ウルトラマンアバドン season2   作:りゅーど

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其々は

「ただいまぁー」

 慎太郎は自宅の扉を開け、靴を脱ぎ居間に向かった。

「あ、慎太郎はん! おかえりやぁ♪」

 とてとて、そんな擬音が似合うであろう歩き方で、とある少女が歩いてきた。

「ただいまだー……あー疲れた」

 疲労困憊の慎太郎を労うように、少女は慎太郎に抱き着いた。

「どんな敵と戦ったん?」

「とにかくでかかったなぁ……だいたい400m近くあるかもだ」

「でか、なんやそれ……」

「ナースの後継機だろうな」

 そんな会話をしながら、慎太郎は彼女の淹れた茶を飲んだ。

「ふぅー……落ち着くよ。ありがとうな()()

 そういって慎太郎は虞狐の頭を撫でた。

 ふさふさでもふもふの黒いしっぽが嬉しそうに揺れた。

「えへへ♪ 慎太郎はん♪」

「どした?」

「好きやよ♪」

 慎太郎は何も言わずに虞狐に抱きついた。

「ほんと不意討ちはやめてくれ……」

 そう言いながら、慎太郎は笑った。

 今まで愛された覚えがなかった。親は死に、兄は悪に染まり、自分自身も殺人鬼へと変貌した。

 そんな自分のことを愛してくれる人ができた。

 慎太郎は久しぶりに心安らぐ時間を得たのだった。

 慎太郎は窓の外を見た。美しい日本晴れであった。

「今日は素敵な日だ。小鳥はさえずり、花は咲き誇る……」

 どこかで聞いたような、そんな一節を慎太郎は呟くと、ごろりと横になった。

「ハハ、どこでなにやってんのかなぁ〜……先生は」

 

 都内の病院の病室で眠っている紗和は未だに目を覚さなかった。警察が見張りとして一名いるが、警察も逮捕させる意味が無くなりそうだと考え始めていた。

 紗和が慎太郎と戦い、洗脳から解放させることが出来たが、あの戦いのせいで昏睡状態がかれこれ数週間は続いた。顔と身体が痩せ続け、心拍数が少しずつ下がっていった。

 もはやこのまま死ぬのではないかと噂も広がった。

「……」

 医師ももはや匙を投げる寸前だった。

 呼吸はしているようでしてないように見える小さく命の火が蝋燭のように少しずつ溶けて消えていく……

 そのような状況だった。

 ただ未だに眠る紗和自身は、何を思い、目を覚まさないのだろう? 

 

 周りは闇のように暗く、道が見えないそんな暗闇に紗和は1人、目を瞑って立っていた。

 聴こえるのは風の音だけ。

 風の音と共に、紗和はゆっくりと目を開ける。

「………………ここは?」

 周りの状況に理解が出来ず、困惑しながら辺りを見渡しているが、答えはすぐに分かった。

「…………あ、ボク……死んだんだ」

 自分に言い聞かせるようにそう呟いた。

 本当に何も無い空間に一人ぽつりと立っている。

「……どっち?」

 困惑状態が解けないまま紗和は一人で語り続けた。

「どっちが天国? どっちが地獄? 暗過ぎてよく分からない……」

 そんな気が抜けたような言葉とは裏腹に、胸奥底から虚しさと孤独が湧いてきた。

 それでもなお、この場にいても何も起きないと思い、今向いている方向へ歩み出した。紗和が今行きたがっているのは……《地獄》だった。

 しかし、そこには何も無かった。

 紗和の眼前には虚無ばかり。

「……ここ……本当にあの世? なんか……ブラックホールに落ちてしまった気分……(でも、この先に地獄があると良いなぁ)」

 歩くのに疲れたものの、足は止めずに先へ進み続けた。自分の今までの行為、洗脳されていたとはいえやらかしてしまった過ち、そして自分が今背負っている大罪……《傲慢》を思いながら地獄へ向かって歩み続けた。

