インフィニット・ストラトス a Inside Story 作:鴉夜
また、オリジナル解釈が多めです。矛盾や、つじつまが合わない等はあるかと思いますが、本当にご勘弁ください(泣)
「今日はなんと転校生を紹介します!」
「「「えええええっ!?」」」
今週の頭に行われたクラス対抗戦の騒動の時とは違った衝撃がクラス中に走る。三度の飯より噂好きの女子高生たちがざわつくのも当然といえば当然か。
水曜日の朝。昨日殆ど寝ていない上に、朝から箒の引っ越しの手伝いをしていた俺は止まらない欠伸を何度となく噛み締めながらその光景を冷やかな目で見ていた。
失礼します、の挨拶と共に教室のドアが開かれて入ってきた転校生のその姿を見たクラスメイトたちは、まるで時間が静止したかのように動きを止める。
整った中性的な顔立ち、セシリアより色味の濃い金髪。長めのそれを首の後ろで束ねており、とても清潔感のある髪型。155センチ程の身長に、華奢な体つき。礼儀正しさが全身からにじみ出ている。
「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。この国では不慣れなことも多いかと思いますが、みなさんよろしくお願いします」
少し高めの爽やかで透き通った声。そんな姿と声に、俺と箒を除くクラスメイト全員があっけにとられていた。そりゃそうだろう。先程の容姿の説明では、その性別まで判断できないのだろうしな。
「お、男……?」
「はい。こちらに僕と同じ境遇の方がいると聞いて本国より転入を――」
誰かが呟いた発言に、柔らかな物腰で答える。この『貴公子』のような印象さえ受ける笑顔の転校生は――男。『3人目の男子操縦者』なのだそうだ。
「きゃ……」
「はい?」
「きゃあああああああ――っ!」
クラスの中心を起点に放たれたソニックウェーブともいうべき歓喜の叫びは俺の耳を破壊しかねないボリュームで発せられてクラス中に伝播する。
「男子! 3人目の男子!」
「しかもうちのクラス!」
「美形! 守ってあげたくなる系の!」
「地球に生まれて良かった~~!」
元気いっぱいのクラスメイトの女子たち。確かに一夏と同様相当なイケメンだし、気持ちは分からないでもないが、ちょっと『男』に対して反応し過ぎではないですかね。
俺はその王子様のような転校生を見つめながら、昨日の夜っていうか今朝ティーナたちから得た情報と、SHR前にセシリアと鈴から聞いた話を思い出していた。
シャルル・デュノア――何を考えている? 何処まで知っている? そして……
すると10代女子の反応に、鬱陶しそうな素振りを見せていた織斑先生が口を開いた。
「あー、騒ぐな。静かにしろ。ではSHRを終わる。各人は着替えて第2グラウンドに集合。今日は2組と合同でIS模擬戦闘を行う。解散!」
パンパンと手を叩いて行動を促す織斑先生。まぁとりあえずは移動しないとな。
女子たちは着替えを各々の教室内で行う。各グラウンドやアリーナには専用の更衣室があるのだが、去年まで女子高だったこともあり、見られる危険性も皆無な為、教室で着替えるそうだ。一般的な女子高でもそれが普通らしい。確かに着替えの為だけに移動するのも面倒くさいしな。
だがそれは女子の話。男子が女子と一緒に更衣する訳にはいかないのでその面倒くさい移動を数少ない男子はしなければならないのだ。まぁ俺はあんま関係ないけどね。
「織斑、黒神。デュノアの面倒を見てやれ。同じ男子だろう。特に黒神はルームメイトだしな」
そうですね。そういう話になっているそうですね。面倒くさい事この上ない限りではあるが、実際目で見て確認したいこともあるしな。
一夏は織斑先生に返事をすると、俺の所に来た。その後ろを追いかけるように転校生もやって来る。
「織斑くんと黒神くん? 初めまして。僕は――」
「ああ、いいから。とにかく移動が先だ。女子が着替え始めるから。行こうぜ、京夜」
