幸せなバッドエンドを目指して   作:ぽんしゅー

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サブタイトルのネタ切れが一番怖い。


#8 そろそろ狩るか……♠

 4/18 曇り

 

 

『放課後屋上に集合されたし』

 

 トークグループに雨宮からメッセが送られてくる。今日は芳澤すみれも参加できるから攻略は難なく進むだろう。鈴井さんの為にもとっとと攻略してあげたい。

 

『分かったし』

 

 グループに返信した後に、芳澤すみれにメッセを送る。

 

『放課後。屋上に集合されたし』

『了解されたし』

 

 ……結構ノリ良いよなあの子

 

 

 ***

 

 

 放課後、芳澤すみれの部活が終わるまで、屋上で初期メンバーと、情報の共有と作戦会議を行い、適当に時間を潰したら、部活が終わったとの連絡が来たので、そのまま芳澤すみれを連れ、パレスへと向かった。

 

「芳澤すみれです。よろしくお願いします!!」

「うんよろしく芳澤さん。っていうかペルソナ使いだったんだ」

「はい。乙守先輩に助けてもらった際に、ついでに目覚めまして」

「そんなに軽く目覚めるモノじゃないんだけどな……」

 

 まぁ、元々素質があったって事で。でも芳澤すみれが入ったことで怪盗団に祝福属性要員が入ってパレスの攻略は楽になるだろ。

 

「それじゃ潜入する前に二人の『コードネーム』を決めないとな」

「コードネームですか?」

「我々怪盗団だからな。本名で呼ぶのは間抜けだろ?」

「それにコードネームって響きはカッコいいから」

「男の子ってそういうの好きだよね」

 

 古今東西男の子っていうのは、コードネームとか、二つ名とか異名とか称号が大好きと言っても過言ではない。

 

「という訳で高巻さんは『パンサー』で、芳澤さんは『ヴァイオレット』ね」

「お前考えてきたのかよ」

「お前らに任せると碌な名前にならないからな」

 

 そういう漫才はゲームで何回も見たからな。スキップだスキップ。

 

「うん、良いと思う。パンサーって何か悪の女幹部に居そうだし」

「私も異論はありません」

「はい決定」

 

 ササッとイベントを終わらせ、パレスへとGOしようぜ。

 

「ジョーカーどうした」

「コードネーム『腹ペコ』とかどうだ?」

「「「ねーよ」」」

 

 ジョーカーが何か言いたげだったので、振ってあげると、名前の候補でボケてきたので、男衆から総ツッコミを喰らった。

 

 天然なのかボケなのか……

 

「さて、コードネームも決まったところで、パレスに乗り込みますか」

「……? どうしたジョーカー?」

 

 前座も終わったことでいざ出陣!! ってとこでジョーカーがどこかへ歩いていく。

 

 ああ確かこのイベントはベルベットルームの処刑についてのチュートリ――

 

「……!!」

「……? どうしたんですか先輩?」

「別に何でもない」

 

 何でもないわけがない。見てはいけないものを見てしまい思わず顔を背けた。いやどちらかというと、見えるはずがないものが見えてしまった。

 

 青い鉄格子の扉、ベルベットルームの入り口が。

 

 あれは主人公のジョーカーにしか認識できないはず。何で俺が見えてるんだ? あまりにも自然にもあったものだから、本来は俺に見えないものだという認識が抜け落ちていた。

 

 ……思い当たる節は二つある。

 

 まず一つ。俺がベルベットルームの存在を知っているからだ。

 

 ここは認知世界。人間の認知によって形成される世界だ。本来は見えないはずのベルベットルームだが、俺はそこにあると知っているから、認知が書き換わり見えるようになった。

 

 そしてもう一つ、これはあまり根拠が無いかもしれないが、

 

 俺が……“元”主人公だから。

 

 ……いやそれはないなうん。だから資格があるとか云々考えてたけど、そんなんあり得ないわ。

 