「…………地獄、だと良いなぁ」

「……」

 ヒソヒソ声。

 笑っているようにも聞こえた。

「誰か……いるの? 誰?」

 足を止めて周りを見渡した。だが誰もいなかった。気のせいかと思い、再び歩み出した。

 その時であった。

「歩くの……疲れてきた」

 そう言いながら足を止めて休もうとした瞬間、自分の目に何かが止まった。見覚えのある、何かが……

「……やあ、久しぶり」

 死んだはずの二人が、目の前にいた。

「…………迫水、隊長? 奏、さ、ん……」

 目があった瞬間、紗和の中に多くの不安が溜まり、言葉が出ず、自責を心の中でしていた。

「……久しぶりですね」

 紗和は驚愕した表情を変えないまま言葉が出ず、震え続けていた。

 少しずつ冷静を取り戻して声が出るようになった。二人に言いたいことが……やっと言えるからだ。

 気づけば、周りは暗雲がたちこめていて、ざぁっと本降りの雨が降り注いでいた。

「ご……ごめんなさい! 全部、全部ボクのせいで二人を死なせてしまった! ボクがあの時、判断を間違えなければ奏さんは死なずに済んで慎太郎と幸せを築くことが出来たのに! ボクはあの時、自分の毒で、奏さんを殺してしまった! あの日、あの瞬間……奏さんを殺してしまったのはボク自身だ! 迫水隊長も、ボクがいなければこんなことにならなかった! 二人がボクに恨みや憎悪を持っているならそれで構いません! ですが……ボクはずっと謝りたかった! ボクのせいで、二人を死なせてしまった! それは……殺したのも同然! ボクはここ(天国)にいる人じゃないです!」

 紗和は泣きながら二人に謝り、ずっと言いたかったことを叫んだ。何度も謝罪の言葉を叫びながら、少しずつ足を後ろ側に向けていた。反対側に行けば、地獄へ行けると思っているからだ。

「……紗和。キミは大丈夫さ」

 迫水は変わらぬ笑顔でそう言った。

 目尻に涙を溜めながら見開いて紗和は迫水を見つめた。

「…………怒ってないのですか? ボクのせいで……隊長を……」

「ああ……怒ってないさ。私が死んだ理由も、持病の悪化からだからね」

「……病、気?」

「ああ……それより奏?」

「……お久しぶりです、紗和さん」

「奏、さ、ん……ぜ、全部ボクのせいです。ボクのせいで奏さんを……奏さんは……慎太郎と幸せになるはずだった。それを……ボクが……汚してしまった。ボクは……ボ……ク、は……ッ」

 声が震えて、涙が止まらずにいた。あの頃が恋しく、自分のせいでそのあの頃の日々を汚してしまったことに対して自責をし続けていた。

「ボクのせいです……ッボクが……ボクが奏さんを殺したのと同じです……ッ! ボク奏さんを殺したんです……ッ」

 少しずつ雨足が強くなっていく。

「奏、さん……は……ボクのこと……恨んで……ますよね?」

 震える声で恐れながらそう言った。顔も見せる勇気が湧かず、涙を流しながら。

「……恨んでるわけないでしょ」

「…………え?」

 涙を流しながら顔を上げ、涙で視界がぼやけているがようやく顔を見つめることができた。

 雨足が弱まった。

「もう、大丈夫。私には未練なんかない。だから……進んで」

「私達を気に病んでいたんだね。……進め、ウルトラマン。隊長命令だ!」

「ッ……ッッ……っあぁ! あぁあぁっ!!!」

 そして遂に、暗雲は晴れた。

 見渡す限りの快晴となり、二人には後光が差して見えた。

 紗和の中の闇が晴れたかのように言葉が出ず、その場で号泣をしてしまった。

 それでもまたあの時のように抱きしめてほしいと願い、一歩ずつ前へ歩み始めた。

 紗和の心に────光がみちる。

 

 所変わって、セレブロのラボ。

 紗和の家の近所に、セレブロはハッチを作った。そこは地下へと向かうエレベーター。そして、そこにあるのは。

『おかえりなさいませ、マスター』

 地下810m地点、報告管理人工頭脳システム『バルド』によって管理されている、セレブロの秘密基地。タイムトラベル能力を持つクロノームを悪用し、旧日本軍が開発しようとしていた超大和型の設計図をコピーそして再現した宇宙戦艦、その名も『マッドネス号』。

 セレブロはそのマッドネス号のラボラトリールームに引きこもることが多い。

 セレブロは体細胞や重元素を取り出し、機械の中に放り込んだ。

 取っ手をクルクルと廻せば、ゴウンゴウンとやけに凝った駆動音がし、スチームパンクな雰囲気を漂わせながら出来上がったのは。

 チャリン────────────────

 ウルトラメダルであった。

『キエテ・カレカレータ……』

 セレブロは二枚のウルトラメダルを見て、ただにやにやと笑ったのだった。

 

 その頃、闇の世界にて。

「ねぇダーリン、なんだか嫌な予感がする」

「ああ、わかるぜヴェサ……。イライラしてくる波動だ」

 黒い巨人は怒りを顕にしていた。ヴェサと呼ばれた赤紫の巨人は、黒い巨人の隣に座った。

「久しぶりにやっちゃう?」

「ああ、ついでに()()()の実験もしたい」

 黒い巨人はにやりと笑ったのだった。

 

