インフィニット・ストラトス a Inside Story 作:鴉夜
また、オリジナル解釈が多めです。矛盾や、つじつまが合わない等はあるかと思いますが、本当にご勘弁ください(泣)
「京夜、とりあえずクラス対抗戦に向けて今日の放課後から特訓するつもりなんだけど、付き合ってくれないか?」
長針と短針が共に真上を指す頃。俺は一夏、箒、セシリアを連れ立って食堂へ向かっていた。一夏がいるので、実際はクラスメイト数名も付いて来ている。
並んで歩く一夏が今後の訓練について話を振ってきた。どうやら観念して熱血することにしたようだ。あんだけ『やる気スイッチ』を連打してやったんだから当然と言えば当然だ。そろそろ個別指導塾の『スクールIS』からスカウトの話が来てもいいくらいの手腕を発揮してやったのだからな。だが……
「なんで俺に頼むんだ? 近接格闘なら箒、ISの操縦ならセシリアが適任じゃないか?」
「いや~頼んだんだけどさ。2人とも京夜が一緒にやるなら手伝うって言うから」
そう言うと一夏は俺たちの後ろに並んで歩いている箒とセシリアの方を向く。俺もまた2人の方を向くと当然と言わんばかりの箒とセシリアの顔がそこにはあった。
「そう言わないと、京夜は訓練しないだろ」
「京夜さんにも是非参加して頂きたいと思いまして――」
「頼むよ! な! サポートしてくれるって言ってたじゃないか!」
「……一夏、このタイミングでそれを言うって……わざとだろ」
俺の言葉に一夏は俺から目線を逸らし、『何言ってるか分かりません顔』で口笛を吹く。この野郎。この状況で断ったら俺がこの2人に相当文句を言われる(物理的も含む)のを分かっていて4人でいる時に言いやがった。ここで『断る』という選択肢が選べなくなっている事実に俺はうな垂れる。俺の運命はエロゲ―の体験版ではあるまいに。そう簡単に受け入れてたまるか! 俺の人生には無限の可能性がきっとあるはずなんだ!!
「だがことわ……るわけないじゃないですか~。いや~箒さんと、セシリアさんと一緒に訓練したいな~」
反逆の旗を掲げたつもりが白旗だった。全面降伏だ。一般人には分からないかもしれないが、俺には分かる。木刀とレーザーライフルの脅威に晒される俺の未来が先読みできる危機回避能力だ。とある麻雀漫画では同じ能力を持った打ち手がいるそうだが、この間の耳の件といい、徐々に近づけようとしている悪意はきっと大いなる意志という名の伏線ではなかろうか。
「はぁ~わかったよ。面倒くさいけど付き合ってやるか」
「ああ、サンキューな!」
まぁしょうがない。セシリアが一夏や俺に対して好意的になっていなければ、俺がISの操縦を直接教えるつもりでいたのは確かだから別にいいけどさ。だが一夏、覚悟しておけよ? 地獄への体験版を特訓にインストールしてやるからな。
食堂に着くとそこは相変わらず多くの生徒で賑わっていた。自炊してお弁当を作る生徒もいるそうだが先生曰く、入学したばかりで忙しいこの時期の一年生は殆どが食堂を利用しているそうだ。
この食堂は券売機で食券を購入し、カウンターで食券と引き換える一般的な高校の学食と同じスタンダードなスタイル。だが普通の高校とは違い、多国籍の生徒が多いIS学園はとにかくメニューが多い。それでいてリーズナブルな価格設定がとても嬉しい限りだ。
俺は生活費が免除されている。だがそれは家賃というか、寮での生活費用というだけで、食費は自分で払わなければならない。なのでこの低価格は本当にありがたい。安いに越したことはないと考えるのは俺が貧乏性なのでしょうがない。
ちなみに俺と一夏はいつも日替わりランチ。値段もそうだが、毎日違うものを食べられるので栄養バランス的にも申し分ない。箒はきつねうどん、セシリアは洋食ランチが多い。美味そうに食べている2人を見ると、たまにはそちらにしようかとも思うが、結果的には日替わりランチを頼んでいる自分がいる。
