自由奔放な天竜人   作:アットホーム

8 / 8
また時間と文章量長くなっちゃった、ほんとごめんよ(-_-;)
忙しいのと内容を3回ほど書き直してました。
もしかしたら読みにくく、おかしなところがあるだろうけど許してほしいです。
最初みたいの文章量に戻せたらいいなぁ…



タートル島での冒険4

 

 

ギルレットたちは路地を抜けると広い草木が生い茂る草原にいた。そしてそんな草原にぽつんとボロいそこそこの大きさのある木造の一軒家が立っており、此処がテクとハピーの家であるらしい。

 

「ふぇ〜此処がテクたちの家かぁ…うんボロいね」

 

僕は目の前にある木造の拠点を見ながらそんな失礼なことを呟く。

目の前の一軒家は大きさはあるものの虫に喰われたように所々に穴が空き、蔓が家全体を覆うように纏わりついていてまるで空き家のようなところだった。

 

「うっせぇな!わざわざ口に出して言うなよ!」

 

「キュウ!キュキュウ!」

 

僕の呟きにテクとハピーはイラッときたのか抱えられた状態で怒り暴れだす。

 

「いやごめん、今のは失言だったね。…にしてもこの家を見るになんか2人が想像より苦労してるんだなぁってわかるよ…ちょっと泣けてくるぜ」

 

勝手に2人に同情するギルレットは人差し指で目の下に溜まった涙を拭き取る。

 

「いやなんで泣いてるんだよ!やめろ!お前に同情される筋合いはねぇぞ!てか抱きついてくんな気持ち悪い!」

 

 

テクは目をうるうるさせながら抱きついてくるギルレットに鬱陶しそうな顔で引き離そうとする。しかし力が強い為にまったく引き離すことができない。

 

「キュ…キュウ」

 

そしてそれを少し引き気味でハピーは見ておりすぐさま2人から距離を置いていた。

 

「ギルレット様…おふざけはそのくらいにして下さい。それと早くその盗人を放り投げてさっさと此処を離れましょう」

 

抱き合う僕らのをろからセリシアがジト目で咎めてくる。

セリシアとしては早くこの場所に居たくないようで、少し不機嫌そうな表情をしていた。

 

「そうカッカッするなよセリシア。一応テクは怪我人なんだからさ」

 

僕がそう言うとセリシアは無言でプイッと顔を横に向けてしまった。僕はそうでもないのだがセリシアはテクとハピーのことがあまり好きではないようである。

 

 

ギィィ

 

そんなこんなしていると突然古びた扉が軋んだ音を立てながらゆっくりと開く。

 

「おにぃ何してるの?その人たちは誰?」

 

そして扉から出てきたのはエメラルドグリーン色をした髪に亀の髪留めでポニーテールにした12歳ほどの少女で、クリッとした可愛らしい瞳で僕らをじっと見つめていた。

それとよく見ると扉の奥から他にも2人ほど子供の気配がする。おそらくテクの弟妹たちだと思われる。

 

「チナ!」

 

テクが少女の名前を呼ぶ。

どうやらこの少女の名前はチナというらしくテクのボロボロの姿を見た途端驚いた表情で此方に駆け寄ってきた。

 

「おにぃ怪我してるじゃない、すぐに手当てしないと!コト、シナ井戸からお水を汲んできて!」

 

「わかったー!」

 

「いそげ!いそげ!」

 

チナ大声で家の中から此方を覗き込むコトという少年とシナという少女に井戸から水を汲むようにお願いすると2人は元気よく返事をしてトテトテと走って井戸のある場所へと向かっていった。

 

「い、いや大丈夫だチナ、この程度の傷、大したことはないぜ!」

 

そう言うがテクは怪我をしている部分が痛みだしたのか少し顔を顰める。

妹の手前だからか痛みに耐え強がっているがその様子からすぐに嘘だとバレる。

 

「うそ、おにぃすごく痛そうじゃない!強がらなくていいから手当てされて!それからその傷、いったい誰にやられたの?もしかしてまたあいつらにやられたの?」

 

チナは少し怒った表情でテクに聞く。

あいつらとはおそらくセリシアがボコボコにした奴らのことらしくよく似たようなことをされていたらしい。

 

