【UT_AU】雲外蒼天【短編集】   作:花影

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10.構ってよ!(キラマダ)

キラ「マーダー!」

「……」

 

台所から、キラーの幼い声が聞こえてくる。オレは無視を決める。

 

キラ「マーダー?」

「……」

 

キラーの呼び掛けを、オレは無視する。読んでいた本を顔に近づけ、目の前の文章だけに集中する。パピルスは俺の様子を見て察しているのか、何も言ってこない。

 

キラ「ねぇちょっと」

 

ぼふっという音がして、キラーが隣に座ってきたことをオレは理解した。黙殺に耐えられないのか、キラーは貧乏揺すりをし始める。はっきり言って、揺れが邪魔である。

 

キラ「ねぇってばー」

「あああ、もううるせぇな! なんだよ」

 

耐えられなかったのはこっちだった。本を乱暴に閉じるオレの横で、キラーは「反応したー」と嬉しそうに言った。 

 

声や容姿は可愛く見えるが、彼がやっていることはオレと同じ。キラーという名前にふさわしく、EXPを得るためなら容赦なく殺す奴だ。

 

キラ「呼んでも全然反応しないから心配したよ?」

「うるさいから無視してただけだ」

キラ「えー、ひどいなあ」

 

キラーはむすっと頬を膨らませる。この前、「なんで僕って幼女って言われるんだろ?」とか言っていたが、原因はそれだろう。

 

「で、用件でもあるのか?」

 

オレは乱暴に閉じた本をまた開く。紙面が少しだけ折れていた。

 

キラ「特にないけど、構ってほしいなあって」

「……」

キラ「ちょっと! また黙殺する気!?」

「昨日かまってやっただろ」

キラ「確かにそうだけどさ……」

 

キラーは構い足りなかったのかばたばたと両足をばたつかせる。子供かよ、こいつ。しかし、そこが可愛いと思ってしまう俺は、こいつに毒されているのかもしれない。

 

「……仕方ねぇな。来いよ」

 

オレは自分の膝をぽんぽんと叩く。むすっとして頬を膨らませていたキラーだが、俺を見るなり喜んで立ち上がり、オレの膝に座る。視線が交わる。

 

奇跡というべきか、オレとキラー以外は出掛けているので、見つかることはないだろう。

 

キラ「やったー」

「明日はしてやらねぇからな。満喫しろよ」

キラ「とかいってどうせやってくれるんでしょ?」

「うるせぇ」

 

ふいっと顔をそらすと、キラーはクスクスと笑った。そんなキラーをオレは横目で睨む。いつの間にか、パピルスはいなくなっていた。

 

キラ「ねぇ、マーダー。こっち向いてよ」

「なんでだよ」

キラ「だって、フードが邪魔で顔見えないもん。今どんな顔してるか気になるなあ」

 

塵がかからないようにフードを深く被っているが、そうしておいてよかった。

 

キラ「こっち向いてってばー」

「はあ……分かったよ。向けばいいんだろ、向けば」

 

オレは外した視線をキラーに向ける。キラーは視線を合わせるなり、オレの首に両手を回した。さらに密着する。

 

「何してんだよお前……!」

キラ「キスしていい? ダメ?」

 

それが目的かよ。

 

「お前なあ……」

キラ「いいじゃん、別にこれが初めてじゃないんだからさ。それとも別のほうがいいの?」

 

キラーは妖しく目を細めながらオレを見下ろしてくる。ソウルが馬鹿みたいに脈打つのが分かってしまう。

 

「はあ……。したいならすればいいだろ……」

キラ「んじゃ、遠慮なく」

 

口に感じた柔らかい感触。オレとキラーの口が重なる。

永遠のようで、一瞬だった。

 

すっと口が離れる。オレは口を開いた。

 

「深くしないのか?」

キラ「今度、ね」

 

キラーはオレを抱き締めながら言うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつか練習しないとね、深い方




キラーくん妖艶説……。
我が家のキラーくんは幼女です。
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