「ああ、そうだな」
俺の同意と同時に3人は行動を移す。箒とセシリアに「また後で」と軽く挨拶を交してそのまま教室を出た。
「とりあえず男子は更衣室で着替え。これから実習の度にこの移動だから、早めに慣れてくれ」
速度を落とさず、走りながらの一夏の説明に頷く転校生。一夏や俺に比べて10センチ以上背の低く、当然歩幅もまた短いのでこのスピードについてくるのは結構大変そうだ。
「ま、何にしてもこれからよろしくな。俺は織斑一夏。一夏って呼んでくれ」
一夏は笑顔でそう言うと俺の方を見る。俺に挨拶を促すかのように。君に心配されなくても、礼儀は重んじる性格ですよ、こう見えても。とりあえずは無難な挨拶しか今の所するつもりがありませんがね。
「俺は黒神京夜だ。何て呼んでくれてもかまわないぞ」
俺はまた笑顔で話す。だが一夏とは違い満面とは表現しがたいであろう所謂営業スマイルだ。あまり警戒心を与えないように接しなければならないので、なるべく拒絶を表現しないよう顔と言葉を選んだ。
「うん。よろしく一夏、京夜。僕の事もシャルルでいいよ」
「わかった、シャルル」
一夏の返事に、清々しい笑顔を向ける転校生。そして俺の発言を待つかのように俺に視線を向ける。恐らく呼び捨てを受け入れた一夏と同じような返事を期待しているのだろう。だが――
「まぁ、気が向いたらそう呼ばせてもらうよ、デュノア」
「う、うん」
予想に反した返答に、一夏とデュノアはなんとも微妙な表情を浮かべる。そうだろうな。普通はそんなこと言わないだろうし、一夏の時は何の躊躇もなかったからな。
だが俺には確認する必要がある。今はまだ……
そんなことを考えていた俺は一夏たちと共に階段に差し掛かろうかという所で予想通りの足止めを食らった。
「ああっ! 転校生発見!」
「しかも織斑くんと一緒!」
お~い、俺もいるよ~。忘れないで~、視界から消さないで~(泣)
早速各学年各クラスから情報先取の為の尖兵が俺たち、いや一夏とデュノアの前に現れた。貴公子転校生同行により高エンカウント状態の現在、一度見つかれば当然ネズミ算的に増殖していくのが世の常というやつらしい。
「いたっ! こっちよ!」
「者ども出会え出会えい!」
その数学的証明と言わんばかりに、わらわらを増え続ける女子たち。いかにもホラ貝取りだしそうな雰囲気を醸し出すその様は、まるで時代劇みたいだ。この近代的な造りのIS学園でそんな武家屋敷みたいな空気を作らんでも。全く。助さん、格さん、やってしまいなさい。印籠を持っていないので確実に殺ってしまいなさい。
すると一夏は少し焦り顔をこちらに向ける。
「京夜! どうする!?」
「どうするって言われてもな~。別に俺的には2人を見捨てるっていう手もあるんだが……」
「見捨てるのかよ!!」
一夏のツッコミは置いといて、俺はデュノアに視線を向ける。その顔は状況が飲み込めていない困惑の表情だ。
「な、なに? 何でみんな騒いでいるの?」
「そりゃ男子は俺たちだけだからだろ」
「……?」
一夏の回答に、『?』マークを幾つも頭に浮かべるデュノア。その表情に一夏も何で分からないんだ? といった顔だ。
「いや、普通に珍しいだろ。ISを操縦できる男って、今のところ俺たち3人しかいないんだから」
「あっ! ――ああ、うん。そうだね」
さらなる説明に、デュノアは『?』から『!』へと浮かべるマークを変化させる。だが俺はその表情を見て不自然さを感じていた。
コイツは何を考えているんだろうか。わざとか? あまりにも不自然過ぎるが……もう少し観察が必要だな。
さてとりあえずこの状況を何とかしないとな。一夏はともかく、デュノアの頭蓋骨ではあの鬼教官の出席簿から繰り出される必殺の一撃に耐えられないだろう。『必殺』って知ってるか? 「当たれば必ず相手を殺せる技」のことを言うんだぜ?
