【UT_AU】雲外蒼天【短編集】   作:花影

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06.HAPPYBIRTHDAY!!(メアクロ、ドリクロ)

「あの……まだですか?」

メア「……」

 

返ってきたのは沈黙。黙殺された。俺は小さくため息をつく。

今、俺はナイトメアの部屋にいる。壁側に座って、『その時』が来るのをじっと待っていた。呼び出した本人のナイトメアはベッドの上で腹這いになりながら文庫本を読んでいる。内容は知らないが恐らくろくでもないものだろう(彼が好きなものを考えれば)。

 

メア「今、何時だ?」

 

文庫本から目をそらすことなくナイトメアは質問した。聞くぐらいなら俺の質問に答えて欲しかったものだ。

俺は立ち上がり、時計を見る。

 

「三時前です。おやつの時間になりますけど……いりますか?」

 

基本的に食事やおやつは俺とキラーが担当しているが、ナイトメアは俺が作ったおやつが好きらしく、三時になると毎回呼び出される。

 

メア「何があるんだ?」

 

ナイトメアは文庫本から目を離し、俺に視線を向ける。

 

「プリンとクッキーですけど……プリンは恐らく食べられると思いますよ」

 

脳裏にプリンを口の中に掻き込むホラーの姿が映し出される。彼は八年間なにも食べていなかったらしく、彼がお腹を空かせるとろくなことがない。

 

この前なんか斧を持って、クッキーを頬張っていたマーダーに振り下ろそうとしていた(マーダーの重力操作で止められていたが)。

 

メア「じゃあチョコレート」

 

ナイトメアは片手をこちらに出した。俺もそうだが、どのSansもだいたいはチョコレートが好物だ。困ったときはチョコレートでもあげればどうにかなると俺は勝手に思っている。

 

「持ってきますね」

メア「ドリームの分はなくていいからな」

 

ナイトメアはニヤリと不吉な笑みを浮かべる。

いやそれは駄目でしょ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「失礼します」

 

ノックして扉を開けた瞬間。

 

ドリ「やっほー」

 

妖艶な笑みを浮かべたドリームがこちらに手を降っていた。その傍ら、ナイトメアは嫌そうな顔をしている。ドリームから溢れんばかりのポジティブを感じているのだろう。

 

「どうもこんにちは、ドリーム先輩」

ドリ「こんにちは。ごめんね、ちょっと遅れちゃった」

 

ドリームは自分の頭に手を当ててあざとく「えへっ」と言った。ナイトメアの顔がさらに歪む。

 

メア「……はっきり言って気持ち悪いぞ、ドリーム」

ドリ「えー。ひどーい」

 

仲がいいのか悪いのか。俺は苦笑を浮かべながらも内心、楽しそうだなと思った。ああ、ここに兄弟がいればどんなに_。考えただけで、苦しくなった。深く息を吸って自分を落ち着かせる。

 

メア「クロス、座ったらどうだ」

「あっ、はい。すみません」

 

俺は正座し、おやつを載せたお盆を自分の右側に置く。ベッドの上で腹這いになったままのナイトメアに対して、ドリームは壁際に背を預けている。

 

「ドリーム先輩も、座られたらどうですか」

ドリ「そうさせてもらおうかな。失礼するね」

 

ドリームは壁から離れ、俺の向かい側に座る。俺はお盆をテーブルの上に載せた。

 

「チョコレートです。よろしければどうぞ」

ドリ「美味しそう。ありがとね」

メア「お前にはやらんぞ。全部、俺のチョコレートだ」

ドリ「ケチだね……。せっかく来たんだから食べてもいいでしょ?」

「俺はいりませんから、お二人で分けてくださいね」

 

俺がそう言うと、ナイトメアは嫌そうな顔をした。全部あなたのものじゃないんですから。俺は心の中で呟く。

 

メア「……本題に入るか」

 

ナイトメアは身を起こしてお父さん座りをした。彼の背中から伸びる触手が、お盆のチョコレートを一つ取る。

 

「そうですね。ドリーム先輩にナイトメア先輩、お誕生日おめでとうございます。ささやかなものですが、俺からのプレゼントです」

 

俺は指を鳴らす。乾いた音が部屋に響く。

テーブルの上に、二つの小さなプレゼントボックスが現れた。その一つを手に取り、ドリームに差し出す。

 

「どうぞ」

ドリ「嬉しいな、ありがとね」

 

ドリームはにっこりと笑いながら受け取った。残ったもう一つの箱を手を取り、ナイトメアに差し出す。

 

「先輩も」

メア「……ありがとな」

 

顔を背けながら、彼は自身の触手でそれを受けとる。

 

ドリ「これって今開けていいの?」

「どちらでも構いませんよ」

 

俺がそう言うと、ドリームは「家に帰ったら開けようかな」と呟いて、テーブルの上に置いた。ナイトメアは自身の机の上にぽんと落とす。

 

ドリ「さてと……クロスからプレゼントは貰ったし、ボク『たち』もお礼しなきゃダメだよね?」

 

ドリームはいきなり話題を変えた。その笑み、何故か嫌な予感がする。妖艶な笑みを浮かべ、俺のことが好きというドリームと、同じく俺のことが好きだというナイトメア。ろくな『お礼』だと良いのだが……。

 

メア「お礼か……」

 

ナイトメアはぽつりと呟く。その顔が笑っているのを見て、俺は顔をひきつらせる。

 

「あの……お二人とも、何をなさるおつもりでしょうか?」

ドリ「せっかくプレゼント貰ったし、お礼しなきゃダメかなって。ほら、今日の主役はボクたちだし、いいよね?」

 

