ウルトラマンアバドン season2   作:りゅーど

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悪党さんの物語

 世間を騒がしている美少女怪盗の噂は毎日広まり続けていた。正体は不明、何故宝石を盗むのか、それは一切途絶えない噂や調査だった。

 そしてその不明や盗む理由は———彼女()()しか知らない。

 

 誰にも知られることのない、森の中にある、古めの洋館。

 そこに、二人がいる。

 紗和は1人静かにテレビを観ていた。退屈そうにしているように見えるが、少し哀しげな瞳をしながら観ていた。

「……そろそろ途絶えてほしいんだけど……」

 独り言のように小声で呟いた。

「おーい、お茶淹れてきたぞ」

 そう言って、古橋はふたつの湯呑みに茶を注いだ。

 見るからに体に優しそうな、そんな深い緑だ。

「! ……ありがとう」

 紗和は笑いながらソッと湯呑みを手にして一口飲んだ。

「……緑茶?」

「ああ。いい茶葉が入ったんだ」

「そうなんだ。(濃い……でも温まる……)」

 紗和は静かにお茶を飲み続けていた。ろくに食事をとらない割には飲みことに関しては良くしている。

 まるで体の芯が溶けていくような、もしくは張り詰めた魂を緩めるかのような。どちらにせよ、体にいいことには変わりない。

「ふぅ……」

 ふと、壁にかけてあるカレンダーをチラリと見つめた。

 昨日だ。

 昨日、慎太郎からの襲撃を受けたのだった。

「……あ〜〜……もうっ」

 紗和は頭を掻きながらテーブルの上に頭を乗せる。

「落ち着け」

 古橋はふぅとため息をついた。

「ごめん……昨日ことで頭がいっぱいでさ……」

「まぁな……。あそこまでイカれるとは俺も想定外だ」

「それほど……あの人を愛していたってことだよ。彼の愛は今も変わってないよ。本当の真実を知っているのはボクだけだ。なら……どうするべきか、今を考えないと……ボクは死ぬ」

「……なんとかしてアイツと話をするか? それとも───────駆除してしまおうか」

「駆除はダメだ! 彼は殺してはならない!!」

 勢いよく立ち上がり、紗和の額から青筋が出るほど勢いよく叫んだ。まるで、怒りを表しているかのように……

「……冗談さ。アイツを殺すのはまずい」

「…………はぁー……ごめん。分かってくれれば良いよ。選択肢は1つ……話すしかない」

 紗和はドサッと椅子に再び座り、深くため息を吐いた。そしてもう一度、カレンダーを見つめた。

 前の宝石は盗み終えた。

 次のターゲットを探し、日程を模索中なのだ。

「……うーん……」

 紗和は立ち上がってどこかへ向かい始めた。考え込みながら家中の奥へ向かった。

「一応、確認しないと……」

 独り言を呟きながら家の奥にある壁掛けの鏡の前に着き、鏡を押すと、さらに奥へ進んだ。鏡で隠した隠し部屋には、紗和と古橋しか分からない極秘の部屋へ辿り着く。

 ピッ、ピッ。

 手馴れた手つきでパスコードを入力し、二人は入室した。

「……今日も今日で眩しい部屋……」

 その部屋は盗んだ宝石が厳重なガラスケースに置かれた宝石の保管庫であった。盗んだ宝石が電気の光で太陽のように輝き、傷や汚れが1つもなかった。

 紗和は宝石の展示会を観にきたかのように歩き回り始めた。歩きながら、少しだけ古橋の手に触れた。

「……ん、どうした?」

「……うんうん……なんでもない……」

 ただ紗和の手は少し震えていた。瞳も闇に落ちたかのように漆黒のようになっていた。

「……落ち着けって。大丈夫だからな」

「ッ……ごめん。ありがとう……」

 深く深呼吸をしながら息を整え、ゆっくりと歩き続けた。

「ここにあるすべての宝石はボクのためにでもあり……他人のために盗む。だけど……結局は盗みだから悪人。ボクは光の悪党になった。それでも……古橋君はどうしてボクのそばにいてくれるの?」

