露わにしながらそう言うとスッと消えるようにその場を後にしてギルレットを追うのだった。

 

そして現在に戻る。

 

「よっ!さっきぶりだね少年。随分ズタボロにされてるみたいだけど」

 

僕は片手を上げ軽く挨拶すると少年の全身を見る。

少年の身体は至る所にあざや傷ができており見るからにかなり痛そうな姿をしていた。その姿を見て僕は昔に同世代の天竜人が少年ぐらいの年齢の奴隷を痛ぶっていたのを突如思い出して表情を少し歪める。あの当時から天竜人の奴隷に対する扱いに少しも理解ができなかった僕はその暴行されていたその奴隷の男の子を他の天竜人の目を盗んでこっそり逃がしてあげたことがあった。

逃がしてあげたあの奴隷の男の子は涙を流しながらお礼を言っていたのを今でも覚えている。今頃あの男の子はどうしているのだろう?元気にやっているといいのだが…

 

 

「おいテメェ何者だ!何処から現れやがった!」

 

昔を懐かしむ僕に男は警戒した顔でギルレットを睨むと怒鳴るようにそう問いかけてくる。

 

「僕?そうだなぁ……とりあえず今はフリーパーとでも名乗っておこうかな?それと何処から来たかはひみつ」

 

僕はキメ顔で適当な偽名を名乗ると人差し指を左右に振る。

その仕草がなんだか地味にうざいとボロボロになっている少年は内心思った。

 

「フリーパーだぁ?ふざけてんのかテメェは!…それとさっきから痛ぇんだよ離せやゴラァ!」

 

どうやらギルレットの握りが強いのか男はそう怒鳴ると手を振り解こうとする。しかしそれでもギルレットの手を振り解くことができず、さらにギルレットは握る強さを上げる。

 

「イデデデ!?マジでやめろや!!」

 

男は痛みに耐えきれなくなった為に片方の手でギルレットの顔面を殴ろうとする。それをギルレットは軽く避けるとようやく男の手を離し後方に少し下がる。

 

「糞が!何なんだよテメェは!急に割り込んできやがって、腕がめちゃくちゃ痛ぇじゃねぇかよ!」

 

男は腕を触りながら怒鳴ってくる。

 

「ごめん、そう言うフリかと思ってた」

 

ギルレットは悪気がなさそうな顔でそう言う。その顔からしてどうやら本気でフリだと思っていたらしい。

 

「フリだと!?んなわけ「あ、ところで少年、僕の財布返してくれない?あの財布借り物だから返してもらわないと結構困るんだよ」って聞けよ!」

 

男は何か言おうとしていたがギルレットは関係ないとばかりに男の言葉に被せて少年に財布の返還を要求する。

完全にギルレットのペースである。

 

「お、オレは持ってない…今さっき…あいつらに取られたばっかり…だし」

 

「あ、そうなの?」

 

そう言うと僕は目線を少年から外して男たちを見渡すと1番身体の大きい大男が財布を持っているのを確認する。

 

「そ、それより…なんでここが」

 

大男に目線を向けているギルレットに少年は疑問に思っていたことを痛みに耐えながら聞く。

 

「ん?…あぁそのこと?それはこの子のおかげだよ、ほら」

 

そう言うと僕はポケットに入れていた子亀を取り出し少年に見せる。

そんな持ち上げられた子亀はかなり疲れたような顔で弱々しく鳴く。どうやら先程の移動がかなり精神的にきているようだ。

 

「っ!?ハピーがどうして此処に!…クソッ、そうかバレてたのかよ」

 

少年は驚いた声を上げて子亀を見るとすぐさま目線を逸らし悔しそうな顔をする。

 

(ハピー…この亀ちゃんの名前かな?)

