娘が悲劇の悪役令嬢だったので現代知識で斜め上に頑張るしかない   作:丹波の黒豆

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7)機械化の鼓動2

 と、いうわけで重力機関を発見した俺はセバスさんにあれこれ相談して後日。

 自宅内の自分用の研究室、色んな絡繰りやら薬品やらが棚に仕舞われ、真中に大きな作業台が鎮座するちょっと怪しいその部屋に、専門家を呼び重力機関の本格的な調査に取り掛かった。

 

「よぉジル。頼まれてた馬車模型の改造品。

 持ってきたぞ、ホレ」

「公爵様、もう動力パーツも加工済みですわ」

「お、サンクス親方、イルマ君。

 早速実験しようじゃないか」

 

 メンバーは俺、件の凄腕職人・ちょび髭な小さいおっさんこと、ドワーフの親方。

 そして元伯爵令嬢の白衣が似合う錬金術師、()()()()()の、薄紫のセミロング美女イルマ君の3人である。

 

 ……実はこの時、ちょっと前から脳内経験が『効率悪いから他人に任せろ』とうるさかったので、その機能ごとオフにして喋りとか色々が素の俺に戻っていたりする。

 科学的なあれコレを喋る時は言語変換って邪魔になるし。

 

『流石にこんな面白そうな実験、他に絶対譲れんよ』

 

 この日の俺はいつも着ている濃紫の魔王風マントも脱いで威厳も感じられない白衣姿だ。邪魔な長すぎる髪の毛も後ろで縛って準備万端。やっぱこういう一研究者って感じの格好が一番だよな。

 

 そんな時よ。親方が目ざとくイルマ君の首に付いてる、奴隷化の魔道具である黒い首輪を見つけてな。

 

「しっかしジルよ。オメェ奥さん一筋かと思ったらこんなボインボインの別嬪さん奴隷にしとるとか。……中々の甲斐性じゃねぇか。よっ、この淫蕩公爵!」

 

 この親父、軽い挨拶代わりにとんでもない事言いだした。まぁそういう貴族は多いし、この人も確かに、その手の裏オークションで取引されてたけど。

 こちとら至って健全な関係だわい。

 

「……何想像してんだ糞ジジィ。

 イルマ君はこう見えて錬金術のエキスパートだぞ。ウチの機密情報扱って貰うからまだ奴隷なだけで、ちゃんと直臣扱いだわ。

 やましい関係じゃねーから。な、イルマ君?」

 

 この奴隷の首輪って貴族社会じゃ一般的なアイテムで、付けると主人の命令に逆らえなくなって、抗い続けると命を奪うってヤバ過ぎる代物なんだけど。

 

 これが情報保持にはすごぶる有効でな。

 

 流石に他所様みたいに身内の従者や部下にコイツをほいほい使うなんて、娘の教育に悪くて出来ないから、となると奴隷一択になるわけで。

 

 そうすると魔力持ちなんかは他家に子を売る貴族とかから買うしかなくて。しかも男尊女卑の世の中じゃ、専門知識を持った男なんてほぼ売りに出されないから。

 

 犯罪奴隷以外なら実質女性以外選べんのよね。

 

 そんな人達にちゃんと確認して協力得てるから、ウチには至ってクリーンな名前だけ奴隷しかいないって。

 本人のやる気がないと技術開発とか出来ないし。

 

「と、被告はこう申しとるんじゃが。

 どうよ嬢ちゃん?」

「はい。私は公爵様に救われた時から、身も心も、魂さえも公爵様に捧げていますわ……」

「ちょっ、言い方ぁっ!」

 

 しかしそんな俺に、このクール系美人さんがなんだかうっとりした表情で投げつける爆弾発言よ。

 衝撃、裏切りのイルマ君!