「あ、あぁ…あいつらにやられた。それをそこの2人が助けてくれたんだ」

 

テクはそう言ってチラッと僕らを見やる。

 

「そうなんだ。えっと、どなたか存じませんけどおにぃを助けてくれてありがとうございます」

 

お礼を言うとチナちゃんはペコリとお辞儀をする。

その姿を見た僕とセリシアはまだ幼いのにしっかりと礼儀ができていていると感心する。

 

「どういたしまして、すごく礼儀正しい子だね」

 

「そうですね。人の財布を盗んだそこの盗人とは大違いです」

 

そう言いセリシアはジト目でテクを見つめる。

 

「財布?…それはいったいどういうことなのおにぃ、ハピー?…もしかしてまた人のものを盗んできたの?」

 

セリシアの言葉から察したチナはまたかとばかりにセリシア同様に兄をジト目で見る。

 

「い、いやぁ…ハハハなんのことだか。イタタタなんだか傷が痛くなってきたぜ」

 

「キュ、キュウ…」

 

それに対してテクとハピーは額に汗を垂らしながら目を逸らす。そしてテクに関しては痛みでこの話を誤魔化そうとしていた。

 

「もう!また誤魔化そうとして!おにぃたちがわたしたちの為にしているのはわかるけど、危ないことはもうやめてよね!」

 

チナちゃんは腰に手をあて私怒ってますと言わんばかりに頬を膨らませる。

 

「それはできねぇぜチナ!こうでもしないといつまでもうちの生活が苦しくなるばかりだからな!」

 

「キュウキュウ!」

 

「それでもやり方が良くないよ!」

 

両者どちらも引く気はないようで僕らを他所に言い合いがヒートアップする。しかしそれに痺れを切らしたギルレットは2人の間に立ち肩を掴んで落ち着かせようとする。

 

「まぁ部外者の僕が言うのもどうかと思うけど、とりあえず落ち着こうよお二人さん?」

 

僕は2人を交互に見てそう言う。

 

「あ…ご、ごめんなさいお兄さん。お見苦しいところを見せてしまい」

 

チナは慌てたように僕に謝る。

 

「いや全然大丈夫だよ。実際悪いのはテクたちのほうだし」

 

例えどんな理由であろうと盗みは立派な犯罪であり、決してしては良いものではないのだ。それに今はまだ大丈夫かもしれないけどいずれ今日のようにそれがバレて怪我だけでは済まない恐れがある。

 

「そうですよね!どう見てもおにぃとハピーが悪いですよね!」

 

チナちゃんは自身の肩を持ってもらったことが嬉しいのかグッと僕に近づいてきた。

 

「お、おう…」

 

そしてそれに僕は少し戸惑ってしまった。

 

「おねぇー!お水汲んできたよー!」

 

「すっごくおもたいよー!」

 

しばらくすると遠くの方から可愛らしい声が聞こえてきた。僕らはその方向を見るとそこにはコトとシナという名前の2人が水の入った小さな樽を一生懸命に運んでいる姿だった。

 

「コト、シナありがとう!さっそくこのタオルを水に浸けて…はいおにぃ少し沁みるかもだけどじっとしててね?」

 

「あぁわかった…イツッ!?」

 

チナが持っているタオルを濡らすと兄の傷に丁寧に拭き始めた。

しかしチナが言ったとおりに水で濡らしたタオルが傷に沁みたのかテクは痛そうに顔を顰める。

 

「これでとりあえずはよしっと。おにぃ立てる?中に入るよ」

 

「あ、あぁ」

 

そう言ってチナちゃんは肩を貸すとテクはその肩を掴み家の中に入っていき、少ししてからチナちゃんが中から戻ってくる。

 

「すいませんお待たせしました!あの、おにぃを助けていただき本当にありがとうございました。あのもしよかったら少し汚いですけど中にどうぞ!お茶ぐらいは出します!」

 

チナちゃんは笑顔でそう言うと中に入るよう誘導する。

この様子からして何か思惑があるわけでは無さそうで単純にもてなそうとしているらしい。

 