 俺は俺。雨宮は雨宮。主人公は主人公。それでいいだろQ.E.D証明完了。

 

「悪い待たせた」

「ボーッと立って何してたんだ? お前たまに何考えてっか分かんねぇ時あるよな」

「器がデカいって事にしといてやるよ。頼りにしてるぜ、ジョーカー」

 

 考察している間にチュートリアルは終了したみたいだ。なるべくベルベットルームの扉を視界に入れないようにジョーカーに近づいていく。見える理屈は分からないが、取り敢えず見ない様にしておいた方が賢明だろう。見えたら何言われるか分かんないからな。

 

「サクッとオタカラ盗んじまおうぜジョーカー」

 

 ジョーカーはコクリと頷き、共にパレスへと向かった。そして原因不明のイレギュラーに出くわし、俺の額に汗が滲んでいた。

 

 

 ***

 

 

 いや~楽々。モルガナと二人で攻略した時は何だったのかってぐらい楽勝でパレスの攻略が進んでるわ。やっぱり、他のメンバーが入ったのと、ジョーカーがペルソナの合成を覚えたのがデカい。

 

 弱点を突いてダウンを取る→総攻撃→勝利

 

 で、済むから本当に楽。アギ系だってパンサーが入ったからそっちに任せてる。だから俺まだペルソナ使ってないもん。

 

「……俺いる?」

「今は出番無いだけだぜ。ブルには強敵に出会った時に強力な一撃をお見舞いする役割があるからな。今は温存の期間なだけだ。……つーかお前戦闘に出てないのに怪我してないか?」

「え? ああ、この打撲ね。昨日家で転んで出来ただけ。戦闘には影響しないから気にせんで」

 

 まぁ嘘だけど。実は日曜に釣りをした後に、試したい事があってメメントスに入って一戦だけ戦闘を行った。この打撲はそこで負った傷だ。

 

「気を付けろよ。ジョーカーが切り札なら、オマエは言わば秘密兵器だからな」

「メッチャ心配してくれんじゃん。俺の事大好きかよ」

「はぁ⁉ ワガハイはいざという時にオマエが使えないのが困るだけだ!!」

「ハイハイ」

 

 ツンデレ乙。可愛い奴だなお前。それに切り札も秘密兵器も意味一緒やろ。

 

「……止まれ」

「どうしたジョーカー?」

 

 物陰からカバーしながら進んでいると、礼拝堂へと出る。中央奧には、鴨志田がバレーをしている像が建っている。えっと、確かここ中ボスだったよな。なら俺の出番だ。

 

「俺が先に行く。こんなに広い場所に見張り無しは怪しいからな。いざとなったら俺が全部吹っ飛ばす」

「おう、頼むぜ」

 

 そうして礼拝堂へ足を踏み入れると、現実の体育館の景色が一瞬だけダブる。この礼拝堂は、鴨志田が認知してる体育館。体育館は聖なる場所、そして自分はそこの神だとして、真ん中には鴨志田の像が建っている。

 

「フン……聖なる場所に踏み入った愚か者共めが……カモシダ様に逆らった愚かしさ、身をもって――」

「うるせぇ!! アステリオス!!」

「ぬおあぁああああああああ!!!! き、貴様……!!」

「馬鹿は要約出来ねぇから話が長ぇ……」

 

 目の前に出てきた天の刑罰官(アークエンジェル)をティタノマキアで攻撃する。

 

 うっし、あの様子だと火炎耐性があっても、そこそこ入ったみたいだな。メメントスで実験がてら鍛える、もとい、レベル上げしといて良かった。

 

「この蛮行は許さ――」

「はっはっは!! ぶっっっ壊れろーーっ!!」

「あ゛あ゛あ゛あ゛ああああぁぁぁぁぁ……!!」

 

 爆炎と共に断末魔を上げながら消滅する天の刑罰官(アークエンジェル)。やっぱこの時点で最上級のスキルが使えるのは強いわ。

 

「うし、終わったから次行こうぜー……って何でそんな離れてんの?」

 

 後ろを振り返ると他のメンバーからは距離を取られていた。

 

「いや、容赦ねぇなと思って」

「一方的にリンチしてるようにしか見えなかったよ。見てる側はスッキリしたけど」

「もしかしてハンドル握ると性格変わるタイプですか?」

「魔王みたいな高笑いしてたしな……コードネーム変えた方がいいかもな『バーサーカー』とか」

「昂る気持ちは凄いよく分かる」

 

 散々な言いようだなおい!! 