 言ってる事は忠誠心に溢れてるのに、矛盾が酷い。

 

「くく、こりゃ有罪じゃなジルよ?」

「……冤罪なんだよなぁ」

 

 同世代の女性から放たれた、無下に否定も出来ない言葉の罠に、どうにも頭を抱えていると。

 

「のぅ、最近のジルはからかうと面白んじゃ」

「ふふ、公爵様はとても気さくなお方ですから」

 

 肩を震わして笑う二人の声が聞こえてきた訳で。

 ほぼ初対面の筈の2人の息がどうにもピッタリだったんで、思わず疑問がそのまま口からこぼれた。

 

「君たち、……仲いいね?」

「いやぁ、この模型馬車拵える時に一緒に組んでの。ええ腕しとるよこの嬢ちゃん」

「互いの仕事を称え合った仲ですよ公爵様」

 

 なるほど、互いの仕事を認め合って早速仲良くなってくれていたと。

 一流の技術者同士、そこは流石と褒めておきたい。

 でもその後一緒になって俺をからかう必要、あるんですかね?

 

 訴訟!

 とりあえず俺は首謀者であるちょび髭クソ親父に報復する為、即座に一方的なポケ◯ンバトルを仕掛けてやる事にした。

 

「あ、そう。

 ……とりあえずイルマ君、親方に往復ビンタだ」

「はい公爵様!」

「躊躇なしかよ、このアマぁ!」

 

 こうかはばつぐんだ。

 

 この様にこの世界の奴隷とは、主人に絶対忠実な存在である。……まぁ今の別に首輪による命令じゃないけどな。守秘義務以外にあんな非道なモノ使いませんし。

 

 見事にノってくれた彼女を讃えて、ハイタッチ。

 

 ウチはそんなアットホームな職場です。

 

 ……。

 

 挨拶代わりの騒動も終わり、この技術バカ3人で本題に取り掛かる。

 

 目の前には作業台の上に置かれた木製の模型馬車。

 親方が既に重力機関を内蔵済で、それをイルマ君が魔道具化してくれた逸品だ。

 

 ……実はあの後、早速車輪を使って実験しようと思ったんだけど、重力機関化して横に転がりだした車輪に上手く魔力が定着できなくて困ってしまってな。

 

 セバスさんに相談したら、自分以外の何かの一部に魔法をかける技術って高等技術であるらしく、

 そこで魔道具作成の専門家、錬金術師のイルマ君に頼る事になった訳だ。

 

『で、その重力機関』

 

 木製の模型馬車の後輪近くに、太巻の様に横に長い円柱の重しとして搭載されている。

 

 この円柱重しを挟むように魔法陣の描かれた円盤が2つ置かれており、そこに魔力線から魔法を通すと、決められた場所にだけ重量魔法がかかる仕組みで。

 

 その横のメイン歯車が後輪の車軸歯車に力を伝え、車輪を回転させる構造だ。

 

 この機関で車両がどういう動きをするか、大まかに知ることが今回の目的と言うことになるんだが。

 

「しかし、……結構重いなこの馬車」

「そらオメェが指定した5kgの馬車に、4kgの鉛仕込めば重たくなるわ」

 

 重力の魔石による重力操作は2割の増減しか出来ない為に、出だしから豪快極まりない事になっていた。

 

 初期重さは必須事項なのよね、この動力。 

 その実力を知る為に実験スタート。

 まず魔石での重力操作から試す。

 ざっと2kg×1.2−2kg÷0.8の800gが初動力となる。

 

「動い、てるか?」

「動、いていますわ公爵様」

 

 機関に4kg重しを使っても、その動きはカタツムリの様に遅かった。

 まぁ車両の重量9㎏を動かせただけで上等かな。

 流石は単純重さ動力。

 

 しかしクラッチ代わりに、持ち上げて空転させても加速が緩い。

 

 とりあえず重力の魔石そのまま使って動かす方法は無さげだな。保留!

