ザッカート《1》
『□5』
魔王に勝利したことで、世界は救われた。
魔王軍────いや、元魔王軍は率いる魔王を失って烏合の衆となり散り散りとなって逃げ出した。しばらくは放っておいても問題ないだろう
しかし、魔王を倒すために払った犠牲は多い。かつては多く存命していたラムダの生命も、今では一万たらずしか生きていない。魔素で汚染された区域も多く、浄化には何万年と掛かるかわからない。
それに、魔王は未だに死んではいない。魂も、肉体も、欠片にしてバラバラに封印した。しかしグドゥラニスは欠片となった今でも、その恐ろしい生命力でもって復活を狙うだろう。
だがそれでも、希望は残った。ラムダには『これから』がある。問題だらけの『これから』ではあるが、今はただ、魔王に勝利したことを喜ぼう。
というわけで、宴である。
『□6』
散々飲めや歌えやと、宴は賑やかで皆はしゃぎまくっていた。普段は物静かなソルダも、酒に呑まれて結構やんちゃをしていたくらいである。
因みに俺は状態異常耐性スキルがあるので酔いません。
邪神悪神もこの宴に交ざっていたが、やはり元々が魔王軍であるためか、ラムダの人々や神々と交流したりはしていなかった。例外はアルダを除いた大神くらいだ。
ヴィダはザッカートが連れてきたためか邪神悪神たちとも仲が良いし、ボティンやぺリアはかつては敵だった邪神悪神を許している。ズルワーンやリクレントはかつてよりも今を見て交流していた。
そしてザンタークとシザリオンは……思うところはあるが、だからといって許せないほどではないという微妙な感じなのだろう。
そう思ってくれるだけならそれでいいが……この世界の原典を知っているだけに、後日起こるであろうことが予想できてしまう。
あのベルウッドが、仲間になったくらいで敵であった邪神悪神を許したりするのか。そしてするとしても、奴は一体何をするのか。
それによっては、ラムダは大きく割れることになるだろう。そうならないことを、祈る。
『□10』
わかってはいたが……どこまでいっても、ベルウッドは妥協をしない勇者だった。
ベルウッドはラムダに味方した邪神悪神を封印することを求めてきた。生き残った者たちでラムダ復興に取り掛かろうとしていた時に、である。
それに賛同するものは多く、敵の邪神悪神たちに親しい者を殺された者がいることもあって、憎しみを抱いている者は多数いることだろう。
しかし、それは敵の邪神悪神の話であって味方となった邪神悪神は関係ない。お門違いというやつだ。
だが、それに納得できない者たちがベルウッドとアルダに付いて邪神悪神の封印を提唱している。
それに対して我らがザッカートはそれに反対。そしてヴィダもザッカートに付いた。
そこではっきりとザッカートに賛同する者と、ベルウッドに賛同する者とで分断してしまった。
邪神悪神を認められないベルウッドはザッカートと衝突し、何度話し合っても終わりが見えないことについに痺れを切らしたザッカートは、宣言した。
『俺たちは別の場所移って、俺たちなりのやり方でラムダを復興させる!それでいいな!?』
そのように言って、ザッカートに賛同した者たちを連れて他の土地に移ることを決めた。
それにはヴィダはもちろんのこと、ズルワーン、リクレントも賛同した。
ベルウッドがどうあっても認められないのであれば、こうする他ない。
ザッカートの決断にベルウッドは静止の声を上げたが、決意は固く、話の決着がついてしまったためにそのまま解散となった。
……後にザッカートは『やってしまった…!』と頭を抱えていたが、何もやらかしてはいないと俺は思う。
だって、ザッカートは邪神悪神を切り捨てようとしなかった。そうである以上、ベルウッドとの対立は必然であったから。
だから俺は、どのようなことがあってもザッカートに着いていくのだ。
『□20』
新天地を探す大移動は、意外にも早く終わった。
ザッカートに着いていく選択をしたのは、ザッカートを選んだヴィダ、ズルワーン、リクレントの三柱。そして、その三柱の信者と従属神がザッカートと共に行くことを選んだ。もちろん中にはザッカートではなくベルウッドに付いた者もいたが、それもごく少数。
ザッカートと共に行くことを選んだ中には、ザッカートと同じ生産系勇者であるソルダ、アーク、ヒルウィロウもいた。
ソルダを選んだぺリア、ヒルウィロウを選んだボティンはベルウッド……というよりも、アルダたちの元に残ることを選んだ。
それはボティンやぺリアまで離れてしまっては、残る三柱の大神と勇者たちではラムダ復興は厳しいと考えてのことだろう。そうでなければ……自分の選んだ勇者と共にいたはずだ。
