インフィニット・ストラトス a Inside Story 作:鴉夜
可能性。
それはありえた現実。
或いは夢物語。
或いは妄想の産物。
或いは悲劇の始まり。
或いは喜劇の終わり。
或いは希望的観測。
或いは真っ白な嘘。
或いは真っ赤な真実。
或いは1人の人生で、
或いは世界の有様。
1人の人生とは『
世界は『IS インフィニット・ストラトス』 の
『
ではでは、可能性たる俺が、可能性である裏物語を語るとしよう。
語ることを責任とし、世界の責任を果たす物語を。
◇
『女の子』『女子』『女性』『WOMAN』『female』などなど『女』を表す単語は数多く存在するが、『女子高生』や『女子中学生』や『幼女』に心ときめくのは何故だろう。
ここで同意をした男子諸君。君は間違いなく変態でロリコンだ。青い果実に興奮をするあたりが変態で、『女子大生』を入れていないあたりがロリコンだ。ちなみに俺こと『黒神京夜』はどちらでもない。
変態に関して言えば俺のことをよく知る大多数の友人、知人、友達は声を揃えて「変態ではない」と言ってくれている。だが、必ずこうも言われる。「お前は変人だ」と。変人って。なんかそれって変態を網羅していないだろうか。比較級最上級みたいに『変態』―『ド変態』―『変人』みたいな。「大丈夫、良い意味だから」。良い意味で変態の最上級ってなんだろうね。
またロリコンについては断固否定できる。確かに女好きで女ったらしなのは否定できないが、俺はロリコンではなく守備範囲がとてつもなく広いのだ。サッカーでいえばキーパー含めて俺1人だけで無失点のギネス記録を打ち立てることができるだろう。
だからといって手当たり次第に手をつけるような無節操ではない。結構モテるのではと中二病の左目眼帯の如く思ってはいるが、それを本気で信じている程馬鹿でもない。こう見えて結構シャイなんだよ俺は。小学生の頃、好きな女子をからかって喜びを感じるようなね。それはシャイではないって? シャイもサドも頭文字は『S』だからきっと始まりは一緒じゃないかな。
話は大きく逸れたが、『女子高生』に興奮する男子諸君は当然、ほぼ間違いなくこの聖域を示す単語にも心躍り、ときめくに違いない。
――『女子高』
男子が足を踏み入れることのできない神聖な領域。文化祭の時でさえ招待状なしでは門を拝むことすらままならないだろう。その天国とも言うべき空間では昼夜どんな光景が広がっているのだろうか。もしそんな桃源郷に足を踏み入れることができたならご飯3杯はイけるに違いない。
そんな大食らいな男子諸君。申し訳ない。君達の絶対叶わないであろう夢を今、俺は実現させようとしている。そう、今日から俺は『女子高』である『IS学園』に入学するのだ。羨ましいだろう。そうだろう。そうだろう。マジゴメンな?(キメ顔) 文句は俺が死んだ後だったら聞いてもいい。葬式のお経と一緒に。だが、その為の呪いや不幸の手紙等は勘弁願いたい。ので住所や生年月日等の個人情報は載せません。あしからず。
ではここで目から血の涙を流しているであろう男子諸君の夢を叶えた俺のサクセスストーリーを語るとしよう。つまり『女子高』に入学することとなった経緯だ。それにはまず『IS』について語らなくてはならない。
『IS』――正式名称『インフィニット・ストラトス』。宇宙空間での活動を想定して作られたとされているマルチフォーム・スーツ。しかし実際の活躍の場は『宇宙』ではなく『戦場』であり、それにより世界は各国の思惑によってひしめき合っている。
『製作者の意図』は、世界に決して汲み取られていない。
現在ではスポーツとして落ち着いたこの飛行パワードスーツの操縦者育成の為に作られた、唯一の教育機関が日本にあるこの『IS学園』である。
そしてこの『IS』は女性にしか基本的に扱えない。
それは『製作者の意図』であるのかどうか、世界は知らない。だがそれがどうであれ、男にとっては鉄クズ同然の代物だ。しかし『IS』の登場は世界を劇的に変化させることとなった。今後の生活の中でその変化について触れる機会が多々あると思うので、それについてはその時に語るとしよう。
よって女性にしか扱えない『IS』の操縦者を育成する『IS学園』が『女子高』であることはお分かり頂けたであろう。しかし、それでは俺こと『黒神京夜』が『女子高』に入学できる理由にはなっていない。実は俺とか言ってるけどホントは女でした(笑)とか10週打ち切りコース間違いない駄漫画の設定ではない。
『IS』は女性にしか
そう、俺は公式発表されないが世界で2番目の例外の『IS男性操縦者』なのだ。
以上、サクセスストーリーでした。ご清聴ありがとうございました。
そんな2番目の例外な俺は今現在IS学園の廊下、1年1組教室の扉前で1人待ちぼうけている。
