貴方だったら残りますか?それとも出ていきますか?
では、どうぞ。
俺達はメアリーの部屋を出て先ほど鍵がかかっていていたピンク色の建物へと向かっていく。その時イヴちゃんがメアリーにこのsketchbookに描かれている建物の内装はどうなっているのかとかこの中で何がいちばん上手く描けたのかなどを聞いていた。メアリーも満更でもない表情でその質問に答えていたので本人としても話したかったんだろう。
そんな話をしながら歩いていくと俺達はすぐにピンクの扉の前まで着いたので話を続けたまま鍵を開けて中に入るとそこは桃色の壁で覆われた部屋の真ん中に階段があった。
それを下っていくと途中で壁と階段が全て黒くなり、明かりもあまり意味を成していないほどに全てが違いのないように見える。階段の一段一段さえあるかどうかよく見えないので、踏み外しそうになるのも致し方ない。
しかしメアリーだけはそんな中を苦もなく先頭のギャリーを追い抜いてスタスタと歩けているのだから恐らく彼女は空間把握能力がすごいのか、歩きなれているかのどちらかだろう。
「うわ、暗いわね……。イヴ、メアリー足元に気をつけてね。」
「私は慣れてるから平気だよ!ギャリーこそ転ばないように気をつけて歩いてよね!」
「アタシはこのくらいじゃ転ばないわよ〜?もし転ばせたいならもっと暗くする事ね!」
「にゃにおぅ〜!」
ギャリーとメアリーがわちゃわちゃと微笑ましく言い合いをしているのを最後方で眺めていると、イヴちゃんが俺の側へとやってくる。
「イヴちゃんどうした?」
「転んだらいやだからお兄さんに手をつないでて欲しいなって……。ダメ、かな?」
「それくらいなら全然大丈夫だよ。ほら。」
俺はそう言ってイヴちゃんに右手を差しのべる。彼女はその手をニコニコしながら握ると、未だに言い合いながらも先に向かってる2人を追いかけるように俺の手を引きながら歩き始める。
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2人を追いかけながら一段一段確実に降りていくと、漸く階段の終点まで辿り着いたようだ。辺りを見渡すと階段を背にして左側にしか道がなく、その先にはなにやら机くらいの高さのものがある。メアリーとギャリーはそこで待っているようだ。
「2人もあそこで待ってるくらいならあんなに早く行かなければいいのにね。イヴちゃんもそう思わない?」
「ねー。それにわたしはあんなに早く降りれる自信ないもん。」
俺達はそう言いながら2人に近づいていくと、俺達を置いて先に行った当の2人はなんの悪びれる様子もなくのんびりと話しながら俺達を待っていた。
「あー!やっと来た!2人とも遅すぎ!」
「いやいや。俺らが遅いんじゃなくてお前ら2人が早すぎるんだよ。」
「あー……確かに必要以上に急いで降りてきちゃったわねアタシ達。」
「2人だけで盛り上がってたからわたし達何も言えなかったもん。」
「ゔっ……。ゴメンナサイ。やっとここから出れるって興奮してたかも……。」
メアリーはそう言って申し訳なさげに視線を下げる。するとギャリーも売り言葉に買い言葉でメアリーに乗ってしまった事を謝ってきた。しかし俺とイヴちゃんは別に2人を執拗に責めたい訳では無いので、2人の謝罪を受け取ってこの話を終わらせた。
「ふーん。私達ってこんな風に飾ってあるんだね。」
「あら、知らなかったのね。……いや確かに知らなくてもおかしくないのかもしれないわね。アタシ達にメアリーからの見え方って分からないもの。」
「実はあの額縁越しにしか外の世界を見れないんだよね。だから見える範囲はそんなに広くないの。」
「じゃあ外に出れたら色んなところにいっぱい行こうね!」
「うん!」
あれから移動して2階にやってきた俺達は何となくそこに飾られていた作品を見て回っていた。そこで3人が話していた会話を聞いて俺は今まで頭の中で、心の奥底で悩んでいた事に1つの決心が着いた。
「―――『絵空事の世界』。ここから外の世界に出る事が出来るよ。」
「ふぅん?なら早速ここからおさらばしましょ?」
「うん!そうだね!ほら、メアリーとお兄さんもいこ?」
「うん!私外に出るの楽しみ!」
「―――いや、俺はここで“サヨナラ”だ。」
次回、最終回。