ラカノンside―start
「おいおい、なんだこのラディッツの気は…ッ!」
「あぁ、禍々しいなんてもんじゃねぇぞ…!」
今のラディッツは正しく悪の戦闘民族といっても差し支えない程の気を纏っているだろう、しかし何故だ…?いきなり戦闘力が跳ね上がるのは変身タイプであり得ることだがラディッツはサイヤ人、大猿にもならずにこれほど強くなることはあり得ないはずだ。
「ハハハッ…!最高の気分だ!!!ラカノンさん…いやラカノン!そしてカカロットよ!俺たちと共に来るのだ!!!」
「は、馬鹿言っちゃいけぇなラディッツ。少なくとも俺は今宇宙に出るつもりはないといったはずだが?」
とは言ってもこの威圧感…間違いない、今のラディッツは俺より強いだろうな…だが!
「今のお前には何を言っても無駄のようだな!どうしてもってなら俺を倒してみろ!」
「調子に乗るなよ?今の俺には貴様なんぞ簡単に捻りつぶせるほどの力があるのだ!!!」
その言葉を最後に乾いた音が一面に広がる、ラカノンとラディッツが拳を打ち付けながら高速移動をしている証拠だ。
「チッ!まさかここまでとはな!」
「まさかその程度じゃなかろうな!だとしたらがっかりしたぞ!!!」
「なに―――!」
ラディッツの鋭い一撃が顔へと入る、思わず顔をしかめる程の強力な一撃だがこの程度ならまだ平気なレベルと言えよう。
「なんだと?!」
「甘いな!」
顔に刺さったままの腕をそのまま掴み一本背負いの要領で地面へと叩きつける、そのまま腹に一撃を入れようとしたがエネルギー破を撃つことで無理矢理俺から距離を取った。
その勢いを利用してエネルギー弾を無数にぶつけてくる。
「どうだ!」
しかしラディッツとラカノンには決定的な違いがある、それは地球に来たことで
身に着けた技術。
「相手の位置も感じ取れないのに見失うことをするのは関心しないな!!!」
蹴った時にスカウターを壊しといて正解だったな。
しかしラディッツの方が強いのは客観的に見ても間違いはない、さて、どうするべきか…
ラカノンside―fadeout
孫悟空side―start
「ちょっと!ラカノン君やるじゃない!」
ブルマがオラ達の横でそう言っている、だけど実際はそうじゃねぇ…
「なぁ、じっちゃん、クリリン」
「ふむ、このままだとラカノンは勝てないじゃろうな……」
「なんでよ!見た感じだとラカノン君が勝ちそうじゃない!」
「違うんすよブルマさん…ラカノンはラディッツに止めと言える一撃を入れる隙を作ることができないんです」
まさにクリリンが言ったことだ、力に差があると相手を倒すにはある程度の気を溜めねぇとダメージを与えることは出来ねぇ。
中途半端に溜めたんじゃ相手にダメージを与えるどころか弾かれちまう。
「そんな!どうにかならないの?!」
「今のところラカノンが互角に戦えているのは気で相手の位置を掴めるからといっても過言ではないじゃろう。なんとか出来るとしたら・・・」
じっちゃんがオラの方をちらりと見てくる、やっぱそうだよな…オラもそうするしかねぇと思っていたところだ。
「あぁ、オラも一緒に戦う」
「お、おい!無茶だ悟空!」
「じゃがこのままでは…」
「そうだぞクリリン、その無茶をラカノンはしてんだ。オラにはこのまま友達を見捨てることは出来ねぇ」
ラカノンと兄ちゃんの戦いには隙がない、だけんどぜってぇに戦闘に入る隙ができるはずだ。
オラはそう思いながら臨戦態勢を取る、少しだけ耐えてくれラカノン、すぐにオラも加勢すんぞ!
孫悟空side fadeout
???side―start
『スピードが落ちてきたなぁ!貴様の死もすぐそこまで迫っているぞ!』
『ゴチャゴチャとうるせえ奴だ!変な力で一気に強化されたてめぇに負けてたまるか!』
「不味い!ラカノンさんとラディッツさんにスタミナの差が出始めてきてしまった!」
しかしどうするべきだ…?ラカノンさんがいる時代には何故か干渉できないから助けに行くことができない・・・幸いにもラカノンさんが強くなったおかげでまだ何とかなってるけどこのままじゃ…!
