そしてゼロが此処に居る!   作:やめてください

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余談ですが、この作品は当初「そしてタイガが此処に居る!」というタイトルでした。しかし書いてる途中で「あれ?こいつ口調ゼロじゃね?」ってなったので急遽ゼロになりました。済まないタイガ…


1話 諸星真:start

 「超常」に伴い爆発的に増加した犯罪件数。法の抜本改正に国がもたつく間、勇気ある人々がコミックヒーローさながらの活動を始めた。

 

 「超常」からの警備。悪意からの防衛。たち所に市民権を得たヒーローは世論に押される形で公的職務に定められる。彼らは活躍に応じて手に入れる。

 

 国から収入を、人々から名声を。

 

 そういう世の中に生きる俺、諸星真(もろぼししん)はこの春高校生にならんと試験を受けに来ている。

 

 この国内最高峰のヒーロー育成学校。雄英高校ヒーロー科の試験を。

 

 

 にしてもヤバい。何がヤバいって緊張がヤバい。今日は実技試験。筆記試験は少し前に済んだ。思ったよりも大した事が無かったからこっちは良い。こっちは良いんだ。

 

 問題は実技試験。内容もヤバそうだし周りに知り合いも居ないしもうヤバい(語彙力)。

 

 とは言ってももう説明は終わったしなんなら会場にも来てる。試験内容は10分間の「模擬市街地演習」。

 

 3種の仮想敵が多数放たれた状態でそいつらを行動不能にし、そいつの攻略難易度に応じてポイントを手に入れるという仕組みだ。

 

 一応もう一体ドッ●ン的な破壊不能の仮想敵も居るらしいがそいつのポイントは0らしいので無視で良いだろ。  

 

 『ハイスタートー!』

え?

 

 『どうしたぁ!?実戦じゃカウントなんざねえんだよ!!走れ走れぇ!!賽は投げられてんぞ!!?』

マジかよおい…!ったく無茶苦茶だ。流石雄英。

 

 「ゼロォォォォォォ!!!」

俺は叫びと共に個性を発動する。身体中が光に包まれ、胸に()()()()()()()とプロテクターが現れた。頭の上には二本の()()()()()()()。全身が赤色と青色になる。

 

 

 「ふぅ…!変身完了っと!」

俺は高速で飛び上がり、仮想敵に向かっていく。これこそ俺が親父から受け継いだ個性、「超人化」。

 

 身体能力が爆発的に伸びたり、空を飛べたり、良く分からんスラッガー使えたり、光線を撃てたりする。

 

 とか言ってる間に。

「ゼロキック!」

『グキャ!』

まずは一体。コイツは確か1Pの奴か。

 

 「この調子で入学するとするかな!」

俺の光線技はランドク●ーザー張りに燃費が悪い。だからなるだけ格闘技で潰さなきゃなんだが…!

 

 

 「ひぃっ!」

「危ねぇ!」

緑髪の奴が今にも2Pの仮想敵に殴られそうだった。駄目だ、飛んでちゃ間に合わねえ。

 

 俺は決め打ち気味に両腕にエネルギーを集中させた。そして…

「ワイドショットォ!」

L字に組んだ腕から解放する。仮想敵はあっという間に大爆発。

 

 「いっ、今のって」

「馬鹿野郎!危ねぇだろうが!何ボーッとしてやかんだ!シャンとしろシャンと!」

「はっ!はい!」

「ったく、頑張れよ!」

そう言って俺はまた飛ぶ。いけねえ、幾ら決め打ちで込めるエネルギーを少なくしようとしても限度がある。大分エネルギーが失わちまった。

 

 「ふっ!」

俺はゼロスラッガーを放った。まとめて3体の仮想敵を叩き切った。

「まだまだァ!」

続けざまに頭に戻しもう一度。今度はまとめて2体。

 

 そんな調子で仮想敵を片付けている時だ。轟音と共に4種目の仮想敵が出てきたのは。 

「なんっつーデカさ…!」

それはシンプル。シンプルな脅威。見た目自体は1Pの奴と大差無いが兎に角デカい。

 

 「流石の俺もコイツぁ…」

及び腰になった俺は背を向け逃げようとした。逃げようとして逆方向に飛ぶと、()()()()()()()()()()

 

 「はっ!?」

何でだ?2Pの仮想敵にも敵わない様な奴があいつに向かってける?思わず立ち止まり奴が走って行く方を見るとこけちまった女子が居た。

 

 「っ…だからか!」

見下げたヒーロー根性だ。そんな風に見ていると奴は急に物凄いパワーで飛び上がった!

 

 「ありゃあ、明らかに俺以上だぞ。なんであの程度の仮想敵に怯えてた?」

俺は奴が見せた余りのパワーに困惑したが、少しすると得心がいった。

 

 俺は()()姿()になると身体能力が軒並み上がる。視力だってその例外じゃない。その強化された俺の視力は奴の両脚がズタボロになっているのを捉えた。

 

 「自分のパワーに耐え切れねえって訳か」

俺は少し不自然に思ったが気にしない事にした。奴は恐らくあの力でもって4種目の巨大仮想敵を叩き壊す腹積もりなんだろう。だが…

 

 「駄目だ、()()!」

巨大仮想敵はあの図体で動きが俊敏だ。このままだアイツが振り上げた手が緑髪の奴を叩き落とす。

 

