あと、ドリームくんがヤンデレ。
大丈夫なかたはどうぞ。
ぱたりと本を閉じた。僕は目を瞑り深く息を吐く。溜まった疲れが少しだけとれた気がした。目を開ける。
「わぁっ!?」
目の前に、黄色の星が二つ。しかし、それは僕の弟の目だ。それはぱちぱちと瞬きをして、僕から離れる。
いつの間にこんなに近くにいたんだ? 足音など聞こえなかったのだが。
体温がじわじわと上がっていくのを感じる。
ドリ「やっほー」
「なんだ、ドリームか……。いきなり目の前に来ないでよ、びっくりしたじゃんか」
ドリ「えへへ、ごめん。目を閉じてたからてっきりキスしてほしかったのかなって……」
「そんなわけないっ!!」
体温がまた上がり、ソウルが馬鹿みたいに脈を打つ。本を抱き、頬を膨らませるとドリームは笑った。その笑顔はポジティブだからこそ輝くのだろうか。
「……そ、そういえば、お友達はどうしたの?」
やや上ずった声になってしまったが、悪いのはドリームだ。僕は何も悪くない。きっとそうだ。視線がドリームから本に移る。
ドリ「それがさ、最近来てないんだよね。忙しいのか何なのかは知らないけどさ」
ドリームは僕の隣に座る。
ドリ「珍しいね、いきなり聞くなんて。何かあった?」
「別に何もないよ。いないから聞いただけ」
閉じた本を開く。読書が好きなので持ち歩いているが、持っていてよかったと実感する。
ドリ「そっか。ところで、それ読み終わったの?」
「ちょっと前にね」
ドリ「読み聞かせしてほしいなあ」
「えっ?」
僕の口から呆けた声が漏れる。それに対してドリームは太陽のように眩しい笑顔をこちらに向けていた。ついさっき読み終えたこの本だが、ページ数はこの一日で読みきれるものではない。
「えっ、でもこれ、何百ページもあるよ?」
ドリ「大丈夫だよ! ちゃんと聞いておくから!」
元気そうにそういうドリームを横目に、僕はため息をつく。そこまで言うなら仕方ない。何百ページもあるとはいえこれは童話をまとめた本だから、きっと飽きはしないだろう。
「途中で寝ても知らないからね。むかしむかし、あるところに……」
***
ナイトメアってば、何も分かってないんだね。ボクは心の中で笑う。でも、君は何も知らない方がいい。
ナイトメアの言う『お友達』は既にこの世界から、いやこの世にはいない。彼らはみんな、あの世で過ごしている。きっと、どこまでも深い地獄で。
今頃、地獄で泣き叫んでいるだろう。でも、ボクの大事なナイトメアを傷つけた罰。受けて当たり前でしょ?
ボクのナイトメアが虐められていたこと、ボクが気づかないとでも思っていたの?
分厚い本をすらすらと朗読していくナイトメアを、ボクは見つめる。
ボクの大好きなナイトメア。君は、何も知らない方がいい。君を虐めていた奴はもういない。そして、ボクたちは二人きり。
ずっと愛してるよ、ナイトメア。
これからも、一緒にいようね。ボクたち以外誰もいない世界で。
ボクのナイトメアは誰にも傷つけさせない。