【UT_AU】雲外蒼天【短編集】   作:花影

45 / 55
今までのを見返して一言。
「堅苦しいなオイ」ということでちょっと書き方変えよう期間に入ろうと思います(謎)。

……ちなみに今回からエラー様の声はバグりません。読みやすさ重視。あとエラー様のお口が悪い。……いつものこと?


43.Language(インエラ)

「エラー!!」

 

ああまた来やがった。歩く屍のご来訪に、俺は顔を歪める。口からこぼれる「Shit」の音はあのバカには聞こえていなかったらしい。インクは普通にクッションに座ってくる。俺は当たり前のように距離をとった。

 

「何の用だレインボーアスホール」

 

メガネを外してのびをする。固まっていた体がほぐされて、気持ちがいい。

 

「それまだ言ってたんだ……」

「死ぬまで言ってやるよ。で、何の用なんだ」

 

どうせ用事はないんだろうな。そんなことを分かっていつつも、俺は聞く。

 

「特にないよ。暇だから来ただけ」

「あっそ。仕事した前提で言ってんだろうな、それ」

 

これで仕事してないとか言ったら割りとマジで殺してやる。やることやってから来いって話だ。まあこのレインボーアスホールは忌々しいAUを守るのが日課みたいなものだから忘れるわけがないと思いたい。

 

「ちゃんとしたよ! なんで疑われなきゃならないのさあ~」

 

インクはハリセンボンのように頬を膨らませる。「ガキかよ」と笑いながら言ってやると、インクは頬を膨らませたまま首をぶんぶんと横に振った。

 

「ガキって言われるほどの年齢じゃないし! I'm still young!!」

「骨に年齢があるか。そもそもお前は不死身なんだから年齢なんざねぇだろ。あと日本語で喋れ」

 

言い終えてから『間違えたな』と軽く思った。何がって、『骨に年齢があるか』というこの発言。ご存知だとは思うがナイトメアは軽く五百歳を越えているし、クロスは二十九歳だ。ベリーは……確か十四歳だったか?

 

AUのキャラクターの中にはクリエイターサマによって年齢が決められている奴がいる。それを知っているにも関わらず『年齢があるか』と言ってしまった俺を殴りたい。……つかなんでインクは英語で喋ったんだ? I'm still young……まだ若い、か。

 

「確かにそうだけどさあ……。あっ! 用事思いだしt」

「……死刑」

 

指に巻き付いた糸でインクを縛り、放り投げた。空中で吊り下げられ、ミノムシのような状態になったインクは、じたばたともがいている。

 

「ちょっとぉ!? なんで縛るのさ!」

「思い出すタイミングが遅ぇんだよアホが!!」

 

今までの鬱憤(うっぷん)を晴らすが如く、俺は叫んだ。なーんでこのタイミングで思い出すんだよ。

 

「それは謝るから! 用事思い出したから降ろして~!!」

「あ? 用事ならそこからでも言えるだろ?」

 

俺はインクを睨み付ける。用事なんざ、口から声が出せれば言えるだろ。降ろす理由が分からない。

 

「え~そんなぁ!! せっかくエラーの大好きなチョコレートあげようとしたのに!」

 

これは嘘ではない。ソウルはないけど堂々と言える。これは嘘じゃないよ。エラーはチョコレートが大好きだ。今回の用事は、下手したら殺されかねないので、お供え物(?)になるかとチョコレートを持参してきていた。

 

「……なに? チョコレート?」

 

それまでピリピリしていた空気が、少しだけやわらいだ……のかな? エラーの目が少し変わっているように見える。

 

「そうだよ! チョコレートあげるから降ろしてよ~!!」

 

懇願しながらそう言うと、エラーは無言で降ろしてくれた。白い地面に足がつく。

 

「……ちなみにブランドは?」

 

相変わらずブランドにはこだわる。さすが、毎日チョコレートを食べているだけあるなあ。

 

「ゴデ○バ」

 

僕は懐からあの有名ブランドのチョコレートを取り出す。エラーは無言でひったくって勢いよく開封するなり、食らい付いた。

 

「………………うめぇ」

「うんうん、よかった!」

「タイミングの悪さは異常だが……まあ許してやるか。それで? 用事はなんだよ」

 

有名ブランドのチョコレートをペロリと食べたエラーはゴミをくしゃくしゃと丸めた。その表情は普段のエラーとは違う。こんなの滅多に見れないのに、よっぽどチョコレートがもらえて嬉しかったんだね。