俺は内ポケットから数枚の紙切れを取りだして、空けられていた窓の外に投げ捨てた。
「あ~、一夏の恥ずかしい恥ずかしい写真が~~~」
俺の棒読みの発言に、周囲は一瞬時を止める。ひらりひらりと風に吹かれて舞いながら散っていく写真。次の瞬間、取り囲んでいた女子たちは回れ右をして走りだした。
「な、何してんだよ!」
「すまない一夏。お前の尊い犠牲、忘れないぞ」
「京夜! お前――」
「ほらほら。早く回収しに行かないと、大変なことになるぞ~」
「く、くそ~覚えてろ!!」
そんなシリーズ初回で登場しそうな怪人の捨て台詞を残して一夏もまた写真を回収しに走りだした。バカだなぁアイツは。窓から飛び降りてIS展開すればいいものの。無断展開で怒られるも、遅刻で怒られるも変わらないんだから。
ちなみに恥ずかしい写真とは言ったが正直大した写真ではない。半ケツの一夏の写真とか、そういった売れそうな写真をこんな所でタダでばら撒く程、俺は慈善家ではないからな。
「さて、行こうか」
「う、うん。けど、一夏は大丈夫なの?」
「多分……な」
心配したって仕方ないさ。君の為に一夏は犠牲になったんだし。後で労ってやってくれ。
一夏の写真争奪戦を開催したおかげで、俺とデュノアは難なく校舎を出て、第2グラウンドの更衣室に来ることができた。日頃の行いが良いからだな。
「さて、着替えるか」
「う、うん、そ、そうだね」
俺はデュノアに声を掛けて制服のボタンに手を掛ける。するとデュノアは頬を少し赤くして焦りが窺えるような表情を浮かべていた。
「どうした? 着替えないのか?」
「う、うんっ? き、着替えるよ? でも、その、あっち向いてて……ね?」
動揺しまくりドモリまくりのデュノア。その仕草にドSの俺は我慢できるはずもないのだが、今回はそういう訳にはいかない。
デュノアが動揺する理由。それ自体は既に情報を得ている俺からしてみれば、分からないことではない。だが分からないのはその動揺が他人にバレバレであるということだ。これでは何の意味もない。やはりこれは……
ともあれ、ここでは余裕を持って話もできない。夜になってからだな。
俺は一気に制服を上下ともに脱ぎ捨てた。その姿はパンツ一丁という訳ではない。俺は最初からISスーツを制服の下に着ているからだ。人前で肌を晒すなんて、私、そんな恥ずかしいことできないわ!
「(良いではないか、良いではないか、ホレ~)」
「(いや~お代官様、ご無体な~あれ~)」
時代劇といえばこれだよねヤッパ。まっ裸になら自分からなるよりされる方が燃える展開ってことだろうけど、俺は相手を裸にする方が萌えるなぁ。ホレホレそこの浴衣の脳内彼女。帯オプション装備のメリットを奪われて、アタフタしなくても俺が今すぐ回したるわ~。はっーはっはっは! 良いではないか、良いではないか!