所謂転校生的な扱いでの入学となった俺は出番を待っていた。中では恐らく自己紹介が行われているのだろう。拍手や時折黄色い声援が響いている。俺は正直待ちぼうけ過ぎて暇人だ。
しかし、考えてみれば既にここは聖地。乙女たちの花園なのだ。この廊下の空気でさえ、外とは違う華やかな香りがするに違いない。ここで一生分の呼吸をすることとしよう。
「(そんなことできる訳ないでしょ)」
「(諦めなければ必ず道は開ける!!)」
「(三途の川への道なら開けるかもね……)」
さてさて、今の会話は口に出している訳ではない。誰もいない廊下で独り言を呟いている所を誰かに見られでもしたら、それはとてつもなくショッキングな高校デビューになるだろう。
そう、これは脳内での会話だ。俺は人間なのでテレパシーとか超音波で会話はできないし、ましてや通信機器内蔵型人間ではない。正直嫌ではあるが、電波な高校生ということにしておこう。先程のは脳内彼女ということで。
「(名前はそうだな……略して『
「(ちょっと! それじゃ『ティーナ』より長いし、略されてもないし! それに『綾小路冷子』って実家の冷蔵庫の名前じゃない!!)」
俺は何にでも名前を付ける。その方がなんとなく愛着が沸くからだ。扇風機の『ジョセフィーヌ』やテレビの『マリアンヌ』などがその一例だ。全て女設定であることは言うまでもない。
そして冷蔵庫の『綾小路冷子』。1人暮らし用の小さい2ドアの黒い冷蔵庫で、主に飲み物用として長年連れ添ってきた。気の利くヤツでいつも冷たいコーラを用意しておいてくれて定期的に話もしてくれた。まぁ機械語なので「ブゥゥゥゥゥ」としか俺には聞こえないのだが。
『冷血の麗人』『黒き雪女』の名を欲しいままにした相棒だったのだが……
「(そういえば『綾小路冷子』は去年お亡くなりに……実に惜しい人を……うう)」
「(そりゃ中古で買ってきて10年近く使えば壊れるでしょ。寿命だったのよ)」
去年の夏に『綾小路冷子』はお尻から黒い煙を出して意識不明となり、そのまま帰らぬ人となったのだ。その時の俺の自暴自棄っぷりといったら相当なものだったそうな。
「(きっと天国で俺のことを見守っていてくれてるよな?)」
「(そうね。っていうか京夜、ホントは新しい冷蔵庫買って今の今まで忘れてたんじゃない!?)」
新しい冷蔵庫は『
「(……何を言っているのかなティーナ君! 僕は今も昔も大事にする人間だよ!?)」
「(ハイハイ、そーゆーことにしておきましょ)」
ティーナはそう言うと軽く微笑んだ。彼女は現段階では説明不十分で脳内彼女設定だ。実在する人間ではない。
背は150センチ満たない程で、綺麗な金糸のストレートの髪は背中まで伸びている。透き通るような白い肌に、水晶のような透き通った碧眼。華奢な体つきは守ってあげたくなるようなオーラを全身に纏わせ、鮮やかな水色のワンピースを来た貧乳の超絶美少女だ。
10人が10人振り返らずにはいられない貧乳の美少女がティーナの『設定』である。大事なことなので『美少女』と2回言いました。若干『美幼女』かもしれません。『貧乳』も2回言いました。ホントは3回言いたいです。
「(……なんか失礼なこと思わなかった!?)」
ティーナは貧乳と言われるのが超絶に嫌らしい。俺的には貧乳も巨乳と同じくらいの素晴らしきステータスと考えているので褒め言葉と思っているのだが、こればっかりは本人がどう受け取るかなので気を付けている。
だが、やはり声を大にして言いたい! 貧乳はステータスだ! 『ちっぱい』とも言われる凸凹のない平坦な胸には無限の可能性が……
「おい、黒神! 入ってこい!」
『ないちち』について一人熱弁を展開していると中から俺を呼ぶ声がした。その声の主は先程、職員室からここまで俺を連れてきた担任の先生だろう。あの『
「(職員室で初めて会った時は感激に満ち溢れた表情ではなかったけどね……)」
「(……ティーナ。分かっているのだろう? 会いたかったという気持ちが必ずしも喜びの感情ではないことに)」
「(……そうね。よく分かっているわ)」
俺は改めて自分の教室の扉の前に立つ。
この扉は1冊の小説の表紙のようなもの。この先で起きるストーリーは他者の奇なる思考によるものなのかそれとも作者は俺なのか。
この扉は劇場の幕のようなもの。この目に映るのは悲し過ぎる喜劇なのか、優し過ぎる悲劇なのかそれとも報われない復讐劇なのか。
「(さあ、開演だ)」
俺はその扉を開いた。
『インフィニット・ストラトス a Inside Story』は自身のブログでも掲載中です。
設定画や挿絵、サブストーリーなんかも載せていくつもりですので、良かったらそちらもご覧戴けると嬉しいです。
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