【UT_AU】雲外蒼天【短編集】   作:花影

8 / 55
ここのメア様は白の方です。
あと、ドリームくんがヤンデレ。
大丈夫なかたはどうぞ。


08.誰もいない世界で(ドリメア):*

ぱたりと本を閉じた。僕は目を瞑り深く息を吐く。溜まった疲れが少しだけとれた気がした。目を開ける。

 

「わぁっ!?」

 

目の前に、黄色の星が二つ。しかし、それは僕の弟の目だ。それはぱちぱちと瞬きをして、僕から離れる。

いつの間にこんなに近くにいたんだ? 足音など聞こえなかったのだが。

体温がじわじわと上がっていくのを感じる。

 

ドリ「やっほー」

「なんだ、ドリームか……。いきなり目の前に来ないでよ、びっくりしたじゃんか」

ドリ「えへへ、ごめん。目を閉じてたからてっきりキスしてほしかったのかなって……」

「そんなわけないっ!!」

 

体温がまた上がり、ソウルが馬鹿みたいに脈を打つ。本を抱き、頬を膨らませるとドリームは笑った。その笑顔はポジティブだからこそ輝くのだろうか。

 

「……そ、そういえば、お友達はどうしたの?」

 

やや上ずった声になってしまったが、悪いのはドリームだ。僕は何も悪くない。きっとそうだ。視線がドリームから本に移る。

 

ドリ「それがさ、最近来てないんだよね。忙しいのか何なのかは知らないけどさ」

 

ドリームは僕の隣に座る。

 

ドリ「珍しいね、いきなり聞くなんて。何かあった?」

「別に何もないよ。いないから聞いただけ」

 

閉じた本を開く。読書が好きなので持ち歩いているが、持っていてよかったと実感する。

 

ドリ「そっか。ところで、それ読み終わったの?」

「ちょっと前にね」

ドリ「読み聞かせしてほしいなあ」

「えっ?」

 

僕の口から呆けた声が漏れる。それに対してドリームは太陽のように眩しい笑顔をこちらに向けていた。ついさっき読み終えたこの本だが、ページ数はこの一日で読みきれるものではない。

 

「えっ、でもこれ、何百ページもあるよ?」

ドリ「大丈夫だよ! ちゃんと聞いておくから!」

 

元気そうにそういうドリームを横目に、僕はため息をつく。そこまで言うなら仕方ない。何百ページもあるとはいえこれは童話をまとめた本だから、きっと飽きはしないだろう。

 

「途中で寝ても知らないからね。むかしむかし、あるところに……」

 

***

 

ナイトメアってば、何も分かってないんだね。ボクは心の中で笑う。でも、君は何も知らない方がいい。

 

ナイトメアの言う『お友達』は既にこの世界から、いやこの世にはいない。彼らはみんな、あの世で過ごしている。きっと、どこまでも深い地獄で。

 

今頃、地獄で泣き叫んでいるだろう。でも、ボクの大事なナイトメアを傷つけた罰。受けて当たり前でしょ?

ボクのナイトメアが虐められていたこと、ボクが気づかないとでも思っていたの?

 

分厚い本をすらすらと朗読していくナイトメアを、ボクは見つめる。

 

ボクの大好きなナイトメア。君は、何も知らない方がいい。君を虐めていた奴はもういない。そして、ボクたちは二人きり。

 

ずっと愛してるよ、ナイトメア。

 

これからも、一緒にいようね。ボクたち以外誰もいない世界で。

 

 

 

 

 

 

 

ボクのナイトメアは誰にも傷つけさせない。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。