「あ、そう?なら折角だしお邪魔しちゃおうかな?」

 

そう言うとギルレットは遠慮なくそそくさ中に入っていく。

 

「お待ちくださいギルレット様!わざわざ此処に長居する必要はないでしょう!」

 

セリシアは呼び止めようするが虚しく置いていかれた。

 

「はぁ…こうなったらギルレット様は聞く耳持ちませんでしたね。せっかくのギルレット様との観光が…」

 

セリシアは溜め息を吐くと疲れたような表情をする。

 

「ねぇねぇ、おねぇさんも中に入ろうよぉ」

 

「おひとりさまごしょうたーい!」

 

そんなセリシアにトテトテと近づいてきたコトとシナがそれぞれセリシアの両手を握り引っ張りだす。

 

「え、ちょっ、ちょっとなんですか!勝手に私の手を引っ張らないで下さい!」

 

セリシアは突然手を握られことで慌てた表情でコトとシナを見るもすぐさまされるがままに家の中に連れて行かれた。

 

 

テクたちの家の中に入った僕が最初に受けた印象はかなり殺風景な内装だなと思った。テーブルやベッドといった必要な家具があるだけでそれ以外は特に何もなかった。

そして聞いた話なのだが何とテクたちは両親を1年前に病気で亡くしているらしく生活面でしばらくかなり苦労を強いられたらしい。しかし森にある薬草などを売ったりして4人兄妹たちと1匹は何とか食いしのぐことができたらしいが、生活が苦しいことには変わりなかったようだ。

泣けてくるね!

 

 

「なぁ…これはなんなんだよ」

 

突如テクは不満げにそう呟く。

 

現在テクは包帯で全身ぐるぐる巻きにされておりベッドの上に寝かせられていた。

 

「何って、それはおにぃの治療と馬鹿なことをした罰を兼ねているんだよ?だからそこでしっかり反省してね?」

 

お茶の準備をしているチナは何気ない顔でそう答える。言い合いはやめたものの盗みを許しているわけではないのだ。

 

ちなみにだがテクを包帯でぐるぐる巻きにしたのはコト君とシナちゃんであり、提案者はギルレットである。

 

「それにしてもこれは巻きすぎだろ!ミイラみたいになってんじゃねぇか!それに盗んだ物も返したんだし別にもういいだろ?……それとさっきから何してんだよお前らは!」

 

テクがそう叫ぶと目線を横に向ける。

そこには白髪の男ギルレットがニヤニヤと悪戯っぽい顔でテクのおでこにペンで落書きをしている姿があった。

そしてそれに倣うようにして弟妹であるコトとシナも楽しそうにペンでテクの頬っぺたに落書きをする。

 

「ん?何って落書きしてるんだよ。あ、ちょっと動かないでよ今うんこって書いてるんだから。お!コト君シナちゃんその落書きはいいね!顎髭はめっちゃウケるわww」

 

「でしょでしょ〜!」

 

「アハハハハハおにぃ変な顔になってるぅ!」

 

僕たち3人はテクの顔を見て腹を抱えて笑い合う。

 

「いや本当に何書いてるんだよお前ら!今すぐやめろや!」

 

テクは怒った顔でそう言うとこれ以上落書きされまいと顔を動かし暴れだす。

 

「ちょっとおにぃふふ、暴れちゃふふふダメだよ」

 

「キュキュww」

 

しかしそれをチナちゃんとハピーが笑うのを抑えながら暴れる兄を抑えてこむ。だがチナちゃんとハピーも笑うのを我慢していることが分かるとテクは余計に腹を立てる。

 

「おいチナ、ハピーやめろ!何お前らも笑ってんだよふざけんな!」

 

 

テクはさらにベッドの上で暴れだす。

 

「アハハ暴れ過ぎだってテク。でもまぁこれ以上はさすがにやめてあげるか。コト君シナちゃん拭き取っておやり!」

 

「「ラジャー!!」

 

僕が命令すると2人は楽しそうに敬礼してテクの顔に書かれた落書きを濡れたタオルでゴシゴシと拭き取る。

 

「痛ぇよ!もっと丁寧に拭き取ってくれよ!イデデデデ!?だから丁寧に」

 

