Fate/overload   作:カフェインましまし

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久々の更新です

待っていた方々遅くなり申し訳ありませんでした


美しき化物

 

私は馬を走らせて連絡が途絶えた西の村へと部隊を進めている。

道中には私たちの陽動部隊が鏖殺した村々があり、至る所から肉が焼ける匂いと腐る匂いが漂っていた。

 

 

(いくら敵国の将兵(ガゼフ)を殺るために手段は構わないと言ってもこれは…)

 

 

ここまで通ってきた村人はみな我が法国の配下の兵達が虐殺した爪痕が生々しく残っていた。本来なら自分たちは人を異教徒や蛮族達から人族を庇護、守護する立場なのに…命令1つで、人はあんなにも残虐になれるものなのか…これではまるで

 

 

(我々が野蛮な異教徒達と変わらんではないか…)

 

 

そう思いながら進んでいくと目の前に帝国兵に偽装した我が国の工作兵の死体を発見した。

 

 

「っ!止まれ!止まれぇ!」

 

 

配下達に停止の号令をだし死体のそばに寄っていく。

死んでいる兵士は斬られた後があり右腕は切断され少し離れた場所にあったのを確認した。

 

 

「副隊長、これは…」

 

「見る限り、人為的に腕を斬られ、背中を大きく斬られた感じですね」

 

「副隊長!あそそにも!」

 

 

他の者が別の死体を発見したそうだ。

見に行ってみると正面から槍のような者でひと刺しに胸を貫かれて絶命してしまったようだ。そしてその死体の先にもまた死体があり、その先にもまた死体があった。

 

 

(なんだこれは…まるで道標のような配置は…)

 

「副隊長、これはもしや…」

 

「えぇ明らかに人為的に置かれていますね…」

 

 

少なくともこれは明らかに罠の可能性が高い、援軍が来るのを見越して伏兵をはっているのかもしれない。

だが少なくともこれはガゼフがやるような作戦ではないと確信した。

となるとこれは王国が雇った冒険者或いは帝国のワーカーの可能性が高い。

 

 

(こちらにはいないとなるとニグン隊長の方にガゼフがいますね…本来なら撤退してニグン隊長の所に合流するのが正しいのですが…)

 

 

そう、まだ生き残った兵達がいるのかもしれない…そうなると回収かもしくは…始末しなければならない…王国の捕虜にでもなってしまって迂闊に情報なぞ吐かれてしまってはある意味まずいことになってしまうからな。

 

 

(仕方ない)

 

「各隊員、下馬して天使たちをいつでも出せる用意をしなさい。おそらく敵がこの先に待ち伏せしているかもしれません。生きている兵がいたら救出を、出来そうでなければ…仕方ありません、始末します」

 

「「「了解」」」

 

 

そう言うと隊員達は下位天使召喚(レッサー・サモン・エンジェル)の準備をし、いつでも炎の上位天使(アークエンジェルフレイム)を召喚できるようにセットした。

自分も権天使(プリンシパリティ)の準備をして万全を整えた。

 

 

「よし、全部隊前進」

 

 

さて吉と出るか、凶と出るか…神よ、我らを導きたまえ

 

 

 

 

 

アルトリアside

 

 

「…さて、これであらかた片付いたか」

 

 

私はここの村にいる兵士供を全て始末し、残ったのは隊長格と思わしき人間を引きずりながら村の中央に引きずり出した。

この人間は私が女と見るや下品な顔で首を垂れろなどと言っていたが部下が瞬時に斬り殺されると顔を真っ青にして逃げようとした挙句、自分だけは助けて欲しいと泣きながら懇願してきたもんだ。

はぁ、ここまで腐っているとはな…

 

 

「アルトリア様、他の兵士や村人の生き残りはもういないようです」

 

 

村を散策してきたジャンヌが他にいないと報告してきた。となるとこの村で生きているのはこいつだけとなった。

 

 

「た、たのむ!お願いだ!命だけは!」

 

