緑谷出久の限界突破(オーバードライブ)   作:Red_stone

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第52話 異能解放戦線VS敵連合 終戦

 

 そして、いたる箇所で解放戦士たちが蹂躙されている間に、コピートゥワイス達がタワーに到達した。

 

「よーう、テメエか。俺たちの居場所を潰してえ馬鹿教祖ってのァ」

 

「ずいぶんハゲてんじゃねーかてめ――。ハゲ教祖じゃね――――か。失礼しました!」

 

 そう言い捨て、何体もの分身を作り始める。それで詰みだ。2,3回の分身さえ許せば後はネズミ算で無限に増える。

 

「捻りがないな」

 

 リ・デストロの顔を影が覆う。

 

「てめーらはコピーだ! 死んでも存在が消えることはない。さあ、蹂躙してやろうぜ」

 

 そして、自分の仲間たちすらコピーする。そこまでされたら打つ手がない。三者三様の個性――切り抜けるには純粋な実力が必要だ。

 

「……ずいぶん脆い。ところで君、人質の意味は理解しているかね?」

 

 コピーの一人を消した。そう、リ・デストロは純粋な実力を持っている。少なくとも、コピー荼毘ですら見ることすらできない程度には速く、重い。

 数で圧殺できるほど生易しい相手ではない――解放戦線指導者のリ・デステロは。

 

「それ以上増やせば義欄を殺す。正規メンバーではない彼を殺すのは私も本意ではない。できれば分身しないでもらいたい」

「――問題ない。お前が作ってくれた状況、一対たくさんだ」

 

 コピー死柄木が受け入れた。トゥワイスの肩を叩く。

 

「俺たちに分がある」

 

「取り返しゃあいいんだな」

 

 コピー達が向かう。それはやはり、生半可では1秒も持たない数と質による虐殺だが……

 

「酷い連中だ」

 

 その刹那、リ・デストロの腕が巨大化する。ただの一撃で10人は居たコピーが消し飛んだ。

 

「同じ土俵で争っているのが馬鹿馬鹿しい」

 

 だが、トゥワイスは消えかけの分身から自分を分身させる。かろうじて、義欄を取り戻すことに成功する。

 もっとも、リ・デストロは興味なさげに見逃していただけの話だが。

 

「――過度な情は枷だ。我々の意思の前に散るといい」

 

 腕を巨大化、もろともに殴りつける。このように、その気になるだけで二人纏めて儚い命だ。

 

「高尚な夢をお持ちのようで」

 

 だが、死柄木がガードする。『崩壊』の手がリ・デステロに当たるが、そこは個性で肥大化した身体、壊れた場所は捨てればいい。

 足手まといが居るから有利なはずと、攻撃を重ねてもかわされ、いなされて反撃を喰らってしまう。

 この死柄木もコピーだ。だから一発当てるだけで倒せるはずなのだが。

 

「なぜだ! なぜ、目的もない奴に私の拳が当たらない!?」

 

 全てをかわされる。しかも、馬鹿にするように少しずつ皮膚を削り取ってくる。その気になれば殺せるのだと知らせるように。

 ――紙一重でかわし、掌を当ててくる。

 

「そりゃ……お前の意思が弱いからじゃねえの?」

「ふざけるなァ!」

 

 リ・デステロはその憤怒を開陳する。

 

「かつて! 一人の女性が異能を持つ子を産んだ。まだ異能に対し偏見の強かった混乱の世、止まぬ雑言溢れる差別。愛しい我が子に石を投げられる日々! 女性は小さな声で訴えた。〈これはこの子の個性です〉。しかし訴えは嘲笑とともに埋もれていった。何故だ!? 反異能の人々に殺されたからだ!」

 

「だが、実際に施工された政策は今以上の個性の抑圧! やつらは能力の使用そのものを忌避した! デストロは思った! 〈母さんの願った未来はこれではない〉!」

 

「歴史もないチンピラの破壊衝動に、我々以上の重みなど、決して! ありはしない!」

 

 ゆえに負けられない、全力でもって敵を潰すのだ。解放80%、ストレスアウトプット――

 

「これで消えてなくなるがいい! 『負荷塊』!」

 

 ストレスの具現化。力そのものが死柄木に向かう。コピーの身ではかすらなくても傍を通るだけで消えてしまう。

 だから。

 

「俺に重みがないなんて知ってるよ。俺が目指すのは解放すら”ない”虚無。俺は、ただひたすら全てぶっ壊すだけ――」

 

 真っ向から迎え撃つ。『崩壊』の5指で消してしまった。

 

「トゥワイス。義欄を守っとけ、奴が来たぞ」

 

 次の瞬間、塔が崩壊する。

 

「よお、ただ壊すだけのチンピラが来てやったぜ」

 

 待っているのはオリジナルの死柄木。瓦礫に足をかけ、リ・デストロを見下す。

 

「ならば消えろ、創造無き世に未来なし!」

 

 ストレス100%。だが――

 

「振り切る前に壊せば威力もねえな」

 

 効果がない。オリジナルの『崩壊』の力を前に、遠距離攻撃など意味をなさない。全てその5指で塵と消える。

 

「ならば!」

 

 デトネラット社謹製、負荷増幅鋼圧機構”グレストロ”を装着する。一見するとパワードスーツだが、それは己を締め付ける拘束具だ。

 ストレスを感じるほどに強くなると言う個性に合わせた、限界以上を叩き出すための”武器”である。

 

「150%……限界を超え、貴様を倒す! 破壊の悪魔め!」

 

 ”貯める”系統の個性。前準備が必要というデメリットがあるからこそ、自らの牙城での戦いは有利に進めることができる。

 限界など突破しなくても、簡単に100%を振り切ることのできる出力を発揮できる。

 

「ああ、そう」

 

 崩壊。ただの一振りでその一画が消失する。いたずらに広範囲を破壊するのではない、制御している。

 ただ一人の敵を殺すのに街ごと粉々にする必要はないだろう。

 

「じゃ、死ね」

 

 首が、舞った。

 

 ――ただ、150%も200%でも関係なく一蹴されるだけの実力しかなかったという話。リ・デストロは死柄木の足下にも及ばない。

 

 

 決着は着いた。

 眼下では無数のトゥワイスが戦士たちを襲い、荼毘が虐殺している。そして、怯え、避難場所に立てこもった市民たちは。

 

「邪魔だ」

 

 死柄木の一撫でで建物が崩壊する。

 個性『崩壊』が、人々の居る頑丈な要塞だけを破壊した。もちろん、中身は無事で済まない。瓦礫に潰された無数の遺体が覗く。

 脳無化するにはもう少し奇麗なほうがいいが、どうせ逃げた者どもだ。碌な個性はもっていないだろうし、優先すべき解放軍幹部の遺体は他にある。

 

 死柄木はつまらなそうに天を仰ぐ。

 

「これから、忙しくなりそうだな」

 

 全ては終わりに向けて。全てを滅ぼす日――”聖戦”に向けて動き出す。オールマイトとオーバードライブの二枚看板に加えて、ギガースが居る。

 一度戦端が開かれれば、もはや戻り用もなくどちらかが滅ぶまで止まらない。

 脳無と量産型プラネテスとも言えるギガース兵がぶつかれば、無事で済むものなど一つもない。

 

 泥花市はこれより死の都市となり、要塞化される。

 ここはもはや連合などではなく王国となった。正義と悪。全てをかけて、血で血を洗う戦争が開始されるのだ。

 

 

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