雑に顔を拭かれたことにテクは文句を言うが2人は全く聞き及んでくれず寧ろ楽しそうに拭いていた。

 

「だからうるさいよおにぃ、静かにしてよ本当に…あ、ギルさんとセリシアさん今お茶入れたのでどうぞ」

 

隣の部屋から戻ってきたチナちゃんは両手に温かいお茶を持っており呆れたような顔で自身の兄を見ていた。

 

「お、ありがとチナちゃん」

 

「…ありがとうございます」

 

僕とセリシアはお礼を言い出されたお茶を受け取る。

そして僕はすぐさまそのお茶を飲み始めるのに対してセリシアは警戒しているのかじっとお茶を見るだけで中々飲み始めないでいた。

 

「いや雑な拭き方されたら誰だって叫ぶだろ!俺怪我人だぞ!」

 

そんな僕らを他所にテクは嘆くようにそう言う。

 

「はいはいわかったから大人しくしましょうねー」

 

「クソッ…解せねぇ…」

 

テクは納得できないとばかりにそう呟くと暴れ疲れたのかぐったりとした表情をする。

そうこうしているとテクの顔に描かれていた落書きは綺麗に拭き取られていた。まったく本当に騒がしい奴だよテクは、ズズズズッお茶うまぁ(´ω`)

 

 

「ズズズズ…ん、ベッド下に何かあるぞ。これはなんだろう?」

 

のんびりお茶を飲んでいると僕はふとベッドの下に何かあることに気がつき興味本位でそれを取り出す。

 

「これは…本?結構古い本みたいだけど。何々タイトルはサラと亀の守り神か…初めて見るなこれ」

 

取り出した本は相当古いのかボロボロで少し黄ばんでおりタイトル部分も少しぼやけて見えにくかった。

 

「あ、それはお母さんが持っていた本ですね。何処にいったと思ったらそんなところにあったんですね…」

 

チナちゃんが驚いた表情でそう言うと懐かしそうに僕の横に来て覗き込んできた。

 

「へぇそうなんだ、暇だしちょっと読んでみよっと!」

 

僕はそう言うとすぐさま本を開き内容を読み始める。

 

どうやらこの本の内容は600年前が舞台であるようで主人公のサラという少女が貧しい家庭で母、妹の3人家族で細々と生活していた。サラはしっかり者の女の子で家族の生活を少しでも良くしようと幼いながらも森に入り、木の実や薬草を取ってきてそれで何とかお金を稼いでいた。そんなある時少女は森の帰り道にふと足を怪我をした亀を見つける。その亀は桃色の甲羅の部分に虹色に輝く宝玉のようなものがあり、今まで見たことのない珍しい生き物だとサラは思った。そしてサラは怪我をしたその亀が可哀想に思い、すぐさま手当てをして少しの間は家で面倒を見てあげた。そしてその亀の面倒を見始めてからのこと、サラの家庭は不思議なことにお金に恵まれてくるようになった。ある時は木の実や薬草がいつもより高値で売れたり、ある時はある貴族を助けたことでそのお礼で高額な金銭を貰ったりと次々と幸運が訪れた。そしてその幸運もあり、今では少女の家はお金に困らなくなり幸せに暮らせるようになった為サラ家族は幸運を運んでくれた亀に感謝しました。しかしある日そんな幸運の亀の怪我が治った為にお別れの時がやってきた。サラはお別れを惜しむも亀にも家族がいると思い涙を我慢して亀を見送ることにしました。そんなサラに亀は高々と鳴き声を上げるとゆっくりと歩き故郷の森に帰って行きました。サラはその鳴き声がまたいつか会えると言っているように感じたそうだ。

 

そして場面は変わって亀と別れてから数年経った頃になる。

少女だったサラは今では大人になり、島で知られるとても綺麗な女性へとなっていた。そんな人気者の彼女の元には多くの人だけでなく何故か島の亀たちが彼女に群がるようにして集まっていた。それもあってか今ではこの島では至る所に数多くの亀が森から訪れるようになり島は以前よりも賑やかとなっていた。