おっと、脱線しちまった。俺は脱ぎ捨てた制服をハンガーに掛けてロッカーにしまい、デュノアに声を掛ける。床に顔を向けてこちらを見ないようにしているデュノアをこのままにはできないしな。
「じゃあ俺は先に行くから。デュノアもとっとと着替えて来いよ。一夏もその内来るだろうしな」
「う、うん、わかった」
そう言って俺はデュノアを残して先に第2グラウンドへと向かった。一夏のフォローもしとかないと。はぁ面倒くさい。
俺は歩きながら、ため息からの流れで欠伸を一つ。『眠い』『だるい』『疲れる』の『面倒くさいの3拍子』が俺のやる気を削いでいく。
とはいえ自身で選んだ道だ。仕方ない。後で茜をイジメて癒されることにしよう。ニューカマーの鈴で遊ぶっていう手もあるな。
俺はそんな計画を立てつつ、鬼教官の元に向かった。
◇
「遅い!」
チャイムと同時に第2グラウンドに現れた一夏とデュノアに苛辣とも感じる言葉を投げかける織斑先生。相変わらずだな。
既に5分前には集合し、まるで軍隊のように乱れることなく整列している1組と2組のクラスメイトたちに交じって並ぶ俺は2人のことをまるで他人事のように見ていた。
それにしてもデュノアのヤツ、律儀な性格のようだな。わざわざ一夏が着替え終わるのを待っていたんだろう。
「まぁいい。とっとと列に並べ」
織斑先生の言葉に少し意外そうな、拍子抜けしたような表情を浮かべる一夏。いつもならもう少しオコゴト続きそうな状況だからな。
「それはそうと、織斑。腹の調子は良くなったのか?」
「へ?」
「お腹が痛いので保健室で薬を貰ってくるから遅れます、と黒神くんから報告を受けています。デュノアくんもそれに付きそうと……」
山田先生の話を聞いた一夏は俺の方を見る。その一夏に俺はアイコンタクトを送ってやる。感謝しろよ? 俺がフォローするなんて驚天動地な出来事と言っても過言ではないのだからな。
「どうなんだ?」
「え、ああ、はい、大丈夫です」
「そうか……では並べ」
小走りで列の最後尾へ向かう一夏とデュノア。その一夏の姿を見る織斑先生の顔は、いつもとは違う柔らかな雰囲気が僅かに漂う顔つきだ。「鬼の目にも涙」いや「鬼教官の心にも五分の優しさ」か? 多分誰一人気付いていないだろうけどさ。
「一夏さん、大丈夫でしょうか?」
「平気でしょ? アイツ頑丈だし」
「フン、軟弱なヤツだ」
クラスメイトを心配するのは俺の左側に立つセシリア。楽観的な発言した鈴は俺の後ろに。辛辣な発言の箒は俺の右側に立っている。そしてその真ん中で俺は横を通り過ぎながらジェスチャーで礼をする一夏たちの姿を眺めていた。
当然の如く2人とも着替えを済ませており、俺たち3人は同じような格好をしている。先程はサラッと流してしまったがまるでスキューバダイビングの全身水着のような格好――『ISスーツ』と呼ばれる代物だ。
俺はそのISスーツの首元を緩めるように引っ張りながらセシリアに目を向ける。ISスーツ姿のセシリアを下から舐めるように足先、膝、太もも、腰、胸、首、そして顔へと視線を上げた。
ISスーツは基本的には女性用だ。ISは女性にしか扱えないとされているからな。その見た目はワンピースの水着やレオタードに近い。実際の防御は絶対防御があるので、動きやすさを考慮された形状であり、肌の露出が多いのが特徴と言えるだろう。
だが男の俺たちに用意されたこのスーツは精密精確なデータ採取の目的もあり、頭と手と足先以外は全身を包み隠さず覆うような形状となっている。
正直ちょっと暑苦しいなぁと思っていると、セシリアが頬を乙女色にほんのり染めてこちらを見ていた。
「あ、あの、きょ、京夜さん? その、あまり見つめられると恥ずかしいですわ」
少し体をねじり、こちらに背を向けて胸元を隠すかのようなポーズで「恥ずかしい」を全身で表現するセシリア。ひねられたウエストがそのスタイルをさらに魅力的に際立たせている。セシリアは本当に均整のとれた良いボディをしているなぁ。
「ちょっと! 何ジロジロと見てんのよ!」
怒号に近い声が聞こえた真後ろを向くと、鈴が不機嫌顔で俺を見上げていた。
俺と鈴は身長差が約30センチ。当然向き合えば俺は鈴を見下ろす形となる。衝動的に頭を撫でなくなる高さの鈴のISスーツ姿を俺は改めて見つめる。
こうして見ると、ティーナと良く似ているな。鈴の方が若干背が高いくらいで、華奢な体つきとか、細い手足なんかは本当に近い。まるで姉妹のようだ。……なんてな。
そして何よりそっくりと言えるのがその発展途上な『ちっぱい』だろう。レオタードのようなISスーツはその凹凸の無さを際立たせて平らを表現していた。
「ど、どこを見てるのよ! どこを!」
すると鈴は胸元を両手で隠す。その仕草は巨乳の女性なら谷間を作り胸元を強調するかのようなポーズになるのだが、微乳の鈴にその谷は生まれない。いいですね! 流石『ちっぱい』! そのコンプレックスを抱えた顔も最高だ!
