では、どうぞ。
扉の前に着いた俺達なんだが先程一周した時も感じたのだが、まず初めに疑問に思ったのは「この部屋だけ扉の密閉感がすごい」という事である。
この部屋にはなんだかよく分からないが毒ガスのようなものが充満しているからこそのこの密閉感なのだろうが、そんな事を知る由もないギャリーは少し不安がっているような表情をしている。
「ねぇヒロトシ……。この部屋だけなんか異質じゃない?なんでこんなにピチッと閉まってるのかしら……。」
「確かに謎だなぁ。……文字通り臭いものに蓋をしてるのかもな。」
「な〜に?じゃあこの部屋の中には臭いものが入ってるって事?いやね〜。シュールストレミングなんて無いといいけど。」
「それは確かにやばいわ。たしかあれって世界一臭いんだっけ?ただ美術館とは関係無いし多分それは無いんじゃない?」
「……まぁそれもそうね。取りあえず警戒するに越したことはないことは理解できたわ。」
「そうだな。ちょっと軽く覗いて見ようか。何があるか確認しないとだしね。」
そう言って俺達はノブをじっと見つめる。正直このドアノブを引きたくはない。だって中は謎のダメージの食らう赤い霧状のものが充満しているのだから。
お互いに心の準備が出来ていつでも行ける状態になると、声を一言も発さずに視線とジェスチャーのみでコミュニケーションを取り始める。といってもジェスチャーをしているのは俺だけでギャリーはそれを見て頷いているだけなのだが。
とにかく部屋に入らない事には何も始まらないと思い俺はドアノブに手をかけてギャリーについて来いと身振りで伝える。
決意の鈍る前に息を止めて部屋に突撃すると、やはりと言うべきか赤い霧のようなものが部屋に充満している。しかも扉を開けたのにも関わらず、そこから外に漏れ出しているような様子もない。
そこに大きな疑問を持つが俺達はあまりこの部屋に留まれそうにないのでギャリーを傘の方に行かせて俺は絵の具玉を探す。
なんだかんだ絵の具玉もすぐに見つかり、俺たちは足早にこの部屋の中から脱出する。
「―――ぷはぁ!一体、なんなのよ、この部屋!」
「そんなの、俺が、知る訳、ないだろ!」
お互いに激しく呼吸をして足りない酸素を体に循環させながら恨み言を吐き出す。しかしなんだかんだ言って薔薇の花弁は1枚も減っていない事から、息を止めてさえいればあの部屋は特になんの問題もないという事を発見出来たのは大きいだろう。
しかし、なぜ俺の薔薇は俺の手元にあるのだろう。俺はイヴちゃんから|自分の薔薇を受け取った記憶は全くないというのに《・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・》現実として俺の手の中には白い薔薇が収まっている。魔法か何かに掛けられた気分になってくる。
そんな神妙な面持ちで俺の薔薇をまじまじと見ているとギャリーもきになったのか俺に話しかけてくる。
「アンタそれってイヴに預けてたんじゃなかったっけ?いつの間に渡してもらったのよ。」
「いや、それが俺も全く身に覚えがないんだよ。気がついたら俺の手の中に収まってたって感じ。」
「……本当になんでもありね、この美術館は。そのうちアタシ達の分身でも出てくるんじゃないかしら?」
「そりゃ笑えない冗談だなぁ……。もし見分けのつかないくらい似通った見た目で出てこられたらもう詰みだわ。」
「そうよねぇ……。アタシも正直見分けられる自信ないわ。」
「まぁ今はそんなもの出てない訳だしどれだけ先かも分からない事を考えても仕方ない。取りあえずはその傘の使い道を考えよう。」
俺達は様々な疑問が未だに残る中、とりあえず目先の事を何とかしようと考える。その様子を心配そうな目をした『心配』が俺達の背中を見守っていた。
――――――
「―――それじゃあ取りあえずはこれを取った事で何が変わったか見回ろうか。」
「まぁそれが安定じゃないかしら。傘だってアタシ達が差すって訳じゃあないだろうしね。」
「これでどっか変わってくれてたら有難いんだけどな。まぁなんとかなるだろ。」
「……アンタって本当にお気楽主義よね。」
なんとも不本意な称号をいただいた訳だがそう思われても致し方ないのは自覚している。俺だってギャリーと同じ状況に陥って、そんな状況下で「なんとかなるだろ。」なんて言われたら同じ感想を抱くと思う。
でもここまで上手く攻略できている自信はあるし、原作と大きくかけ離れた展開も多くは起きていない。初めのあの絵画と青人形を除いて。てか今思うとあの絵画ってあんなにお喋りだったんだなってびっくりしている。だって原作の場合あの絵画自信が喋っているような描写は一切されていなかったんだから。
「ちょっとー。いつまでぼーっとしてんのよー。」
「あ……。ごめんごめん、色々思い出してた。それじゃあ行こうか。」
「アンタってホント色々と思い出すわねぇ。そんなにいい思い出ばかりなのかしら?」
「んー。そういう訳じゃないんだけどなんかそんな話もあったなーって感じでなんかつい思い出しちゃうんだよね。」
「ふーん?よく分からないけど大変そうね。」
「悪いね。変なくせに付き合わせちゃって。」
俺がそう言うとギャリーは何でもなさげに「大丈夫よ。」と言ってくれた。いくら分かっていたとはいえイケメン過ぎないか?なんてそんな事を思いながら俺達はゆっくりと歩いていく。
原作では起こらなかったこれから起こる事象に少しの期待と恐怖を抱きながら俺たちは進んでいく。きっとその先に希望が見つかると信じて―――。
今まで通り書くとイヴとメアリーの探索パートが無くなります。欲しいですか?
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欲しい
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要らない
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どちらでもいい