そんなある時、とある海賊船がこの島を襲撃しにきた。その海賊はかなり凶暴な海賊団で多くの海賊たちが島の住民を処構わず襲いかかり食糧や金銭を略奪しようとしてきた。家は焼き払われ住民たちは暴漢され、島はすぐさま大混乱に陥り誰もが恐怖に呑まれていった。しかしそんな中、サラは海賊たちに臆することなく襲いかかってくる海賊たちに襲撃を止めるよう唱え始める。だが現実は虚しく海賊たちはそんなサラの言葉に耳を傾ける筈もなく容赦なくサラを襲いかかった。

そんな時だった、遠くの森の方からドラゴンのような咆哮が島全体に響き渡る。何事かと思い皆がその声の方向を見るとそこにはなんと見上げる程大きい巨大な亀が此方に向かって歩いてきていたのだ。そんな巨大な亀の姿はドラゴンのように鋭い爪や牙に岩石のようにゴツゴツとした立派な甲羅をしており、見るからに凶暴そうな亀であった。そして何より目に入るのは甲羅部分にある虹色に輝く宝玉であり、それを見たサラはその亀が昔にいたあの亀であることに気がついた。

巨大な亀はどうやらサラを危機に感づきサラを助けにきたようであり、鋭い目つきで海賊たちを睨んでいた。その目からは手を出したら殺すと警告しているようであり、その目を見た海賊たちはしばらくの間怖気つき動くことができなかった。しかし正気に戻った海賊たちはすぐさま武器を構え全員で巨大な亀に立ち向かった。しかし海賊たちは巨大な亀にまったく歯が立たず前足で薙ぎ払われ、全員完膚なきまでにやられてしまう。すると巨大な亀に勝てないと悟った海賊たちは恥を捨ててすぐさま背を向けて一目散に船で逃げていったのだった。そして逃げていく船をしばらく見た巨大な亀は突如高々と咆哮をする。すると海賊たちにやられた島の住民たちの怪我がたちまち治り始め、最終的には元の状態に戻っていた。こうして島の住民たちは海賊の脅威から救ってもらった巨大な亀に神を崇めるかのように拝み始め、後にこの亀は虹宝亀という名の守り神として崇められるようになるのであった。めでたしめでたし。

 

「……」

 

ギルレットは読み終わると静かに本を閉じる。

 

(ふーん、なるほどなるほど結構興味深い内容だったな。それに本当かどうかはわからないけどこの島に亀が多いのはこういった経緯があったのね)

 

「どうしましたお兄さん?その本の内容あまり面白くなかったですか?」

 

チナちゃんが此方を不安そうに聞いてきた。

 

「ん?あーいやいやそんな事はないよ。中々興味深い内容だなと思っていただけだから気にしないで。にしてもこの本の内容にある虹玉亀、これって実在する生き物なの?」

 

読んだ限りでは相当強くて人の怪我などを治せる凄い亀みたいだけど。

 

「うーん…それは私にはわからないんですよね。実際に見たことがあるわけではないので。でもおそらく本当にいると思いますよ?お母さんや島の人たちが言っていたので」

 

「おいおいチナ、そんなおとぎ話本当に信じてるのかよ?絶対嘘に決まってるだろ。大方観光客を呼び寄せる為に捏造した作り話だぞ絶対」

 

テクは馬鹿馬鹿しいとばかりにそう言う。

どうやらテクは本の内容の虹玉亀をあまり信じていないらしい。まぁでも普通に考えてそんな亀存在するとは思わないだろう。

 

 

「えぇそんなことないと思うけどなぁ…ギルさんはどう思います?」

 

 

「うーん僕はいると思うよ?僕は色んなところを旅してきたんだけどそういった珍しくてデカい生き物たくさん見てきたし」

 

実際に僕ら人間が米粒にしか見えないほどデカい象とか海王類とか海に出たらとにかく大きい生物はザラに存在する。なのでデカイ亀がいてもなんら不思議じゃない。

 

「へぇギルさん旅していたんですか。意外ですね見た感じ何処かの貴族の人みたいですし。あの、もしよかったらギルさんの旅のお話聞かせてくれませんか?」

 

