【UT_AU】雲外蒼天【短編集】   作:花影

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現代風に仕上げました。後書きが長い長い。


46.彼の好きな人(Dream,Cross) 【作者一周年】

夜の繁華街。外は暑苦しい空気に包まれるものの、人々が行き交う。そんな街に建つ駅のそばの公園で、クロスこと俺はベンチに座っていた。

 

あとどれほど時間がかかりますか?

 

もうすぐで着くよ。

 

スマホの中で行われる会話。相手は、ナイトメアの弟のドリーム。俺のセンパイにあたる人物だ。時刻は七時を回っている。ぐうぅと間抜けな音が鳴り、俺は腹をさすった。……お腹すいた。

 

今日はドリームと二人で出かけるという約束をしている。集合場所は俺がいるこの公園。スマホをポケットにしまって辺りを見渡した。夜というだけあってか、子どもを連れた親の姿はない。目に入るとしたら、手を繋いで仲良く歩くカップルぐらいだ。……なんか、幸せそう。ドリームが見たら喜びそうだな。

 

「お待たせ~」

 

後ろから涼しげな声がかけられ、俺は振り返る。そこには、ドリームが立っていた。シャツとオーバーオールという服装で。俺というと、シャツの上に制服のジャケット、カーゴパンツという緩い(?)格好だ。……センスないとか言わないでくれ。ファッションはわからんから。これでも一応ナイトメアには聞いたけどな……。

 

「待った?」

「今、来たところです」

 

言葉を選びながらそう言うと、ドリームはその口に笑みを浮かべながら、ゆっくりと首をかしげた。

 

「本当なのかな?」

 

その言葉は、俺の言葉を疑問に思っている言葉だった。その目は、俺に真実を聞いている。

 

「……嘘です。十五分前に来ました」

「あーらら、待たせたってことか。ごめんね、電車が遅延してたみたいでさ」

 

ドリームは両手を合わせた。怒る気など微塵もないので、「大丈夫ですよ」と笑う。

 

「そっか、それはよかった。じゃあ、行こっか?」

「そうですね」

 

俺たちは踏み出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうでもいいようなことを駄弁りながら、俺たちがたどり着いたのはとあるレストランだった。受付を済ませ、俺たちは個室へと案内された。注文したものが来て、食事をしていたときのこと。

 

「クロスくんってさ」

 

カレーを食べていたドリームの手が止まり、彼はこちらを見た。

 

「はい、なんでしょうか?」

 

俺はステーキを切っていた手を止める。

 

「好きな人いるの?」

「……えっ?」

 

意外だった。恋愛に興味なさそうなドリームが、いきなり恋愛話に踏み込んだことに。

 

「好きな人……ですか?」

「うん。クロスくん、結構モテモテみたいだしさ。気になる人ぐらいできたのかなって」

 

ドリームはカレーを上品に口に運ぶ。俺は切ったステーキの肉を口に運びながら考えていた。好きな人……。この人生を生きてきて、好きな人などできたことはなかった。告白されたことはあるけれど、『友達のままがいい』という返事しか返してきたことがなかった。

 

「……いませんよ」

「えっ、そうなんだ。てっきりできたかと思ってた」

「できてません」

「そうなんだあ」

「そういうセンパイはいるんですか? ……好きな人」

 

聞かれたならばこっちだって聞いてやる。ドリームは明るくて人当たりもいい。きっとできているんだろうなあ……。

 

「んー……まあ、いるかな」

 

カレーを飲み込みながら、ドリームはそういった。

 

「といっても、相手は気づいてないんだよねぇ」

「どんな人なんですか?」

「とても礼儀正しくて、年下なんだけどとてもかわいい人かな。タコスとかにかぶりついちゃったりとか。目が赤くてきれいで、ついつい見とれちゃう」

 

意外とこの人って、周りを見ているんだな……。

 

「そうなんですね……」

「うん。告白しようかなって思ってるけどその子、けっこう従順な子だからさ……。年上のボクが告白したら、平等な関係になれないんじゃないのかなって」

 

ドリームの目が悲しげに細められた。

 

「意外と難しいものなんだね、恋愛ってさ」

 

恋愛したことない俺に向かって言うことなのかそれは……。軽くドリームを睨んだ俺はあることに気づく。ドリームの言っていた『好きな人』。

 

『とても礼儀正しくて、年下なんだけどとてもかわいいところかな。タコスとかにかぶりついちゃったりとか。目が赤くてきれいで、ついつい見とれちゃう人』

 

目が赤くてきれい……? そういえば、ついこの前、ドリームに言われた気がする……。

 

『クロスくんの目って、片方だけ赤いんだね。とてもきれいだよ、まるで宝石みたい』

 

先ほどドリームが言っていた言葉と、過去に彼が言っていた言葉が一致している……? 目が赤くて、タコスとかにかぶりついちゃう……。……まさか?

 

「あの、センパイの好きな人って……」

 

俺は思わず椅子から立ち上がった。

 

「さあ、誰だろうね」

 

言葉が遮られる。そこには、妖艶な笑みを浮かべたドリームの姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

分かっちゃったかな?




一周年迎えた奴の後書き。

どうも皆様おはこんばんにちわ! 花影です。私がこのサイトで活動を開始してからちょうど一年が経過しました。前の後書きでちょっと触れましたね。『おまけになるかも』みたいなことを言ってましたがそうなるとどうしてもラジオ風になってしまうので諦めてお話にしました。……ちなみに即興で書き上げたお話なんですよ?
間に合うか不安でしたが間に合ってよかったです。一年という短い間、たくさんのお話を書かせていただきました。私の事情を挟んで1ヶ月ほど更新しなかった日や、スランプ状態になって他のサイトに投稿していたこともありましたが、続けることができました! これもすべて皆様のおかげです。コメントしてくださった方、お気に入り登録してくださった方、評価してくださった方にも感謝しております。拙い文章だらけですが、これからもよろしくお願いします!
それでは~。
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