 

少年がハピーと呟いていることからどうやらこの子亀の名前はハピーという名前らしい。

ずいぶん可愛らしい名前だ。

 

「オイ!さっきからオレを無視してんじゃねぇよ!ぶっ殺すぞオイ!」

 

少年とお話していると無視された男が青筋を浮かべて怒鳴ってくる。

あの様子から今にも襲いかかりそうである。

 

「まぁね、でもやり方としては悪くなかったんじゃない?まぁ僕にはバレちゃったけど」

 

しかしギルレットは怒鳴られても尚男の言葉を聞こえてないのかそのまま会話を続ける。

 

「こいつ…一度じゃなくて二度も俺を無視しやがって…殺す!」

 

再び無視されたことにより男はぷるぷると身体を震わせてギルレットを睨みつけるとすぐさまナイフを構えて襲いかかってくる。この様子からしてかなり本気で怒っているようで完全に殺すつもりである。

 

シュパッ

 

しかしそれは阻止される。

 

「させると思っているのですか?身の程を弁えなさい愚か者が」

 

なんと男の目の前にはいつの間にかセリシアが現れ、ナイフを持つ男の手を斬り捨ててそう呟く。

そしてセリシアによって斬られた男の手とナイフは空中を舞うように飛び、地面に落ちる。

 

「うぎゃあぁぁぁぁ!?俺の手が!?俺の手がぁぁぁぁ!?痛ぇぇぇ!」

 

手を切り落とされた男は痛みにより勢いよく背中から倒れると耳が痛くなるほどの絶叫を上げながら血が流れる腕を抑えていた。

 

「うるさいです。子供みたいに騒がないでください」

 

しかしのたまり回る男にセリシアは迷惑そうな顔でそう言うと無慈悲にも首に手刀をして気絶させる。

 

「こ、こいつオレたちの仲間によくも!」

 

「さっきの男といいこの女はオレたちに手を出しやがった…許さねぇ」

 

仲間をやられたことで周りにいた大男や子分たちは突然現れたセリシアにナイフを構えて警戒する。

 

しかしそんな彼らに目もくれず、セリシアは主人であるギルレットにゆっくりと歩み寄り…

 

「…ギ〜ル〜レット様〜?何度勝手な行動をすれば気が済むのですか!急に居なくなって私はとても焦りましたよ!」

 

セリシアは大声で叱ると両手でギルレットの頬を摘み、思いっきり引っ張るのだった。

 

「イデデデテデ!ごみぇんてしぇりシア!いひゃあから手をはなして!」

 

頬を引っ張られたギルレットは涙目になりながら謝ると手を離すよう要求する。

 

「本当に反省しているのですかギルレット様!まったく…とりあえず今は状況的にやめますが、後で本当に覚悟して下さいね?」

 

そう言うとセリシアはギルレットの頬から手を離し釘を刺してそう言う。

 

「あ、あいあいさー!」

 

それに僕は戸惑いながらも大きな声で返事をする。

ここで逆らったら後が怖いので返事は欠かさない。これ大事!

にしてもセリシアに引っ張られたせいで僕のやわらかもちもち頬っぺが真っ赤になってて凄く痛いぃ…

 

 

「オイそこの女!テメェ何者だ、うちの子分をよくもやってくれたな!」

 

財布を持っている大男が怒鳴りながらそう言う。

仲間を傷つけられたのだ怒るのも当然と言えるだろう。

 

「はぁ…其方が私の主人に手を上げようとしたから攻撃したのです。考えたらわかるでしょう?それに主人を護るのは従者である私の責務ですからそれを実行したまでです」

 

セリシアは大男の言葉にさも当然のようにそう答える。

セリシアにとって主人であるギルレットを護るのは当然のことであり、もしギルレットに手を出そうものなら誰であろうと切り殺す考えである。ギルレットの行動にはいつも頭を悩ませているものの、セリシアにとってギルレットはこの世で最も敬愛しているのだ。

 

「なんだと!そこのふざけた野朗が余計な邪魔をしたのが悪いんだろうが!」

 

大男はセリシアの言葉と態度に余計に激怒する。

 

「いや子供に手を上げていたら普通止めるでしょ?しかも僕が止めてなかったら君らこの少年殺してただろうし」

 

セリシアの後ろからちょこっと顔をだすとギルレットは何言ってるんだよという顔で大男に言う。

 