「ぼくもそのおはなししりたーい!おしえておしえてー!」

 

「あたしもー!」

 

チナちゃんだけでなくコト君とシナちゃんも僕の話が気になるのか目を輝かせて話を急かしてきた。

 

「しょうがないなぁ〜せっかくだし教えてあげよう僕のこれまでの旅の思い出を!」

 

僕は3人の期待の眼差しに応えるように自慢げにこれまでの旅の思い出を話し始めるのであった。

 

 

「はぁ…」

 

黄金に輝く満月の真夜中に私は大きな岩の上に座り1人で刀の手入れをしながら溜め息を吐いていた。

 

ギルレット様がお話を終えた後、子供たちの突如遊びたいと言い出した為にギルレット様はもちろんのこと何故か私もその遊びに付き合わされてしまっていた。そして気づけば辺りは暗くなっており私はギルレット様にそろそろ帰路に着くよう提案をした。

しかしギルレット様は何を考えてなのか突然この家に泊まっていこうと言い出した為にこの家に泊まることになってしまう。私自身もちろん泊まることには反対しましたがギルレット様は泊まると言ったら泊まると頑なに態度を変えず聞き分けてもらえませんでした。こうなったギルレット様は私にはどうすることもできないので渋々認める形になり今に至ります。

正直今日知り合ったばかりの他人の家に泊まるなど何があるかわからない為にかなり気が引けますし、それにこう言ってはなんですがこの家はお世辞にも住環境があまり良くない為に少し埃っぽく居心地が悪いと思っている。しかしギルレット様はそうは思っていないらしく寧ろこういった古い家や野宿などを好まれる傾向があります。言えば貴族らしさはまったくない。まぁ幸いにもチナという少女が泊まる許可してくれた為ここで泊まれることになりましたが…

 

「今に始まったことでもないので慣れてはいますが…できればもう少しノルシュタイン家の次期当主としての自覚を持ってもらいたいものですね」

 

 

私はそう言い再び溜め息を吐く。

そういえば私は今日何度溜め息を吐いたのだろうか?

少なくても10回以上は溜め息を吐いたと思っている。

 

「なーに浮ついた顔してるんだよセリシア!」

 

「ふにゃ!?」

 

満月を見上げていると突然後ろから現れたギルレットに耳を吹きかけられたセリシアは可愛いらしい声をあげて咄嗟に岩から下りる。

 

「なななな何をするのですかギルレット様!」

 

セリシアは頬を真っ赤に染めて慌てたながらそう問いかける。

 

「いやーセリシアの反応が可愛いからつい!」

 

しかしそんな私の問いに対してギルレット様は悪戯っぽい顔で謝る。この感じからして完全に揶揄われていることに気づく。

 

「そ、そうやって揶揄うのはおやめ下さい!私が可愛いなどそんな筈はありませんから」

 

そう言うとセリシアはさらに頬を染めて目線を横に逸らすと首に巻くマフラーを深く被り口元を隠す。

その反応が逆に可愛いことにセリシアは気づいていない。

 

「そんなことないのになぁ、その反応とか特にそうだし」

 

そう言うとギルレット様は微笑む。

ギルレット様は元々顔立ちが整っているのもありその笑みは女性なら誰でも見惚れそうなものだった。

 

(おやめて下さいギルレット様、そんな顔をされたら私は…自分の気持ちを抑えることができなくなりそうです)

 

私はギルレット様の笑みに胸を締めつけられるのを感じるもなんとかそれを表に出さず押さえ込んだ。

 

「どしたよセリシア?」

 

ギルレット様はそんな私に不思議そうな顔で呼びかける。

 

「い、いえ!…なんでもありません。それより此方に来られたということは私に何か御用ですか?」

 

咄嗟に私は何もないことをギルレット様に伝える。

先程まであの子供2人とずっと遊んでいた筈だが飽きて此方に来たのだろうか?