 ゆっくりと歩み続けながら、問いかけた。

「んー……まぁ、お前さんの望んだことだからな。俺は、お前の望むことをやるだけで幸せなのさ」

 古橋はそう言って笑った。

 ただ紗和は、不安や申し訳なさのような表情をしていた。

「あの日も……同じことを言っていたね」

「……ん、あの日?」

「あの日だよ。ボクと一緒に……《CETから逃げた日》」

 

 時は遡り、数ヶ月前———紗和と古橋がまだCETにいた頃の話に遡る。

「ぬわああああああああんつかれたもおおおおおおん」

「うるせぇ」

 肇にシメられる古橋。

 いつもの光景である。

「フフ……ッ」

 紗和は楽しそうに笑みを浮かべながら2人のことを見ていた。だが、瞳は……闇のように黒く染まり、光が消えていた。

 静かである。

 慎太郎の声はもうしない。

 紗和はふと、周りを見渡し始めた。昔の面影はもうなく、彼女にとってはとても胸苦しく感じていた。

 脳裏には『あの日に戻りたい……』『人間は……変わって行くんだ』と、思いながら胸元をギュッと抑えつけるように握っていた。

 心が痛む。

 体が蝕まれる。

 ────────消えたい。

 紗和の心は完全に壊れ始めていた。さらに、あの日の戦いが脳裏に何度も蘇り、紗和の胸を何度も苦しめた。

 泣き叫ぶ慎太郎、殺された仲間、死んでしまった恩人……紗和の心を抉るように蘇り、思い出すだけで吐き気が増してきた。

「……うっ……」

 今にも吐きそうだった。思い出したくないことが勝手に脳内リピートされて、気持ち悪かった。

「ギブギブギブギブ!!!!」

 今の心の拠り所は、古橋しかいないのだった。

「あ……」

 その言葉に我に帰り、慌てて松本を止めた。

「やり過ぎやり過ぎやり過ぎッ!! ストップストップストップストップッ!!」

 もっとも、残ったメンバーでツッコミ担当でもあった。

 さて。

 時は経ち、「その日」はやってきた。

「あ……パトロールの時間……」

 紗和は呟き、椅子から立ち上がって部屋を出て、外へ出た。

「あっ、俺もそうだったな」

 古橋も紗和を追いかけて向かった。

「! ……うん、行こうか」

 紗和はいつもの笑みを見せてそう言った。だが瞳の色は相変わらず漆黒に染まったままだった。

「……だな」

 そして古橋もまた、何も映さぬ黒であった。

 2人で街中をパトロールし始めた。その日は平和な日々だった。

 快晴で、風もなく、静かな日であった。

「今日も異常はないみたいだね」

「ああ、そうだな……」

「しばらく有給休暇とってなかったから……今度取って1人でお出かけしようかな?」

 何故か紗和の口調は少し早口だった。

「ああ、それいいかもな」

 ニコリと笑う古橋。

「休暇とってなかったから……ボクどんだけ徹夜したんだろう?」

 少なくとも、15徹夜はしていた。仕事真面目なのは相変わらず変わらなかった。

「とりあえずお前は寝ような」

 バッサリ。

「ごめん……」

 紗和は苦笑しながらそう言った。ふと、紗和は空を見上げ、時計を見始めた。

「……ん、どうした」

「……ん、なんでもない。それより……ちょっとお手洗いに行っていい?」

「ん、いいぞ」

「ありがとう……」

 紗和はそう告げた瞬間、無意識にも瞳が黄色になった。紗和の心の中で《叛逆》の意志が何故か芽生えたのだ。

 紗和は駆け足で近くの公園のトイレに向かった。

 古橋は木陰に座り込む。そして目を閉じ─────直ぐに眠りについた。

 どれくらいの時間が経ったのだろうか……いつの間にかパトロールの勤務時間は終わっていた。

 ────────どれほど経ったろうか。

 待ちぼうけ、とはよく言ったもので。まるで2時間近く待っていたのにも関わらず(Syamu )オフ会に誰も来なかった大物YouTuber(games)のように古橋は律儀に待っていた。しかし、紗和が一向に戻って来る気配がないのだ。行ってかなりの時間が経っているが、いまだに帰って来ないのだ。