「それに僕は君が今持っているその財布を取り返しに来たんだよ、だから返して?」

 

僕は手を出して返すよう要求する。

 

「あ?なんだよこれはテメェの持ち物だったのかよ。だが返すわけにはいかねぇなぁ。この金で今から酒を飲みまくるつもりだからよぉ」

 

財布をひらひらと見せびらかすようにしてそう言うと持っていた財布を懐に仕舞う。

どうやら素直に返してくれるつもりはないらしい。

まぁそんな気はしていたから特に何も思わないけどね。

 

「それとそこの女、テメェの従者だったか?そいつもオレに寄越せ!うちに手を出した償いをさせてやるからよ」

 

大男はそう言うと隣にいるセリシアをいやらしい笑みを浮かべて一度見る。その笑みから何をするのか何となく想像できる。

 

そんないやらしい笑みにセリシアは汚物を見るかのような目で大男を見ていた。そろそろセリシアの怒りメーターがまずい気がする。

 

「いやそれは無理に決まってるでしょ。セリシアは僕の大切な仲間なんだから。何より君らにセリシアを渡したら何されるかわかったもんじゃないよ」

 

僕は大男の要求に当然のように断る。

普通に考えてそんな要求に応える筈がないし、それにセリシアの気持ちを考えたらまず有り得ないだろう。セリシア見るからにめっちゃ嫌そうですしおすし。

 

「チッそうかよ…なら殺して奪うまでだ。おいテメェら囲め」

 

要求を断られたことに舌打ちした大男はすぐさま子分たちに僕らを逃がさないよう命令する。すると命令を聞いた子分たちは下卑の笑みを浮かべすぐさま僕らを囲い始めた。

 

「ありゃ囲まれちゃったか、なんだか何処かで同じような光景を見たことあるぞこれ」

 

僕はそう言うとチラッとセリシアを見る。

そんなセリシアは嫌なことを思い出したのか再び不機嫌な表情で彼らを睨みつけていた。

 

「ギルレット様、この不届き者たちは私が相手しても宜しいですか?少し身の程というものを教える必要があるようですので」

 

セリシアは刀に手を添えてそう聞いてくる。

 

「う、うん…まぁいいと思うよ?なんだか状況的に戦いになりそうだから。あ、でもストレス発散するのはいいけど殺すのはやめてあげてね?なんか悲惨な状態になりそうな気がするし」

 

僕は少し戸惑いながらもそう命令する。

こう言わないとセリシアは本気で彼らを殺すために僕は必ずそう命令するのだ。昔に僕を襲ってきた海賊をセリシアが何の躊躇なく皆殺しにしたことがあり、あの時は後処理がかなり大変だった記憶がある。

 

 

「……畏まりました、ギルレット様の命令なので殺すのは控えておきます」

 

セリシアは渋々といった感じで僕の命令に従う。

その様子からセリシアはやはり彼らを殺すつもりであったようで眼からは残念そうな気配を感じ取った。

 

「本当頼むよ、凄い残念そうな顔しているけど」

 

僕は若干心配に思いながらもセリシアを信じて任せることにする。

さすがに主人である僕の命令を無視することはないだろうし。

 

「まぁでも今回は僕が原因でストレス溜まってるようだし、此処でストレス発散するといいよ」

 

「はっ、ギルレット様の心遣いに感謝します」

 

セリシアはそう言うと自身の豊満な胸に手を当て優雅に礼をする。

その所作は誰もが見惚れそうなほどに綺麗に整っており従者として非常に様になっていた。

 

「いいよ。それじゃ頼むよー、僕は少し離れた場所で見学しておくからさ。ほら少年手を貸してあげるから僕の手を握って」

 

僕はほれほれと少年に向かって手を向ける。

 

「あ、あぁ…これでいいのか?」

 

少年はその手を恐る恐るといった感じで手を軽く握る。

そして子亀のハピーはその光景に何かを察したのかすぐさま少年のポケットの中に入り込んだ。

 

「うん握ったね。じゃあさっそく移動しまーす。はいお終い」

 