 

「んや特に用はないよ?ただ暇になったからここに来たんだよ。よいしょっと!」

 

ギルレット様は平然とそう答えるとドサッと私の隣に腰をかける。ギルレット様は先程まであの一軒家の中で仲良くなった子供たちと夜遅くまで遊んでいたのだが疲れて全員が寝てしまった為にギルレット様はここに来たようだ。

 

「そうですか…」

 

私はそう呟くと内心で警戒心が薄いと少し呆れる。もし私たちが彼らに何かしたらどうするのだと思うが子供がこんな夜遅くまで起きているのも酷なので仕方ないかと1人納得する。

 

「ふぅ…それにしても今日は色々あったねぇ。海賊と戦ったり、財布盗まれて追いかけっこしたりとまだ1日目なのに中々濃い日だったな」

 

それに関しては私も同意する。

本来ならただこのタートル島を2人で観光して1日を終える筈だったのに何故か盗人を追いかけ、不届き者を薙ぎ倒し、そしてこのボロ屋に泊まることになっており、何故こうなったのかと私は頭が痛くなる思いだ。

 

「まぁでも旅ってのはこうでなくちゃ面白くないから今日は良い日だったのかな」

 

ギルレット様は楽しそうに夜空を見上げながらそう呟く。

 

「まぁギルレット様にとってはそうかもしれませんが私はギルレット様に振り回されてかなり疲れましたよ…」

 

「アハハそれはごめんって、久しぶりの旅でちょっとテンションがおかしくなってたんだよ!」

 

ギルレット様は軽く笑って私に謝るがこの様子からまた同じことをしそうであり頭を抱えてしまう。

 

 

「…そういえばさ、さっきから何か思い悩んでいる様子だけど何かあった?相談に乗るけど」

 

ギルレット様は心配した顔で私を見つめそう言う。

 

「っ!い、いえ別に何もありません!私はいつも通りでございますギルレット様」

 

図星を突かれた私は慌てたようにそう答える。

しかしこの慌てようは何かあると言っているも同然だ。

 

「………そっか、まぁセリシアがそう言うなら深くは聞かないけど、話したくなったらいつでも言いなよ。しっかり相談に乗るからさ!」

 

ギルレット様は怪訝そうな顔で此方を見るが私を気を遣ってか笑顔でこれ以上は聞いてはこなかった。

 

(申し訳ありませんギルレット様…この気持ちは…この気持ちは貴方様に言えそうにはありません)

 

私はギルレット様の気遣いに申し訳なさを覚え目線を下に向ける。そして私はじわじわと心が痛くなるのを感じるがそれをまたなんとか押さえ込む。

 

「……」

 

目線を下に向けていた為私は気づいていなかったがギルレット様はそんな私をじっと探るようにして見つめていることに。

 

 

「ギルレット様…ギルレット様は私と出会った日を覚えていますか?」

 

しばらくして目線をギルレット様に戻した私は話を変えるようにしてそんなことを質問する。

 

「セリシアと出会った日?…あぁもちろん覚えてるよ。何せ僕が初めて人を購入した日だから」

 

ギルレット様は不思議そうな顔をするも私の質問に答える。

 

私とギルレット様の出会いは今から6年前のことである。当時のギルレット様はいつもの如くモストレア様に内緒でシャボンディ諸島に遊びに来ており、そして偶々奴隷オークションに運ばれている私を見かけたのだ。当時の私は肌は少し薄汚れ、目は死んだかのように輝きを失っており、見るからに薄幸な姿でした。そんな私にギルレット様は興味が湧いたのか奴隷解放オークションに連れて行く商人に大金を払い私を購入して頂いたのだ。ちなみにその後すぐにモストレア様の使いがギルレット様を見つけて私共々聖地マリージョアに連れていかれたのだった。

 

「あの時の私は何もかもどうでも良く、これから訪れるであろう絶望をただ受け入れるばかりでした。ですがそんな私をギルレット様が優しく差し伸べて絶望という暗闇から救い出して頂き、今のこの光ある日々を送れています。本当に感謝しています改めて言わせて下さい。ありがとうございます」

 

「おいおいどうしたよセリシアそんな急に改まって…照れくさいじゃん」

 

急にお礼を言われたギルレット様は照れ臭そうな表情で頬かく。

 

「ギルレット様に救って頂いたあの日から私はすべてを捧げてでもお護りする覚悟でこれまで貴方様の従者として側に仕えてきました」

 