「おっせぇなぁ……」

 なんとかはせっかち、とはよく言うもので。

 気づけば辺りは夕焼けに包まれていた。それでもなお、戻って来ない。

 胸騒ぎがするようになる……

「……」

 古橋は探しに向かった。

 胸騒ぎがさらに増した。お手洗いに、紗和の気配が無いのだ。まるで神隠しにあったかのようにいなくなっていた。

 肝心の紗和は、呼吸を荒くしながら街から離れたところまで走り続けていた。まるで、あの場から逃げたかのように……

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……ごめん……ごめんね、古橋君……!」

 涙を流し、謝りながら夕焼けの光が当たらない木々の奥まで逃げていたのだ。

「畜生……!」

 古橋はどこかからか、おそらくワープバッグだろうが、そこからバイクを取り出し跨って、紗和を追跡した。

 走りに限界が来たのか、その場で転んだが即座に立ち上がった。だが、身体にはもう体力がなかった。呼吸を整えるために、誰もいない木々の中で姿を隠しながらその場に座った。

「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……これで、いいんだ……これ、で……」

 汗をかき、呼吸を整えながら小声で呟いた。今の紗和の中には決意が固まっていた。

「おぉおおおい!!」

 バイクのエンジン音と共にドリフトで減速、そしてなんとか到着。

「ッ……! (人……? いや、でもバイク音……それとあの声……マズい!!)」

 紗和は慌てて立ち上がり、木々の奥へ走り去った。気がつけば街外れの森林の中へ逃げ込み続けていた。

 オフロードバイクは踏破性が高い。さらに古橋の第六感(シックス・センス)が紗和のいる場所を教えてくれている。

 すぐに追いつくことだろう。

 

「はぁ……っ……はぁ……走れ、よ……!」

 紗和にはもう体力がなかった。走れば走るほど体力を持っていかれる。運動神経は人間以上で自信はあるが、限度というものはちゃんと存在する。自分に向けて、走れ! と、言っても身体は反対していた。

 逃げなければ、紗和の心の中ではずっとこの言葉だけが響いていた。

 そして文明の利器というものは凄まじく、幾万の努力を上回る。

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 紗和は少しずつ前へ進んだ。呼吸を整え、呼吸するだけで苦しい胸を抑えながら奥へ歩み続けた。ここに何か目的のものがあるのだろうか。それはもう目の前に見えていた。幸いにも背後からの気配は薄く、紗和は慌てて目に入ったモノのために小早く歩み続けた。

 その気配が急に大きくなった。

「紗和ぁああああ!!」

「っあ……!」

 紗和は目を泳がせながら背後を振り向いた。

「はぁー……!」

 紗和は何も言わずに疲れ切った身体の限界を超えてもなお、再び走りだした。まるで気づかれたくないから逃げるかのように……

「見え、た……!」

 紗和はそう呟いた。そう、紗和自身の家に。

 ここで軽く説明すると、紗和の家は誰も知らない。それは光の国の監視圏外の場所にあり、紗和は自分の家を知られたくないからと……CETに入ってもなお、住所だけは不明にしていた。無論、フツヌシチームの生存しているメンバーと死亡したメンバーも知らなかった。無論、慎太郎でさえも知らなかった。というか、おそらく慎太郎にバレていたなら、今頃この森は洋館ごと焦土だったろう。

