インフィニット・ストラトス a Inside Story    作:鴉夜

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※誤字、脱字は多いかもしれないです。表現も統一性がないかもしれません。なるべく修正します。ご勘弁ください。

また、オリジナル解釈が多めです。矛盾や、つじつまが合わない等はあるかと思いますが、本当にご勘弁ください(泣)


第60話 俺は同じ過ちは起こさない。

 

 

 

 

 

 全てが予定調和とはいかない。

 そんなことは分かっている。だがそれでも筋書きに逸れぬよう努めている。何重にも思考を巡らせ、策を講じ、布石を打ってきた。

 それでも不測の事態は起きるものである。それも分かっている。それが最悪の事態を招く可能性すらあることも。

 だがそれでも、それでも……。

 俺は苛立っていた。自身の甘さに。誰がどう見ても俺のせいではない。だがこの結果は、誰にも見えないが俺の責任だった。

 茜からの緊急の知らせを受けた俺は、ボランティアという名の労働を超特急で終わらせて旅館へと戻って来ていた。

 俺は足早にとある一室へと突き進む。焦っていたことは否定できない。

 目的地へと到着した俺は、襖をあける。

 するとそこには畳に敷かれた布団の上で横たわる一夏と、傍らに座する箒の姿があった。

 

 

 

「京夜……」

 

 

 

 こちらへと振り返り、何やら言いたげな表情の箒。

 気にするな。お前が悪い訳じゃない。俺はそんな意味を込めて箒の頭を撫でながら隣に腰を下ろして一夏の様子を見る。

 状況の随時把握を努めていた俺は、事の顛末については既に知っていた。

 福音の迎撃。その際に箒は密漁船を守る為に福音へ背を向けてしまった。それを見た一夏はとっさに箒を守ったのだ。放たれた爆発光弾から文字通り身を挺して。

 体の至る所に包帯が巻かれている。ISの絶対防御を貫通して届いた熱波に焼かれた跡だろう。

 一夏の周囲には医療機器らしきモニターが幾つか見て取れる。それを見る限りでは今すぐどうこうではないにせよ、このまま意識が戻らないようであれば……といった状況のようだ。

 なるほど……そういうことか。なら――

 

 

 

「(茜、頼む)」

「(だ、大丈夫ですかぁ? きっとすぐに―――)」

「(ああ。長居は出来ないだろう。だからちょっと促すだけだ。ヤバかったらすぐに言ってくれ)」

「(わ、わかりました)」

 

 

 

 俺は一夏の寝る布団の反対側へと回り、一夏の右腕に装着されているガントレットに触れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ざぁ……。ざぁぁん……。

 

 

 

 ここは……?

 聞こえるは波の音。その音に俺は目を開ける。そこには「青」が広がっていた。

 それが空だと気付いたのは、雲の存在と、俺自身が横たわっていたからだった。

 

 

 

 ゴツッ

 

 

 

「アタッ!?」

 

 

 

 唐突に頭頂部への痛み。俺は上半身を起こし、頭をさすりながら振り向く。

 

 

 

「いい加減、起きろバカ」

 

 

 

 そこにいたのは俺と同じ男性操縦者の京夜。そしてその後ろに恥ずかしそうに隠れながらこちらを見ている薄いピンク色の浴衣を来た黒髪の少女だった。この子、誰だろう? 知っている気がするのに、見たことはない。そんな気持ちにさせられる不思議な少女だった。

 

 

 

 

「京夜……」

「ホラ、とっとと立て。あまり時間がない」

 

 

 

 俺は言われた通りに立ち上がり、そして周囲を見渡す。

 そこは水の上だった。どんな原理なのかは分からないが、俺達は水面の上に立っていた。水面は空を映し出しており、まるで合わせ鏡のよう。

 その他にと言えば、立ち枯れたような葉の無い木が幾つかあるだけ。それ以外には何もなく、彼方に見えるのは水平線のみ。そんな幻想的な世界が目の前に広がっていた。

 

 

 

「京夜、ココって―――」

「いいから黙ってついてこい」

 

 

 

