賛否あると思いますがそれも含めてお楽しみください。
では、どうぞ。
どうやらこの部屋にはこの絵画以外何も無いらしい。イヴちゃんが入った時も鍵くらいしかめぼしいものはなかったと言っていた。
とりあえずこの部屋を出るために絵画に背を向けると、何故か開け放ってからそのままにしていた扉が閉まっていた。なぜ閉じたんだろうかと考えながら扉のノブを捻り、開けようとするがなぜだか開かない。何度か捻って押したり引いたりしてもビクともしない。
「……イヴちゃん。さっきここを出ようとした時って普通に開いた……?」
「?うん。ガチャってしたら開いたよ。」
「そっかー……。なーるほど。俺が気に食わないと 。」
俺は話を聞いて2つの仮説を立てる。1つは俺が入ったことにより何かしらこの部屋に変化が出たパターン。このパターンだとその変化を見つけない限り、この部屋からは出られないだろう。そして2つ目は、イヴちゃんのみが扉を開けることが出来るパターン。こっちの場合だと、なんというか俺の立つ瀬が無い。まるでお化け屋敷の中を小学生の女の子に先導されている気分になる。なんとも情けない。
とにかく先のふたつを確認しなければ。俺の
「ねぇイヴちゃん。ちょっと扉開けてみてもらってもいい?」
「なんで?お兄さん開けられないの?」
「うーん。それもあるけどちょっと確認したいことがあるからね。」
「ふーん、変なの。」
そう言いながらイヴちゃんが俺の前に立つ。彼女もノブを捻って扉を開けようとするが開かないらしい。これでイヴちゃんのみが開けられるという考えは薄くなる。まだ可能性が無くなった訳では無いが。
ではもうひとつの方をメインに考えよう。なにか違和感のするものはないか。 少しでも気になるものはないか。探せ。俺の未来を探せ。今のその先を探せ。
「お兄さんどうしたの?お顔怖いよ……。」
「────あ。ごめんね。この部屋に違和感がある気がしてね。ちょっと考えてたんだ。何が違和感に感じるのかって。」
「違和感……?」
「そう。この部屋の違和感。あの絵の人の表情が戻ってる違和感。……そういえばなんであの絵の人は怖い顔になったの?」
「え?鍵を取ったから……。」
鍵……。イヴちゃんが鍵と理解できるくらいには鍵の形をしているのだろう。大方ほかの扉を開ける鍵なのだろうが、ならこの部屋の扉にも鍵穴があってもおかしくない。
そう思い俺はノブの辺りをよく観察する。……あった。ノブの下にあったからか見えていなかった。この鍵穴の形からしてアンティークのような形の鍵だろう。
つまりその鍵は、これから何かしらアクションを起こすために必要なファクターなのだろう。では今、閉じ込められてしまったファクターは?……俺か?俺に足りないものか?もし後者なら
思考の海にたゆたっていても仕方ない。何かしらの行動を起こそう。そう思い俺は再び絵画に近づく。
近づくと尚更この絵は生きているように見える。絵画に間違いは無いのだが、質感が絵画のそれでは無いのだ。……もしかしたら俺たちの会話も聞いていたのかもしれない。それで俺はロリコンかなにかと勘違いされてるから外に出られない……?
「えっと……絵画さん。俺の声は聞こえますか?」
向こうからのアクションは何も無い……と思ったが、壁に文字が浮かぶ。どうやら聞こえているようだ。
“どうしましたか?ろりこんさん。”
────。俺は怒ればいいのか悲しめばいいのかわからなかった。ただ一つ、この勘違いを解く。この事はこなさねばならない。
「ロリコンでは無いです。なんで俺たちをこの部屋に閉じ込めてるんですか?」
“この子と二人きりにするとあなたが何をするか分からないからです。”
「ロリコンではないので何もしません。外に出してください。」
返答はない。どうやら俺の事を認めてないようだ。致し方ない。交渉の時間だ。
「では、俺の薔薇が見つかったら彼女に渡します。彼女が俺の行動を不快に思ったら薔薇の花弁を1枚ずつ毟る。これでどうでしょうか?」
“────。仕方がありませんそれで行きましょう。”
そう壁に書かれた次の瞬間。後ろの扉から鍵が解錠された音が聞こえる。ようやくここから出られるらしい。この美術館は俺のことが嫌いらしいことはこの一部屋目で嫌という程理解した。次からは今以上に気を引き締めて当たるとしよう。それと、渋々とはいえ鍵を開けてくれた彼女?にも感謝を述べなければ。……本当は嫌だけど機嫌を損ねてまた閉じ込められるのも嫌だから。
「鍵を開けてくれてありがとうございます。約束したことは必ず。」
それ以降この絵からの返答はなかった。だがそれが普通なのだ。やはりこの美術館は全てがおかしい。改めてそう思える出来事だった。
フッと一息ついて後ろを振り返るとイヴちゃんが何かありえないものを見るような目でこちらを見ている。俺の行動を思い返すと、なるほどそれもそうか。俺はいきなり絵に話しかけ、鍵を開けたように見えるのか。
「えっとー……とりあえず外に出よっか?」
「───お兄さんがこの美術館にわたしを閉じ込めたの?」
「違うよ?俺も閉じ込められたの。うーん……どうしたら信じてくれる?」
「えっとじゃあね。お兄さんの子供の頃のお話して!」
「え?子供の頃?うーん……一応世間的にはまだ子供なんだけどなぁ……。まぁいいよ。」
そんな話をしながら俺たちは外に出る。
その後ろではあの絵画が変わらずに微笑み続けている。その微笑みは子供の成長を微笑ましく見守るお母さんの様な優しいものだった。
名前の無い絵画さん、ママみが強くなりました。私の中で今回の件は子供と遊んでいる母親というイメージです。だからすぐに引き下がってくれました。
ご都合主義ですけどね
ていうか主人公薔薇のこと覚えてる?しっかり探してね?←