 

「今日はエラーに、愛の言葉を伝えようと思ってね!」

「……前言撤回。やっぱ死刑だ」

 

天使のような表情から一転、鬼のような表情を見せたエラーはまたしても僕を縛ろうとする。……が。

 

「甘いよ!」

 

それをひらりとかわした僕は筆を振るう。紫色のインクが染み込んだ筆を。それはエラーに見事にヒットし、鎖となって彼の体を拘束する。

 

「なっ!? インクてめぇ、何する気だ!」

「さっき言ったじゃん、愛の言葉を伝えるって」

 

背中に筆を直し、エラーを抱き抱えてクッションへ。じたばたと暴れている姿は、なんとなくニンゲンの子供を彷彿とさせる。

 

「クソッ、こんなんになるとか聞いてねぇっての……!」

 

こいつの鎖、厄介すぎる。もがいても外れない。クソッ、マジでこの能力めんどくせぇ!

 

「言ってないし。ほらほら、暴れないでね~」

 

インクが指を鳴らす。乾いた音が辺りに響いた。それに連動するかのように鎖がギリギリと体に食い込む。

 

「い"っ!? いってぇ……!」

 

そのあまりの痛さに、俺の口から言葉にならない声が漏れた。これ以上もがいても無駄な気がして、俺は暴れるのをやめた。……正確に言うと、これ以上締め上げられたら破裂してしまいそうだったからだ。

 

「よしよし、いいこいいこ」

 

こいつ、俺をバカにしてんのか。インクの発言に腹が立ってくる。

 

「で、なんなんだよ……。俺を拘束してまで済ませたいことなのか? 言っとくが『気持ちよくなりたい』とか言い出したら一生恨んでやるからな」

「そんなことはしないって! 愛の言葉を伝えるだけって言ったじゃん」

 

張り付けた笑みを浮かべたインクは俺の耳元(耳がないだろというツッコミはなしだ)に顔を近づける。吐息が聞こえてくる。

 

「Je t’aime de plus profond de mon coeur. 」

「……は?」

 

耳元で囁くかのように言われた言葉。しかし俺にはとても理解できない。なんだって? じゅ……?

 

「お前……今なんて?」

「あれ、フランス語で言ったけど、分からなかった?」

「わかるわけねぇだろ……」

 

最後に語学の本を読んだのはいつだったか……。英語ならまだしもフランス語など分かるわけがない。そういやインクのクリエイターはフランス国籍だったか? 

 

「ん~……エラーなら分かるかと思ったんだけどなあ、残念。じゃあ、英語で言ったら分かる?」

 

インクは俺の目をまっすぐ見ていた。普段の表情とは違う、真剣な顔で。

 

「たぶんな」

 

その真剣な顔は今まで見たことがなくて、少し恥ずかしくなった。頬が熱を持つ。

 

「そっか。わかったよ。じゃあ……」

 

インクはまた、俺の耳元に顔を近づける。

 

「I love you from the bottom of my heart.」

 

妙に艶かしく、そして澄んだような青年の声が、俺の頭蓋骨の中で反響する。I love you from the bottom of my heart……はあ? 冗談だろ?

 

「……分かってくれた?」

「………………」

 

思考がしばらくの間フリーズ。少しほどの時間が経って、ようやく理解することができた。

 

こいつは心から俺のことを愛しているらしい。そう思った瞬間、顔から火が出た。

 

「……エラー?」

「……ねやクソ」

「え? なんか言った?」

 

俺は体に力を込める。砕け散る音と共に、鎖が崩壊した。

 

「タヒねつってんだよクソがああっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「可愛いなあ、照れ隠しってやつ?」

「もう頼むから一生口を開くんじゃねぇよクソ野郎」




お久しぶりです花影です。
インクのクリエイター様がフランス国籍のお方ということを知って作りました。間違ってたらすみません。
そしてお口が悪いエラー様ですが(個人的に)日常茶飯事なので何も問題はありません。
ちなみに 『Je t’aime de tout mon coeur.』は『心から君を愛してる』。『I love you from the bottom of my heart』も同じです。

追記!
UAが2450行きました! pixivから見に来てくださっている方もいらっしゃると存じます。いつも見てくださりありがとうございますヽ(*´^`)ノこれからもよろしくお願いします!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。