 

「出番が来てちょっとテンション上がっただけだわ!! 決して敵をボコボコにしてストレス発散になったとかそんな事思ってないから!!」

「別に思ってねぇよ!! その発言が無かったらな!!」

「いや本当にそんな事は――」

 

 弁解の言葉を口にしようとしたら周りからシャドウが出てきて囲まれてしまう。しゃらくせぇな……

 

「クソッ、囲まれたか!! ジョーカーそっちに逃げ道は無いか⁉ ワイヤーで――」

「ぶっ壊れろや!!」

 

 もう一度ペルソナを呼び出し、辺り一面を火の海へと変える。炎が消えると共に、周りに出てきたシャドウの命の灯火も燃え尽きた。

 

「ふぅ……助かったぜありがとな、ブル――」

「はーー、スッキリした」

「……今スッキリしたって」

「言ってない」

 

 ……言ってないからね?

 

 

 ***

 

 

「これが、オタカラか……」

 

 あれからサクサクっと攻略は進み、オタカラがある宝物庫まであっという間に着いてしまった。そして宝物庫の中央に浮かぶ光る靄のようなものについて、モルガナから説明を受けていた。

 

 オタカラを盗むには形の無い欲望を実体化させなきゃいけない。その為に予告状を出して自身の欲望を盗むと自覚させると、オタカラが実体化する。

 

 うん、原作と設定、方法、共に変わりなし。

 

「オタカラまでのルートは確保した訳だから後は現実で、予告状を出すだけだ」

「んじゃ、今日は引き上げるか」

 

 そう言って鴨志田に見つからないように、パレスを脱出する。一日でオタカラのルートを確保できてよかった。二日かけて攻略するのはただのロスだからな。

 

「ふぅ……疲れた」

「ワガハイとオトモリが先に進めてたとはいえ、一気に攻略したからな。今日はかなり疲れただろう。予告状を出す日はまた後日にして、今日は解散としよう。諸君、お疲れであった!!」

「おつかれ~」

 

 イセカイから帰ると、その場で現地解散になる。

 

「あ、待って乙守君」

「ん?」

 

 帰路に着こうとすると、高巻杏に声を掛けられた。

 

「えっと、今更だけどさ、志帆の事ありがと」

「あー……その事なら本当に気にしないで」

 

 だって俺お礼言われる資格無いし。

 

「それに、まだ終わった訳じゃないからさ。そういう話は全部終わった後に笑いながら話そう」

「……うん、そうだね。頑張ろ!!」

 

 高巻杏はガッツポーズをして気合十分って感じだ。

 

 そうだその意気で怪盗団と雨宮に貢献してくれ。原作のルートから逸脱しない程度に頼んだぞ。

 

 

 ***

 

 

「……」

 

 グループに届いたメッセの内容を確認する。

 

『了解』

 

 短い文面で返信をし、スマホを置いて『† 定められた黙示録(アポカリプス)†』に文字を書き込んでいく。

 

 ……すでに予想外な事は起きている。そしてこれから先もイレギュラーな事は沢山起きていくだろう。

 

 だからこそ、それを記すことも今後のルート矯正に大いに役に立つ……かもしれない。まぁやらないよりはマシだろうからな。

 

 んじゃ、頑張るか。

 

 

 ***

 

 

 4/20 カモシダパレス オタカラ強奪決行日 

  ・絶対に一発はぶん殴ってやる

 

 

 

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