今回はまたいつも通りに書いておりますので、いつも通り頭を空っぽにしてお読みください。
では、どうぞ。
部屋に入るとそこは廊下と全く変わらない紫色のみで彩られた部屋であったが、そこには大小様々な青人形がずらりと並んでいて少し慣れてきていた俺でも流石に恐怖心を拭えない程には不気味な雰囲気を醸し出していた。
そして俺の目の前の壁には大きく真っ白なキャンバスが聳えていて、そこの中に何かいるのがわかるくらいに俺の頭が危険信号を発している。
そんなキャンバスの下を見てみるとやはり俺の考えていた通り最後の絵の具玉が1つポツンと置かれていた。先にとってから王様に声をかけるか、それとも声をかけてから絵の具玉を取るか。ある種の究極的な2択をどちらにするか迷いながら真っ直ぐキャンバスの元へと歩いていく。
キャンバスまでの短い距離をこれでもかと言うくらい悩んだ結果――――――。
「……失礼。」
俺は先に絵の具玉を取る事にした。そうすればギャリーが2人と合流するのが早くなるだろうし、そのまま俺の事を気にせず先に進んでくれれば俺の言う事は何も無い。
「さて……、挨拶が遅くなって申し訳ございません、王様。」
俺がそういうと部屋の空気が一気に冷え込む。実際の気温が下がった訳では無いのだろうけれども嫌な寒気がビンビンに感じている。これがあの部屋の暗がり方のタネとでも言うのだろうか。
しかし王様に一言かけた所で状況は特に変わる事もなく、ただ部屋の体感気温が下がっただけである。これは俺の出方を待っているという事でいいのだろうか?
少しこの後の身の振り方を考えたが、俺の無い頭では特にこれといって良い案が浮かばなかったのでこのまま話を続ける事にした。
「お……自分は外から来た人間です。いつの間にかこの美術館に迷い込んでしまいました。」
未だに変化はない。
「王様はこの世界から外に出る方法は知っていますでしょうか。それと……メアリーをここから出す方法についても宜しければ。」
その瞬間額縁を中側から勢いよく掴む青い手が出てくる。やはり
ゆっくりと身体を出してきて、腕を完全に額縁の外に出してとりあえず話を聞ける体勢になる“王様”。一応こちらを今すぐ襲う気は無いようで外側に出した腕は所在無さげにプラプラとしている。
俺は“王様”が顔を出して事により今まで立っていた距離が近すぎた為に、“王様”が腕を出してくるタイミングでゆっくりと後ろへと下がっていた。
《なぜお前はあの子を狙う。あの子はこの世界でしか生きられない存在なのだぞ。》
「何故、ですか。……これは先程付き添いの者にも言ったのですが、あの子には色んな世界を知って欲しいのです。」
《ほう……?して、その心は?》
「特に深い意味は無いですよ。ただ色んな世界を見て見聞を広げるのは子供の時にこそ必要な事だと思ってるので色んな世界に触れて欲しいな……と。」
俺がそこまで言うと“王様”は少し頭を傾げてこちらを見つめてくる。俺としては特に特別な事は言ってないんだけどもあちらとしてはなにか引っかかる事があったのだろう。
《お前……何故そこまでにあの子に尽くす事が出来る。どれだけあの子がヒトの姿に近かろうと所詮は絵画。我々と同じ存在なのだ。》
「うーん……。―――王様、別世界って信じますか?」
《ムッ?―――。》
――――――――――――
俺はこれまでに俺の身に起きた出来事を掻い摘んで王様へと伝えた。勿論伝えなくてもいい事は言わなかったが。
《ふむ……。ではお主は異世界の人間であると。それを証明する事は出来るのか。出来ぬのか。》
「いや、それは出来かねますね。俺がこの場で出せるものといったらスマホと飲み物、それと情報くらいでそれが別世界の物だと王様が分かるとは限らないので。」
《まぁ賢明な判断よな。ならばこれからどう我を説き伏せるつもりだ?それなりの説得力がなければ情報はやれんな。》
「それなら――――――。」
――――――――――――
扉の開く音で俺の意識はハッキリとしてくる。どうやら俺は“王様”から手厚い一撃を貰って、それで少し気を失ってしまったらしい。しかしそれでも教えて貰った情報は覚えているものだと俺はひと安心する。
「ヒロトシっ!大丈夫!?王様に何されたの!?」
メアリーが俺の体を揺すってくるのでゆっくり寝られないなと思い、体を動かそうとする。しかし今の俺は身体中から尋常ではない痛みを感じていて体が思うように動かない。
体の節々が悲鳴を上げているのを無視して体を少しづつ動かすと、それに気づいたメアリーは先程まで以上に大きな声で俺を起こそうと頑張っている。
しかし何故こんなにも体が動かないのか。そこでふとギャリーと出会った時の事を思い出した。それを元に考えるならばどうやら俺はダメージを受けすぎたらしい。
「メアリー!ヒロトシは……っ!」
「お兄さんっ!大丈夫!?」
「どうしよう……!ヒロトシ、ずっとうなされてる……!」
「―――っ!バラ!お兄さんのバラはどこにある!?」
「あっ!イヴ!ヒロトシの足元に落ちてるわ!」
「ちょっと花瓶のところに行ってくる!」
流石イヴちゃん。俺と一緒にギャリーを助けただけあってよく覚えてるもんだ。暫くして急に体の痛みがスっと何事も無かったかのように消えたと思ったら、漸く体が自由に動かせるようになった。
とりあえず何はなくとも体を起こして3人に向き直る。ここまでしてもらって俺がするべき事は1つしかない。
「――――3人ともありがとう。おかげで助かった。」
俺がそういうとイヴちゃんとメアリーはわんわんと泣き出し始め、そのまま俺に抱きついてくる。俺が困ったようにギャリーを見ると、ギャリーはそれがアンタへの罰よと言わんばかりのしてやったり顔を浮かべている。
その表情を見てこればっかりは仕方ないと割り切り、甘んじて2人が泣き止むまで頭を撫でてあげるのだった。
王様との密談なのですが、これはもちろん回避不可能イベントで尚且つ
イヴちゃん達が脱出したら条件をあとがきかどこかに書こうと思ってるので答え合わせはそれまでのお楽しみでお願いします。