では、どうぞ。
「悪いけど先に2階に行っててくれないか?」
俺がそう言うとギャリーとメアリーが何言ってんだこいつと言わんばかりの視線をこちらに投げつけてくる。が、こんな事もあろうかと言い訳は既に考えてある。
「アンタ急に何言い出すのよ。」
「いやさ、美術館に来たらいいもののろくに展示物を見ないままこの世界に来たもんだから時間を気にしなくていい今のうちにどんな物があるのか見て見たくてさ。」
「それならみんなで見に行こうよお兄さん!そっちの方が楽しいよ!」
「私もイヴの意見に賛成ー!」
「そうね、アタシもそれがいいと思うわ。というかなんでアンタはこんな所に来てまで単独行動しようとするのよ?」
「いやぁ俺の我儘で皆の行動を縛るのも宜しくないと思ってさ。それにイヴとギャリーはもうあらかた見てると思ったしメアリーに至っては目新しいものなんてないかなーって。」
「全く……変な気を使うんじゃないわよ。ここまで来たんだもの、みんなで回りましょ。」
何とか言い訳が通用したらしく1人でとは行かなかったものの館内をじっくり見る時間が出来た。これで俺の知りたかった事―――、俺の世界の美術館と間取りや飾っていたものが同じかどうかしっかりと確認出来るようになった訳だ。
皆の行動を俺の我儘で決めてしまった事を申し訳なく思いながら美術館の1階を鑑賞していく。俺がこの世界に来るきっかけとなった美術館を頑張って思い出しながら回っていくと、見れば見るほどに同じレイアウトで配置されていた事が分かってくる。
何故こんなにもゲームと現実に差がないのか。そんな事を考えながら絵画やオブジェクト、宝石の数々をゆっくりと鑑賞する。
「―――それにしてもあのバラのオブジェ、イヴのバラみたいにすごく綺麗だったね!」
「確かにそうねぇ……。外で見た時は薔薇だわ〜って思ったくらいで特に何も無かったけど今となっては気高さと力強さを感じるわね。」
「俺的には薔薇の花弁が何枚が落ちてるのはいい気分ではなかったな。なんかイヴが攻撃を受けたような印象を受ける。」
「もー!他にも展示されてたものはいっぱいあったでしょ〜!なんでバラの話しかしないの!」
「それくらい今のアタシ達の印象に残ったのよ。まぁ勿論深海の世とか悪意なき地獄も面白かったけどね。」
ギャリーは微笑みながらぷりぷりと怒っているイヴに対して優しく返答をしていく。それを素知らぬ顔で聞きながら3人を率いて2階へと向かっていく。そして2階もゆっくりと鑑賞していくが、やはり俺の記憶の中にある美術館とあまり変わりがないように感じる。これなら確かにこの3人が
でも美術館と戸籍が何とかなったとして国の違いや年代の違い、それに伴う言語の違いは大丈夫なのだろうか。まぁじいさんの改編能力に期待する事にしよう。きっとあの人なら何とかしてくれるだろう。多分。
「さて、一応あのでかい絵以外は見終わったわね。でもなんであれを後回しにしたのよ?」
「んー?あぁ、あれ出口だからだけど?」
「……なんでアンタがそんな事知ってるのかは敢えて聞かないでおくわね。」
「まぁおそらく直ぐに俺がその事を知ってる理由がわかると思うからそんなに警戒しなくても大丈夫だぞ。」
「その発言、一応信用してるから。アタシ達の事裏切らないで頂戴?」
「少なくとも俺にそんな意思はないから安心してくれ。」
俺のその発言にギャリーは怪訝な表情をこちらに向けてくるがこちらとしてもなにも言える事は無いので何も言わずに黙っていた。すると俺らの来た方とは逆側から見覚えのあるシルエットがこちらに近づいてきた。
「おまたせ。待ったかな?」
「いや、俺達も今着いたところだ。説明もじいさんがいないと出来ないしマジでナイスタイミング。」
「……ヒロトシ。このおじ様は一体どちら様かしら?この世界にいる時点でロクな存在じゃない様に思えるんだけど……。」
「それは俺よりもメアリーの方がよく知ってるはずだ。なぁメアリー?」
「そんな……嘘……。―――パパ?」
メアリーが目を見開きながらそうつぶやくとじいさんはいつも以上に優しい微笑みを零しながら返事をする。その光景を見た2人もなんとなく誰なのか察したのか驚いた表情を見せる。ここでネタバラシと行こう。
「もう誰かわかってると思うけどこの人はワイズ・ゲルテナ。メアリーを描いたり無個性を作ったりした人だ。あと俺をここに呼んだ張本人。」
「今紹介された通り私はワイズ・ゲルテナ。2人とも娘と仲良くしてくれてありがとね。」
俺達がそこまで言うと状況が呑み込めていないのか3人とも固まったまますぐに動く様子を見せない。しかしゆっくりと3人が動き出したと思ったら顔を見合わせて再びこちらに向き直る。
「「「え〜〜〜〜〜〜っ!!」」」
うん煩い。
ここまでくるとあと少しって感じですね。後2話か3話くらいですかね?まぁ予定は未定です。