 有無を言わさず京夜は、必死に腕にしがみつく少女と共に歩き始めた。俺は何一つ状況の掴めぬまま、京夜の後を追う。

 それから数分、何も言葉を交わさずに歩いてきた京夜が急に立ち止まる。それに合わせて俺も足を止めた。 

 

 

 

「京夜?」

 

 

 

 すると京夜は振り返り、右手で1本の木の下を指差す。俺はそちらへと視線を向ける。

 そこには、少女がいた。

 眩い程に輝きを放っているかのような真っ白の髪。それと同じワンピースに身を包んで、頭には麦わら帽子をかぶっている。だが後ろ姿なのでどのような顔をしているかはわからない。

 俺は視線を戻す。するとそこにいたはずの京夜の姿は、黒髪の浴衣の少女と共に何処にもなかった。

 周囲には何もないのだから隠れるような場所はない。いきなり消えたようにしか思えなかった。

 だが俺はなぜだかさほど驚きもしなかった。それどころか全てを受けいれ、その上で吸い寄せられるように、俺は真白な少女へと元へと足を進めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「箒。一夏は大丈夫だ。直に目を覚ます」

「ほ、本当か!?」

 

 

 布団を挟んで反対側に座っていた箒は前のめり気味に乗り出してくる。そんなに心配そうな顔をすんな。俺が大丈夫って言ったら大丈夫なことは知ってんだろ?

 俺は箒のポンポンッと撫でて安堵を促す。すると深くも短い息を吐き、強張っていたその表情を少し崩した。

 あとは彼女に任せよう。こちらはこちらでやることがあるしな。

 

 

 

「さて。行くぞ、箒」

「ん? どこへ行くつもりだ?」

 

 

 

 俺は立ち上がり、部屋を後にする。箒も俺の後に付いてくる。

 

 

 

「決まってんだろ? 一夏の弔い合戦だ。まぁ死んでないけど」

「!! 福音と闘うつもりか!? だが――」

「大丈夫、大丈夫。何とかなるさ。それに……頼もしき代表候補生達が手伝ってくれるみたいだぞ?」

 

 

 

 旅館から出た俺達の前には予想通りのメンツが勢ぞろいしていた。

 出来れば俺と箒だけの方が都合が良かったんだけど、やっぱり大人しくはしててくれないよね。

 

 

 

「ここから30キロ離れた沖合上空に目標を確認した。ステルスモードに入っていたが、どうやら光学迷彩はもっていないようだ。衛星による目視で発見したぞ」

「さすがはドイツ軍特殊部隊。やるわねラウラ」

「まぁこれくらいは当然だ。それより鈴、準備は出来ているのか?」

「ええ。甲龍の攻撃特化パッケージはインストール済みよ。シャルロットとセシリアの方はどうなのよ」

「たった今完了しましたわ」

「こっちも準備オッケーだよ。いつでもいける」

 

 

 

 おうおうおう。皆やる気満タンって感じだねぇ。さてさて、どうしたもんか。

 俺は目をつぶり、脳内でシュミレートを開始する。

 この事態は既に想定外。だが思考するは終着点までのプロセスになる。終着点は変わらない。変わるのは如何に最小限の被害で済ますことが出来るかどうか。その新たなルート検索である。

 およそ数百に及ぶシュミレートを終えた俺は目を開ける。

 すると箒を含めた5人はこちらへと視線を向けていた。やる気と覚悟に満ちた目で、俺からの言葉を待っていた。

 

 

 

「じゃあ、まぁ……作戦を伝える」

 

 

 

 頷く5人。それを見た俺はそのまま作戦を伝えた。

 俺を含めた6人で福音を終着点へと導く為の作戦である。 

 すると全てを聞き終えたラウラが、まるで先生に質問するかのように手を上げた。

 

 

 

「嫁よ。良いだろうか?」

「はい、ラウラ。どうぞ?」

「それではあまりに嫁が危険すぎるのではないか? いくら嫁とはいえ訓練機では最新鋭の軍用機の相手は務まらないと思うが……」

 

 

 

 その発言に、4人が激しく同意する。

 まぁ確かに福音はかなりの高火力だ。いくら防御に優れているとはいえ、『打鉄』は第2世代の訓練機。流石に相手にはならない。普通ならそう考え、心配することだろう。

 だが問題ない。俺を誰だと思ってるんだ?