 地響きと雄叫びと共に街の破壊が突然起きた。

「ギシャアアアアッ!!」

 ゴモラが現れたのだ。ゴモラは暴れ回って街を破壊していく。

「撃て! 撃てぇええ!!」

 陸空両方からの攻撃によりゴモラは多数の傷を負う。

 しかし……。

「ゼットォォォン……!」

 どこからともなく現れたゼットンがバリアを張り、ゴモラを守った。その直後に光線が放たれた。機体が破壊されていく。

「チィッ! ()()を実戦投入しろ!!」

「了解! ()()()()()()()発射ァ!!」

 ごろごろ、と変な音がした。

「ギシャアアアッ!」

 ゴモラは破壊しようと近づき始めた。それはゼットンも同様で近づいたが何かが目に入ったようだ。

 怪獣たちの鼻に劈くは爆薬の香り。

 巨大な車輪からだった。

 そしてその巨大な車輪は、ゴモラとゼットンを轢いて爆散した。

 破片がゴモラの目を潰す。

「ギシャアア!? ギシャアアアアッ!!!??」

 ゴモラは短い手で目を触って破片を取り除こうとしている。怪獣でも繊細である目が痛みを感じてフラつきながら目を触り続けていた。

 さらにその破片はゼットンの視覚機関にも当たっていた。

「ゼットォォォ……!?」

 ゼットンがその場で暴れながら取り除こうとしていた。だが二体同時にその場で暴れまわっているせいか街の一部が破壊されているわけで。

 そんなメクラと化したゼットンは目(というか視覚器)が見えないまま怒りに任せて光線を放っていた。

 地響きと雄叫びと共に街の破壊が突然起きた。

「ギシャアアアアッ!!」

 ゴモラが現れたのだ。ゴモラは暴れ回って街を破壊していく。

「よぉっし! 英国さんありがとナス!」

 ゴモラとゼットンは目の痛覚を感じながらも破壊活動をしていた。

 ゼットンに至っては目が見えないまま機体に向かって光線を放ち続けていた。

「無駄無駄無駄無駄ァ!! そんな攻撃貧弱貧弱ゥ!! ノミと同類よォ────ッ!!」

 慎太郎はそう吠えながら回避していく。

 目が見えなくなったせいかゴモラとゼットンは攻撃が不安定だった。

 ゴモラの尻尾はビルや誤ってゼットンに当たったり、ゼットンに至っては攻撃がいつ来るのか分からない状態なのでバリアが張ることが出来ず、光線を打ちまくるだけだった。

 だが未だに2体がその場にいるのも問題である。街の一部が地図から消されてしまいそうなくらい暴れて破壊しているからだ。

 そんなとき、ゴモラとゼットンの視界が甦った。

『ダブったこれらを棄てるか……』

 そんな声とともに、二体はある物を取り込んだのだ。

『コシ・カレカレータ……スカルゴモラ、ペダニウムゼットン』

 それはレッドキングのメダルとキングジョーのメダルであった。

 ゼットンとゴモラが発狂し始めた。

 痛みとともに身体が変質化していったのだ。

 ペダニウムゼットンとスカルゴモラと変化し、スカルゴモラが突進して兵器という兵器を破壊した。

 ペダニウムゼットンは不可思議な声を上げながら光線を放っていた。

「チッ! なんてこったペダゼにスカルゴモラ……!! 怯むな撃て殺せ!!!!!!」

 肇は吼えた。

 機銃掃射やミサイル、そしてパンジャンドラムが融合獣共を一掃し……しかし、それ(融合獣)は今だ健在である。

 スカルゴモラが叫びながら突進しにくる。前へと前進しながらペダニウムゼットンが光線を放ち、機銃などを破壊した。武器が減れば融合獣の勝利の確率が上がる。ピンチも訪れてしまう……