「え、は!?な、何で屋根の上に…お前いったい何をしたんだよ」

 

ギルレットが掛け声をかけるといつの間にか建物の屋根に移動しており、少年は訳がわからず辺りをキョロキョロと見渡していた。

そして少年は困惑しながらも僕に何をしたか問いかける。

 

「ん?あぁ僕が何をしたかって?なに、ただ能力を使っただけだよワトソン君」

 

「いやワトソンって誰だよ…オレにはテクっていう名前があるから。それと能力ってなんだよ」

 

少年は呆れた様子でそう訂正する。

 

「へぇ君テクって言うんだ、いい名前じゃないか。じゃあテクって呼ぶね。それと能力のことだけどテクたちは悪魔の実の能力は知っている?」

 

「悪魔の実?何なんだそれは」

 

「キュウ?」

 

テクといつの間にかポケットから出てきたハピーは悪魔の実を知らないのか、はてなマークを浮かべてそう聞き返してくる。

 

「あ、知らない?んーでも普通に生活していたら知ることのないものか。まぁ簡単に説明すると悪魔の実ってのは名前の通り悪魔が宿っている希少な果物のことで、それを食べるとその実特有の能力を得ることができるようになるんだよ」

 

僕はテクに悪魔の実について簡単に説明する。

 

「ちなみに僕はスペスペの実という名前の悪魔の実を食べた空間自在人間で今さっきのもワープ空間でここに移動させたんだよ」

 

「空間を…そんなことができるのかよ信じられねぇ…」

 

テクはあり得ないといった顔で僕を見る。

まぁ急にそんなことを言われても容易に信じることは難しいかもしれないから仕方ないけどね。

 

「まぁ信じられないかもだけど、そういう実があるってことだけは頭の片隅にでも入れておきなよ。お!下を見てみなよそろそろセリシアの戦いが始まるぞ!」

 

僕が屋根から下を覗くとそこではセリシアが愛用の刀に手を添えて戦闘態勢へと移行しようとしていた。

 

そして下の路地では…

 

「貴方たち不届き者には私の気晴らしに付き合ってもらいます。もちろん拒否権は与えません」

 

そう言うとセリシアは腰にある鞘から刀を抜き、そして構える。

そんなセリシアの眼は蛇のように鋭く輝き、明らかにこの場の空気が変わっていた。そしてセリシアが握る刀は黒曜石の如く黒く光沢のある輝きを放っており、刃は鉄を簡単に斬れるほどに鋭く尖っていた。そんな刀はかなりの業物であることが誰の目から見てもよくわかる。

 

セリシアの持つ刀の名は【十六夜】

大業物21工の一つであるこの刀はモス爺が過去に手に入れて保管していたものである。そんな大業物であるこの刀をモス爺は剣術を得意としていたセリシアを見兼ねて僕の護衛の役に立てるようにと思い譲り受けたのである。

 

「はっ!テメェ1人で俺たちとやり合おうって言うのかよ?油断していたところを上手く狙ったようだが所詮は女、俺たち全員でかかればテメェの負けは目に見えてるぜ!」

 

大男は先程のことはただ油断していただけだと結論づけ、全員でかかればセリシアを簡単に倒すことができると思っているようだ。

そんな大男の顔は余裕とばかりに不敵な笑みを浮かべており、セリシアを完全に舐めている。

 

そんなセリシアは彼らに完全に舐められていることに勘付き、内心では落胆、呆れ、軽蔑などのさまざまな感情が渦巻いていた。

 

「…はぁ、貴方たちの世迷いごとを聞くほど私は寛容ではありません。ぐずぐずしていないでさっさとして下さい」

 

セリシアは下らないとばかりに溜め息を吐くと冷たい眼差しで彼らに向かってそう催促する。

 

「んだと女!舐めた口聞きやがって、その澄まし顔を今すぐ泣き顔に変えて後悔させてやるぞ!」

 

「そうだそうだ!その後であの生意気な糞ガキ2人も原型を留めないくらいにボコボコして排水溝にでも捨ててやる!」

 

