二度目の悪神は渇望す   作:オルフェイス

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書きたくて書いた。

後悔はしていない。


世紀末世界編
捕食


いつからか、俺はそこにいた。

 

どこかの大地で生まれ、育った。何が何だかわからずに必死に足掻き、敵は喰らって糧にした。

 

本能的に自分が何をできるのかは知っていた。しかし、それに違和感を覚えながら俺は生き延びてきた。

 

なぜなのかは、わからない。敵を喰らって糧にしていくうちに余裕ができた今でも、その違和感の正体は掴めない。

 

だが、この違和感は俺に必要なものであると本能的に理解できた。

だから忘れずに、覚えておくことにした。この違和感を。

 

そうやって何度も敵を貪っていくうちに、いつしか敵は餌になった。

 

多少の余裕は大きな余裕になった。

 

自らに従う下僕も、いつのまにかいた。

 

それでも、やることは変わらなかった。敵は貪り喰らい、餌はいたぶり喰らい、殺して糧にする。

 

それを何度も何度も繰り返し─────いつしか俺は、『俺』という確かな人格を形成し、俺の抱える違和感の正体に気がついた。

 

これは、記憶だ。どこの誰かもわからない、しかし確実に存在していた、異世界人の記憶─────それが、違和感の正体だった。

 

その記憶の内容を吟味し、確認し、知恵を振り絞り────俺は結論付けた。

 

 

この記憶には、俺のいる世界の未来の断片が残されている、ということを。

 

それを知った俺は─────

 

 

 

 

▼▼▼▼▼▼▼

 

 

 

 

『■1』

 

 

 

異世界の記憶と、こちらで過ごしてきた記憶を照らし合わせ、合致するものを探す。

 

そして知ったのは、俺のいる世界は人の作った創作────その過去の世界であるということ。

 

本来の舞台となる『ラムダ』ではなく、その『ラムダ』に侵攻する魔王軍のいた世界であるということが、わかった。

 

しかし、わかったところでどうしようもない。

 

だから、力をつける。細かい部分を考えるのは、その後でいい。

 

 

 

 

『■2』

 

 

 

 

まず必要なのは、神に至ることだ。神に至らなくては、そもそも話にならない。

 

この世界では、強さこそ正義。強さこそ絶対。故に、弱さは罪で、弱者は潰されるだけ。

 

ならば、力をつける。誰にも邪魔されない、絶対的な力がいる。

 

故に、今日も変わらず敵を貪る。それが、強くなるための最短に繋がると知っているから。

 

 

 

 

『■10』

 

 

 

まだ足りない。まだ、喰らう必要がある。

 

 

 

 

『■100』

 

 

 

先は長い。しかし、諦めることはしてはならない。その時に待つのは、死だけだ。

 

 

 

 

『■1000』

 

 

 

俺は、成し遂げた。

 

遂に至った。

 

 

俺の名は『貪喰の悪神』ラドゴーン

 

 

必要最低限の準備は整った。

 

さぁ、ここからが本番だ。

 

 

 

 

▼▼▼▼▼▼▼

 

 

 

 

『GUOOOO!!』

 

 

『ギィィィィィ!』

 

 

 

激しいぶつかり合いと二体の口から放たれる叫声が、衝撃波となって大地を崩し破壊していく。

 

それを成すのは二体────否、二柱の邪悪神。

 

 

一柱は黒き雷を体に放電させるわ毛深い金色のゴリラ……に、蜘蛛の目のような複眼を合わせた『剛雷の邪神』ブブディガ。

 

もう一柱は、見た目は二足歩行の龍のようで、しかし首から腹までが大きく裂けた口と多数の牙となっている『貪喰の悪神』ラドゴーン。

 

 

そのニ柱の神の争いは、しかし今にも決着がつきそうであった。

 

 

『GUOOOOO!!』

 

 

『ギィィィィィ!!』

 

 

ブブディガは何度も自慢の雷を放ち、豪腕を振るい、ラドゴーンにダメージを与えていた。

ラドゴーンが避ける動作もしないために、着実にダメージは重なっているはずだ。

 

だがラドゴーンはそれを意に介した様子もなく突っ込み、その裂けた大きな口でブブディガに食らいつこうとする。

 

その度にブブディガはラドゴーンの突進を避け、回り込んで雷と豪腕を打ち付ける。

しかし何度それを繰り返そうと、ラドゴーンは一度も止まることなくブブディガを追跡し追いかけ続ける。

 

このまま続ければ、どれだけラドゴーンがタフであろうと倒れることはわかりきっていたが……しかし、ブブディガはいつ来るかもわからない決着を待つ気はなかった。

 

痺れを切らしたブブディガは自身の最大の一撃で、今まで狙ってこなかった弱点と思われるラドゴーンの大きな口ごと粉砕してやろうと、今度は避けることなく待ち構えた。

 

────それがラドゴーンの望んでいた展開とも知らずに。

 

 

『ギィィィィィ!』

 

 

今まで分散させていた雷を豪腕に集中させ、ワンパターンに突っ込んでくるラドゴーンの口めがけて豪腕を放つ。

 

そしてラドゴーンの大きな口は胴体ごと弾け飛ぶ─────ことはなかった。

 

 

『ギ、ィィィィィ!?』

 

 

なんとブブディガの豪腕はラドゴーンの口に飲み込まれ、そのままブブディガを口の中に引きずり込もうとしてきたのだ。

 

これにはブブディガはたまったものではないと雷を放電させ放ち、残った片方の豪腕でラドゴーンに叩きつける。しかしラドゴーンはこらえた様子もなく少しずつ、ブブディガを口の中に吸い込んでいく。

 

それでもまだ諦めるつもりはないのか、ブブディガは今度は残っている片方の豪腕に力を集中させ放とうとした時。

 

 

『ギ、ィィ?』

 

 

ラドゴーンの口から、巨大な黒い舌が出てきた。

 

その黒い舌はブブディガの体に一瞬の内に巻き付き─────そのまま、ラドゴーンの口の中に引きずり込んだ。

 

 

断末魔もなく、一瞬の内にブブディガはラドゴーンの胃の中に放り込まれた。

 

あとに残るのは、何事もなかったかのようにどこかに歩き去っていくラドゴーンと……ラドゴーンの体内から響く肉と骨を噛み砕き咀嚼する音のみであった。

 

 

 

 

 

▼▼▼▼▼▼▼

 

 

 

 

 

『■■1』

 

 

 

金色のゴリラモドキを食べた。それなりに旨かったし、どうやら新しい力も手に入ったようだ。

 

それと、ゴリラの魂も胃袋に収めることになった。食べ残しのようなものだ。このままでは何に使えるわけでもないが……本当に使えなかったら、食べてしまおう。

 

 

 

 




『貪喰の悪神』ラドゴーン

見た目は完全にDARK SOULS1の『貪食ドラゴン』

実は空間属性に適正がある。

自慢は耐久力ととても長い舌。その舌はどちらかといえばカエルのそれに近い。




『剛雷の邪神』ブブディガ

自慢は体から発せられる雷と、太く大きな豪腕。しかし短気。

最終的にはラドゴーンの隠していた舌に巻き取られ、体内で貪り食われた。

あとで魂も食われるもよう。
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