ドリームは机から身をのりだし俺の口に自身の細い指を当てた。言葉が溶けていく。

 

メア「お礼って言うけどな……。『願い事』だろ、それ」

ドリ「あれ、バレた?」

 

ドリームは自身の細い指を俺の口から離す。

 

「『願い事』……ですか?」

ドリ「うん、今日の主役はボクたちだし、願い事聞いてほしいなって」

「ちょっとだけ、考える時間をもらってもいいですか?」

ドリ「どうぞー」

 

俺は腕を組んで考える。ドリームが言う『願い事』。それはきっと俺にしか叶えられないものなのだろう。だとしてもそれがどんな願い事なのか、俺には分からない。

 

「……その願い事は聞き入れます。ただし、条件を二つ設けさせていただきます」

メア「条件……か」

「一つ目は、『願い事は一つだけ』。二つ目は『度を越えたものでないこと』です」

ドリ「……いいよ。だけど、願い事はボクたちで話し合っていいかな?」

「いいですよ」

 

契約(?)は成立した。あとは、『願い事』の内容を聞くだけだ。

 

ドリ「それじゃあボクたちで話すから、待っててね」

 

 

 

 

 

 

「……本気ですか?」

ドリ「本気だよ。それに、度を越えてないから大丈夫でしょ?」

「まあ……そうですね」

メア「ま、こいつのファーストが消えるな」

 

ドリームとナイトメアから出された『願い事』。それは、俺が両方にキスすることだった。確かに度を越えてはいないが、俺の心が持つかどうか……。あとはナイトメアの言う通り『ファースト』が消える。

 

メア「俺からでいいんだな?」

ドリ「いいよ。それを上書きするぐらいにしてあげるからね? クロス」

 

ナイトメアはこちらに手首を返す。『来い』と言っているようだ。俺は覚悟を決める。

 

メア「安心しろ。ちゃんと目は瞑っておくから。ドリームも、見たくないならそうしろ」

ドリ「してるよ」

 

ドリームはこの状況が気に入らないのか、少し不機嫌そうな声で言った。それに加え、耳元に手を当てている(骨である俺たちには耳がないはずなのだが)。

 

メア「来いよ、クロス」

「……失礼します」

 

俺は目を閉じたナイトメアの口に自らの口を重ねる。柔らかな感覚。それに反応した俺の体が離れようとする。しかし。

後頭部に感じた感触。離れかけた口と口が再び重なる。

 

「んっ!?」

 

俺の口に、何かがねじ込まれる。それは俺の舌に触れ、とろりと絡まる。体温が馬鹿みたいに上昇していく。

 

「はっ……んんっ……しぇん……ぱっ……」

 

とろりとろりと、それは絡まり続ける。足に力が入らなくなる。呼吸が出来なくなる。苦しい。

 

「はーっ……」

 

不意に口が離され、銀色の糸が俺の口とナイトメアの口を繋ぐ。

 

メア「油断大敵、だぜ?」

「……は、い……」

 

酸素を口で貪り、こくりと頷いた。

 

ドリ「終わった?」

 

ドリームは待ちくたびれたかのように言った。

 

メア「今、終わったところだ」

ドリ「そう。おいで、クロス」

 

自分の番になったことが嬉しいようだ。俺は自分の額に手を当て、火照っていることを理解してしまった。

このままドリームとするしかないのか……。俺はもう一度覚悟を決めてドリームの傍に座る。ドリームは耳から手を離し、挑発的な視線を俺に向けていた。

 

ドリ「ふふっ、照れてるよ?」

 

ドリームは俺の顎に手を当ててクイッと上げる。いわゆる『顎クイ』。

 

「分かって……ます……!」

ドリ「もっと紫色にしてあげる……。さ、ちょうだい?」

 

ドリームはそう言うと、俺の顎から手を離して目を閉じた。恐らく、ナイトメアもそうしているだろう。

さっきのようにならないようにしよう。口をつけようとした瞬間、ドリームが目を開いた。

 

ドリ「メアは目を閉じてたし、開けたままでしてみようか?」

「はっ……え?」

 

あまりにもハードルが高すぎる提案。俺のソウルが馬鹿みたいに脈を打つ。

 

ドリ「いいから、やってみようよ」

 

ドリームは目を開いたまま俺を見る。そんなに見られたら、出来ませんよ……。

 

「……失礼します」

 

もうやるしかない。俺は目を開いたままドリームの口に自らの口を重ねる。

 

ドリ「いい子……。舌、出してね?」

 

ドリームはそう言うと、俺の後頭部に手を回す。言われるがまま、俺は舌を出す。すぐに絡まった。

 

「……んっ! ……はっ……んんっ…」

 

呼吸がきつくなり、視界が徐々に歪み始める。それを気にすることもないのか、ドリームは俺の舌を弄び続ける。

 

「あふっ……しぇん……ぱっ……!」

 

口が離れる。またしても、銀色の糸が繋いだ。酸素を口でむさぼる。

 

ドリ「呼吸を止めたらダメだよ? ちゃんと鼻で息をしなきゃ……」

メア「終わったか。お疲れさん」

 

俺はゆっくりと頷くことしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クロスが上手になったら、もっと出来るよね」

「お前にはさせんからな」

ちなみにプレゼントの中身はペンダントだったそうです。




2021年2月27日(土)
思いっきりつなげました。長くてすみません。
後書き載せておきます(一応)。


ドリームくん、ナイトメア様、誕生日おめでとう!!
年齢は……やめておこう((小声
そう、UAが150突破しました(*’ω’ノノ゙☆パチパチ
皆様、いつも見てくださりありがとうございますm(_ _)m
これからもこの作品をよろしくお願いします。
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