「お、おい待ってくれよ!!」

 後ろから放たれるノイズももはやどうでもいい、早く帰りたい。

「はぁ……はぁ……はぁ……ッ!」

 

 自宅の扉までようやく着いた。慌ててドアノブに手を握り開け、玄関に転がり込む。次の瞬間、扉は即座に閉まった。

「はぁー……はぁー……はぁー……ごめんなさいッ」

 紗和はそう呟き、鍵をかけて扉から少しずつ離れた。

 諦めたのか、音はしない。

 紗和はほっとしたかのように溜息を吐いて確認せず、部屋の中へ入っていった。部屋は広いが、誰もいなく、寒さや無音だけが紗和を迎え入れた。

 ふと、紗和は1つの窓に鍵が開いたままなのに気づいた。紗和は慌てて駆け寄って鍵を閉めようとしたが……遅かった。

「すまん後で罰金とかは払うッ!!」

 古橋は、変なところで無駄に律儀な男であった。

「うわぁぁぁぁ!!?」

 窓が半分程壊されて、叫びながら家中で逃げ回った。

「待てっての……!!」

 がしっ! と音が鳴るくらい強く肩をつかむ。

「あ……ッ」

 掴む力が強い。逃げようとするだけで力は強まり、足を止めることしか出来なかった。紗和の顔には焦りと恐怖の表情が浮かんでいた。冷や汗が止まらない。瞳も怯えてるかのように動いていた。

「……なんで逃げた」

 紗和は何も言わなかった。瞳は震え続けていたが、何も言わず、口を閉じ続けていた。

「答えろ」

 詰問されてもなお、紗和は何も言わない。冷や汗が出続けてる。

「答えろ!」

「ッ……! 離、して!!」

 紗和は肩をビクリと動かしながら、肩に乗せた手を離してほしいかのようにもがき始めた。

「答えろって言ってんだよ!!」

 その声で、空気全体がビリビリと震えた。

「ヒッ……!」

 紗和の身に恐怖が増した。涙目となりながらも、もがくことはやめなかった。

「……いいか。答えろ」

 その目は真剣であり、そしてその声には凄味があった。

 紗和はもがくことをやめた。諦めたかのように瞳はさらに闇のどん底のように黒くなった。

「…………悪党……」

「……悪党?」

「ボクは……悪党なんだよ……ッ」

 そう言った瞬間、勢いよく頭突きをした。頭蓋骨が割れそうな勢いでとてつもなく、痛い。

 しかし、古橋は倒れない。

「……何が悪党だ」

「ボクは、悪党になったんだよ。古橋君……」

 紗和の身体に異変が起きる。これ以上、肩を握らない方が良いと思うくらい。

「……なに、俺だって悪党じゃないか」

「ダメだよ。ボクは君以上の悪党になったんだ。光の悪党……だから、お願い……ボクからもう離れてよ」

 その瞬間、紗和の身体は毒液となってどこかへ消えた。

「くそっ」

 そう言って、古橋は体をベムラー人の姿に変えた。

「はぁー……はぁー……はぁー……」

 紗和は呼吸や状況に落ち着くようにゆっくりと息をしていた。今いる部屋は古橋でさえ見つけることが出来ない秘密の部屋で身を守っていた。例え、大切な愛人だとしても、自分のした行為は知られたくないからだ。

 人間、いやウルトラマンにも聞き取れぬような超音波が辺りに響き渡る。

 それは感じれるのか、それとも……。

「……まさ、か……」

 紗和は声を震わせながら後ろを振り返った。背後には今いる部屋の扉があるのだ。その扉は特徴的なパスコード式の厳重な扉だった。光線でさえ跳ね返す特殊結界も張ってあった。

 だがその結界も感じない……

「……ベムリアス・ソナー。ベムラー人の使う超音波で、少し機械を狂わせた─────────さぁ、話してもらおうか」

「ヒッ……」

 紗和は少しずつ後ろに下がった。部屋は薄暗いが、何か輝くものが周りにあるのが分かる。

「……お前が悪党ならば、今は取調べと洒落こもう。───話せ」

 まるで刑事のように、古橋は─────ベムラー人ジュウキチは言った。

 