「……何と不埒なこと考えている?」
ゴゴゴゴッという効果音が幻聴でなくリアルに聞こえるてくる気すらする俺の右側には、ポニーテールの幼馴染が良い子のみんなにはお見せできない程の顔で仁王立ちだ。
その威圧感はあの鬼教官にも匹敵するのではないかと感じる程の箒をなだめつつ、俺は箒の腕組みによって強調された乳房を観察する。
流石に山田先生程の大きさではないが、同級生の中ではかなり大きい。巨乳だ。横目で鈴を見ると睨みつけるようにその胸元を見ている。箒の形も良いその巨乳は同性も羨むものなのだろう。
「不埒だなんて……3人の魅力的なスタイルにドギマギしているだけだけさ。そんな甘美な肢体を見せられたら、今夜は『自家発電』も止むを得ないかな」
「?」
「なんですの?」
箒とセシリアはどうやら意味が分からなかったようだ。もっと露骨に言うべきだったか?
だが愛すべきツインテールの幼馴染には伝わったようだ。顔を完熟トマトのように染めて下を向いている。俺が欲しかったのはそういうリアクションさ。
俺はニヤついた顔で鈴に近づいて耳元で囁く。
「鈴のエッチ(笑)」
「きょ、きょ、きょ、京夜が変なこと言うからでしょ!?」
はぁ~癒される~。意外と世間知らずな箒とセシリアにはできないイジリが現実世界でできることに喜びを感じるよ。まさに至福の一時といった所だ。
俺と鈴の2人の世界に見えたのだろうか。セシリアがちょっとムッとした表情で質問してくる。
「あの、京夜さん? 『自家発電』とは、どういう意味ですの?」
「ああ、『自家発電』っていうのはな、オ――」
「何言おうとしてんのよ!! バカ!!!」
的確に、明確に、分かりやすく伝えようとした俺は次の瞬間、地面に叩きつけられていた。頭上から何かが振り下ろされて脳天を直撃したからだ。
それは鈴が放ったツッコミと呼ぶには程遠いと多くの人が判断するであろう『踵落とし』だった。30センチの身長差を物ともしない脅威のジャンプ力。その威力は重力の力を借りて俺の顔面が地面にめり込むギャグ補正がかかるほどだ。
そして顔を上げた俺へのツッコミはこれだけでは済まなかった。
「――安心しろ。バカは私の目の前に全部で4人いる」
バシーン! バシーン! バシーン! バァシィィーン!!!
いつのまにかそこにいた鬼教官は俺たち4人に必殺の一撃を繰り出す。どうやらアビリティ『みだれうち』が標準装備のようですね。もちろん最後の一撃が俺の頭部に展開された打撃であることは言うまでもない。一応女子には手加減されていたんですね。音が違います。それにしても一夏のヤツ、よくこんなのを食らっていて生命活動を続けることができているな。感心させられるよ。
「(っていうか、今まで描写がないだけで織斑一夏より京夜の方があの出席簿アタックを食らっているじゃない。授業中寝てばっかいるから)」
まぁそうなんですけどね。だって授業って眠くなるじゃん? 高校生活っていうのは、眠いからついつい寝てしまって、無駄にしたことを卒業してから後悔するもんだって言うし(笑)
涙目になりながら頭を押さえてこちらを睨んでいる3人から逃げるように俺は視線を泳がして立ち上がる。そして蒼天を見上げて「もっと真面目に授業に取り組もう」と毎回恒例になりつつある無駄で無意味な決意を無限の空に誓うのだった。
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