二度目の悪神は渇望す   作:オルフェイス

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続けます。どうぞ


貪喰

『■■5』

 

 

あのゴリラの魂は食べることにした。ただ、消化するのに時間がかかった。

 

恐らく他に何か使えるわけでもない。あるとしてもその方法を俺は知らない。

 

食べてみたら雷を使えるようになり、心なしか体が大きくなった気がする。

 

神に至ってからは、今までのようにエサを食べても強くなれないことがわかったので、今度からは他の神が目標だ。

 

 

 

『■■10』

 

 

 

他の神を探して何年か。見つけられはするのだが、逃げられたり倒せないやつばかりだ。

 

そのせいでちまちまと弱いやつらを食べるしかない。多少は糧になるが……こんなのでは、強くなるのに何万、いや何十万年かかるかわからない。

 

ここは、待ち構えてみるのがいいか……?それとも、方針を変えるか……さて、どうしたものか。

 

 

 

『■■54』

 

 

 

肝心なことを忘れていた。

 

この世界……いや、俺の知ってる世界では、神の力となるのは信者の信仰だ。

 

力を手に入れたいのなら……信者を増やし、祈らせればいい。

 

幸いにも俺の神としての性質は、この世界に適している。

 

今後の方針は……信者を増やし、敵を喰らい、力をつける。

 

それだけだ。

 

 

 

『■■109』

 

 

 

やはり。

 

信者を増やし始めてから、着実と力が沸き上がってくるのを感じる。

 

俺の信者となり得るのは、食物を必要とする生物。それは、この世界ではあまりにありふれている。

 

だからこそ、信者を増やすのも簡単だ。

 

この調子で進めていこう。

 

 

 

『■■■1』

 

 

 

飛んで火に入る夏の虫、というのだったか。

 

まさか、わざわざやって来てくれるとは、好都合。

 

おかげで、また一段と強くなれた。今回はゴリラじゃなくて、こう……毛むくじゃら……ケセランパセラン、的なやつだった。

 

魂ごと咀嚼し、胃袋に放り込み、力とする。

 

正直飲み込みにくかったが、それでも手に入った力は有用。

 

ありがたく使わせてもらおう。

 

 

 

『■■■110』

 

 

 

昨日のケセランパセランを喰らい、ついでにその信者もまるごと手に入った。

 

庇護されていた信者たちは毛むくじゃらだが、食物が必要なことには変わりない。

 

こうして着実に信者を増やしていけば、いずれは……

 

 

 

『■■■246』

 

 

 

どうやら避けられているらしい。俺が神を喰って回っているのが知られたようだ。

 

わかりきっていたことだ。邪神悪神も生命体の一種。死にたくもないだろうさ。

 

だから今後は神を探すのは一旦置いておき、信者を増やすことを優先させるとしよう。

 

 

 

 

『■■■505』

 

 

 

信者の祈りは、信仰は、着実に俺の力となっている。

 

しかし……恐らくこの程度では駄目だ。

 

『ラムダ』の大神……せめてそのレベルには到達しておきたい。

 

今の俺では、まだ足りないのだ。

 

 

 

『■■■■1』

 

 

 

なんかめっちゃ増える邪神に遭遇した、のだが……毛を大量に出して、食べてしまえば簡単に決着はついた。

 

あぁ、ようは毛を口がわりにしたのだ。最初はやれるとは思ってなかったが、案外できるものだな。

 

俺の本質は食べることだと思っていたが……もしかしたら、俺の認識がズレていたのかもしれない。

 

要検証、だな。

 

 

 

『■■■■144』

 

 

 

前の増える悪神を食べたおかげで、分体を作れるようになった。

 

その分体を使って他の悪神邪神がいないか、捜索中だ。

 

できれば目当ての神……『強奪』『共食い』『悦命』『解放』『魔城』が欲しいところだが……まぁ、気長に探すとしよう。

 

すぐに見つかることもないだろうし……力が手に入ったからといって、使えるのかもわからないからな。

 

 

 

『■■■■3459』

 

 

 

ここしばらくの間、信者を増やす活動しかできていない。

 

神を探そうと捜索はしているのだが……ここら辺にいる神はあらかた食い尽くしてしまったのだろうか。一向に見つからない。

 

前にも似たようなことがあったが……さて、今度はどうしたものか。

 

 

 

『■■■■■1』

 

 

 

なんだろう、釈然としない。

 

今日は偶然にも神を見つけ、捕食したのだが……食べた感じはするが、なんだかこう……食べさせられた、という感じがするのだ。

 

初めてのことに、正直戸惑っている。今までになかっただけに、どうすればいいのかわからない。

 

それに、なんだか最近胃がおかしい。どうおかしいのかはわからないのだが……

 

……久しぶりに、胃を動かしてみるか?

 

 

 

 

▼▼▼▼▼▼▼▼

 

 

 

 

『支配の悪神』プリュイエンは、自身のことを神々の中でも最弱の存在であると認識している。

 

強靭な肉体があるわけ、巨大な図体をしているわけでも、強大な力を有しているわけでもない。

 

そういった力のない神には、この世界はあまりにも危険すぎる。

 

だからこそプリュイエンは、神になった今でも巣の中に隠れている。

 

しかし、それにも限界がきていた。

 

 

(支配したい!我よりも巨大な神を!我よりも強大な神を!この世の全てを支配したい!)

