Ib〜ハッピーエンドへ行き着くためには〜   作:月舘

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どうも、私です。今回も説明会です。はい。














では、どうぞ。


デウス・エクス・マキナ

秘密兵器とじいさんが言い放ったそれは、パッと見はただの絵画であるがきっとメアリーの様な存在なのだろう。しかしメアリーの様に外に出てきそうな様子は見られないし赤い服の女の様にモゾモゾと動きそうにもない。

 

 

「秘密兵器って言うけどさ、これただの絵だろ? 確かに創作物には命が宿るとか言われたりするがそれだって描いてすぐって訳でもねぇだろうし。」

 

「勿論その通りだとも。現にメアリーだって動けるようになったのも私にとってはつい最近の話だ。」

 

「なら何でその絵が秘密兵器になるんだよ。じいさんの理論だと俺達は何十年、下手したら何百年とここに閉じ込められないといけないだろ。」

 

「ふふっ。ヒロトシ君は私を誰だと思っているんだい?その程度の問題は織り込み済みさ。その上でこの子が秘密兵器として存在しているのは何となく理解できるんじゃないかな?」

 

 

そう言って俺の事を見てくるじいさんの目は「言わんとする事は分かってるよな?」と言っているようで、俺は思わず目を逸らして黙り込んでしまった。それにしても現実改変に時間の操作までするとは、どうやらこのじいさんは娘の幸せ(ハッピーエンド)の為なら本当に何でもする人らしい事が身に染みて理解出来た気がする。

 

 

「さて、それじゃあそろそろ名ばかりの儀式を始めようか。」

 

「ちょちょちょ、ちょっと待って頂戴!ついさっきのやり取りを忘れたのかしら?アタシ達にもわかる様に説明してもらいたんだけど。」

 

「えー?今のトシとパパの会話で何となくわかったでしょ。ギャリーったらおバカだなぁ!」

 

「アンタはいつも一言多いのよ!……で?今から何をしようとしているのかしら?」

 

「簡単な事さ、ギャリー君。もう1人のメアリーを作る(・・・・・・・・・・)んだよ。」

 

「もう1人のメアリー……?それってどういうことなの?」

 

「つまりはちゃんと意思疎通のできる(美術品)を生み出すんだよ。他ならぬ私の……ね?」

 

 

じいさんが笑みを浮かべてそう言うとイヴとギャリーは驚きを、メアリーは喜びを表情に全面に出して反応をする。その様子を見て更に楽しそうに頷くと再び口を開き始める。

 

 

「ギャリー君とイヴちゃんはいい反応をしてくれるね。ヒロトシ君は慣れちゃってそういう反応をしてくれなくてねぇ。」

 

「……じいさん、そういうのは後で聞くから話を進めてくれ。じゃないとキリがない。」

 

「おっとそうだったそうだった。さっきこの子をもう1人のメアリーと言ったのはここで暮らしてもらうって意味。つまりこの世界を上手く騙して贄を捧げるって事だね。」

 

「……おいちょっと待てじいさん。ならこの絵から体が出てないと代わりにはならないんじゃないか?」

 

 

世界を騙す云々については既に現実世界で大々的にやらかしているのできっと出来るんだろうなと思えるが、それをする為にも人型のモノが必要だと思い質問する。たとえ何とかする算段があったのだとしてもそれを何とかする方法を教えてもらわなければ賛成も反対も出来ないからだ。

そう思ってじいさんに質問を投げるとじいさんは待ってましたと言わんばかりに楽しそうな表情を浮かべて口を開く。

 

 

「確かにヒロトシ君の言う通り、ヒトの代わり足りえるモノはヒトしかいない。ならばこの中から出してあげればいいだけじゃないか。」

 

「―――駄目だ、全く意味がわからん。ギャリーは理解出来たか?」

 

「アタシもさっぱり……。天才が天才たる所以に触れてしまった感じすらあるわね。」

 

「ゲルテナおじいちゃん、わたし達にできる事はありますか?」

 

 

イヴがそう言うとじいさんはなんでもない様な表情でとんでもない事を言い出した。

 

 

「―――君達の薔薇の花弁を1枚ずつ欲しいんだ。」

 

「よし他の方法を考えるぞお前ら。なにかいい案はないか?」

 

「い、いやちょっとは話を聞いてもいいんじゃないかしら?ゲルテナ先生だってアタシ達の事を思ってここまでしてくれたんだもの。きっと確実に且つ安全に脱出できる方法なのよ!」

 

「そんな事は百も承知だがイヴに1つでも傷をつけてみろ。親御さんに謝り倒す事しか出来なくなるぞ俺は。」

 

「あ、あぁ……そういう事ね。でもそれならイヴ自身はゲルテナ先生の要望をどう思ってるのよ?」

 

「わたしは全然大丈夫だよ!お兄さんはここまでずっと心配しすぎ!」

 

 

何度かイヴから言われた記憶のある言葉を言われる。俺はそんなに過保護なのだろうか?そんな事を思っているとじいさんは少し安堵したような顔を見せる。

 

 

「それじゃあみんな1枚ずつ渡してくれるかい?花弁をちぎる時痛いだろうけど出来るだけ痛みを感じないように今設定したからさ。」

 

「それが出来るなら初めからそうしておいて欲しかったんだが?」

 

「そんな事したら人は私の存在に甘えるだろう?この世界のデウス・エクス・マキナは簡単には動けないよ。」

 

「デウス・エクス・マキナ……。確かにゲルテナ先生はこの世界の創造者ですものね。」

 

「パパはすごいんだぞー!色々できるのはこの世界だけじゃないんだから!」

 

「ゲルテナおじいちゃんってすごいんだね〜!」

 

 

俺達はそんな会話をしながら花弁を1枚ちぎる。確かに今までくらったダメージと比べると全く痛みを感じないと言ってもいいくらいのものでなんで今まであんなに痛い思いをしていたのか問いただしたくなるレベルだった。

 

 

「……ていうかここまで来たら痛みを無くす事は出来なかったのかよ?」

 

「いくら此処が私の世界でも人間の機能を完全に無にする事は出来ないよ。ましてやちゃんと生きてる人間なんて私の能力の対象外なんだ。」

 

「ふーん……。使えるようで使いづらい能力だな。」

 

「そうかな?私は凄く使い勝手のいい能力だと思ってるけど?特にこの世界にいるとなんでも出来るからね。」

 

「あーなるほど。確かにそれは便利だわ。」

 

 

やっぱこの人1人いれば何とかなんじゃないかな?




イヴちゃんにゲルテナおじさんをなんと呼ばせるかすごく迷いました。
初めはゲルテナさんって読んでもらってたんですけどこれは私の書くイヴちゃんじゃないなって思ってゲルテナおじいちゃんになりました。

私としてはかなり苦肉の策ですね。安直すぎたかなと。
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