「待っていたわよ、一夏!」
どーん、と一夏の前に立ちふさがったのは、先程あまり締まらない初登場を果たし、微妙な高校デビューとなった噂の転校生である2組の中国代表候補生だった。
っていうか毎回この呼び方をするのが面倒くさい。あまり近づきたくないので本当は呼びたくないが、凰さんと呼ぶことにする。
どうやら凰さんは既に注文を終えていたようで、手に持つトレーの上にはラーメンが鎮座していた。
「まぁとりあえず、そこどいてくれ。食券出せないし、普通に通行の邪魔だぞ。それに麺、のびるぞ」
「うるさいわね、わかってるわよ! 大体、アンタを待ってたんでしょうが! なんで早く来ないのよ!」
凰さんの理不尽な発言に、慣れっこと言わんばかり顔の一夏は食堂のおばちゃんに食券を渡す。出てきた本日の日替わりであるサバの塩焼き定食を持って2人は席を探しに行った。
同じく食券を出して、日替わり定食を受け取った俺は一夏とは違うテーブルに行こうか考えていた。ただでさえ10人近いグループなのに、凰さんまで加わったら落ち着いて食事が出来そうにない。もちろん関わりたくないのが一番の理由ではあるが。
だが、それも淡い期待だった。俺を見つけた一夏は「こっちだ」と大声で呼ぶ。これ以上注目に晒されたくない俺は観念して一夏の待つ10人掛けのソファーテーブルに向かった。
一緒に来ていたクラスメイトたちは様子をうかがっているのか、全員一夏と同じテーブルには着かず、一つ隣の席に座って一夏のことを観察していた。流石に10人掛けに一夏と凰さんの2人だけでは微妙なので、嫌々ながらそのテーブルに着く。正面向かって左からセシリア、俺、箒、一夏、凰さんの位置でゆったりと座る。
「それにしても久しぶりだな。元気してたか?」
「元気にしてたわよ。アンタこそ、元気そうね」
「まぁな。それにしても鈴、いつ日本に帰ってきたんだ? おばさん元気か? いつ代表候補生になったんだ?」
「質問ばっかしないでよ。アンタこそ、なにIS使ってるのよ。ニュースで見たときびっくりしたじゃない」
一夏と凰さんは昔話の花を咲かせる。話の内容から察するに小学校、中学校時代の友達のようだな。当然言い方を変えれば幼馴染ということだ。その事実に俺は少し苦笑する。
いつも以上に友達である女子との会話が盛り上がる一夏。すると凰さんは俺へと視線を向ける。
「アンタが2人目の男子操縦者? 名前は何だっけ?」
「ああ、わるい。まだ紹介とかしてなかったな」
凰さんの発言に一夏が答える。俺は別に紹介しなくてもいいぞ。セシリアはともかく箒もあまり興味なさそうだしな。とはいえ、そんな訳にもいかないのは分かっているけどさ。
「こいつは凰鈴音。俺は鈴って呼んでる。幼馴染ってやつだ。小5の頭に同じ小学校に転校してきて、中2の終わりに国に帰ったから、会うのは1年ちょっとぶりだな」
「初めまして。これからよろしくね」
凰さんはこちらに軽く笑顔で答える。そうか、箒は「一夏とは小4の終わりに転校して以来だ」と言っていたので、2人は互いに面識がないんだな。
「で、こっちが黒神京夜。俺と同じ男性操縦者だ。左がイギリス代表候補生のセシリア・オルコット。右が篠ノ之箒だ。箒についてはほら、前に話したろ? 小学生からの幼馴染で、俺の通ってた剣術道場の娘」
「こちらこそ、よろしく」
「よろしくお願いしますわ」
「よろしく」
一夏の紹介に、俺、セシリア、箒の順に挨拶を交わす。凰さんはまるで値踏みをするかのように俺たちを見た後、何に対してか分からないがちょっと自信ありげな表情を見せた。
その顔つきにイラっとしたのだろうか。セシリアの表情が変わった。あまりケンカごしにならないでくれよ?
