では、どうぞ。
―やぁヒロトシ。夢見心地の中悪いが少しだけ介入させてもらうよ?なに、悪い様にはしないから安心してくれ。まぁあまり気持ちのいいものは流れないから……まぁそれも今後の為ってモノだ。そのくらいは我慢してくれたまえ。
―おい爺さん。あんた一体何考えてんだ?
―そりゃ勿論
………………
…………
……
記憶が逆流する。時間が逆流する。光が逆流する。そんな感覚を覚える中、俺の夢はギャリーとの出会いとメアリーとの出会い、そして王様への謁見のシーンがダイジェスト方式に映し出される。しかし映し出される映像は俺が言った言葉ではなかったり、俺のとった覚えのない行動をしている。
もっと細かくいうなれば俺は3人から嫌われるであろう行動ばかりとっていた。それに王様への謁見の際にはなんとも不遜な態度をとっていてなんの情報も得る事は出来ていなかった。
夢の中とはいえなんとも馬鹿馬鹿しい行動ばかりをとっている俺を見ているのはなかなか辛いものがある。しかし目を閉じる事が出来る訳でもなく垂れ流しになっている映像をボーッと見るしかする事が無い。そう思っていると段々意識が無くなっていく感覚に陥る。
「―――っは!?」
「お兄さん大丈夫……?」
「あ、あぁ。俺は大丈夫。」
「そっか……。」
「イヴ、そんな奴ほっといて早く先に行きましょ?先にメアリーが行って待ってるわ。」
「あ、うん……。お兄さん、先に行ってるね。」
「……ありがとな。」
イヴはそう言い残してギャリーの後を追っていき、この場には俺1人になった。先程の映像の続きなのだろうか。イヴの態度は素っ気ないしギャリーに至っては俺の事を嫌っているフシさえ見えてくる。もしかして俺の見ていたもの以外にも口論が絶えなかったりしたのだろうか。しかし俺の知っているギャリーはさっきのギャリーよりももっと大人の対応をしていた気もするし思ってる倍はやらかしているのかもしれない。
「……取り敢えず先に進むか。」
俺は独りごちるととぼとぼと
しかしこれは一体なんなのだろうか。俺は3人を外の世界へと出してあげたはずなのに未だにイヴとギャリーはここにいるし、今まであんなギャリーを見た事がないほどにつっけんどんな態度を取られている。
イヴにしたってあそこまで俺を心配するような仕草を見せてきた事があっただろうか。……いや、心配自体はいつもかけていたのだがこの世界に関してはその方向性が今までのそれとは違う感じがするのだ。
気の所為なのかもしれないけれどこれほどまでに気になる点がある時点で1つの可能性が出てくる。それは“俺があの世界でとらなかった行動をとっている世界”であるという事。それもかなり馬鹿な方向に思考がシフトしている世界なのではないか。
「はぁ……。この世界の俺は馬鹿なんじゃないか?こういうところから脱出するなんて協力し合わないとだいぶ難しいなんて分かりきってることだろうに。」
《ンなもん決まってんだろ。アイツらが信用ならないからだよ。お人好し。》
「!?誰だ!出てこい!」
《俺はテメェだよ、クソッタレな甘ちゃんよぉ。》
「はぁ?何馬鹿なこと言ってんだよ!んな訳ないだろ!」
《そんな訳があるから今こうなってんだ。そういう訳だから所有権は返してもらうぜ?》
「はっ?一体何の―――。」
何の事を言っている。そう言おうとした矢先に俺の体は思う通りに動かなくなり、それどころか俺の意志とは関係なく勝手に動き始める。一体何事かと驚きを顕にしていると、そんな俺が滑稽だったのか今俺の体を動かしているであろう自称“俺”が口を開いて説明をし始める。
「どうせあのジジイが何かしたんだろ?なんの為かは知らねぇけどめんどくせぇ事してくれたもんだ。けどよ、俺の体を乗っ取ってもらっちゃ困んのよ。それに今更アイツらと仲良しこよし出来るような関係でもねぇしな。」
《おい、この状況を説明しろ!これは一体なんなんだ!》
「そんなもん知るか。そんな事ジジイに聞け。俺がここまで来たのはイヴの為だ。それ以上でもそれ以下でもない。」
俺は“俺”の何も知らなすぎる言い分に絶句する。俺が3人揃っての脱出を心から望んでこの世界に呼ばれたとしたら、この“俺”は一体なぜこの世界に呼ばれたのだろう。
「ンなもんジジイが何となく呼んだんじゃねぇの?ま、なんにせよ興味ねぇな。」
《―――まぁ俺からはもう何も出来そうにないし最後まで見守っとくわ。お前のやりたいようにやればいいんじゃねぇの?》
「“俺”に言われなくてももとよりそうするつもりだ。ま、せいぜい楽しんでくれや。」
《こいつ絶対なにか起こす気だろ……。》
「それは見てからのお楽しみってやつだな。」
そんな話をしている内に“俺”はもう既に絵空事の世界の近くまで来ている事に気づく。随分と長い事話をしたものだ。
その絵の前には3人がこちらを覗いてくるように見つめてくる。と言ってもその目はあまり好意的なものでは無いことは確かであった。
「さぁ、仕上げと行こうか?“俺”。」
そう言って“俺”は3人の前に仁王立ちをし始めた。
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