【UT_AU】雲外蒼天【短編集】   作:花影

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グロテスクな描写がありますのでご注意。
あとシャタメアとか書いてますがそこまで絡んでません。


11.Hello,Brother...(シャタメア):*

心臓から触手を抜く。眼下の人間はもう動かなくなっていた。沸き上がる赤い衝動が、物足りないと囁く。

 

人間「ご、めんなさい……。ゆる、して……」

 

一人の人間が俺に駆け寄り土下座してきた。この凄惨な光景に耐えられなかったのか、命乞いを求めている。しかし、許すという選択肢は今の俺にはなかった。

 

「許してほしいか」

 

冷ややかに見下しながらそう言うと、人間は恐る恐る顔をあげて頭をぶんぶんと縦に降った。その目から、涙が流れていくのが見える。体内に流れ込む負の感情が、力を増幅させる。

 

「そうか。許してほしいなら……」

 

俺は命乞いを求める人間の頭に足を乗せて、地面に叩きつける。人間の口から奇声が漏れる。

 

「死ぬことだな」

 

足に力を込めると、ぐちゃりと生々しい音がして、人間の頭が潰れる。あまりにもあっさりと潰れた。脆い、脆すぎる。ぶちまけられた中身を見て、俺は笑うしかなかった。

 

***

 

「……うっ」

 

目が覚めた。身体が、全身がひどく痛む。視界のなかに、兄弟がいた。しかし、その姿はかつてボクと一緒にいたはずの兄弟とは程遠かった。

 

紫色の衣装は消え失せ、全身が黒く、背中からは触手が生えていた。ボクが知っていた兄弟のはずなのに、まるで他人を見ているようだった。

 

「……メアは」

 

その背中に手を伸ばしても、届くことはない。鉄の匂いがあたりに充満している。彼の周りには、ニンゲンの亡骸が無数に転がっていた。

 

「……ナイトメアは……どうして、こうなっちゃったの?」

 

君の背中に問いかける。答えは返ってこなかった。伸ばした手がだらりと下がる。地面に這いつくばっているボクを、彼は見ようとしていない。

 

ふと、ボクの近くに黒いリンゴが一つ、落ちていることに気がついた。

ボクはそれを手に取る。そのリンゴが金色に染まることはなかった。そこから読み取れる、数々の黒い感情。

 

苦しかったよね。つらかったよね。ごめんね、ボクが何も知らなくて。気づくことが出来なくて。だから、だからメアはこのリンゴを食べたんでしょ? そうじゃなきゃそんな姿になっていない。

 

こんなに人を殺すわけない。全部、ボクのせいだ。

メアが受けた苦しみを、痛みを、ボクも分からないとダメだよね?

 

メア「……! おいっ、何して……!」

 

こちらに振り返ったナイトメアは、目を見開き叫んだ。触手が、ボクが手に持っている黒いリンゴに伸びる。ナイトメアの顔に浮かんだ、焦り。

 

「ごめんね、メア……」

 

触手がリンゴに伸びる寸前、ボクはリンゴを一口かじった。次の瞬間、黒いリンゴがボクの手から奪われる。

 

メア「お前……何してんだよ!」

 

ああ、泣いているの?

 

ぱき、ぱきと枝が折れるような音がした。見ると、手にひびが入り始めていた。痛みが上乗せされていく。割れゆくボクの手を見たナイトメアはボクのそばにひざまずいて手をとった。

意識が遠のいていく。

 

「今すぐ……そっちに、行く、から……」

 

ぶつりと、意識が遮断された。

『ボク』が消えていく音がする……。

 

***

 

「ドリーム? ドリーム!! おい、しっかりしろ!!」

 

弟の手をとり身体を揺さぶるが、反応はない。焦る俺を笑うように、ぱき、ぱきと枝が折れるような音がした。

ドリームの身体にひびが入り始める。それは手から、やがて頭蓋骨へと。加速するひびを前にして、俺は何も出来なかった。

 

やがて、ドリームの身体が黒く染まっていく。俺のように、真っ黒に。

 

その一部始終を呆然と眺めていた俺の前で、彼は目を覚ました。金色の目がまっすぐに俺を見つめる。

 

?「おはよう、兄弟」

 

その声は、ドリームそのものだった。だけれど、姿はまったく違っている。左目は潰れ、全身は黒く染まっていた。

 

「ドリー……ム」

?「何をそんなに泣いている? 弟ならここにいるじゃないか。ああ……それと、私はドリームではあるが、『昔の』ドリームではない。私はシャッタードリーム。お前の弟だ」

 

脳内に、太陽のように眩しい笑顔を見せるドリームの姿が映し出され、すぐに黒く塗りつぶされていく。お前がこうなる必要はなかったのに、なんで……。

シャッタードリームが俺の頬に手を伸ばした。

 

シャタ「泣かなくていい。『あの子』はお前の今までの痛みや苦しみをあの身で受け止めるためにリンゴを食べた。結果、私が生まれたんだ」

「ドリー……ム……」

 

言葉が溶けて消えていく。打ち寄せる波にさらわれていく砂の城のように。

 

シャタ「……メア」

 

ふと、シャッタードリームに俺の名前を呼ばれた。体制が変わり、俺は優しく抱き締められる。

 

シャタ「もう、泣かなくていいんだ」

 

俺はシャッターの背中に腕を伸ばす。華奢なことに、変わりはなかった。

 

シャタ「大好きだよ、ナイトメア。例えこの姿になってしまったとしても、ボクはメアのこと、愛してるから……」

「……ごめんな、ドリーム……」

 

血にまみれた小さな世界で、二人は泣いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

姿は変わってしまってもボクたちは兄弟、だよ……




シャッタードリームくん初登場。
どうしても登場させたかったので書きましたが……正直よくわかりません。
なるべくドリームくんとは被らないように口調を変えましたが、妖艶なままでもよかったかもしれませんね。
そう、最後のシャッターのセリフはドリームくんが干渉して喋ってるようにしました。だから「ボク」って言ってたわけです。

明日で2020年が終わりますね。
そういえば来年は丑年ですね((クロスくん逃げて超逃げて
大晦日も投稿する予定ですが、できなかったらすみません。
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