セリシアの発言にブチギレた彼らはこれから僕らをどう処罰するかを伝えると剣を構えてセリシアに襲いかかってきた。

 

「無駄なことです、【月紋影斬り】!」

 

セリシアはそう言うとすぐさま戦闘態勢に切り替え、地に足を軽く踏み込む。するとセリシアは目にも止まらぬ速さで前方の子分2人を斬りつける。セリシアのその洗練された技はとても静かで落ち着いており、無駄な動きを削ぎ落としたように見える。

 

「「グガッ!?」」

 

子分2人は何が起きたのか分からないまま呻き声をあげると白目を剥きその場に倒れ込む。

 

「おいどうしたテメェら!なに倒れてやがるんだ、さっさと起きろ!」

 

大男は突然倒れた子分2人に呼びかけるも2人はピクリとも動かず完全に気絶していた。

 

「無駄ですよ?何せ気絶させたのですから。それぐらいすぐに理解して下さい」

 

セリシアはそんな大男に対して冷たい眼差しで淡々として説明する。

その声からは余計な説明をさせるなと暗に言っているようである。

 

「なんだと!オレたち見下しやがって!」

 

「女だからって手加減してやると思うなよボケがぁ!」

 

残っている子分たちそう怒鳴ると再びセリシアに襲いかかる。

しかしそれをセリシアは瞬時に避けて近くの建物にへばりつくとすぐさま彼らの背後に着地する。

 

「遅すぎます。動きがお粗末で簡単に避けることができます」

 

 

「「なっ後ろにガハッ!?」」

 

子分たちが後ろを振り向く暇もなくセリシアはそう吐き捨て彼らの背中を斬る。

背中を斬られた子分たちは呻き声をあげるとそのまま前からバタリと倒れる。

 

「わかりきっていましたがやはり弱いですね…」

 

セリシアは倒れている子分たちを見ながらそう呟く。

その表情と声色からは落胆した様子が伺えた。

 

「後ろががら空きなんだよ女が!食いやがれ!」

 

すると先程まで様子を伺っていた大男がチャンスとばかりにセリシアの背後から殴りかかってくる。

 

「ブベッ!?」

 

しかしその攻撃は全く当たることはなくいつの間にか大男は豚のような鳴き声で地面に顔面を打ちつけていた。

セリシアは大男の攻撃をジャンプで躱しそのまま大男の頭を勢いよく踏みつけていたのだ。

 

「…そういえばいたのでしたね。完全に忘れていました」

 

そして地面に着地したセリシアはそう言うと顔をおさえる大男を見下ろす。

見下ろすその目から本気で大男の存在を忘れていたらしい。

 

「テメェ…やりやがったな…その目で俺を見るんじゃねぇ!ぶっ殺してやる!」

 

その目が気に入らなかったのか大男は怒鳴りそう言うと持っているナイフを構え咄嗟に斬りかかってきた。

 

キンッ

 

しかしその攻撃は当たることがなくセリシアは涼しい顔でナイフをはね飛ばす。そしてそんなナイフは空中をクルクルと回り大男の後ろの地面に刺さる。

そしてナイフが地面に刺さると同時にセリシアは冷たい眼差しで大男の眉間ギリギリに刀を突きつける。

 

「ヒ、ヒィィィ!ゆ、許してくれ、オレが悪かったから!頼む!」

 

大男は刀を突きつけられたことで先程の余裕はなくなり、顔を真っ青に身体を震わせて許しをこう。ここで大男はようやく実力の差に気がついたようで、腰の抜けた身体をどうにか動かして後ろに逃げようとしていた。

そんな大男の姿は正に滑稽と言える。

 

「随分と無様な姿ですね。先程の威勢が嘘のようですね。…ですがまぁいいでしょう、その姿を見て興が醒めましたしここは見逃してあげましょう」

 

セリシアはそう言うと刀を鞘に戻して後ろを向き大男から離れていく。

 

「…はっ馬鹿が!油断しやがったな糞女ァ!」

 

セリシアが後ろを向いたことでチャンスと思った大男はニヤリと笑みを浮かべて立ち上がるとセリシアに再び飛びかかっていく。

 