「そうだな…生かすか殺すかは貴様の態度次第だな」

 

「そ、そんなぁ!!」

 

 

あまりにも絶望的なことで醜くなっている顔がさらに汚らしくなっていった。

そう、この兵士を何故残したのはこいつが誰の、そしてなんのためにこのようなことを行ったかを聞く為に情報を得るように生かしておいといた。

 

 

「ジャンヌ、はじめろ」

 

「はい。では人間、私を見なさい」

 

「ひ、ひぃぃ!」

 

 

"真名看破"

 

 

ジャンヌがスキル"真名看破"を使用した。このスキルは対象のステータスの詳細を観ることができ、さらに格下の相手なら魅了程度の限定的な催眠状態にすることができる。しかし自身より格上や隠蔽などのスキル特性を持つ相手なら自信の幸運値によって判定されることがある。

 真名看破された兵士はビクンッと体を硬直させ、次の瞬間には体がまるで糸を切られた人形のように力が抜け、目が虚な状態へとなった。

つまりこの兵士は我々よりレベルが低いことが証明された。

 

 

「よくやったジャンヌ、では私が質問しよう。貴様はどこから来た」

 

「…私は…スレイン法国から…きました…」

 

兵士は口をパクバクと開いたり閉じたりして質問に答えた。

スレイン法国…初めて聞く名だ。少なくともユグドラシルにはなかった国名もしくはギルド名だな。

 

 

「次は何故このようなことをした」

 

「…ある人物を…誘い出すためで…ございます…」

 

 

誘い出す?つまりこれは陽動なのか。

と言うことはどこかに伏兵がいるのかもしれないな。しかし、ただ誘い出すために村人を虐殺するとは…考えが極端だな。

 

 

「なぜそいつを誘い出す必要があった」

 

「それは、ガッ…ががゼゼゼがぜああああ!?!?」

 

「ッ!お下がりください!!」

 

 

次の質問に答えようとすると兵士は突然ろれつが回らなくなり次の瞬間、体から血が飛び出てまるで雷に打たれたかのように痙攣し、そのまま絶命した。

 

 

「これは…」

 

「……そうだな、見る限り自殺…いや、口封じに近いな」

 

 

どうなっているかはわからないが尋問すると絶命するような術式、または細工がされているに違いない。

なるほど情報はそうやすやすとくれてやるとはいかないか。

スレイン法国と言ったな…初めてこの世界で知る国名だが色々とめんどくさそうな国とみた。

 

 

「ジャンヌ、やはり生き残りはもういないのか?」

 

「申し訳ありません、もう一度索敵のスキルを使いましたが…生きているのは先程の人間だけです…」

 

 

うむぅ。こうなることならもう2、3人程生かしておけばよかったな。興味がのってしまってつい色々と(・・)試したくなってしまうのは私の悪い癖だ。まぁお陰で大体は結果が得られたからいいか。

 

───ん?

 

 

「アルトリア様。東の方向から」

 

「あぁ。今、私の"直感"も反応した」

 

 

すぐさま反応した方向に目を向けると約2、3km先から肉眼で見える程の砂煙が立ち上がっていた。地面の揺れ具合から馬などの動物の走る振動が伝わってきた。

 

 

「ほう、これはわざわざ探す手間が省けたようだな」

 

 

ふっと笑みを浮かべると私は地面に突き刺していた聖剣を抜くとこちらに向かってくるモノを待ち構えるように体を向けた。

まるで新しい玩具がきて喜ぶ子供のように内心期待を寄せていた。

 

 

 

 

 

イアンside

 

 

我々は敵の伏兵を警戒して道標を辿って進軍していると目の前に丘が見えて来た。死体は丘に上がるところでまとまって積み上がってあるのが見えた。ここが終着点というわけか。

しかし道中から奇襲はおろか、今現在でも襲ってくるような気配はない…───いや静かすぎる。

 

 

「おや、こんなところで何をしているのだ?」

 

「っ!?」

 

 

声が聞こえた方向へ振り向くと丘の上に2人組の女が立っていた。

馬鹿な、先程まで丘の上には誰もいなかった。いや、それどころか気配すらなかったぞ!?