 

 次は魔法で重力操作を試す。

 騎士達の最低ラインの重力2倍と無重力。

 4kgが初動力となる。

 

「うぉっ、こりゃあ目に見えて動くのう!」

「ええ、いきなり元気になりましたね!」

 

 これはもうスイスイ進んでいくわけで。

 800gで拮抗していた力が、5倍になって一気に機関に傾いた。

 

 しかし一度加速しだすとこの機関。

 その制御が難しい。

 

 重力加速度×現在重力×質量で速度が増える、まさに横に落ちる問題児なので、作業机なんてあっという間に振り切って、空中に飛び出した。

 

「オイ、ジル!」

「あ、やべ。無重力化!」

 

 咄嗟に便利な無重力魔法で落下を阻止し、ひとまず3人で安堵したその時。

 

 不思議な事が起こった。

 

「……なぁジル、コイツ今無重力状態じゃろ。なんで中の機関が作動しとるんじゃ」

「重さに差がないなら、……回転しない筈ですよね重力機関?」

 

 空中に浮いたまま。

 動かない筈の機関が回転を続けていたのだ。

 

「「「はぁ!?」」」

 

 そりゃあしばらく混乱の極みでしたわ。

 技術者3人でとりあえず大騒ぎしてみるも、そこはみんな技術者で、目の前で起こった事をすぐ受け入れて実験再開。

 

 試しに手のひらに車両を押し付けて回転を確認すると、無重力の中、勢いよく空を駆け出す馬車模型。

 

 な、中の動力完全に生きとる!

 

「じ、重力魔法、……中は別処理ですね、コレ」

「外側にしか影響せん、つーことか」

「……色々重さの問題が全部、吹っ飛ばせるな」

 

「「「最高かよ」」」

 

 人間あんな悪い顔出来るって初めて知ったわ。

 

 多分、高重力による内臓破壊とかぶっ壊れだから、そのバランス調整でこの鬱ゲーのふざけた製作者達が仕込んだルールの1つなんだろうそれは。

 

 俺にとって最高のプレゼントだった。

 

 まぁあのゲームには、魔法と科学混ぜるようなヤツはいなかったしな。……そこはちゃんと乙女ゲーだったって事だろう。

 

 なんでも調べて利用しようとする。

 科学者って人種の事が抜けてんだ、この世界。

 

 当然、そんな好奇心の塊の俺達は、その逆だって知りたくなるわけで。

 アイコンタクトで、全員が動いた。

 

「親方、箱と中身!」

「おう、魔力線処理終わりだわ!」

「イルマ君、魔法陣!」

「ええ、中の重りに予備のものを貼り付けました」

 

「ジル!」&「公爵様!」

「重力増加20倍! そしてもいっちょ20倍!」

 

 ミシぃ!

 

 うん。

 箱の重さでもう机が悲鳴上げてる時点で、察した。

 ……持ち上げようとも、動かない。

 

 中身が1kgとしてその20倍の20倍。

 コレ、400kgオーバーの風格ですわ。

 

「乗算だ、コレ!」

 

 あまりの発見に3人で見つめ合い。 

 その後めっちゃ実験した。

 

 そして分かった事は次の3つだ。

 ①魔法を重ねるためには、

  外側に箱や袋、車体など、

  閉じられた空間が必要になる。

 ②中身は別物で、外側の重力倍率で乗算される。

 ③最終的な重力は一番外側にかけた魔法に依存。

 

 それが分かれば後は簡単。

 専門家達の腕が唸った。

 

 親方が歯車内の外周に小分けした重しを詰めて、その1つ1つを何層もの皮で包み込み、その一層毎に魔力線を繋げた上で、魔力伝達をそれぞれの重しに行う仕組みを作り。

 

 イルマ君がその歯車の横においた魔法陣から、各魔力線をアンテナとして重力魔法を飛ばせる仕組みを作り上げると、改良型の新型機関が出来上がったのだ。

 

『その名も重力を重ねるから重重力機関』

 

 こいつは元の重力機関とは訳が違う。

 

 最終的に30層に仕上げられた各1kgの仕込み重りは、それが例え重力の魔石からの使用でも1.2の30乗。

 片側8個でなんと1800㎏オーバーの化け物だ。

 

 もう片側は減らさなくとも8kgなので誤差の範囲。

 魔力に優しい片側運転が可能になった。

 

 もちろんコスパ面から重力機関の研究も続けるが。

 そんな便利でパワフルな動力が出来ればさ。

 