 慎太郎と肇はウルトラマンに変身し、次の瞬間地面に叩きつけられた。

『コシ・カレカレータ……フェイク・ベリアル』

「兄貴のパチモンだとぉおおおお!? 上等だ死ねゴミカスコラァアアアアアア!!」

「バカ乗るな!!」

 にせウルトラマンベリアルの登場である。

「ジャァアアアアッ!!」

 アバドンはにせウルトラマンベリアルに飛び掛る。

 しかし、ニセモノとはいえ力はホンモノと互角でありにせウルトラマンベリアルはアバドンの足を掴んでヴェラムに向かって投げ飛ばした。

「おああああああ!?」

「うぷ゛」

 まるで轢かれたカエルのようなこえであった。

「フッハハハハハハハハッ!!! アハハハッ!!」

 ニセウルトラマンベリアルは滑稽に笑っていた。笑い方が不気味である。

「チッ、忌々しい……!」

 にせウルトラマンベリアルは2人の無様な姿を見て笑い続けていた。そして何故か甲高い笑い声を上げながらアバドンをブン殴り始めた。

 アバドンはそれを掴まえるとおもむろに投げ飛ばす。ヴェラムはその意を察し、にせウルトラマンベリアルにイマージュベムラーのペイル熱線を照射した! 

 にせウルトラマンベリアルは投げ飛ばされた際にビルに直撃して倒れたものの即座に立ち上がり、破壊したビルを盾にしペイル熱線をガードした。

 その時であった。

 スカルゴモラとペダニウムゼットンが待ってましたと言わんばかりにそれぞれを羽交い締めにしていたのだ。

 にせウルトラマンベリアルは全速力で突進し、勢いよく蹴り上げた。

「ガハッ」

「うぐ」

 にせウルトラマンベリアルは滑稽に笑いながら2人を笑い続けていた。そして笑いながら2人を殴り続けていた。

「フハハハハハハハハハハハハッ!!! フハハハハハハハッ!!!」

 気がつけばカラータイマーが鳴り出し、悪戦苦闘の状況に陥っていた。

「あぁん? 最近だらしねぇな?」

 そんな声がした。

 そして、にせウルトラマンベリアルが大きく吹っ飛んで、地面に刺さって犬神家状態になった。

「ぐぉ……!?」

 スカルゴモラとペダニウムゼットンがアバドンとヴェラムから離れて慌ててにせウルトラマンベリアルを助けに向かい、引き抜こうとしていた。

「っ、アンタは」

「だらしねーぞバーロ」

 青い頭にスターマーク、腕に光る『KAN』の文字……。

 間違いない。

「ウルトラマン、ビータ……!」

 にせウルトラマンベリアルはようやくスカルゴモラとペダニウムゼットンのおかげで抜け出せたようだ。

 にせウルトラマンベリアルは怒りに任せてビータに殴りかかった。

 さすがはウルトラマンビータ、軽やかなステップで全て避け、そして的確な技を放つ。

「グァ……ッ」

 ニセウルトラマンベリアルは怒りのあまりに自分の爪で顔を掻いていた。

 スカルゴモラとペダニウムゼットンがにせウルトラマンベリアルの怒りに察して援護をするようにビータに近づいた。

 しかしそこは歴戦の勇士アバドンとヴェラム、的確に弱点を狙い弱体化を図る。

「ギシャアアアッ!?」

「ゼットォォ……」

 2体同時に呻き声を上げながら同時にアバドンとヴェラムに突撃した。

 にせウルトラマンベリアルは憤怒の状態でビータに攻撃を当て続けた。

 しかしビータは笑っていた。

「弱い、弱いぞニセベリアル」

 膝蹴り一閃。

 それだけでニセベリアルは何キロも吹き飛んだ。

「ぐぉぉ……!?」

 にせベリアルが建物に激突し、破壊しながら倒れて行ったが、やはりホンモノのベリアルと互角の力なのか、立ち上がりビータに鋭い爪を向けた。

「見てらんねぇぞウルトラマン共」

 その声とともに黒いイカヅチが舞い降りる。

 そこに居たのは怪物だった。人型の怪物。ビータはすぐに察した。ウルティノイドだと。

「……排除、開始」

 そのウルティノイドは、ニセベリアルの首の骨を簡単に折った。

 めしめし……っ

 頚椎の折れる音と共に、にせウルトラマンベリアルの首は90度倒れ、一瞬痙攣してそのまま死んだ。

 スカルゴモラとペダニウムゼットンは戦っている最中だというのに死んだことに驚いて戦闘する動きを失った。隙が多すぎる、ということだ。

 アバドンはスカルゴモラに飛びかかり、マウントポジションを取るや否や小型の紅八塩(くれないやしおの)赤剣(あかつるぎ)を取り出してメッタ刺しにした。

 それでもなお起き上がるスカルゴモラ、そこにそのウルティノイドは両腕のクローを使いさらにメッタ刺しにしていく。

「刺突……」

 そんな声がした。

「さすがだ……デリーター。もっとやっちまいなぁ」

