今年もクリスマスの時期になりましたね。今年も私は母親と過ごす……と思ったんですが、どうやら母はお仕事が忙しいようで。今年は1人寂しく過ごす事になりました(笑)なんとも悲しいですがまぁそんな年があってもいいでしょう。
では、どうぞ。
クリスマス――――――。街ゆく人々の足取りは軽く、その表情は程度は違えど明るいものが多くなるそんなイベントだ。そんな大きなイベントが近づいてきた12月のとある日、
しかし、そんな俺の平穏を容易く崩してくれる存在が俺の
「―――んで?クリスマスがどうしたって?」
「だぁかぁらぁ!クリスマスの日に皆でイルミネーションを見たいの!ギャリーは賛成してくれたし、イヴのお母さんもギャリーとトシがいるならって条件付きでOKを出してくれたの!」
「だから後は俺が行くって言えば全ては丸く収まる……と。メアリーはそう言いたいんだな?」
「うん!もちろん一緒に行ってくれるよね?」
俺の平穏を脅かす
ということで俺の次に発する言葉は決まっている。
「断る。」
「うんうん―――、え゛?」
「だから、断る。」
「えぇー!!なんでよぉ!!」
「寒いだるいめんどくさい。以上。」
俺はそこまで言って会話を切りあげると席を立ち部屋の入口に向かって歩きはじめる。
「ちょ、トシ!どこ行くのさ!まだ話は終わってないよ!」
「トイレくらい行かせてくれ。これでも大分我慢してるんだぞ。」
「えっ!?……ゴメン。」
メアリーはなんとも申し訳なさそうな顔をしながら謝ってくるが、俺は特に何も気にすることなく部屋を後にする。正直このままバックれてもいい気がしなくも無いが、如何せんあいつがいる場所が俺の部屋という事もあり現状最悪な状態だ。何せメアリーの事だからきっと俺が戻るまでずっと待たれてしまうのだから。それにあいつの性格上部屋の至る所を探索ずっというおまけ付きだろう。
とりあえず手早くトイレを済ませて自分の部屋へと思い足取りで向かうことにする。なぜ俺は己の部屋に行くのにこんな憂鬱な気分にならないといけないのか。
「戻ったぞ。まさかとは思うが部屋のものに手をつけてないよな?」
「当たり前じゃん!さすがにそんな事しないよ失礼な!」
「ならいいけど……んで、クリスマスだっけ?なんでそんなわざわざ面倒臭い日に会いたいんだ?」
「そんなの決まってんじゃん!皆で楽しいことしたいから!」
メアリーは屈託のない笑顔を俺に向けてそう言い切る。なんとも可愛らしいその理由は単純が故に断るのも気が引けるのは俺だけじゃないはずだ。しかしクソ寒い上バカほどカップルがいるような所に行ってまで子守りをしなければならないのか。それならまだ男同士で馬鹿騒ぎしながらイルミネーションを見た方が楽しいまであるだろう。
しかしまぁ――――――。
「―――はぁ……わかったわかった。着いてけばいいんだろ?」
「っ!!着いてきてくれるの!?ホントに!?!?」
「ハイハイ着いてくよ。但しメアリー、お前は俺の指示に従えよ?」
「えー!なんで私だけなの〜!?ギャリー……はともかくイヴにはそういうのないの!?」
メアリーが色々と言っているがそんなもの聞かなくても分かりきっている事だろう。むしろなぜ彼女はイヴが何か言われるような奴だと勘違いをしているのか。
「そりゃイヴは強く言わなくても俺の言う事を聞いてくれるからな。それに比べてお前はなかなか話を聞かない……と言うよりも聞いてもすぐに忘れてどっか行ったりするだろ?」
「ゔっ……否定できない……。」
「まぁそういう事だ。これを守れないなら今回の話は無かった事に――――。」
「わかった!守る!守るからクリスマスの日は空けといてね!それじゃあまたクリスマスに!あ、集合はここね!」
そこまで俺にマシンガンの如く言いたい事だけ言うと、メアリーは俺の部屋から颯爽と出ていく。その物言いからの行動の早さに俺は何かを言う事はおろか、彼女の行動を止める事すら叶わなかった。
「ったく、言いたい事だけ言って帰りやがったな……。にしてもクリスマスか……。こりゃめんどくさい事になりそうだ。」
これもじいさんが俺を後継者的扱いにしたからなのか、こんな感じで感が鋭くなってきている感覚がある。この予想が当たらなければいいのだが……。
――――――――――――
そんな心配など知ったこっちゃないと言わんばかりに無慈悲に時は進んでいくものであっという間にクリスマス当日になってしまった。この心のざわめきが杞憂である事を祈りつつ俺は家でアイツら3人が集まるのを憂鬱な面持ちで待っている。
「大利〜!お客さんよ〜!」
「はーい!今行く〜!」
