そこまでグロくない。
後半メアメア(多分)
目が覚めた。
「……どこだ、ここ」
辺りは真っ暗で、一筋の光もない。死んだのかと一瞬思ったが、ソウルはちゃんと規則正しく脈を打っている。俺は正座をしていた。
?「起きたんだ」
近くから、声がした。見ると、そこに誰かが立っていた。ドリームのような金色の冠に、紫色の服を身に纏っている。何故か、その姿を見たことがある気がした。
?「ごきげんよう、ナイトメア」
「……なぜ俺の名前を知っている?」
冷たい眼差しが、俺をまっすぐに射止める。その紫色の目。やはり見覚えがある。
?「なぜ? あははっ、笑わせてくれるね。だって、僕も同じ名前だからだよ? 僕も『ナイトメア』だからね」
ナイトメアは胸に手を当てる。相手は自分と同じ名前だった。普通なら驚くだろう。しかし、俺はなんとも思わなかった。疑問が確信に変わっていく。
白メア「ナイトメアとは言っても、僕は君になる前の姿だよ。まあ、そんなのどうでもいいけどさ。本題に入るよ」
そういい終えた途端、ぐさりと何かが俺の腹に刺さる。白い骨だった。そこまでして、俺は両手が拘束されていることを知る。
白メア「返せよ、僕の体」
先程までの穏やかな口調とは一点、白いナイトメアは低く脅すようなトーンで言った。紫色の目は爛々と輝き、本気だということが分かる。
白メア「お前さえ生まれなければ僕は死ぬことなんてなかった。今まで通り生きてたはずだったんだよ。それなのにお前が生まれたから、僕は死ぬことになった。正直言って、意味がわからなかったよ。だからこの機会を窺っていたんだ。お前がここにくる機会を、ね」
白いナイトメアは語るように喋り始めた。俺の腹に刺さった白い骨は、この暗闇に染まることはなかった。じわりじわりと痛みが回り始める。
白メア「準備は整った。返してもらうよ、僕の体」
返す? この俺が、お前に? お前は何を言っているんだ?
そう思っただけで、笑いが込み上げてきた。俺は沸き上がる笑いを抑えきれず、狂ったかのように笑った。
「ふふ、ふははははははははっっっ!!」
白メア「なにが可笑しい?」
笑いがみるみると消えていく。一呼吸整えて、俺は口を開いた。
「なにが『返せよ』だ? 笑わせやがって。あのときに結んだ約束を忘れたのか?」
白メア「約束?」
白いナイトメアは意味が分からないのかおうむ返しをした。
「お前が結んだ約束は、敵対する全てのものから守られるかわりに身体の支配権を渡すこと。それはお前自身の死を意味する。つまり、その約束に同意していなければ俺はこの世界にいない」
白メア「だからなんだ!」
白いナイトメアから、焦りを感じた。俺は渇いた口を舌で舐める。
「約束の内容はちゃんと言われていたはずだ。それに同意したのは誰なんだ? 黒いリンゴを食べたお前しかいないんだよ。身体そのものを受け渡して自ら死んだというのに、返せだなんておかしい話だ。なんだ? それでもまだ食い付くのか?」
嘲笑するしかなかった。馬鹿馬鹿しい。
白メア「僕……は……」
両手の拘束が解けたと同時に、白いナイトメアは糸が切れた操り人形のように崩れ落ち、ぺたんと座り込んだ。俺は腹に刺さった骨を抜いて立ち上がり、彼のそばにひざまずく。
「解放されたかったんだろ。だからこそ、お前はあの黒いリンゴを食べたんじゃないのか。駄目だと分かっていても」
白メア「……だって、そうでもしなかったら……」
白いナイトメアはわなわなと口を震わせる。
「……残念ながら過去のことはもう変えられようがないんだよ。お前が死んだのは事実だし、俺がここにいるのも事実だ。そこだけは受け入れろ」
すすり泣く声が聞こえてきた。
「……もうお休みの時間だ。疲れただろ、ゆっくり休め」
俺は俯く白いナイトメアをそっと抱く。もう彼は死んでいるはずなのに、少し暖かった。
白メア「ごめん……もう一人の……僕……」
「別にいい。あとは俺に任せろ。お前の分まで生きてやるから」
白いナイトメアはそれを聞いて納得したのか穏やかな笑みを浮かべた。その目がだんだんと下がっていく。やがて、彼は俺に抱かれながら目を閉じた。
俺は静かに、白いナイトメアを下ろした。指をぱちんと鳴らし、紫色の毛布を出して彼の体にかける。
「お休み。よい夢を」
俺は身を翻した。
せめて最後にドリームに会いたかった……
最近メアメアが尊いと思っております、はたまです。
白メア様の納得やら言葉を失うのが早すぎるなあという反省点……。
思い付きませんでした((ちゃんと考えて、どうぞ
ネタが尽きかけてきたので活動報告でリクエストを募集することにしました。
目次に載せてますのでリクエストがある方はどうぞ。
お待ちしております。