「凰鈴音さんは中国代表候補生でしたわよね? 今度是非お手合わせ願いたいですわ」
「別にいいけど、でも戦ったらあたしが勝つよ。悪いけど強いもん」
「い、言ってくれますわね……」
凰さんはどこから来るのか分からない確信じみた言葉を、嫌味のない言い方で口にする。嫌味がなくても怒る人間はいるんだけどな。
実際セシリアはわなわなと震えながら拳を握りしめている。あまり挑発しないでもらいたいものだ。
俺は箒に見えないようにセシリアの拳に手を添える。驚いて俺を見る彼女に笑顔で答える。顔を少し赤らめるも落ち着いたようだ。
そんな中でも何食わぬ顔でどんぶりを持って、ごくごくとスープを飲む逞しき凰さん。彼女もまた、調定者にはなれないタイプか。
「そういえば、一夏。クラス代表なんだって?」
「おう。まあな」
「じゃあ、ISの操縦、あたしが見てあげよっか?」
自信満々の顔で一夏に提案をする。代表候補生ってみんなこんなに自己顕示欲が強いんだろうか。色んな物を通り越して感心するよ。
けど彼女が一夏を特訓してくれるのなら、俺は楽できそうだ。最低限のフォローだけで済むからな。まぁ多分断るんだろうけど。
「悪いな鈴。俺は京夜たちと一緒にやるわ。だって鈴は2組のクラス代表なんだろ? 対戦するかもしれないのに、手の内を晒したくないし」
「へぇ~、言うわね一夏。あたしに勝つつもり? 面白いじゃない! じゃあ勝負ね! 負けたらいつも通り、五反田食堂でオゴリってことで!」
「よし! 乗った!」
昔ながらの友人ということもあって、この2人は良い刺激を与えられる関係を保てそうだ。セシリアも最初こそ無理かと思っていたが、今では一夏に、というか俺に協力してくれるだろう。
ちなみに俺の一番の協力者である脳内彼女のティーナと茜は目下、中国代表候補生・凰鈴音の情報収集にあたってくれている。前回は一夏に提供しなかったが、これ以上は流石に負けてもらっては困るので、事前に得られるだけの情報を収集し、対策を練るつもりだ。
背後の席に座るクラスメイトたちの一番の疑問は解消されないものの、比較的和やかな空気のまま、俺たちは食事を終えて食堂を後にした。
◇
「バリアー無効化攻撃?」
寮の廊下、放課後の特訓の後に更衣室でシャワーを浴びた俺と一夏はそれぞれの部屋へと向かって歩いている。箒とセシリアには先に部屋へ戻ってもらった。
そんな帰り道の現在『キョウちゃんお悩み相談室』オンエア中だ。『FM・IS学園』から暇具合と気分のバロメータ次第でお届けする当チャンネルのメインパーソナリティーはキョウちゃんこと俺が務めさせて頂いております。
「(アシスタントは金髪美少女系アイドル、ティーナちゃんと――)」
「(えっ、え~っと、きょ、巨乳美少女系アイドル、茜ちゃんでお送りしますぅ~)」
「(……ウガアアアア!!! やっぱりムカつく、ムカつくわ―――!!!)」
「(えええええっ!? 胸を揉まないでくださいぃ~。ティーナ先輩が言えって言ったんじゃないですかぁ~)」
アシスタント暴走中でもノンストップでお届けしていきますよ。面倒になるか飽きるまで続けるのが当局のテーマですので。
ではでは毎回送ってくれているハガキ職人のラジオネーム『お姉ちゃん大好きブラコンいっちー』さんからのご相談。
「金髪ドリルに負けた理由が知りたい」だそうです。
あれから何度も
ではでは『歩くスピーカー』と言われた俺が、セシリアへの告げ口を約束しつつ、『歩く図書館(大人版)』と言われた俺がお答えして行きましょう。
「白式は既に
「『零落白夜』……」
単一仕様能力とはISと操縦者との相性が最高状態の時に自然発生するとされている固有の特殊能力のこと。