シュッ

 

「へ……?」

 

しかし大男は素っ頓狂な声をあげる。

何せ大男の目の前からセリシアはいつの間にか消えていたのだから。

 

「ブベェ!?」

 

そしてその上自身の肥えた腹に何やら衝撃が走るの感じて変な呻き声をあげて後方に吹き飛ぶ。

セリシアは一瞬のうちにして大男の腹に蹴りを入れ大男を吹き飛ばしていたのだ。

 

「馬鹿は貴方のほうです。わざわざ見逃してあげたのに馬鹿の一つ覚えに襲いかかるとは…どうやら知能が欠落しているようですね?」

 

セリシアは蹲っている大男に近づきながらそう蔑む。

 

「ま、待って…「問答無用です【月紋影斬り】!」ぎゃあああ!」

 

セリシアは大男の言葉を無視して瞬時に斬り捨てる。

するとセリシアに斬られた大男はこの広い路地全体に響き渡るくらいの絶叫をあげる。そして大男はそのまま倒れ込み白目を剥き気絶する。

 

「終いですね」

 

セリシアはそう呟くと再び刀を鞘に戻す。

そんなセリシアの顔はいつものように凛としており、少しは気分は晴れたようである。

 

「セリシア、どうやら終わったようだね?」

 

刀を鞘に納めたと同時に屋根の上にいたギルレットはセリシアの横にワープするとそう聞いてくる。そしてギルレットの両脇には少年テクと子亀のハピーがうつ伏せで倒れていた。

 

「はい今し方終わりました。それとこれをどうぞ」

 

そう言うとセリシアは取られていた財布を僕に渡してきた。

どうやら大男から財布を取り戻していたようで財布には傷一つついていなかった。

 

「お、ありがとうセリシア。次からは取られないようにしないとね」

 

安心したようにそう言うとギルレットはもう取られないようにと財布を亜空間に入れる。

 

 

「ところでそこに倒れている盗人と悪亀はどうするのですか?処罰しますか?」

 

セリシアは睨むように彼らを見る。

その睨みにテクとハピーは顔を真っ青にして身体を震わせて怯える。

 

「うーん処罰は今はなしかな。何か理由がありそうだし。まぁそれにセリシアも見てわかるように彼かなりボロボロに痛めつけられたんだ、これ以上はさすがに可哀想だと僕は思うね」

 

僕は顎に手を当て全身ボロボロになっているテクを見る。

このやられ具合から自分の足で拠点に戻るのは少し大変だと思うし、もしかしたらまたさっきのように悪い人たちにボコボコにされるかもしれない。

 

「…よし!これも何かの縁だ。せっかくだし彼を拠点に送り届けてあげよう」

 

「…本気ですか?このような者たちにそこまでする必要はないと思いますが…」

 

セリシアは僕の提案に若干嫌そうな顔でそう呟く。

 

「そう嫌そうな顔するなよセリシア…さすがにほったらかしにするのは危ないし。よっと!」

 

「うわっ!?」

 

「キュ!?」

 

僕はそう言うと倒れているテクとハピーを持ち上げるとすぐさま歩き始める。急に持ち上げられたことでテクとハピーは驚き声をあげ、テクは内心もう少し丁寧に扱ってくれよと悪態をついていた。

 

「はぁ…まったくギルレット様は本当にお人好しですね。まぁそういうところがギルレット様の美点と言えるのですが」

 

セリシアはやれやれと思いながらも主人の優しさに頬が綻ぶ。そしてすぐさまキリッと表情を戻して主人の後ろについて行く。

 

そうして僕らは倒れている男たちを避けながら路地を後にしてテクの拠点に向かって行くのであった。

 

 




今回の内容はセリシアを戦わせたいと思ったので書きました。 
技名とかは正直適当で深い意味はないです。
てか戦闘描写難しくありません?なんか微妙な感じになっちゃったけど
それとセリシアの持つ刀【十六夜】は完全オリジナルで原作には実際にはないですね。
まぁ問題ないでしょ!
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