「……」

 

「ですが今日の失態といい私はギルレット様の従者として誠に不甲斐ないばかりです」

 

そう言ってセリシアは落ち込んだように顔を下に向けて悲しそうな表情をする。

 

すると2人の間に静寂が流れ、時折夜風の音が聞こえてくるだけであった。

 

「……まったく、セリシアはお堅すぎるよ」

 

少ししてギルレットはやれやれといった感じで突如そう呟く。

 

「ギルレット様?」

 

「セリシアはさ、何で僕が君を専属護衛にしたと思う?」

 

「それは…他の護衛の方々より強かったのが理由ではないのですか?」

 

私はそう答えるとギルレット様はさらにやれやれと肩を竦める。

その様子に私はムッとする。

 

「違うんだなぁ、確かにそれもあるけど1番の理由はセリシアが誰よりも頑張り屋で僕に忠誠心があるからだよ」

 

「それは…確かに私は誰よりもギルレット様に心から忠誠を誓っていると自負しているつもりですが」

 

当然とばかりに私は頷く。

 

「そう、それが何よりも重要なんだよ。忠誠心が強ければ強いほどそれだけ僕は安心して自分の身を預けることができるし、頼ることもできる」

 

そう言ってギルレット様は私を見る。

 

「それはそうかもですが…肝心な時に失態を犯してしまえば…」

 

「そんなの些細な問題さ、人間誰しも失敗するし僕だってそうさ。だからその失敗を反省してこれから直していけばいい」

 

「……」

 

ギルレット様がそう言って慰めて頂くがそれでも私の気持ちが晴れないでいた。

それに気づいたギルレット様は少し考えるように顎に手を当てしばらくして。

 

「……セリシアは僕に昔から専属の従者が居なかったのは知ってるよね?」

 

「はい、確かモストレア様がそんなことを私に教えて頂いたことがありました」

 

そう、ギルレット様は私が出会った時からそうだったが近くに従者らしき人はおらずいつも一人でいることが多かった。何でもギルレット様の自由奔放な性格に誰もついていくことができなかった為自然と1人になっていたらしい。その為モストレア様はこれに関して頭を悩ませていたが私がギルレット様の従者になってからその悩みはなくなったらしい。

 

「そう、どうも皆んな僕の行動について来れなかったみたいで基本長続きしなかったよ」

 

ギルレット様はそう言うと頭をかく。

 

まぁ確かにギルレット様の自由奔放な行動について行けるのは今のところノルシュタイ家の中で私ぐらいですね。

 

「だからさ、僕は今も一緒にいてくれるセリシアにとても感謝してるし絶対的信頼を置いている。もはやセリシアは僕にとって()()()()()()()()()()()()()()()だよ」

 

「……!」

 

ギルレット様のその言葉を聞いた途端、私は心の中で何か温かいもので満たされるのを感じた。そんな中ギルレット様は言葉を続ける。

 

 

「これから先色々忙しくなると思う。その時セリシアに迷惑かけるだろうけど是非とも僕を支えてほしい」

 

そう言うとギルレット様は私を見る。

 

「……ふふ、そこは迷惑はかけないって言うところでしょう。まぁギルレット様らしいですね」

 

私はギルレット様の言葉におかしくなり微笑む。まったく、ギルレット様は私が見ていないと何をするかわかりませんものね。私がこんな事で落ち込んでいるわけにはいきません。

 

そして私は突如立ち上がるとギルレット様の前に跪き…

 

「ギルレット様!こんな未熟な私ですが、これから先ずっと貴方様の命、そして望むものすべてを従者として全身全霊で叶え、御護りします!」

 

そう私は力の籠った声、眼差しで高々と宣言する。

 

「僕の望むものすべてか…なかなか大きく出たねセリシア」

 

そう言ってギルレット様は楽しそうに笑う。

 

「はい、私はギルレット様の従者ですから」

 

そう言い私も笑みを浮かべる。

 

こうして満月の日の夜、2人の間に改めて深く、そして強い誓いが交わさせたのだった。

 

 




たぶん次回も投稿遅くなると思いますので気長にお待ちください。
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