「『零落白夜』は相手のシールドエネルギー残量に関係なく、シールドバリアーを切り裂いて本体に直接ダメージを与えることができる。そうすれば相手の『絶対防御』が発動するので大幅にシールドエネルギーを削ぐことができるという訳だ。だが、当然リスクもある。この能力には膨大なエネルギーが必要で、自分のシールドエネルギーを消費して攻撃に転化させているんだ」
「なるほど!! だからあの時、切りつける前にシールドエネルギーが尽きたって訳か」
アンサーコンプリート。今日も今日とて迷える仔羊を救ってしまった『キョウちゃんお悩み相談室』もアシスタントの一人が揉まれ過ぎた結果、発熱してブッ倒れてしまったので、ここでお開きとさせてもらいます。次回はあるかな? 予定は未定。それではSEE YOU NEXT TIME。
「けど、京夜はやけに詳しいな。なんでそんなこと知ってるんだ?」
「俺はお前が知らないっていう方が驚きだ。記録映像を見たことがあるので知ってるんだが、『零落白夜』は織斑先生の現役時代に使っていた能力だ」
「え!? そうなのか!?」
そんなことあり得るのか!? と続ける一夏。さっきも説明したが、あり得ないとされているので単一仕様能力と言われている。
だが、真実は違う。ISに人格があることを知らない世界はそれを知る由もない。
俺はその質問に対して「分からない」「男性操縦者だからなのかも」とか適当に答える。答えを明かす必要もないだろう。使いこなすことに意識を置いてもらいたいしな。
「あっ! 一夏―――!!」
俺たちの後ろから一夏を呼ぶ声が聞こえる。振り返るとそこには一夏の幼馴染である凰さんと金髪碧眼の女子がいた。凰さんはトレードマークともいえるだろうツインテールを左右に揺らしてこちらに駆けてきた。隣にいた金髪の女子もまたゆっくりではあるが彼女の後についてくる。
「何してんのよ? 訓練の帰り?」
「ああ、そうだぜ。……そっちの人は?」
「初めまして。彼女と同室のティナ・ハミルトンよ。宜しくね」
「ああ、初めまして、織斑一夏です。こちらこそ宜しく」
金髪の女子は凰さんのルームメイトだそうだ。ティナ・ハミルトンね。うちのクラスの女子ではない。やはり凰さんと同じ2組の生徒だろうか。
ハミルトンさんは一夏に挨拶をした後、俺に視線を移す。とりあえずの社交スキルを発動しておこう。
「初めまして。黒神京夜です。宜しくどうぞ」
「ええ、よろしくね」
俺の挨拶に一夏の時と変わりない口調や雰囲気で返してくる。どうやらあまり外見や偏見で物を見るタイプではないようだ。
だが、まあハミルトンさんのことはそこまで気にする必要はないだろう。むしろ今は重要危険人物からどう離れるかに思考を巡らせる必要があるだろうしな。
「それはそうと一夏。ちゃんとオゴる準備しておきなさいよ?」
「なに言ってんだ鈴。俺は絶対負けないからな!」
「絶対勝って、アンタの財布の中身をスッカラカンにしてあげるわよ!」
一夏と凰さんはとても良い笑顔で互いを見つめ合っている。俺にはライバル関係というかケンカ友達といった印象を受けたのだが、男女が向き合っているその様は一般的にそうは見えないのではないだろうか。
どうやらハミルトンさんもまた、見えなかったようだ。
「ねぇ鈴、もしかして一夏くんと付き合ってるの?」
ハミルトンさんの疑問、それは今日の昼食時に食堂で俺たちの後ろの席を陣取っていたクラスメイトたちの一番の疑問だろう。
一夏と凰さんは、ハミルトンさんの方を一度見た後に目を丸くして互いを見つめ合い、笑い合った。
「別に付き合ってはないわよ」
「そうだな。ただの幼馴染で、友達だ」
「ええ、そうね。……あたしは恋愛なんて二度と、一生しないから」
彼氏彼女疑惑否定の後、凰さんはつぶやくように、そして顔にわずかではあったが影を落として、低い声でそう言った。その一言はどうやら一夏やハミルトンさんには聞こえていなかったようだ。