「親方、もう変速は機関力のみでいく。

 初期をローギアでぶっ込んで、回転で誤魔化すぞ」

「了解じゃ。リミッターは嬢ちゃん任せよ」

 

「ええ。小さなゴーレムで時間毎の回転数を測って、魔力を絞っていけば大丈夫そうですわ」

「え、何それ凄え」

「ふふ、錬金術で作る魔法の召使いですわ。複雑な事は出来ませんが頑丈で便利です」

「ほっほぅ。その技術、後で詳しくイルマ君」

 

「おう。ならこのジル提案のディスククラッチ。

 ゴーレムに任せられるんじゃねぇか?」

「……円形バネの変形力を利用して、円盤を制御して空転を生み出す装置。ああ、小さなアイアンゴーレムの腕を多量に使えば行けそうですね」

「凄えなゴーレム。生きたバネかよ」

 

「後はブレーキ回りじゃの」

「重力変化による重さブレーキも活用するが、もう別に機関積んで押し付けブレーキの代わりにさせよう。

 技術不足は力技でカバーよ」

「サブ機関による対応のう。

 よしよし。ほんなら増産じゃ。…技術的にまだ秘匿せんとならんのが辛いトコじゃなぁ」

「そうですね……」

 

「いやいや。この歯車の組み立てなんて、単純行程に分解できるから、ゴーレムの出番だろイルマ君」

「あっ、そうですね! ああ、なんて事でしょう」

 

「くく、楽しくなって来おったわ。ならボディは石材使おうやジル。土魔法で操るならスグじゃぞスグ」

「いや、それ絶対折れるだろ。強度的に不安だがまだ木材でいった方がいいんじゃね。外注利くし。

 鉄の量がないのが辛いわ」

「では木材に土魔法を使って石を纏わせては?」

 

「「それだ!」」

 

「あとは各部の摩擦熱だな。潤滑油も使うがこのままじゃあ、きっと火ぃ吹くぞ」

「でしたら火の魔石を使って熱を軽減させましょう。温度変化への対抗魔法が組み込めますよ」

「いいや、それより上位の熱の魔石を使おうや。

 儂が地元の熱の国から取り寄せたるわい。だったらこの発熱をそのまま魔力に変えられるじゃろ」

 

「そりゃすげぇ。イルマ君、その分の魔力って内部のゴーレム操作なんかに使えるかね?」

「もちろんですわ!」

 

「後、武装が欲しいな。量産出来たら早速騎士たちに使って欲しいし」

「では熱の魔石に貯まった魔力で、熱線魔法を使えるようにしましょうか?」

 

「そいつは派手だな。採用!

 ……じゃあさ。車外に風の魔石を取り付けて、遠くに言葉飛ばす魔法とか組み込めるかな」

「なるほど。……車体速度の風圧を利用して魔力回復出来ますし、とても有効ですね!」

 

「おお、ええのう。じゃあ儂はアレじゃな。

 バリスタじゃ。城塞用の3人巻きのエグい奴。アレをこの動力で回したら連射もできるえげつない兵器よ。改良するだけじゃから仕事も楽じゃぞ」

 

「いいねぇ」「いいですね」

 

「「「じゃあ作りますか!」」」

 

 ……技術者なんてもう止まらない訳ですよ。

 

 

 そして着想から僅か一ヶ月強。

 

 親方が徹夜し続け、さらにその弟子が巻き込まれ、そこから多くの職人達に広がって、その犠牲者を増やし続けた事でとりあえず完成した試作機がコイツ。

 

『巨大バリスタ搭載・8輪石材装甲車』

 

 である。そのスペックは。

 

 リミッターを時速60kmと150kmに置く、石づくりのモンスターマシンと言う他ない。

 

 その速度制御は完全に重重力機関の出力変更で行われ、内部ゴーレムによるサポートが実質の変速機。

 

 もちろんそのリミッターを解除すれば、重力加速度に従っていくらでも速度が上がる問題児なので、横に落下したくなければ絶対外せない代物だ。

 

 方向変換は動力車輪である後輪の両側に付いたゴーレムクラッチを、どちらか切り離す事で行われる戦車式。石材使うと重さの問題で八輪となり、こうするのが簡単だった。

 

