後半がR-15なので苦手な方はそっと閉じてください。
ほんのりと光る地面。頬を撫でる柔らかな風。暖かな日の香り。すべてが俺にとって最悪だ。敵の家兼作業場所はこんなに忌々しいものなのか、自然と顔が歪む。
Doodle Sphere。すべてのAUに繋がる空間。この空間を家として、また作業場所として使っているのは、AUの守護者と呼ばれるインク。あの気持ち悪いほどに溢れるポジティブは、ドリームと接触するだけでなくここからも得られているのだろうか。
本来なら敵である俺が出向くべき場所ではない。適当にクロスあたりを投げ出すべきだが、今回はそんなことはしたくなかった。
俺は不自然に浮いている扉にそっと触れる。抵抗もなく、それは力を受けてゆっくりと向こう側に開いていった。
八畳ほどの部屋だった。机や椅子、ベッドが目に入ると同時にまた顔が歪んだ。
この床もそうだが、至るところに筆やら鉛筆やらが散乱している。あの記憶力馬鹿はまともに片付けもできないのか、それでも守護者かよ。幸いにも足の踏み場はあるため、移動は出来る。
「あっ、ナイトメア!!」
大量に散乱した筆や鉛筆にうんざりしていたその時、部屋の奥から陽気(うるさいとも言う)な声が空気を揺らす。視線を上げてみると、部屋の奥の扉からインクが手を振っていた。あの扉の先は……確かアトリエだったはず。
「来てくれたの? 嬉しいなあ!」
「それはいいんだが、なんだこの散らかり具合は。俺でもこうはならんぞ」
足元にあった色鉛筆を蹴りながら歩く。そのたびに鉛筆同士が擦れ合う音が空気を揺らす。「あー! 蹴らないでよ!」と、インクが頬を膨らませながら言うが、俺は無視を決める。こんなに散らかしてるお前が悪いんだよ、バカ野郎。
「もー、せっかく片付けようとしてたのにぃ」
「そう言ってるわりには絵に夢中だったよなあ?」
図星だったらしく、インクの口から物を詰まらせたような声が漏れた。華奢な体の向こう側に見える、キャンバスや絵の具。間違いなく先程まで描いていたのだろう。
「そっ、それは……」
インクは顔を反らす。上手いことやり過ごすつもりなのかもしれないが誰がどう見てもバレるぞ、そんなものじゃ。
「休日だよ、休日! 僕だって休むんだからね!」
インクは顔を上げてそう言った。「汗かいてるぞ」と言ってやると、彼はまた顔を反らして「暑い、からね!」とわざとらしく言った。完全に忘れてたなこいつ。
「そ、それにしてもなんでナイトメアがここに?」
「あー……特に用はねぇよ。暇だったから来てやっただけだ」
嘘つき。俺は心の中で呟く。何が『特に用はねぇよ』だ。用があったから来たんだろうが。それ以外に行く理由なんてない。
「そっかあー。あっ、ならちょうどいいや」
インクはにぱぁと明るい笑顔を見せる。全身から放たれるポジティブ。ああ、欲しくない。例え、好きなお前だったとしても。
「笑うな。なんだ、ちょうどいいって」
インクの頭を軽くはたきつつ俺はその先を促す。まさか、ここに散らばっている筆や鉛筆を片付けてとか言わないだろうな。
「いやー、ちょうどナイトメアが来たからさ。ちょっとお願いごとがあっt」
「却下」
「なんで!? まだ何も言ってないよ!」
インクはまた頬を膨らませる。ここまできたならどうせ片付けろって言うだろう。人手は増えるし、俺の触手で一気に片付く。インクはきっとそう思っている。だが、素直に他人の要求を聞く俺ではない。
「どうせ片付けろとか言うんだろ。めんどくせぇよ」
「えぇ……僕としては一緒に片付けてほしかったのに……」
「面倒だ。それに、これは俺が散らかしたものではない。自分のことぐらい自分でやれよ」
「むぅ……。じゃあさ、片付けてもらう代わりに……僕が何でもするって言ったら?」
翻そうとした体が止まる。今なんて? 微かに聞こえただけなので確信は得られないのだが、何でもするって言わなかったか?
「今……なんて?」
「えっ? だから、片付けてもらう代わりに僕が何でもするって言ったら? って……」
なるほど。
「で、どうなの?」
インクは不安そうに俺を見てくる。ほんのりと虹色に染まる頬。ああ、最高じゃないか。やっぱりお前は可愛くてしょうがないよ、小筆……。
「……手伝ってやるよ。ただし」
俺は一呼吸置いて、口を開いた。
「その言葉、忘れるなよ?」
「終わったー!!」
インクは自分が勝利したかのように両腕を高く掲げる。相変わらずうるせぇなこいつ。しかし、これはある意味勝利したと言ってもおかしくない。
足の踏み場がほぼないほど散らかっていた床はフローリングが丸出しになり、机の上に無造作に放ってあった筆も今ではなくなっている。その違いは一目瞭然だった。
「まったく……」
「ありがとうナイトメア! おかげで綺麗になったよ」
「ああ、そうだな。ところで」
俺はインクにぐいっと顔を近づける。
「さっきの言葉……忘れたんじゃないだろうな」
「えっ、さっきって……」
やっぱり忘れてやがった。
「『片付けてもらう代わりに何でもするって言ったら?』」
「あっ……」
一時間ほど前のインクの台詞をそのまま言ってやると、思い出したらしく、彼はぽかんと口を開ける。
「一緒に片付けてやった。何でもしていいんだよな?」
「べ、別にいいけど……。何するつもり……? 痛いのはやめて、ね……?」
インクの目に怯えが浮かんでいく。こいつから負の感情をとるのは容易ではなかったが、こんなときにとれるとは。
「安心しろ」
俺は触手でインクの体を縛り、ベッドに放り投げる。彼の華奢な体が二回ほどバウンドした。俺はインクの上に乗って彼の両手首を押さえる。
「すぐに良くなるさ」
そのまま、俺は顔を近づけ、インクの口にキスを落とす。カツンという軽い音がした。押さえていた両手首から手を離し、インクの首と後頭部にそれぞれ回す。
「んっ、んん! はっ、う……なっ、いと、めあぁ……」
インクの口に強引に舌を滑らせ、舌と舌を絡ませる。最初は抵抗していた彼も、気持ちよくなってきたのかだんだん力が抜けていく。適当なところで離してやると、彼の両腕はベッドに縫い付けられるように沈んでいた。
「ははっ、最高じゃないかインク……。おねだりしてみろよ、出来るだろ? 守護者サマ?」
見下すようにそう言うと、インクの頬が虹色に強く染まる。最高だ、欲望が刺激されていく。
「……もっと」
「聞こえねぇな?」
「……もっと、して……欲しい……」
インクは顔を反らしながらもそう言った。待っていたよ、その言葉が聞けるのを。俺の中の枷が外れる音がした。
「……よく言えました。覚悟、出来てるよな?」
「……ん」
俺はインクの服に手を伸ばした。
最高だよ、お前って奴は……
このあとはご想像にお任せします。夢が広がる。
前書きでも言いましたがエラーくんお誕生日おめでとう!! インクくんと末永くお幸せに←とかいいつつメアイン書くというアホ
アンケートは消しました。しばらくこのままでいこうと思ってます。
追記8/3(火)
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