超々々巨大戦艦グレードアトラスターⅡ世   作:スカイキッド

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グレードアトラスターⅡ世の最後

 

 グラ・バルカス連合艦隊は日本を目指し海上を高速で突き進んでいた。超々々巨大戦艦1隻、戦艦9隻、空母10隻、巡洋艦30隻、駆逐艦331隻、その他艦艇多数の400隻以上の大艦隊。

 

 本来なら1000隻以上派遣できたろうが、超々々巨大戦艦――グレードアトラスターⅡ世の建造で開戦前から資材が取られまくっていたので、用意できたのは400隻とちょっとである。

 

 それでもこの世界では十分な大戦力に間違いないこの艦隊は、日本への懲罰のため洋上をまっすぐ突き進み続けた。だが当然ながら日本――自衛隊の迎撃を彼らは受けることとなる。

 

 艦隊がロデニウス大陸沖に近づいた時点でナハナート、アルタラス、シオスから大挙出撃した自衛隊のF-2、BP-3C、P-1が低空飛行で空対艦誘導弾を大量発射、全力攻撃を開始した。

 

「巡洋艦テラバーカ、駆逐艦カロン轟沈!」

「味方の船がまたやられた!」

「信じられん。艦隊が沈んでいく」

「敵のロケット弾は百発百中だぞ!」

 

 200や300を越える対艦誘導弾がグラ・バルカス艦隊へと大挙して飛来し、被弾した駆逐艦、巡洋艦、空母、戦艦などなど全ての艦がその猛攻の前に等しく沈められていった。

 

 駆逐艦が一瞬で爆沈、巡洋艦が爆発を横殴りに受けて横転し、空母が格納庫から火を噴きつつ爆発炎上、戦艦の上部構造物がミサイルの連続着弾でスクラップと化した。

 

 この自衛隊による第一波ミサイル攻撃でグラ・バルカス艦隊は大半の艦を落伍させることとなり、間を空けず行われた第二波攻撃で艦隊陣形は完全に崩壊した。

 

 ――ただ1隻を除いて。

 

「敵艦、1隻が健在の模様です」

「何なんだ? あの戦艦は」

「ミサイルが効いてない、硬すぎるぞ!」

 

 超々々巨大戦艦グレードアトラスターⅡ世は多数の対艦誘導弾の被弾を受けたにも関わらず、依然として航行を続けていた。

 

 流石は20万トン級の巨艦、レーダー反射面積(RCS)がデカすぎて十発以上の対艦ミサイルの直撃を受けたにも関わらず全然無事である。

 

 元々が巨艦であるのと、現代の非装甲艦を目標として想定した対艦ミサイルの榴弾の弾頭では小さな被害を与えるのがせいぜいだった。

 

 これに驚いた自衛隊の司令部要員は第三波ミサイル攻撃の施行を決定、補給作業が整った後にF-2、BP-3C、P-1による対艦ミサイルの再攻撃を実施させることとなった。

 

 たった1隻の戦艦に300発以上の対艦ミサイルが発射されるという前代未聞の攻撃が行われ、ごく少数が機械製品特有の欠陥で外れたものの、ほとんど全てが命中した。

 

 300発以上の被弾を受けたグレードアトラスターⅡ世は巨大な炎と爆煙に包まれる。普通なら絶対にどんな艦でも沈めてしまうほどの集中攻撃は、しかしその戦艦には効かなかった。

 

 グレードアトラスターⅡ世は甲板上に少しの火災の黒煙を立ち上らせ、また上部構造物の何割かが叩き潰されていたが、それを無視するかのように航行を続けていた。

 

「誘導弾の大半が命中、しかし依然として目標は健在の模様」

「バケモノめ!」

「300発の対艦ミサイルを受けて未だ沈む気配を見せないとは……」

 

 対艦ミサイルを300発以上受けても沈まない艦なんて聞いたことがないぞ、どんだけ撃ったらあのバケモノ戦艦は沈むんだ、と思いつつも自衛隊の司令部要員は攻撃続行を命じた。

 

 空対艦誘導弾による第4、第5、第6波攻撃はもちろんのこと、LJDAM等の誘導爆弾による攻撃やBP-3Cの水平絨毯爆撃による攻撃まで、あらゆる攻撃がグレードアトラスターⅡ世に施行された。

 

 なのに沈まない。

 

 さらには神聖ミリシアル帝国から増援として派遣されてきた空中戦艦パル・キマイラ2号機が砲撃と大型爆弾ジビル1発の投下に成功したものの、それでも沈まない。

 

 むしろパル・キマイラ2号機はグレードアトラスターⅡ世の副砲から放たれた20.3cm徹甲弾が偶然命中、機体の一部が削り取られるほどのダメージを受けてなくなく退場となった。

 

 あれだけの巨体なので船体各所に予備の射撃照準装置を多数備えてるらしい、ジビルすらぶち込まれても問題なく空中の目標射撃できる能力を備えているようだ。

 

 沈むことなく未だに健在のまま航行するバケモノ戦艦を前に、一部の自衛隊員が某ハリウッド映画の「戦艦が簡単に沈むか!」というセリフを思い浮かべる。それと共に彼らは恐怖を抱いた。

 

 この戦艦をどうやって沈めればいいのか?