 

 

「どうした?その驚いた顔は。何か言いたそうだな」

 

「……っ」

 

 

立っている女は1人は黒い甲冑と凶々しい黒く孕んだ魔剣らしきモノを持っていて顔はバイザーで隠れていて見えにくい。もう1人は槍…いやあれは旗か?それと白と黒紫のマントで全身を羽織っている金髪の女だ。

 

 

「何をしている。"言ってみろ(・・・・・)"」

 

 

すると黒い甲冑を着ている女がこちらに向けて喋ると次の瞬間、全身に重くのし掛かってくるような重圧感が襲って来た。後ろの隊員数名は腰を抜かしてしまっている者もいて中には悲鳴をあげている者もいた。

 

 

「うっ…!(こ、これは…!)」

 

 

倒れまいと必死に抵抗するが立つのは困難で右脚を地面に屈してしまった。

これ程までのプレッシャー…他の人間にいるのだろうか。私の考える中には恐らくいない…!

 

 

(これはもはや、神の領域!?かの六大神…八欲王とも並ぶほどの圧倒的なカリスマ(プレッシャー)を感じる…これは…下手に出ると死ぬ…!)

 

 

ここは穏便に且つ刺激しないように撤退しなければならない。

私は全身に湧き出てくる汗を垂らしながらその女の質問に答える。

 

 

「わ、私は…スレイン法国の…六色聖典の一つ…よ、陽光聖典副隊…長のイアン・アルス・ハイム…ですっ…」

 

 

プレッシャーで心身共に圧がかかっている中なんとか声を出せるように力を込めるが言葉がうまくだせない…うっ…このままでは辛すぎる…!

 

 

「なるほど。ところで貴様、なぜそんなにも辛そうなのだ?」

 

(なぜ…だと?何を言っているんだ!それはお前のせいで…くっ!)

 

「も、もうしわけない…き、貴殿から感じる圧のせいで…」

 

「圧?……あぁ、これか」

 

 

そう言うとその女から発せられる圧が瞬時に消えた感覚が出てきた。身が軽くなって他の兵士達も息を咳き込みながらだがいくらか回復してきたようだ。

 

 

「悪いな。まさかこのようなもの(・・・・・)で貴殿達を圧迫していたとは思っていなかったものだ」

 

 

女から謝罪の言葉が出てきたが、まるで自分達が悪かったと言う感じではない。

これ程までに余裕を見せつけられるとこちらは言葉もでてこない。

これはマズイ。一刻も早くこの事を本国に報せなくては…!

 

 

「ところで、奥にある小屋に控えている人間は貴殿の仲間かな?」

 

「っ!?」

 

 

なに!?ば、バレただと!?

隠蔽効果の魔法装備品(マジックアイテム)を使っていた万が一の時の為の連絡要員がこうも容易く見破られたのか!?

あ、ありえない…これは非常に危険だ!!

 

 

「全部隊!炎の上位天使(アークエンジェルフレイム)を召喚せよ!!」

 

 

私の号令と共に全部隊は炎の上位天使(アークエンジェルフレイム)を一斉に召喚して正面にいる2人を囲むように展開した。

連絡要員を無事に本国に知らせるのが第一だ。このような化け物をのばらしにしてはいけない。そう私の中の本能が荒ぶっていた。

 

 

「全天使を展開!!この場で食い止める!!」

 

 

ダメ押しに私も権天使(プリンシパリティ)を召喚し、相手の正面に立つ。

たとえ全滅してでも本国にたどり着けば良い。そのためにも今ここで食い止める!!

