新章、開幕です。
ラムダ《1》
『●10703』
ラムダ世界に到着した。
自然に満ち溢れ、神と人間が良き隣人として存在している世界。それがラムダだった。
因みにラムダという世界について大雑把に語ると。
・とある世界で黒と白のニ柱の巨神が喧嘩をしていた
・そのニ柱は色々あって倒れ、その骸から十一柱の大神が誕生する
・八柱の大神は人間を作り、残りの三柱、龍皇神マルドゥーク、巨人神ゼーノ、獣神ガンパプリオはそれぞれ龍、巨人、鳥獣を創造した
・みんな平和に暮らしてました
……というのが、グドゥラニスが侵攻する前のラムダである。
当然ながら、ラムダの生命に戦う手段なんてものは持ち合わせていない。なにせ、必要なかったからだ。
自分達を害する敵がいないのならば、そうもなるだろう。
戦う手段を持たない人間ではなく、それ以外の種族と神がグドゥラニス率いる魔王軍と初戦を繰り広げていた。
しかし、瞬く間にグドゥラニスはラムダを侵略していく。
魔素によって世界を汚染し、巨人、龍、獣王*1、そしてこの世界を守る大神たちを蹴散らしていった。
もっとも、流石のグドゥラニスも複数の大神を相手にするのは一苦労なようだったが。
因みに俺は適当な巨人と龍と獣王、それに従属神*2を相手にした。弱くはないのだろうが、いかんせんパワーに頼りすぎている。戦術も何もあったもんじゃない。
まぁ俺もどちらかといえばパワータイプなのだが。
『●11457』
グドゥラニスがゼーノ、マルドゥーク、ガンパプリオを滅ぼし、ラムダの大陸の一つを支配した。
他の巨人や龍も悉くグドゥラニス率いる魔王軍に倒され、一部は魂ごとグドゥラニスに滅ぼされた。
中には魔王軍に寝返った龍や巨人、獣王もいるくらいだ。
俺?俺は迫り来る巨人や龍を相手に立ち回って、多くの神を押し留めて、その隙を他の邪神悪神に任せている。
喰えるのであれば喰いたいが、しかし手強い。喰おうとすれば他の神に止められるからだ。
ラムダ侵攻は、まだ始まったばかりだ。
それに……そろそろ大神たちも手段を選んでいられないだろう。
神の造り出したシステム*3に、異世界からの勇者。
それらが出始めてからが、本番だ。
……それはそれとして、砕け散ったゼーノたちの骨や肉片を探すか。
ぜひとも食べてみたい。
『●11990』
グドゥラニスが大陸に魔素を広げ、魔物を創造した。
魔物の……生命の創造など、得意分野でない限りは不可能に近い。少なくとも俺は出来ない。
グドゥラニスは本腰を入れて、下僕である魔物を揃えて侵略に始めるようだ。
それに対抗してか、ついにラムダにシステムが組み込まれたようだ。残念ながら神や亜神はシステムの適用外なので、専ら神以外の存在を育てるのに使われるだろう。
今のところ、グドゥラニスはシステムに気付いた様子はない。俺も、分体を派遣させてわかった事実だからな。
なお俺から教えるつもりはない。教えるまでもなく、いずれ気付くであろう、と思っているからだ。遅いか早いかの違いしかない。
あぁ、それとグドゥラニスは配下の邪神悪神に魔物の創造の力を与えていた。
グドゥラニスにとって、それくらいのことは大した労力でもないのだろう。
俺もその力を受け取ったので、早速魔物を創ってみたのだが……ドラゴンっぽいやつが創れた。
……鱗と口と牙しかない、外見だけはドラゴンだ。目も鼻も爪もないドラゴンモドキである。
最初はランクを調べようとも思ったのだが、今はグドゥラニスがシステムを改変していないので、そもそも魔物にステータスが存在しない。
なので、こいつらの種族と能力を知るのは別の機会となった。
迷宮が創られるのは……多分、グドゥラニスによるシステムの改変が終わってからだろう。
それまでは、こいつらを増やすことにしよう。
『●12110』
グドゥラニスがシステムに介入し、魔物にもシステムの恩恵を受けられるようにし、それに加えて魔物にランクというものを追加した。
それに気付いた大神、リクレントがシステムを三柱の従属神*4に任せ、何処かもわからない空間に放り出した。
グドゥラニスは配下の邪神悪神に迷宮創造の力を分け与えた。
以上の出来事が、短い期間の間に起こっていた。
魔物にもステータスシステムが適用されたおかげで、前に創った魔物の名前とランクがようやくわかる。
ちなみにそんな出来事がありつつも、1つの大陸を支配した魔王軍率いる魔物たちと邪神悪神、ラムダ側の神々と人間との争いは既に開戦してたりする。
人間にシステムが適用されたために魔物たちは劣勢気味だったが、魔物にも適用されたおかげでほぼ互角に傾いている。
こちらにはグドゥラニスという規格外の存在がいるとはいえ、連携も何もあったものじゃない邪神悪神たちは、ただ魔物を突撃させるだけしか能がない。
もちろんそれだけではない神もいるが……少数派であるのは事実だ。
中には配下の魔物に武器を持たせるという発想に至った神もいる。
俺も最初はそれをしようと思っていたが、いかんせん俺の創った魔物たちの体は、武器を持つのに適していない。
それに……もうそろそろだろう。
システムは完成された。ならば、次に来るのは……異世界からの勇者。
さて、備えるとしよう。
因みに俺の創った魔物は『ヴィーヴル』というランク6の竜*5であった。
なんでそんな名前なのかは知らない。文句があるのなら名付けたステータスの神に言ってくれ。
『●13331』
ラムダの大神たちが、勇者を異世界から招き入れた。
目には目を、歯には歯を、というやつか。異世界からの侵略者には、異世界の人間を使う、と。
……いや、使うというのは語弊だろう。正確には協力してもらう、か。
さて、今の俺にはいくつかの選択肢がある。
まず一つが、勇者からの勧誘が来るまで待つこと。
これを選ぶということは、グドゥラニスと戦うということだ。下手をすれば滅ぼされる可能性もあるだろう。
しかしこの世界を知っている俺からすれば、勇者につくことは悪い選択肢ではない。ただ、これからの行動に制限が掛かるだけだ。
二つ目はこのまま魔王軍に留まること。
これは、どちらを選んでもグドゥラニスが破れることに変わりない。少なくとも、俺が何か仕出かさない限りは。
魔王軍に留まることを選べば、色々と自由にできる。味方をするのも、敵対するのも自由だ。
ただ、下手をすれば何十万年と封印され続けることになるかもしれない、というリスクはある。
正直、俺はどちらを選んでも構わないと思っている。
やりたいこと、やれることは分かりきっている。しかし、それが実際に出来るかどうかは分からない。
だから考える。その選択でいいのかを。
……少なくとも。後悔は、しない。そのつもりだ。
『●14450』
魔王軍から勇者に寝返ることにした。
勇者の一人、ザッカートから誘いが来たのだ。
その時にはもうどうするのかを決めていたので、俺はザッカートの勧誘に乗ることにした。
とりあえず、配下の魔物が沢山いるのだが……一緒に連れていっても構わないだろうか?
因みにここの選択次第で『ラムダ』√、『魔王軍』√に別れます。今回はラムダ√ですね。
後々のラドゴーンの選択次第で、さらに細かくルート分岐していきます。作者の都合と気分、あとコメントによっては別ルートを書くかもしれません。