 デリーターと呼ばれたそのウルティノイドは、両腕でのダークファランクスもどきを放ち、スカルゴモラに風穴を開けた。

「ギ……ギシャアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!!!」

 スカルゴモラは甲高い呻き声を上げながら爆散した。

 残るはペダニウムゼットンだけだった。攻撃がくればバリアを張り、光線を放ち続けた。

「ちっ、コイツめちゃくちゃ強化されてやがるな」

「……抹殺」

 ダークファランクスを放つデリーター、だがそれはバリアに弾かれ……。

「それ、ヴェサ、少し手助けしてやりな」

「はーい! でもダーリンと一緒がいいー!」

「っ……わかったよ……。おいビータ、合わせろよしっかりとな」

 虚空より降りてきたその影は、確かに見るものの心を動かした。

『勝った』

 そんな思いを浮かばせる程、()()は強すぎた。

 ダークザギ、そしてダークフェレスである。

「よし……やるか」

 ダークザギとダークフェレスは同時に『グラビティ・ザギ』を照射。そしてペダニウムゼットンの正面からビータがガレリオン光線を放つ。

 ガラ空きの背中にアバドンのアバディウム光線、さらに右からパンジャンドラム、左からはヴェラミックキックラッシュ。

「ゼット……!? ゼットォ……!?」

 ペダニウムゼットンは全ての攻撃をバリアで避けようにも予測不可能な攻撃のせいでバリアを張ろうにも次の動きが分からず直撃し続けていた。

「……ハァッ!!」

 デリーターは、そんなペダニウムゼットンに対して必殺のデリートパニッシャーを放った。

「ゼッ……!?」

 バリアを張り受け止めて身を守ろうとしたのだろう。だが、それは間に合わず、ペダニウムゼットンはそのまま爆発四散したのだった。

「よし、帰還するか」

 

「まさかアンタらが居るとは思わなんだ」

 とあるラーメン屋にて、変な四人がいた。

 慎太郎と橘シュン、そして白い髪の少女に……やや慎太郎に似た姿の青年がいる。

「ザg……いや、クロサキ夫妻が来ているとは……」

「来ちゃいました~♪」

「リサに着いてきただけだ」

 ダークザギもとい『クロサキ・ミツル』、ダークフェレスもとい『クロサキ・リサ』。この名前は地球での戸籍だそうだ。

 慎太郎は、ふぅん、と変な息をして、眼前の肉そばに視線をやった。

 肉そば肉ダブル。美味いに決まってる。薄切りの豚肉が、コシのありそうな麺が、いい香りを漂わせるスープが言っている。俺らは美味いぞと。

「いただきます」

 皆揃っての挨拶。

 慎太郎はまず真っ先にスープを飲んだ。

 旨みと香り。それらが渾然一体となって鼻腔と味覚を刺激する。

 ほうと一息。

「うめぇな、このラーメン」

 ミツルはそういって、麺をすする。

 肉と麺を絡めて食うと、脂と身のバランスがいいこの肉が麺の風味によって強調され、また麺の味も感じられるのだ。

 またほうと一息。

「美味しいー!」

 リサが行った味変は『柚子胡椒おろし』。

 スープに爽やかな香りが追加される。さらに麺によく絡むお陰か食べる度に香りが増える、そして味が引き立つのなんの。

 さらにほうと一息。

Hold up! (待ってくれ!)なんだこの美味さは!」

 そしてシュンはどろだれラー油をスープに混ぜていた。

 癖になりそうな深みと辛みがスープに生じ、止まらない。箸が、レンゲが、両方がずっと止まらないのだ。

 またもやほうと一息。

 さてさて、時間は経ち。

 一同が食べ終えた時、慎太郎はおもむろに口を開けてこう言った。

「さて……この世界線にセレブロが発生した訳だ」

「ちっ、ツマンネェ奴が現れやがったか」

「……ダークザギ夫妻がいるのは凄く有難いんだが……」

「だがー?」

「問題はどうやって宿主からひっぺがすかだよなァ」

「強い力でボコるしかないんじゃないかなー?」

Good grief at the assault thinking(突撃思考たまげたなぁ)

 シュンの言葉で途端にしゅんとするリサ。冷笑する目つきの慎太郎とミツル。シュンよ、言葉を選びたまえ。

「と、とにかくだ……ほかにやり方はあるんじゃあないかい!?」

「そうだな」

「……そうだ!」

 リサは何かを閃いたようだ。

 ………………。

「……それならいけそうだな」

「いい案だリサ、さすがは俺の嫁」

「二日後のヒトヒト(十一時)サンマル(三十分)。セレブロを倒そう」

 術はもう、固まった───────!!

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