 メイン動力を後ろ四輪に繋げているので、どれかの車輪がイカれてもすぐに止まらない戦闘仕様となっている。

 

 そのメイン武装は頭の上の毎秒1発射を可能とした巨大な自動巻き上げ式城塞用バリスタ。

 熱の魔力が貯れば制圧用の熱魔法レーザーも放てるロマン仕様で、なんと30m内にいる相手との風魔法を使った通信システムまで完備している。

 

 そんな兵器を魔力なしなら1日5時間。

 重力騎士なら12時間。

 

 使用出来るだけの魔石を積んだ、頼もしい戦闘特化車両に仕上がった。

 

 そんな数々の魔法と妥協で足りない技術を補って作り上げた車なんだが。

 

 その反面、安全面の考慮や乗り心地がしっかり犠牲になっており、速度計すらないコイツはまだまだ試作の域を出てない。

 

 ……正直、色々と試作試験すら終わってないし。

 一応秘密裏に、特に忠誠度の高い騎士達に声を掛け乗車訓練を行わせてたけど、訓練時間が全然足らん。

 車両数もまだ6両だけだし。

 

 整備が出来るのも、直属の技術奴隷数人のみだ。

 

『それでもチャンスってヤツは、

 何時だって待ってくれないからさ』

 

 俺はコイツで、地の領主からソレを勝ち取る。

 それにはとにかく、インパクトだろ?

 

 だから俺は、もう一枚の切り札を切っていく。

 

 

 ここは地の領。王国の屈指の大迷宮『魔獣の大森林』の防衛ライン。

 その歪んだ森から現れる大型魔獣と戦い続ける為に作られた、長過ぎる防壁の向こう側。

 屈強なる岩石騎士達が守護する、王国を脅威から守り続けるその最前線。

 

 常に森より多くの魔獣が湧いて出る、誰もが命の重みを痛感するその場所で。

 その身に歴戦を物語る誉れ高い傷の数々を帯びた、老いた武辺者の辺境伯が今。自領の伝令から報告を受けていた。

 

「ガンガロン様、ジルクリフ卿がお見えです。

 何やらこの魔獣戦域の状況を打開する、特別な兵器を持ってこられたとか……」

「ほう、あの嫁グルイが、態々こっちに顔を出すか。

 ん、待て。……なんじゃこの音は?」

 

「なんだ、アレは!?」

「まるで奇っ怪な蛇のような物が、物凄い速さで飛んできている!」

「あれは人造の龍、なのか……。

 ガンガロン様、どうされます!」

 

「待てぃ。ありゃあ多分お味方だわな」

「は?」

 

 それは重重力を利用したプロペラを先頭につけられただけの単純な構造の空を飛ぶ船と、それに引かれて列を成す異形の城塞車両達の姿であった。

 

 搭乗者達の重力魔法が使用され、そのどちらもが質量から解き放たれた今。

 

 そう大きくない先頭を征く船は、たやすくそれらを導いて空を翔けるのだ。

 天から降る流星のような速さで飛ぶその人造の龍身は、次第にその速度を落とし地に着くと、同時にその身1つ1つが唸りを上げて散開し、その場に整列してみせた。

 

 そうして突然に出来た強固な城壁(・・)

 

 その内側で彼らの主は船からふわりと降り立つと、老人を前に堂々と宣誓し。

 

「我が娘の未来の為に、貴公の力を借りに来たガンガロン。これを先付けに、こちらはその上限を望むモノとする」

「はっ、ちょっと見ねぇ間に、……随分いい面構えになったじゃねぇかジル坊よ?」

 

 歳を重ねたその武人は大きすぎる槌を担いだままに笑顔を浮かべ、その新たな時代の訪れを喜んだ。

 




更新が遅れてしまって申し訳ありません。

リメイク後、地の領と先に手を組む事で旧版の風パッパの展開が少し変更されますが、大筋は変わりませんのでご安心下さい。

多くの方々、誤字修正ありがとうございます。
いつも大変助かっております^^
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