どうやら俺が色々と考えている間にそこそこ時間が経っていたらしく、3人が家に到着したようだ。俺はなるべくあいつらを待たせないように急ぎ足で玄関へと向かう。いや、まぁ正直アイツらに合流したら行かざるを得なくなってしまうが今更行かないとか言ったところで聞き入って貰えないだろう。それに母親に約束を守らなかったことがバレてしまえばその日のご飯は無くなるか白米のみなんて事になりかねない。
「おぃーっす。」
「トシ!メリークリスマス!」
「お兄さん今日はありがとね!メリークリスマス!」
「ヒロトシ、今日はお互いに頑張りましょうね……。メリークリスマス。」
何故か既に疲れ切っているギャリーを見て今までの嫌な予感がさらに強く感じるが、こうして顔を合わせてしまった手前今から断る事が出来るはずもなく……。俺は出来うる限り嫌な予感を気にしない事にして財布と鍵、それとジャケットを手に持って急いで靴を履く。
ジャケットを羽織りながら玄関の扉に手をかけると、家の中はそこそこ暖かいはずなのにとてもひんやりとした感覚がドアノブ越しに俺の手に襲いかかる。
「冷たっ。―――なぁ、やっぱ行くのやめね?寒いのに人多いとかやってらんないからさ。」
「何バカな事言ってんの?いまさら行かないなんて選択肢は無いよー!」
「お兄さんはわたしたちと一緒にお出かけしたく……ない?」
「ちょっと、メアリーはともかくイヴを悲しませたら承知しないわよ?」
「わかった、わかったから。お前ら揃いも揃って圧がすごい。」
メアリーとギャリーがずいずいとこちらに顔を近づけて威圧して来るため俺はドアの方に追いやられて行く。そんな中イヴはそんな俺をうるうるとした目で見つめてくるのでなおのこと逃げ場がなくなっていく。
「はぁ……取り敢えず家出るぞ。母さーん!行ってくるー!」
俺はそういうと母さんの返答もまともに聞かないうちにドアを開けて家から出る。2人の威圧感から逃げるのもそうなのだが、何よりもイヴの悲しげな瞳を向けられている事に耐えられなくなったからだ。
――――――――――――
「うわっ……めちゃくちゃ人いんじゃん。」
「そりゃあクリスマスだもの。きっとみんな恋人や友達とイルミネーションを見に来てるのよ。つまりアタシ達も周りの人達も目的は一緒ってわけね。」
「目的は一緒って言ったってなぁ……。こんな人の多い中4人行動はきつくないか?」
「まぁそうかもしれないけど……まぁそこは気合いよ!アタシ達保護者組がしっかりと手を繋いでいればきっと何とかなるわよ!」
「えぇ……。」
クリスマスだと言う事もあり、駅構内から人混みが半端ないことになっている。それもこれも大概の人はクリスマスの影響だと言うのだからこのイベントは俺達日本人と無関係にも関わらず随分と親しまれているものだという事が分かるのだが、だからといって俺はそういうワイワイとしたイベントはあまり得意では無い。
今回だってメアリーに「4人で行きたい」みたいな事を言われたから仕方なくこうして外に出ている訳で。彼女からのお誘いがなかったら今頃家でゴロゴロしながら1人寂しくゲームをやっていた事だろう。それもまた乙なものなのだが、それを言い出した所で今更だろう。
「んで?俺らはこれから何処のイルミネーションを見に行くんだ?」
「もちろん駅前のイルミネーションだよ!ここのクオリティはすごく高いってお友達が言ってたもん!」
「ほーん。今まで興味無かったからそんな事知らなかったわ。」
「お兄さんはもう少し色んなことに興味を持ってもいいと思うよ?」
イヴにそんな事を言われ何も言い返せなかった俺は、このなんとも言えない空気を払拭する為に少し強引に話題を変えることにした。
「えっと……そのイルミネーションの場所は確か駅前って言っていたよな?なら早速移動を始めようか。時間は有限なんだしさ。」
「うん!イヴ、ギャリー!楽しみだね!」
「そうね!なんだかんだアタシも見に来るのすごく楽しみだったのよねぇ!」
「わたしもすごく楽しみ!―お兄さん。手、つなご?」
「ん?おぉそうだな。ここではぐれたら合流は難しそうだし。ほれ、2人も手ぇ繋ぐぞ。はぐれんなよ?」
俺はそう言って二人の間辺りにイヴと繋いでない方の手を伸ばす。その手―――というか腕に飛びつくようにメアリーが抱きつくと、ギャリーに向かって舌をちろりと出して挑発の態度をとる。
「今日はトシと一緒にいたい気分だからギャリーはイヴと手を繋いでくれる?」
「あら、そうなの?ワガママなお嬢様ねぇ〜。じゃあイヴ、アタシとも手を繋ぎましょ?」
「うん!」
「よし、じゃあ移動するぞ。イヴは俺かギャリーから絶対に離れるなよ?片方離してもいいけどもう片方は絶対に離すな。OK?」
「わかった!絶対にはなさない!」
イヴからの元気な返事を聞いた俺は満足気に頷いて3人を連れ立って駅構内から出る為に出入口の方へと歩いていく。人の波に沿って出来る限り離れないように歩いていくと、程なくして出入口まで到着した俺達はとりあえず落ち着けそうな所で一息つく事にした。