「大丈夫よ〇〇〇〇〇、どうやらラカノン君が思ったより強いみたい。おそらく大幅に歴史を変えられないのは向こうも同じよ」
後ろから〇〇〇〇〇様の声が聞こえる、しかしこのままだとラカノンさんがラディッツさんにやられてしまうのは間違いないだろう。
「それに悟空君が一緒に戦うみたいだからおそらくこのまま勝つことは出来るでしょう、私たちが助けに行くことは出来ないけど最悪私の力を使って無理矢理突破することは出来るわ」
「しかしそれではあなたが…!」
「平気平気!ここで仕事をしなかったら〇〇〇〇〇の名前が廃れるってものよ!それに使うのは最終手段よ、ラカノン君と悟空君なら大丈夫!二人を信じなさい!」
俺はそういわれて目線を戻す、確かに悟空さんが加わって形勢はほぼ互角、これならいけるだろう。
そう思いながらも心配は拭えない、もし本当にもしもの時があればその時は俺が…!
???side―fadeout
ラカノンside-start
「どうしたカカロットよ!まさかその程度とは言わんだろうな!」
「くっそ~!確かに今の兄ちゃんすげぇ強えぞ!!!」
「喜んでいる場合か!殺す気で行かないと俺らが殺されちまうぞ!」
マジでこいつ一気に強くなりすぎだろ!悟空が加わってくれたからまだしもこの戦況は劇的に変わったとはいえねぇ…!
こうなったらリスクはあるがやるしかねぇな!!!
「悟空!頼みがある!」
このままだとラディッツに作戦が伝わってしまうため一度大きな爆風を生み出す、煙であいつは俺らのことが感知できないはずだ。この隙に…!
「いいか悟空、俺は今から気を溜めてあいつを気絶させる。出来ることならあいつの動きを止めてほしい」
「あぁ、それはいいんだけんど今の兄ちゃんを止めるのかなり厳しいぞ…?」
「大丈夫だ、あいつはおそらく尻尾を鍛えていない。なら握ることさえできれば動きを止めることは出来ると思う」
戦い方を見ている限り絶対に後ろを取られないように動いている、それほどまでにあいつは後ろを取られたくないってことだ。
「正直かなり危険な賭けになるだろう、もしかしたら死ぬかもしれない」
「でぇじょぶだ!もし死んだとしてもドラゴンボールがあれば生きけぇることができる。だからぜってぇ成功してくれよな、ラカノン!」
やれやれ、こいつは本当にお人よしだな。だが嫌いじゃない、むしろ大好きな部類だ!
「あぁ!任せたぞ、悟空!!!」
そうして俺は気を溜め始めた。気絶をさせるだけだ、そこまで時間はかからないだろう。
ラカノンside―fadeout
悟空side―start
とは言ったものの……
「おいカカロットよ、なんだこの軟弱な拳は!その程度ではこの兄は倒せんぞ!!!」
「流石だ、確かに今のオラだと勝つことはできねぇな…だけんどそれが諦める理由にはならねぇぞ!!!」
拳を何度もぶつけては弾かれれるのを繰り返す。
腕が痺れ、感覚もどんどん無くなってくるのを感じながらオラも隙を作る技の準備を始める。
「そろそろ飽きてきたなぁカカロットよ!しかし弱い者いじめをしても面白くはない、これで終わらせてやる!」
そういって兄ちゃんは両手にエネルギーを溜め始める、あれを受け止めるのは無理だな。けどその油断はよくないぜ兄ちゃん!!!
「天津飯!技を借りるぞ!」
両手に気を溜めてそれを光として放つ、隙を作るならこの技は優秀だからな!!!
「太陽拳ッ!!!」
「なんだとッ!!!な、なにも見えん!!!」
気が読めねぇなら目潰しは有効だ!この隙に!
「へへへ……掴んだぞ!」
「ぬぅ…!しまった…!」
「ナイスだ悟空、おかげで十分な量の気を溜めることが出来た」
尻尾を掴まれた兄ちゃんは膝から崩れ落ちる、尻尾を鍛えていなきゃこうなっちまうからな。今はないけどオラも鍛えておいてよかった。
「殺しはしないが、虫の息レベルまでにはさせてもらうぞラディッツ」
「くそ……まさかこの俺がぁ…!!!」
そうしてラカノンは兄ちゃんの頭に気を溜めた拳を思いっきり振り下ろした。
ドゴンッ!!!と地面に頭がめり込むほどの威力で兄ちゃんの意識を刈り取るには十分な威力だったのが目に見えて分かる。
「こりゃあ痛いじゃすまねぇな……」
「しょうがないだろう、意識を刈り取る方法を取らなきゃあと殺すしか選択肢はなくなってしまう」
取り合えず兄ちゃんをカメハウスに運ぶか、兄ちゃんから感じていた禍々しい気はもう
消えているな。これなら飽きても暴れないだろう。
そんなことを思いながらオラ達はカメハウスの方に向かう、クリリン達が出迎えてくれて二階で兄ちゃんを休ませることになった。早く起きるといいんだけど……あれ頭潰れて死んでねぇよな?
悟空side―fadeout