 

 

 

「(茜、いけるか?)」

「(もっちろんですぅ!! 任してくださぁい!!)」

 

 

 

 俺は茜を展開する。周囲は瞬き、いつも通りの『打鉄』が装着された。

 だが―――

 

 

 

「これなら問題ないだろ?」

「「「「「えっ!?」」」」」

 

 

 

 次の瞬間。茜を纏った俺は目を閉じずには居られない程の眩い光を放つ。

 そしてその光の収束と共に―――茜はその形状を変えた。

 2枚の肩部に浮かんでいた『大袖』のような物理シールドは、大きく変形し大型のウイングスラスター形シールドへ。アーマースカートもまた、肩部のアーマーと繋がりアーマーコートへ。

 この変化は、誰がどう見てもアレを想像することだろう。

 

 

 

「え!?」

「ま、まさか!?」

「こ、これって!?」

「もしかして!?」

第二形態移行(セカンド・シフト)!?」

「まぁ、そうなるかな」

 

 

 

 全員があんぐり。面白い顔だな。ヤベ、カメラ忘れた。ざんね~ん。なんてな。

 するといち早く現実へとご帰還したシャルロットが恐る恐る口を開く。 

 

 

 

「も、もしかして……単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)も……あるの?」

「あるよ」

 

 

 

 一度は言ってみたかったセリフが言えた。ちょっとうれしい。目の前の5人にはネタが伝わって無さそうだが……っていうか聞こえてないな、多分。

 俺は第二形態移行(セカンド・シフト)によって底上げされたスペックデータを全員に開示しながら、単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)を発動する。すると俺の前部には『シールドバリアー』とは別の、赤みを帯びた特殊なエネルギーシールドが展開された。

 

 

 

「名は【絶対守護(イージス)】。シールドバリアーとは違って全方位展開は出来ないが、その防御力は世界最高峰。実弾・光学兵器を一切通さない」

 

 

 

 シールドバリアーはその限界点以上の攻撃を受けた場合、突破されて実体ダメージを受けてしまったり、あるいは絶対防御が発動してしまったりする。

 だがこの【絶対守護(イージス)】は絶対に突破されない。なぜなら【絶対守護(イージス)】は常にコア・ネットワークを通して全ての兵器の情報を収集し、それを元に常に進化し続けるシールドだからだ。

 故に【絶対守護(イージス)】。名に恥じぬ性能だろう。

 

 

 

「これなら平気だろう?」

 

 

 

 ニヤリと笑う俺を見た5人は、互いに見合わせながら諦めにも近い表情で、揃ってため息を吐いた。

 何それ。まるで駄目なヤツでも見るかのような目は。失礼だな、君達は。

 

 

 

「なんかさ……ねぇセシリア……」

「そうですわね……シャルロットさん……」

「うん……まぁねぇ……ラウラ……」

「ああ……何かもう……いつも通りというか、今更というか……オイ、箒」

「……言うな。私はもう……諦めている……」

 

 

 

 オイ!? 諦めたら試合終了だよ!? 諦めないで!! やれば出来る子だから!!

 はぁ。まあいいか。苦笑いと共に少し張りつめた空気と体が緩和されたようだしな。

 さて……じゃあ、行くか。

 引き締め直した俺の纏う空気がそうさせたのか、俺がそう思うと同時に5人はISを展開する。

 しばらくは時間稼ぎ……か。一夏の方もまだのようだし、何よりティーナが戻ってきていない。難易度上がるな~コレ。

 だが俺は、同じ過ちは起こさない。これは今回の教訓だ。たとえリスクが上がろうとも、俺は全てに関わろう。全てを守る為に。

 

 

 

「作戦――開始」

 

 

 

 

 

 




『インフィニット・ストラトス a Inside Story』は自身のブログでも掲載中です。
 設定画や挿絵、サブストーリーなんかも載せていくつもりですので、良かったらそちらもご覧戴けると嬉しいです。

※ブログは少しだけ先まで掲載されています。


【ブログ名】妄想メモリー
【URL】http://mousoumemory.blog.fc2.com/
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