アークナイツRTAトロフィー『消えゆくヒカリ』取得ルート   作:イカ墨リゾット

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ちょっと構成練るのに時間が掛かったので初投稿です。結構遅かったんちゃう?

……W姉貴のスキル3が気持ち良いのが悪い(責任転嫁)


元気になってもらいたくて

ドクターは直ぐに体を起こして後ろに飛び下がり、目の前の子供から距離を取った。

 

心臓が早鐘を打つ。当然だ。何故なら、あの子供はただの子供じゃない。優秀な近衛局の兵士であるホシグマに打ち勝ち、更に鉱石病に感染させたレユニオンの幹部なのだから。

ボロボロの制服から見え隠れする、極東が発祥と言われている鋭利な刃。数秒後には、それで首を切断される自身の姿をありありと想像出来た。

まだやらなければいけない事が沢山残っている。ロドスの運営だってそうだし、これ以上アーミヤを悲しませたくない。ドクターは神に祈った。

 

件の子供、カイキは上半身を起こし、暫くの間キョロキョロしていたかと思うと、此方を認識して硬直した。どうやら、彼にとってもこの事態は予想外だったらしい。

しかし、次の瞬間にはその右手に刀を握って、ドクターを睨み付けていた。今まで幾度も受けてきた筈の、全身に突き刺さる殺意。だが、カイキから発せられる殺意はどす黒く、粘着質であった。まるで、長年の怨敵を見つけた復讐者の様な。

 

殺される。ドクターはそう思ったが、カイキは突如として地面に座り込んでしまう。

それっぽく頭を抱え、時折唸り声が聞こえる事から、何か悩んでいるのだと理解出来る。

となると、私を殺すか否かで悩んでいるのだろうか。もしかしたら、どんな風に殺すかを考えているのかもしれない。

ドクターには武術の心得も無ければ、何かしらのアーツが使える訳でも無い。襲い掛かられれば、全力の抵抗も虚しく殺されるだろう。よって、ドクターがすべき事は時間稼ぎである。

オペレーター達が助けてくれるのを信じて、目の前の怪物を刺激させないように耐えるべきだ。ロドスでも飛び抜けて優秀な彼の頭は、そう決断を下した。

 

ならば、まずは話しかけてみよう。龍門のスラムと、龍門周辺の採掘場で敵対しただけであるが、それでもドクターなら十分なコミュニケーションを取る事が出来た。

 

「さっきから何を悩んでいるんだ?」

 

意を決して話し掛ける。カイキはその言葉に反応して顔を上げ、濁った眼差しでドクターを見つめる。バイザー越しだと言うのに、ドクターは彼と目が合った。

カイキは少しだけ首を傾げ、そして答えた。

 

「貴方を殺していいかダメか考えてます。」

 

やけに丁寧な口調で言葉を発した。今の言葉で、自身の命は既に彼の手中に収まっていると改めて認識したが、彼は『いいか』『ダメか』で考えていると言った。はいかYESじゃ無かっただけマシである。

そして次に、何故直ぐに殺そうとしないのかを尋ねてみた。返ってきた答えは意外だった。

 

「貴方は、みんなに愛されてる。でも、僕は、ううん、僕達は貴方が邪魔なんです。だから……殺したいし、殺したく無い。」

 

こんな見た目をしていても、彼もちゃんとした人間だった。ドクターは彼の評価を訂正した。理性無く暴れる獣では無く、ちゃんと考える事を知っていると。

彼は更に言葉を続けた。

 

「今、貴方を殺せばレユニオンが行動しやすくなる。でも、逆襲が怖いです。僕は、その、何て言うか、ゆ、ゆ………。」

 

「……優柔不断?」

 

「あっ!それです。優柔不断です。だから、1人じゃ分からないです。」

 

あ、あまり頭は良く無いんだな。ドクターは理解した。

しかし、考えれば分かる事だ。ケルシーから聞かされた、彼の過去の話。そして、恐らく今の会話で笑顔になった筈なのに、全く笑っていない目。戦場での常軌を逸した行為。

まともな教育を受けてこれなかったのだろう。身に付いているのは、如何に敵を圧倒するか。そんな荒々しい殺人術。

 

敵相手にあそこまで丁寧に話す事だってそうだ。尊厳を無視し、自身の体を弄くり回す狂った研究者達。抵抗すれば、一体どれ程の苦痛を受けるか分からない。だから、そうせざるを得なかったのだろう。

 

知れば知るほど哀れな存在である。彼はもう人間と呼んでいい生物では無い。ライン生命は何をするつもりだったのか。最悪のビジョンを振り払った。

今度は提案を持ち掛けた。もし良かったら、ロドスに来ないか。そうすれば、レユニオンとの争いを止めるきっかけにもなるかも知れないと。

 

「……ダメです。ムリなんです。僕がそこにいたら、色々と悪いですし、信じられないです。また、やられたら……。」

 

「……僕が出会ったのはレユニオンです。貴方達じゃありません。もし最初に会えたのなら、それは良かったです。でも、僕はレユニオンに会って、知りました。感染者の痛みを。だから、レユニオンに着いて行きます。」

 

言い終えた彼は、手に持った刀で遊び始めた。それがどうしようもなく寂しく見えて、ドクターは言った。

 

「イフリータも、サイレンスも、サリアにメイヤー、マゼランだって会いたがってる。顔を、見せてあげられないかな?」

 

目の色こそ変わらないが、彼は目を見開いた。まさに予想外と言った顔だ。

 

「え、いるの……いるん、ですか。」

 

「うん。いるよ。君に会いたがってる。」

 

「……元気、ですか?」

 

「……ちょっと元気とは言えないかな。」

 

ちょっとどころでは無い。1番元気なのはサリアで、彼女は一度カイキと話をしたいと言っていた。そして、1番元気が無いのはフィリオプシスである。相変わらずの無表情だが、目元の濃い隈を見れば、誰にだって分かるだろう。それほど精神的に追い込まれているのだ。

 

「……みんなに、優しくしてくれてありがとうって、僕は怒ってないよって、伝えてくれますか?」

 

カイキは仮面を外して、目を瞑り、精一杯の笑顔を作って見せた。心なしか、見覚えのある顔だ。

 

誰も救われない。ありきたりだが、その分、全くもって胸糞悪い話である。

 





あくまで外見的に元気かどうかであって、内面まで元気かどうかはドクターは知らない。

ボカロを参考に小説を書くのはOK?

  • 構わん。書け(寛大)
  • 他人の作品参考にしなきゃ書けねぇのかクズ
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