Ib〜ハッピーエンドへ行き着くためには〜   作:月舘

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どうも、私です。今回は筆がノリに乗りまくりました。書いてていつも以上に楽しかったです。
こういうシーンが書きたくてこの小説を始めたと言っても過言では無いですね。
ぜひ楽しんでいってくださいね!









では、どうぞ。


王様

部屋を見回っていくと、やはりと言うべきか未だに開いていない扉の近くに青人形が移動していた。しかしそのお腹は今まで見てきたよりもぽっこりと膨れており何かを隠し持っている事は誰が見ても明らかであろう。

 

 

「……ギャリー、一応ギャリーから話しかけてみる?多分あの子が持ってると思うよ。」

 

「持ってそうなのは見てわかるけどあの子はアンタの管轄でしょ?アタシは遠慮しとくわ。」

 

「あ、そう?じゃあ早速話しかけてくるわ。」

 

「……、アンタって本当に怖いもの知らずね。」

 

 

ギャリーが何か言っていたがどうせあまりいい事は言っていないだろうと踏んで、ギャリーの言っている事が聞こえる前にササッと青人形の前に移動する。

 

 

「やぁ。何やらお腹がポコっと膨れてるけど何か持ってるのかな?」

 

“さっき いいもの ひろったよ。

わたしの たからものに するの。”

 

「そっか。それって綺麗な色をした丸い玉かな?」

 

“うん! ヒロトシ よくわかったね!”

 

 

やはり残りの絵の具玉のうち1つをこの子は拾っていたようだ。絵の具玉の説明が書かれていた部屋にあった台座は全てで7つ。俺達が今まで拾ってきた絵の具玉は確か……5つだったはず。となるとこの子の持っているものと例の部屋の中の2つとなるので数自体は間違っていないだろう。

 

となるとここからはどうやってそれを譲ってもらうかがこの子との話の焦点になるだろう。原作のように何も言わずにお腹の中から今となっては気が引けてしまうほどには愛着が湧いてしまった為だ。

何とか相手方に不快な気持ちをさせずに絵の具玉を譲ってもらえるか、俺は頭をフル回転させながら再び口を開く。

 

 

「なぁ、もし良かったらその綺麗な玉を譲ってくれないか?それともう1つがあればメアリー達と合流出来るかもしれないんだ。」

 

“えぇ〜 どうしよっかなぁ〜”

 

「本当にお願いだ。メアリーにも外の世界をいっぱい味わわせてあげたいんだ。」

 

“……。”

 

「確かに外の世界はいい事だけでは無いけど、それでも外に出たいって彼女の夢を叶えてあげたいんだ。」

 

“しかたないなぁ ヒロトシは

わたしに らんぼうしなかったし

これ あげる!”

 

 

どうやら俺の思いは伝わったらしく人形の前に赤い絵の具玉が現れる。結局俺が思っている事を伝えただけだったのだが、むしろそれが良かったのかもしれない。しかしこの絵の具玉を貰ったところであとひとつ足りていないのは変わらないし、この人形のお腹の膨らみを見るにもう1つの絵の具玉を持っているわけでも無さそうだ。

 

となるとやはり最後に残った部屋に最後の1つが隠されているのだろう。しかし原作とは違う絵の具玉の入手をしてしまった為か目の前のこの人形は一向に動き出す気配を見せない。ゲームであればこの子が急にすごい速度で動き出して扉を開けるのだが、やはりイレギュラーがあったから(俺がいるから)だろうか。

 

仕方がないので俺は青人形に最後のお願いをする事にした。

 

 

「ごめん。最後にあそこの扉の鍵を開けてくれないか?」

 

“え? いいけど

ヒロトシにとって いいことは

なにもないと おもうよ?”

 

「……多分最後の絵の具玉はあの部屋の中にあると思うんだ。だからお願い。メアリーの願いを叶える手伝いをしてくれないか?」

 

“…… いいよ

のりかかったふねだもんね

てつだってあげる”

 

「―――!ありがとう!」

 

“でもやくそく

ぜったいに メアリーを

そとにつれてって あげてね”

 

「あぁ!任せておけ!」

 

“それと ひとつちゅうこく

おうさま(・・・・)には きをつけてね”

 

 

俺はその一言で思考が止まる。王様?という事はあのIbという作品きってのホラー演出はこの目の前の人形が起こした事ではないという事なのか。

俺はてっきり全ての人形の意識は1つで、マザーコンピューターが接続されている全てのコンピューターを動かしているようなものかと思っていたがそうではなく、全ての人形にそれぞれの意識があるという事になるのだろうか。

となると仲良くなったこの子はマイノリティの部類で青人形の総意は“外の人間は絶対にタダでは帰さない”とかだったらどうしようか……。

 

―――まぁいい。どちらにせよ当たって砕けろの精神でここまで来たんだからこれからもそれを突き通すだけだ。王様とやらに直談判しようじゃないか。

 

 

「―――心配してくれてありがとう。でも俺もここまで来たら引けないからね。俺のできる事はなるだけやってみようと思うよ。」

 

“…… わかった。

またいっしょに

どこかにいこうね”

 

「あぁ。無事に出れたらその時は一緒に行こう。」

 

「……アンタ大丈夫そうなの?話を聞いてた感じかなりヤバいんじゃない?」

 

 

話を聞いていて心配になったのかギャリーが口を挟んでくる。心配をしてくれるのは嬉しいが王様が話の聞かないやっと決まった訳では無いしおそらく大丈夫だろう。

 

 

「それじゃあ俺は部屋の中に入ってくるからギャリーはそこら辺で待っててくれ。」

 

「ハァ!?何言ってんのよ!アタシも部屋に入るわ!」

 

「いや、ここは俺に任せてくれ。ギャリーには頼みたい事があるんだ。」

 

「……なによ。」

 

「多分俺が部屋に入ってちょっとしたらあの釣り針の垂れてた絵の横の扉の鍵が開くと思うんだ。そうしたら多分合流出来ると思うから、その時はイヴちゃんとメアリーを頼む。」

 

「アンタ、それじゃあ―――。」

 

「俺も!……すぐに追いつくよ。任せとけって。こう見えても交渉とか得意なんだぜ?」

 

「……分かったわ。でも、あの二人が様子を見に来たいって言ったらここまで戻ってくるからね!それまでに出てきてなさいよ!」

 

「了解。じゃ、行ってくるわ。」

 

「―――えぇ、行ってらっしゃい。」

 

 

正直自信なんてものは無いし無事に出てこれる保証もないが俺は俺の出来る事をやるだけだ。そう己を奮い立たせて、竦む足を無理やり前へと進めながら俺は何故か異常に冷たいドアノブを回してゆっくりと部屋に入っていった――――――。




今回はまえがきにも書いた通り私の描きたいシーンの1つだったんです。それが思う通りに書けて私は今すごく満足しています。
また、次回はいつもとはちょっとだけ何かを変えて書こうと思ってますのでそちらもお楽しみに……。
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