 

 

「ほう、これは中々物騒な意思表示だな」

 

 

この状況でも相手は眉一つ変えてはいない、それどころか余裕のある態度をとっているのだ。

 

 

「すまないが、私は貴女方を始末しなければなりません」

 

「いきなりだな。私達が何かしたか?」

 

「貴女方の存在はあってはならない、いや…いてはいけないのです」

 

「答えになってないな」

 

 

あぁ確かに普通から見れば一方的な解釈の押し付けだ。だが此度は違う。

あの化け物はいてはいけない、あってはならない存在なのだ。

 

 

(1人でも本国に帰れればこのことが伝わる!そして漆黒聖典なら対処できるはずだ!!)

 

「覚悟!!全部隊!!目標に総攻撃!!」

 

 

召喚された天使達が標的目掛けて一目散に攻撃を開始した。四方八方からの光弾は一斉に爆風が起き、煙が上がって標的が見えなくなった。

 

ブォン!!

 

だが砂埃は一瞬で四方に拡散され、まるで何事もなかったかの様に2人の化物は平然とその場に立っていた。

 

 

「ふむ、もうおわりか?」

 

「まだまだ!!」

 

 

私はすぐさま第二撃の指示をだし追撃した。

光弾の嵐を降らせて攻撃する。だが化物は何もせずその場で立っていると手に持っている武器を頭上高く挙げそして…

 

 

「目障りだ」

 

ヴボォンッ!!!

 

 

挙げた剣を地面に突き刺すとその場から物凄い衝撃波が発せられ、追撃していた天使達は一瞬にして全て消し去ってしまった。

なんとゆう威力だ…!!

 

 

「さて、あとはその権天使(プリンシパリティ)のみだな」

 

 

化物はそう言うと剣を抜き無防備な構えでこちらに体を向ける。完全に舐められている…。くそ!!

 

 

権天使(プリンシパリティ)よ!!目の前の化物を殴り潰せ!!」

 

 

私はすぐさま命令し権天使(プリンシパリティ)のメイスが敵の頭上目掛けて攻撃をする。

 

しかしメイスは化物の頭上すれすれに止まり身動きが取れないでいた。

否、止まっていたのではない。止められていたのだ。

 

 

「やはりこの程度か…私にダメージを与えたければ第十位階位以上のモノでなければ話にならないぞ」

 

「なっ…!?」

 

 

だ、第十位階位だと…!?そんなものはこの世にはない、いや存在などしない!!少なくともその様なモノは我々人類には扱えん代物だ!!それを軽々しく言うとは…!!

 

 

「こんなオモチャで戦おうとは…話のネタにでもならんぞ」

 

バシュッ!!

 

そう化物は吐くと掌から黒い衝撃波を発動すると瞬く間に権天使(プリンシパリティ)は蒸発し、塵一つなく消え去ってしまった。

 

 

「そんな…バカな…」

 

 

その光景をみて、恐怖が私の身体を蝕んでいくのが伝わってくる。なんと言うものを呼び寄せてしまったのだ!!は、早く本国に…!!

 

 

「それとネズミが1匹隠れて逃げている様だが…無意味だぞ」

 

 

なに!?ば、バレている!?

そう言うと先ほどまでいた化物の従者がいなくなっていた。

そう思った瞬間私の目の前に空から物体が落ちてきてた。

その落ちてきたモノは…

 

 

「ひっ!!こ、これは…」

 

 

そう、それは私が本国に連絡するために退却させた兵士だったのだ。

それも身体が向いてはいけない方向に曲がっていて形を留めていなかった。

 

 

「ジャンヌ、私は連れてこいと言ったのだか…?」

 

「申し訳ございませんマスター!私が捕まえたときに勢い余ってしまってつい…こう掴んだ時に…」

 

「はぁ…まあいい、次からは力加減を覚えてもらわんとな」

 

「さて、貴殿の企みは潰えてしまったわけだ」

 

 

そう言うと化物はこちらに近づいてきた。

 

───一歩一歩歩み寄ってくる

───その足音と姿はまるで

 

 

「私に対しての所業、その命で支払ってもらうか」

 

 

 

 

──────美しい死神と感じ取れてしまった。




更新は不定期になってしまうのですが、なるべく続けていけるように頑張ってみます
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