さて、これ以上はよろしくない。離れるタイミングをずっと探っていたのだが、ここしかないだろう。
「じゃあ、俺はこれで……」
「それはそうと、黒神だっけ? アンタに聞きたいことがあんのよ!」
にげられない。てきにまわりこまれてしまった。
その上、話の流れを変える為に利用されてしまった。話題の中心が俺になりそうなので、次のタイミングが掴みづらい。最悪だ。
「……俺にですか?」
「最初に会った時にも思ったんだけど、前にどっかで会ったことない?」
凰さんの発言に俺は少し動揺する。もちろんそれを顔に出す程、俺は馬鹿ではないし、間抜けではない。元々ポーカーフェイスに自信があるし、前髪で顔の半分は隠れている。悟られてはいないだろう。
既にティーナと茜が集めてきた情報に目を通していた俺は確証を得ていた。ここは当然……
「俺の記憶にはないですね。中国にも行ったことはないですし」
「そう。じゃあ気のせいか」
俺の否定をあっさり受け入れる。恐らくまだ心の片隅で引っ掛かったレベルなのだろう。だが気にはかけているようだ。危険だな。
だが実際の所、絶対の保証なんてあり得ないので、僅かな可能性を視野に入れて危険人物と置いているが、この問題に対して俺の中で「大丈夫だろう」という気持ちが大きいことは否定しない。
「
「実は、俺も京夜には会ったことがあるような気がしてたんだ」
凰さんの発言に、触発されたかのように一夏が言う。本当に一夏には驚かされる。馬鹿で単細胞で朴念仁で、どうしようもない程に無知なのにな。
「よく分かんないんだが、雰囲気とか声になんとなく覚えがあるんだよな~」
一夏の発言に内心、凰さん以上の動揺と驚きが俺の中には生まれたものの、俺の返答は決まっていた。世の中に『0』と『100』はあり得ない。俺は常にそれを意識して、思考し続けるだけだ。
「一夏とも会ったことはないな。もし一夏みたいなイケメンと知り合いだったら、お前のケータイに毎日迷惑メールが1000件届いているだろう」
「地味な嫌がらせはやめてくれ!」
「明日、教室の席に着く時は注意しろよ? 椅子に瞬間接着剤を塗ってあるかも?」
「何そのイジメ予告!? お前楽しんでるだろ!?」
「冗談だ。楽しいのは否定しないが」
一夏はリアクションが素直だからな。箒やティーナとは違ったツッコミなのでそれはそれで面白い。結構笑いが分かってるなと思う。馬鹿だけど。馬鹿だからか?
すると俺のズボンのポケットから普段は流れないメロディーが流れだす。取り出した携帯端末には箒からの着信の文字が。ナイスタイミングだ。
「箒から電話だ。悪い一夏、俺は部屋に戻るから」
そう言うと俺は部屋へと走りだす。表示された文字は箒であったが、もちろん本当に箒からかかってきたわけではない。我が電子な相方たちの機転という訳だ。
「ねぇ一夏、もしかしてアイツにあたし、避けられてる?」
「そうか? いつもとあんまり変わんなかったけどな」
「そう。別にいいけど」
「(別にいいっていうような顔はしてないけどね~)」
「(そうですね~。ずっとこちらを見てますね~)」
人間である俺には見えない真後ろの彼女の様子を伝えてくれるティーナと茜。やはり気にしているようだ。だがこればかりはどうしようもない。関わらないようにして避けていくしかない。そうでなければ、
俺は何もしない。何もするべきではない。それは悪手になりうること可能性もあるだろうが、ベターな選択肢ではあるだろう。望む望まざるに関わらず。
そんな複雑な心境のまま、俺は部屋へと戻った。
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