さて、ザッカートたちと共に新天地へと移動してきたわけだが……当然ながら、共に移動してきた者が多い。人間だけでも三千と少し。邪神悪神に従う魔物も含めれば四千はいく。
それだけの数が生きていける環境を作るのは、とてもではないが大変だ。なにせ、魔物を除いた約三千の内、戦えるのは数百程度なのだ。
幸いにも多くの神々がいるために弱い魔物は近づいてこないだろうが……それでも魔物は来る。早急に人の生きていける環境に整える必要があった。
なのでまず、戦える者は近くにいる魔物の殲滅を。そして戦えない者はザッカートを中心として環境の整備───というより、住める場所造りに取りかかった。
一朝一夕で終わることではないが……なに、すぐそこまで危険が迫っているわけではないのだ。時間が掛かっても良いだろう。ラムダの復興は、簡単なことではないのだから。
『□28』
それなりの時間が経過したが、なんとか外見は町みたいに出来上がった。中身はまだ完全には出来上がっていないが、すぐになんとかなるだろう。
新天地での復興は、苦労することが多かった。
魔物を倒すだけなら俺でもできるので難しくはないが、農業等の生産系はザッカートたちに頼りきりで、家の建築、魔物避けのマジックアイテムの開発、家畜の飼育など……数えればきりがない。
しかし、ザッカートたちが奮闘してくれたおかげで新天地での生活はだいぶ楽なものになってきた。
魔物たちが邪神悪神から加護を授かったおかげで高い知性と理性が宿ったのも良かった。おかげで意志疎通も簡単に出来るようになったし、復興でも役立ってくれている。
グファドガーンや他の神々が創ったダンジョンも、人間や魔物たちの役に立っている。ダンジョンの中で生成される物質は尽きることがないため、実力さえあればすぐに取ってこれるからだ。
ダンジョンの中で塩が取れた時は『これで料理にバリエーションができる……!』とザッカートたち四人はとても嬉しそうにしていた。
文化の成長も進み、新天地での復興は順調だ。かつては三千と少ししかいなかった人間たちも、今では八千に届きそうになっている。魔物も含めれば、一万を越しているだろう。
皆が手を取り合い、協力して困難に立ち向かう。それは、ザッカートの望んでいた光景だったのだろう。
魔王軍との戦争中、ラムダ軍は一枚岩であるとは言えず、ベルウッドを中心にした者たちとそれ以外という構図が成り立っていた。
だが、今ここには『調和』がある。ザッカートの望んだ光景がある。
ザッカートの作り上げたものを、居場所を守りたい。俺は……私は、そう思った。
……ところでこのまま新天地と呼ぶのもあれなので、大神や勇者、邪神悪神も含めた皆で名称を決めることになった。
ザッカートの造り上げた居場所……どのような名前になるのか、楽しみである。
・名前:ライラック(ラドゴーン)
・ランク:15
・種族:飽食の化身
・レベル:28
・二つ名:【元貪喰の悪神】【ザッカート信者】【ダンジョン最速攻略者】
・パッシブスキル
特殊五感
擬態:エルフの少女
超速再生:5Lv(UP!)
物理耐性:10Lv
魔術耐性:10Lv(UP!)
状態異常耐性:10Lv(UP!)
全属性耐性:10Lv(UP!)
能力値強化:ザッカート:8Lv(UP!)
自己強化:導き:8Lv(UP!)
魔力増大:7Lv(UP!)
捕食時能力値増大:極大
自己極強化:捕食:4Lv(UP!)
生命力増大:10Lv
体内空間超拡張:1Lv(体内空間拡張から覚醒!)
身体超強化(牙舌毛胃):5Lv(UP!)
身体伸縮(舌毛):7Lv(UP!)
大食い溜め:10Lv(UP!)
骸装装備時防御力強化:極大(UP!)
能力値強化:骸装:6Lv(UP!)
魔力自動回復:9Lv(UP!)
魔砲装備時攻撃力強化:小(NEW!)
・アクティブスキル
貪王喰闘術:3Lv(格闘術から覚醒&UP!)
多重思考:5Lv(UP!)
遠隔精密操作:3Lv(UP!)
空間属性魔術:10Lv(UP!)
貪風魔術:1Lv(風属性魔術から覚醒!)
高速思考:10Lv(NEW&UP!)
鞭術:5Lv(UP!)
魔術精密制御:1Lv(魔術制御から覚醒!)
無属性魔術:8Lv(UP!)
同時多発動:2Lv(同時発動から覚醒&UP!)
鎧術:8Lv(UP!)
限界破棄:5Lv(UP!)
詠唱破棄:10Lv(UP!)
骸装限界突破:3Lv(UP!)
魔闘術:7Lv(UP!)
砲術:4Lv(NEW&UP!)
魔砲限界突破:3Lv(NEW&UP!)
・ユニークスキル
全身口
調和魂魄:1Lv(魂の欠片、寄生を統合&異形精神から変異!)
神喰らい:7Lv(UP!)
継続強化:10Lv(UP!)