「みんな人酔いとかはしてないか?もしやばそうなら何処か休めそうなとこ探すけどどうする?」
「私は大丈夫だよ〜!トシが守ってくれたもんね!」
「わたしも大丈夫!お兄さんとギャリーが守ってくれたから!」
「あらあら、随分と元気ね〜。でもはしゃぎ過ぎて人様に迷惑をかけちゃダメよ?特にメアリー、アンタはつい羽目を外しすぎちゃうんだから気をつけなさいよ?」
「んもー!ギャリーもトシも似たような事言わないでよー!私はそこまで無闇矢鱈にはしゃがないもん!」
メアリーがギャーギャーと喚いていたが俺とギャリーはそれを全て無視をして、2人を引き連れるように俺達は歩き始め―――ようとしたそのタイミングで後ろから俺に向けて声をかけられる。
「―――あれ、大利じゃん。何でここにいんの?俺達の誘い断ってたよな?」
「え?うわぁ、めんどくさいやつに見つかったよ……。」
「おい聞こえたぞ!今うわぁって言ったな!?うわぁって!」
どうやら同じクラスの男子が俺に話しかけてきたようで、今日誘われてるのを蹴っているのもあって正直会いたくなかったのだが会ってしまったのであれば致し方ない。元々は向こうの誘いを断っている事だし同じクラスのヤツらには悪いがこの場は早々に退場させて頂こう。
「うわぁって言ったのは申し訳ないが俺はこの3人と予定が入ってたんだ。邪魔してくれんなよ?」
「うわっお前ってそんなキザったらしい言い方するようなやつだっけ?まぁ俺は邪魔するつもりはねぇよ。でも今度御三方とどんな関係なのか根掘り葉掘り聞かせてもらうからな!」
「はいはいわかったわかった。わかったからさっさとどっか行け。」
俺は嫌な顔を隠すことも無くシッシッと空を払うジェスチャーをすると、クラスメイトの連中はケラケラと笑いながら俺達から離れていく。
「……アンタの友達って意外とパワフルなのね。なんかちょっと信じらんないわ。」
「そうか?むしろ自分と違う人だからこそ友達になるんだろ。俺と同じようなやつとか絶対友達になりたくないし。」
「あぁなるほどね。確かに自分と似たような人間と話してたら喧嘩ばかりになりそうだもの。」
「それよりも俺は年明けの始業式の日が今から憂鬱だよ……。絶対めんどくさい絡まれ方されんじゃん……。」
俺は頭を抱えそうになったが両手を
「きゃっ。お兄さん急にどうしたの?」
「きゃ〜!トシったらだ・い・た・んなんだから♡」
「何バカげたこと言ってんだよ。どんだけませてんだこのマセガキ。それとイヴ、俺の事はそんなに気にしなくていいぞ。ただ少しこれからの事を考えて頭が痛くなっただけだ。」
「なにおぅ!トシが先にやってきたくせに!」
ギャースカ言ってきているメアリーの事はスルーして俺は歩き始める。勿論メアリーはその間も腕に引っ付いてるもんだからまるで俺に引きずられるかのようになっているが、本人は全く意にも介してない様子で俺の腕から離れようとも歩こうともしなかった。
――――――――――――
「イルミネーションキレイだったねー!また来年も一緒に見に来たいね!」
「ね〜!……来年は快く一緒に来てくれるよね?トシ。」
「ん?ん〜……ま、考えとく。」
「んも〜素直じゃないのね。ヒロトシってば断るつもりもない癖にぃ〜。」
「ギャリーはいらん事言うな。まぁ来年の事は来年の俺が考えるだろ。」
語尾に多分と確実につきそうなほど適当に返答しながら俺達は帰路に着いていた。そんな感じでいつもと変わらずに歩いているとメアリーが突然何かを思いついたかのような声を上げる。
「あ!そうだ!トシ、来年の初詣も行くからよろしくね!」
「え、嫌だけど。」
「トシに拒否権はナーシ!ね?イヴもトシと一緒に行きたいでしょ?」
「うん。でも……お兄さんの迷惑にならないかな?大丈夫?」
「おいメアリーこのやろっ……はぁ、わかった。わかったからイヴはそんな悲しそうな顔すんなよ。な?」
なんだかんだ言って俺はこいつら2人に弱いんだろう。これからもイヴとメアリーのお願いを断ることが出来ないんだろうなぁと思いながらコソコソ笑ってるギャリーを足で軽く小突いてじゃれ合いながらわいわいと帰宅するのだった。
今年も年の瀬が近づいてまいりましたが皆様方お身体の方お変わりはありませんでしょうか。私は変わりなく過ごしております。
昨年の今頃ifとしてクリスマスネタを書かせていただきましたが、前回がおうちクリスマスだったので今回はお出かけさせました。
大利のクラスメイトも出してみたりと今までやってなかった事を試して見ました。因みにお正月もこれから書きますが其方にも今回出なかったクラスメイトが出ます。(暫定)
それでは次回までお待ちくださいませ。