 一時間後。

 紗和はようやく白状をしてくれたかのように部屋の電気をつけた。周りには、神々しく輝き、色とりどりの宝石がガラスケースの中に飾られていた。これには流石のジュウキチも息を呑むような驚きだった。

 そして、ジュウキチは興奮していた。

「お前……お前、ようここまで盗んだなおい!! やるなぁ!!!」

 心の底からの賞賛。

「…………は?」

 これには紗和も困惑。光の戦士が盗みをしているのだよ? 

「お前……日本の警察といえば超敏腕やないけ! よう騙しきれたな!」

 いや敏腕なのは一部で殆どは無nゲフンゲフン。

 兎にも角にも、盗む事に関してはお咎めなしである。なにせ昔は盗みをしていた男だ、通ずる何かがあったんだろう。

 ただ紗和は何も言わず、困惑した顔で見つめ続けていた。瞬きを何度も繰り返しながら

「ほんとすげえなお前」

「……悪人になった光の戦士なのに……?」

「そんなこと言うならアンタ、ベリアルはどうなんねん。アバドンはどうなんねん」

 闇というものは誰しもある訳だ。

「……アバドンは……アバドンは確かにベリアルの弟。だけど、彼にも悪人という概念はどこにもない。やり方は残酷だけど……」

「……いや、アイツ普通に殺人してんだろ」

「確かにしてるけど……」

「まだ殺してはないんやろ?」

「……殺すもんか。盗むだけで充分だから……」

「ならよし」

 どの基準だ貴様。

 それでも紗和はずっと困惑顔をしたままだった。

 予想外の流れ、予想外の返答で状況がよく分からなくなった。

「……大丈夫やぞ」

「……え?」

「俺だって盗っ人だ」

「……そう……」

「そうだよ」

「……それでも……巻き込みたくなかったなぁ」

「別にいいんだよ、俺は」

「……ここにある宝石は……ボクを取り戻すために盗んだもの。ボクは取り戻すためにやり続ける。それでも……いいの?」

「それでもいい」

 紗和は突然抱きついた。強く、少し苦しめるように……

「おわっ!?」

「ありがとう……ありがとう、古橋君」

「良いってことよ」

「……うん……」

 紗和はそのまま胸元で泣き出した。そして2人はそのまま———悪人と、なったのだ。

 そして今に至る。

「……こんなに集めてもボクはボクを取り戻せない。長い日々が経ってもなお……取り戻せない」

 紗和は衣装を身につけながら呟いた。

「仕方ねぇさ。自分ってのを見付けるのは難しいもんよ」

「そうだよね……ボクもそう思う。自分の記憶を取り戻したいがために怪盗になるのはやっぱ、バカ気ているのと思う?」

「いや、馬鹿げてるわけじゃねーよ」

 窓から外を見れば、森の入口あたりで襟のないジラースのそっくりさんの親戚とゾアムルチが戦闘を繰り広げている。

「アレの方がよっぽど馬鹿げてるぜ」

「……そうだね」

 紗和は目を閉じながらクスッと笑った。顔には水銀色の仮面を身につけていた。

「月が綺麗だね……」

「……その言葉は、是と受け取らせてもらうよ」

「……ありがとう。さて———今日も始めようか」

 月の光に照らされた紗和の姿は神出鬼没で大胆不敵な怪盗の姿だった。

 そしてその瞳は、月と同じような黄色の瞳になっていた。紗和の、いや、シンシャの中には———叛逆の意志が満たされているからだ。

 そしてそれは古橋も同じである。叛逆、そして─────復讐。

「俺達のショーを見せる時だ」

 黒い闇夜に、三日月がひときわ輝いていた。

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