 それでも天下の雄英が何の対策もしていないとは考えにくい。恐らく緑髪の奴が叩き落とされてもどうにかはなるんだろう。どうにかはなるんだろうが…

 

 『真、私達のこの力は全ての諦め無い人達のために有るんだ』

 

 

「あーっ、畜生!」

親父の言葉が頭に浮かび、思わず飛び上がった。速度を上げる、上げる、もっと上げる。

 

 

 あっという間に緑髪の奴に追いつく。

「援護する!腕は気にせずブチかませ!」 

返答は無い。当然っちゃ当然か。聞こえる筈ねえし。さて、俺はやる事やりますか。

 

 ゼロスラッガーを胸のプロテクターに着ける。先刻(さっき)の決め打ちとは違う。本気のエネルギーの収束。

 

 後先考えちゃあどうにもなんねぇのは分かりきってる。だから、

 

 

「受け取れよ、紛れもない全霊だ…!」

 

 

「ゼロツインシュートォォ!!!」

俺のカラータイマーから放たれる光がゼロスラッガーによって増幅され、クソッタレな巨大仮想敵の腕を消し飛ばす。

 

 「これで無問題(モーマンタイ)。さあブチかませや、緑髪!」

エネルギーの使い過ぎでカラータイマーが点滅を始める。だがそんな事はどうでも良い。

 

 示し合わせたかのように緑髪が腕を振り上げ、巨大仮想敵を殴りつけた。瞬間、巨大仮想敵は現れた時以上の轟音と共に吹っ飛んだ!

「お…おおおおおお!?」

 

 「ハハッ、こいつぁ凄え!」

緑髪の奴、自分が一番驚いていやがる。

 

 顔面?がグシャグシャになった巨大仮想敵が地面に倒れ伏す。このパワー、まるでどこそこの平和の象徴(オールマイト)みたいだな。

 

 感動する間もなく緑髪は地球に引かれて落ちてくる。当たり前だ。誰も彼も飛べる訳じゃない。俺は奴を回収するために飛んでいく。

 

 「っと、大丈夫か」 

「えっ、あなたはさっきの!ありがっ…!」

「無理して喋んな。腕と脚がイカれてんのは見りゃ分かる。」

緑髪の右腕と両脚は赤黒く変色している。九分九厘折れてるだろう。コクコクと頷く緑髪。

 

 「あのっ…!」

「なんだァ?無理して喋んなって」

「出久です!緑谷出久!僕の名前…」

「クッ…」

 

 「クハハハハハッ!」

なんだこいつ。腕も脚もボロボロで絶対に自力じゃ歩けねえ位のケガ人な癖して一丁前に礼なんて言いやがる。こいつぁ面白れえ。

 

 「えっと、何か…」 

「いや、なんでもねぇ。良し、俺の名前を教えてやる。俺は真。諸星真。」

「あの、その名前と個性って」

「ああ、俺はセブンの息子だ。」

「やっぱり!あのNO.3ヒーローのウルトラセブン!強く優しく厳しいヒーローとして人気を博しっ…!?」 

「おうおうおう、もう止めとけ。流石に痛えだろ」

頷く緑谷。全く面白れえ。見てて飽きねえな。

 

 そんな問答をしている間に地上に着いた。緑谷を地面に下ろし、仮想敵をダメ押しで倒しに行こうとしたが。

 

 「チッ…」

カラータイマーの点滅が更に早まり、エネルギーの不足を伝える。潮時か。

 

 『終了~~~~~!!!!』

 

 丁度スピーカーからプレゼント・マイクが終わりを伝える。試験が終わったので変身を解いた。

ん?

 

 「なんだ緑谷、陰気臭え顔して」

「いや、それが…0Pなんです」

「ハァ!?」

 

 驚いた。驚いたが納得もした。自分の体を壊す程のパワーだ。沢山の仮想敵を相手しなきゃいけないこの試験とは…否。《ヒーロー》に向いてない。

 

 一発かまして終わり、なんて能力はどこからも求められていない。求められてはいないが、

「大丈夫だ」

「え?」

 

 「お前は俺でさえ逃げちまうような巨大な敵に立ち向かって、鉄クズにする程の勇気と力を併せ持つ奴だ」

「…!」

「そんな奴を天下の雄英が欲しく無い訳無い。お前は大丈夫さ」

 

 「はいお疲れ様お疲れ様~ハイハイハリボーだよハリボーをお食べ」

「あれは…」

雄英の屋台骨と呼ばれるリカバリーガール。彼女が居るから雄英はこんな無茶な試験を出来る。

 

 「あらあら、自分の個性でこうも傷つくとは。まるで体と個性が馴染んでいないみたいじゃないか」

リカバリーガールは緑谷に近づいていき、

 

 「チュ~~~~!」

緑谷を治した…のか?みるみるうちに緑谷の腕と脚が通常の色に戻っていく。

 

 「さてチャッチャといくよ。他にケガしてる子は?アンタは大丈夫かい?」

「ハイッ!大丈夫ですッ!」

「なら良いよ。他には居ないかい?」

 

 俺もリカバリーガールにリカバリーされる所だった。今回はエネルギーを消費しただけで大したケガをしてないのが救いだった。

 

 試験こそ終わったし、手応えもあるが俺の心には大きな凝りが残っていた。

 

「まさかそのまま落としたりしねえだろうなぁ…」

あんな、ヒーローみたいな奴を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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