 

 

プリュイエンの本質は他者の支配。だからこそ、支配もへったくれもない今の状況は、神に至ったプリュイエンにとっては苦痛でしかない。

 

神としての自我と知性を得てしまったからこそ、今の現状に我慢ならない。

 

プリュイエンは、自らの欲を満たすべく行動し────すぐ近くを通っていたラドゴーンに食われた。

 

しかし、それこそがプリュイエンの狙いだった。

 

 

(愚かなり!さぁ!我に支配されるがいい!)

 

 

プリュイエンの元の種族は、非常に貧弱な生物だった。生殖、食事、行動、睡眠……それら全てを宿主に頼りきりにならざるを得ない寄生生物だった。

 

しかしその支配力は強力で、神を支配するのは不可能でも、それ以外ならどのような生物であれ支配することができた。

 

今のプリュイエンは、神に至ったことで他の神に寄生し支配できるようになっていた。

 

だからこそ、プリュイエンは自身を飲み込んだラドゴーンを支配するべく、自ら体内に潜り込んだ。

 

 

─────そこまでは、よかった。

 

 

予想外だったのはそこからだ。

 

 

(な、なんだこれは?)

 

 

プリュイエンの予想では、まずは胃の中に放り込まれるはずだった。

 

しかし目の前にあるのは胃ではなく……いや、胃ではあるのだろう。

ただし、その広大さはラドゴーンの肉体よりも数倍大きい。しかもどういうわけか次に続く穴が複数箇所存在していた。

 

 

(胃の中の空間を拡張しているのか……?いや、そんなことよりも、まずは脳を目指さなくては)

 

 

プリュイエンは考えられる可能性を切り捨て、支配するために必要な場所を探し始めた。

 

しかし、見つからない。胃を突き破ってみても、複数ある道を通っても、見つからない。

 

道を通れば別の胃に繋がっているだけで、心臓に到達できない。ならばと胃を突き破っても、どういうわけかまた胃の中に出てくる。

 

プリュイエンは、無限ループに囚われていた。

 

 

(馬鹿な、なんなんだここはっ!?)

 

 

今までに経験したことのない相手。どれだけ脳を目指そうとしても、いつの間にか最初の場所に戻される。その繰り返しだった。

 

それでもプリュイエンは諦めなかった。自らの欲望を、他者の支配を辞めようとはしなかった。

 

いつかは脳に辿り着けるはずだと足掻きもがいて……そして、その時は来た。

 

 

(…なんだ?)

 

 

プリュイエンが察知したそれは、胃の脈動だった。プリュイエンが胃の中に潜入したときはろくに動いていなかった肉の壁が、蠢きだしていた。

 

その蠢きに危機感を覚えたプリュイエンはすぐさま胃の壁から逃れようと動き……それは起こった。

 

なんと胃の壁が中心に向かって迫りだしたのだ。

 

 

(ヌォォォォ!?)

 

 

プリュイエンはすぐにそれから逃れようと壁の付近か、逃げ出し……すぐさま反転して迫り来る肉の壁に突撃した。

 

 

(逃げたところで押し潰されるだけ!ならば、胃を突き破り、今度こそ脳に寄生する!)

 

 

そんな賭けに出たプリュイエンは迫り来る肉の壁に到達し、胃を突き破ろうとして────出来ない。

プリュイエンがいくら肉を突き破ろうとしても、一向に押し戻されるだけで肉を破れない。

 

 

(なっ、なぜだっ!?これまでは突き破ることはできた!なのに、なぜ今は出来ないっ!?)

 

 

プリュイエンは自身の出せる全力で肉を突き破ろうとするが、むしろ突き進むどころか押し戻されて左右からも肉の壁が迫り出す。

 

 

(死ぬっ?この我がっ?こんな、あっけなく……ふ、ふざけるなぁぁ!)

 

 

どうにも出来ない状況に死の予感と絶望を覚え、それを怒りで誤魔化そうとするが……それでこの場を打破できるのなら、プリュイエンは寄生に頼ってなどいない。

 

プリュイエンに迫ってきていた肉の壁が、ついにプリュイエンに到達し、押し潰そうとする。

 

プリュイエンは必死に体を動かし逃げ出そうとするが……

 

 

(ぎ、ィィァァァアァァァ!!)

 

 

プチンと小さな音が響き肉の壁がプリュイエンを押し潰して、小さな断末魔と共にプリュイエンは本当の意味でラドゴーンの胃に収まった。

 

 

 

▼▼▼▼▼▼▼▼

 

 

 

 

『●1』

 

 

なんだろう、だいぶスッキリした。

 

久しぶりに胃を動かしたからだろうか。もしかしたら胃の中には溶かしきれていなかったものが大量にあったのかもしれない。

 

今後は適度に胃を動かしてみるとするか。




『墮毛の邪神』アンギ

ケセランパセラン的なやつ。移動、戦闘、感知の全てを触覚である毛に頼っている。

手数も多ければ範囲も広い。地味に力も強いと結構な強敵……だったのだが、ラドゴーンに喰われた。

ラドゴーンはアンギを喰らって口のついた毛を生やす能力を得た。


『石増の悪神』パララヤ

体を硬化した皮膚で覆った象に似た悪神。他の石を媒体として自分を増やすことができる。

……のだが、ラドゴーンが毛を生やして一気に喰らい尽くす戦法を取ったせいで、無事胃袋に収まった。


『支配の悪神』プリュイエン

寄生虫の神。寄生さえできればどんな神であろうとも支配できる力を持っていた。

しかし、ラドゴーンの体内にある大量かつとてつもなく広い胃袋に翻弄され、最終的にプチっと潰された。

プリュイエンは寄生し支配することに特化しているので神の中でも最弱。ただ隠れるのは上手かった。
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