GOD EATER ZERO   作:永田ミズキ

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part1-a

フェンリルsaid

 

サカキ博士の研究室

 

「サカキ博士、いらっしゃいますか?」

 

 とある日の午後、研究室を訪ねてきたのはヒバリだった。

 アラガミに関する研究書類を読んでいたサカキは顔をあげる。

 

「ああ、ヒバリ君かい。どうしたのかな?」

 

「さっき、偵察部隊の方から、『これをサカキ博士に渡してくれ』と頼まれたのですが」

 

「ありがとう」

 

 そういって、ヒバリから書類の束を受け取る。

 最初はパラパラと流し読みをしていたサカキだが、途中、気になる書類を見つけたのか、手を止めて注目する。

 

「……ふむ。そうか、やっと見つかったか…。うん、ありがとうヒバリ君。ついでにこれを支部長室に持って行ってくれ」

 

「わかりました」

 

 そう言ってヒバリが研究室を出て行ったのを確認し、研究所の扉をロック。そして、いつもは使われていていない左のほうのドアを開ける。

 サカキの私室、ということになっている部屋には、もう一つ、サカキが入ってきた入り口とは違うドアがある。さらにそのドアを、開ける。

 

「ゼロ、居るかい?」

 

「もっちろーん!俺が居なきゃあ誰がいるのさ!」

 

 やたらとテンションの高い声。子供っぽい喋り方。

 まるで、自分の妹を思い出させるその雰囲気に、サカキは微笑む。

 

「で、何の用かな、『兄さん』!」

 

 そこにいたのは、先日入ってきた新人と同じくらいの年の少女。

 髪の色がサカキと同じことから、何らかの関係があるようだ。

 

「うん、ついさっき報告があったんだけどね、『起源種』が一人、見つかったそうなんだ」

 

「え、ホントに!?」

 

「うん、間違いない」

 

「マジかー!いやっほう!これで『友達』が、『仲間』が増えるんだよね!いえーい!」

 

「ああ、そうだよ」

 

 もう、二年も前の事。

 人語を理解できる狼型のアラガミ、『フェンリル』。

 サカキが、妹ともに面倒を見てきたアラガミだ。

 その存在はフェンリル本部にも認知され、正式に『フェンリル』を人型へと変える実験が行われることになっていた。

 はずだった。

 

『ごめん、兄さん』

 

 妹の、最期の言葉。

 実験に失敗して(と報告されたが、実際のところ怪しいものだ)死にかけた妹は、『フェンリル』にその身を喰わせ、オラクル細胞の中で『フェンリル』の一部として生きていくことを願った。

 その結果、『フェンリル』は人型のアラガミ『ゼロ』となったのだ。

 ほとんど妹の性格を引き継いでいるのか、(一人称は『俺』ではあるけれど)女性の体ではあるけれど、かなりはっちゃけた性格である。

 サカキはそういった人型の、人とコミュニケ―ションが取れるであろうアラガミを、人類との共存の『起源』となるように、と願って『起源種』と名付けたのだ。

 しかしそんなアラガミは人間と接触することがほとんどなく、二年間、断片的な情報のみで、本体が見つかったことはなかった。

 その間、『ゼロ』はひとりぼっちだったのだ。

 

「そっかー!ってことは俺が会いに行っていいんだよね!どこに居るのかな!」

 

 いまにも部屋を飛び出しそうなゼロを落ち着かせて、『起源種』の出現が報告された場所を告げる。

 

「『贖罪の街』。『起源種』はそこに居るよ」

 

 それが、ニンゲンとアラガミの共存の『始まり』となることを願って。

 

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