 

 そもそも沈められるのか?

 

 いや、そもそもあれは戦艦なのか?

 

 自分たちは一体何と戦っているのか――?

 

 ナハナートまで150kmに近づいたそのとき、グレードアトラスターⅡ世の直下から巨大な水柱が何本も湧き上がり、直後にグレードアトラスターⅡ世の行き足が止まった。

 

「敵艦、止まりました!」

 

 海自潜水艦による長魚雷の攻撃に違いない。スクリューか機関室をやられたのか、今までに1500発近い命中弾を受けていながら平然としていたバケモノ戦艦もついに停止したようだ。

 

 1500発と言っても、対艦ミサイルだけで700発以上、誘導爆弾と無誘導爆弾あわせて800発近い被弾であり、生半可な戦艦であれば100回は沈んでるはずの攻撃なのである。

 

 対艦誘導弾が切れると、無誘導爆弾搭載のF-15Jでの急降下爆撃やBP-3Cでの水平爆撃、さらにC-130Rで敵戦艦の直前へ機雷を敷設投下するというメチャクチャな攻撃をしまくった。

 

 なのに、その戦艦は上部構造物は主副砲塔と煙突と艦橋以外が完全に叩き潰されただけでそのまま航行を続けるとは、一体どうなっているのだろうか。まさしくバケモノだ。

 

「……とりあえず臨検しよう」

 

 いずれにせよ魚雷攻撃で行き足が止まり、そればかりか完全に沈黙したようなので、降伏を促しつつ護衛艦が接近、降伏を受け入れれば護衛艦から立ち入り検査部隊を座乗させることとなった。

 

 海自第4護衛隊群の護衛艦8隻が全く動こうとしないグレードアトラスターⅡ世に近づき、両者の距離が30kmを切った。次の瞬間、グレードアトラスターⅡ世の51cm主砲塔が旋回を始めた。

 

「敵艦の主砲が旋回してます!」

「何っ!? 回避だ!」

 

 次の瞬間グレードアトラスターⅡ世の51cm主砲が発砲、数十秒後には46cm砲のそれを上回る巨大な水柱が立ち上り、海自護衛艦側には被害こそなかったが彼らを驚愕させた。

 

「反撃だ! 対艦ミサイル発射!」

 

 海自護衛艦がグレードアトラスターⅡ世に向けて艦対艦ミサイル56発を発射、また海中の海自潜水艦もグレードアトラスターⅡ世の発砲を確認すると、長魚雷を再び放つ。

 

 再び爆発と水柱に包まれるグレードアトラスターⅡ世、しかしその中からまるで何もなかったかのように51cm砲弾を放ってくる。もちろん護衛艦にはほとんど当たらない。

 

 護衛艦8隻は127mm速射砲での反撃を行いつつもすぐさま退避に転じ、また自衛隊も護衛艦の撤退援護のために第7波目となる航空攻撃を開始、大量の爆弾の雨を戦艦の頭上に降らせた。

 

 グレードアトラスターⅡ世は未だ戦闘可能とは言え完全に行き足が止まったので、自衛隊側の爆弾の命中率が遥かに高く向上しより多くの爆弾を食らう事となる。

 

 また、先ほど途中退場したはずのパル・キマイラ2号機が舞い戻ってきて再びジビルを投下、完全破壊にこそいかなかったがかなりのダメージを与えることに成功した。

 

 やがて護衛艦8隻は51cm砲の射程圏外にまで退避することに成功し、F-2、F-15J、BP-3C、P-1、パル・キマイラによる連続した航空攻撃により、グレードアトラスターⅡ世に破局が訪れた。

 

 ついにグレードアトラスターⅡ世の主砲弾火薬庫が引火し、何千トンもある巨大な主砲塔が爆発に持ち上げられた。

 

 遅れてキノコ雲が生じるほどの巨大な爆発が発生し、20万トンにもなるグレードアトラスターⅡ世の船体が真っ二つにへし折れた。

 

 グラ・バルカス帝国史上最大となる超々々巨大戦艦グレードアトラスターⅡ世は、初の実戦参加で戦没することとなった。

 




 
こんな訳の分からない小説を拝読いただきありがとうございます
自分でも訳が分かってません()

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